海上のカンパニュラ   作:千里亭希遊

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17.メシ、戦利品、秘密基地。

 我々の出張料理クラブはダダン一家の皆に好評らしく、使ってほしいという山の幸を対価の意味も込めて余分に届けてくれる。

 こんなんでエースたちが食い逃げやめてくれるかは正直分からない。自分としてはもう、メシ大量に作るのと大人数で一緒に食うの楽しいから続いてるようなもんだけど。

 

 幼児三人じゃどうしても人手が足りない時があって、たまにケンジたちも呼び出したりなんたり。

 毎回ダダンが「何でこうガキが増えてくんだい!?」なんて怒鳴ってきてコッソリにやにやする。ツンデレめ。

 

 ついでに家の周りで子供たち皆で鍛錬したりもした。やっぱりダダンはがなってたけど、いい具合に開けてんだから子供にとっちゃ格好の遊び場(訓練場)になるってもんだ。

 子供同士仲良くなってるかはともかくだいぶ盛り上がった。個人的には子供大勢でわちゃわちゃできて楽しかった。……半数以上中身が子供じゃないことは置いておく。

 

「ウチは託児所じゃないんだよ!」

「いやお頭、こっちから(凝ったメシ作りに)来てもらってるようなもんじゃ……」

「うるせェ分かってる! そもそも何で山賊がこう易々とアジトにガキ入れてんだよ!?」

 

 分かってるって言ってる草。通訳すると「カタギのガキを山賊のアジトなんかに招いてんじゃねェ!」かな。

 ダンダンッと床を踏み鳴らしながらも漫画肉むしゃむしゃ食ってるダダンは可愛くてほのぼのする。いやほら、人生三度目にとってはダダンも幼子よ。多分。

 

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 ダダン一家は何も言わず菓子に使えそうな木の実等々まで採ってきてくれるようになったから、今日は村で色々菓子作って持ってきたんだ。

 ただリンゴはコルボ山じゃ生らないからアップルパイはオマケだよ。マキノさんからいくつかジャム買ったんだ。ほんとは売り物じゃないらしいけどな!

 

 彼らはこう勝手にお菓子を届けたくなるくらいほのぼのした一家だ。ほんとなんで山賊なんか名乗ってんだろう。君たちいつどこで略奪してんの?

 

 なんて和んでたらとある日、ルフィが包帯だらけのボロッボロになってた。じいちゃん(名前聞いてない)とかマグラとかがきっちり手当てしてくれたみたいだけど、詳細は口を濁された。

 ただどうみてもASL盃兄弟間の雰囲気が柔らかくなってる。喧嘩の結果こうなったワケ? 雨降って地固まるにしちゃルフィの怪我がすぎる気がするけど……。

 

 彼らが仲良くなった切っ掛けって絶対描かれたよな? やっべ記憶が無い。まあ……前々世のことだしなあ……忘れたもんは仕方ないか。

 

「……お前たちそこそこやるから、おれたちがいなくても不確かな物の終着駅(グレイ・ターミナル)くらい行けるだろ。六人もいるし」

 

 エースがぷいっとしながら言った。

 今ここには料理しに来たヒロとゼロと自分の三人しかいないけど。

 我々は顔を見合わせた。

 

「人数はいるかもしんないけど、六歳が行けるかなあ」

 

 眉間にシワを寄せるとエースはケッとなんか嫌そうに息をついた。

 

「並の破落戸(ゴロツキ)じゃお前らの速さと連携には太刀打ちできねェだろうよ。重さは足りねェかも知れねェが」

「えー……不安なんだけど」

 

 思わず顔をしかめる。雰囲気から面倒くさがっての発言とは思えない、けど……。

 

「ビビリすぎだ。あと自覚なさすぎる」

「えー」

 

 マジで言ってる?

 

「お前らイイコチャンはどーせ喧嘩売りも買いもしねェだろ。鉄屑拾うだけならヤベェ奴に目ェ付けられもしねェだろうし、ちょっかいかけられたとしてお前らなら余裕で逃げ切れる」

 

 エースが我々を評価するとか、なんか怪しいなあ……。

 いやでもあれか、彼ら金品奪ったりしてんだっけ。『イイコチャン』が一緒だとやりづらいんだろうな。

 

「いい子ちゃん……」

 

 ゼロがなんか苦笑してる気がするけど、お前ら実際、ハメ外しこそすれ秩序寄りだろ。元々がゴリゴリの警察官なんだし。

 

 まあ、エースとサボが海賊資金貯めてるのは聞いてるし、その邪魔をするのもなんだよな。

 ……いやほんと、ダダン一家より彼ら子供の方が余程立派(?)に山賊行為してるよね。

 

 という訳で、おっかなびっくり我々六人だけでグレイ・ターミナルに向かってみた。いやびくびくしてたのは自分だけだったけど。元警察官五人はさすが肝が据わってやがる。……いや幼児だろ少しは怯えろ。……いや……こいつらだしな……うん……。

 まあ結果、拍子抜けなことにエースの言う通りだった。

 

 戦利品はなかなかだったようでじんぺーとケンジが日増しに活き活きしてってる。

 さすがに嵩張ってきてて家に溜め込むのも限界だった。だからって村からもダダン()からも離れた岩穴に隠れ家を作りやがった。入り口のカモフラージュも念入りだ。

 なんかいつの間にか本格的な工具も揃い始めてた。何で発電機っぽいもんがあんの? まさか作った?

 

「……チッ。青くならねぇなあ。10,000度くらい超えてみせろよ」

 

 おいじんぺー、一体何する気だ……ガスバーナーでも作るのか? いやガスバーナーの火の青さって燃料のせいじゃなかったか?違う?

 10,000度なんてこんなふうに目指してできるもんなの???

 

 ……こいつら、ほんとにそのうち自動車作るんじゃね。

 奴らのお気に入りはRX7-FDって白いスポーツカーで、ゼロは個人で所有までしてた。

 作るとしたらあれのフォルムまで再現しそうな気がする。まあ自分もクソカッコイイとは思うし、じんぺーとケンジのあの器用さはもう何をやらかしても不思議じゃないもん……。

 ……ああやべえあの車思い出しただけで車酔いしそう。いや普段は超安全運転だったんだけどさ……。

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