「うっわ……」
思わず顔が引きつる。
『天竜人ご来訪』
地方誌の一面を飾るデカイ見出し。
こんな嫌そうな声あげたらそりゃ気になるってもんで、五人が新聞を覗き込んでくる。
「うっわ」
皆同じ反応した。散々悪名吹き込んだんだからこうもなるわな。
『世界政府視察団にご同行されゴア王国に』
「こんな田舎に来ることあんだなあ」
ワタルが口をひん曲げつつ言った。
「ゴア王国も一応世界政府の加盟国らしいからなあ。でもまあ、来るのはあっちの街の方だろうし、行かんとけば面倒に巻き込まれずに済むだろ」
ハア、と溜め息をつきながらチラリと彼らを一瞥する。
「行くなよ。お前たち面倒が寄ってくるから」
「お前が言うな」
「だから行かないんだよ」
釘は差したいけどじんぺーと無駄な言い争いする気とかない。
じんぺーは口を曲げつつ肩をすくめた。
ひとしきり読んで今度は世経を眺める。
……。
「うっわ……」
「またかよ」
思わず先程同様顔を引きつらせるとじんぺーに突っ込まれた。
「……この記事」
指差すと、また皆が覗き込んでくる。
「人気女優にスキャンダル? ゴシップには興味ねえな」
じんぺーが首を引っ込めた。
「レインベースってカジノで有名な街なのか。女優が出演するステージもあるんだね」
「いや、街に劇場があるみたいだな」
ケンジがへーと眺めてるとワタルが言った。
「……ハハ」
「……オレたちだけじゃないかもとは思ってたけど……」
ゼロとヒロは逸早く気付いて苦笑いしてる。
「ん?」
我々の様子に他の三人はきょとりとした。
「ヴィンヤード・シャロン。『前』の超有名女優じゃん。そんで顔もこれなら間違いないわ」
「……! あー! クリス・ヴィンヤードの母親か!」
ケンジがぽんっと手を打っている。
「『超美形ボディガードと熱烈な密会!?』とか書いてあるが……この新聞デマばっかだからなあ」
「ハハ、だな」
苦笑するワタルに、ゼロは多少引きつった顔をしながら頷いた。
……ヒロもだけど我々は別の理由でデマを確信してる。
シャロン・ヴィンヤード。またの名をクリス・ヴィンヤード。
そして、コードネームを、ベルモット。
ゼロとヒロが公安から潜入してた国際犯罪シンジケートの大幹部だ。
ボディガードの写真もあったんだけどどう見てもジンで、傍らにウォッカまでいる。
ハハハ、熱愛とかまじデマ以外の何だってんだ。いや、もし記憶なかったらあり得なくはない、のかな。
このまま世経が彼らを追い続けたら、いずれジンとウォッカの本名も割れて載るのかもしれない。ちょっと楽しみだけど、そうなるより前に記者が彼らに消されそうな……。
……。
こっちに来てまで犯罪組織やってないといいな(遠い目)。
「会いたくないねえ……」
我々三人は他のみんなに聞こえない程の声で頷きあった。
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青銅の件で楽しくなっちゃって、前時代の遺物とか見つからないかなあとか思っちゃった訳です。
ふんわりした世界史のような物なら書店で多少の知識は手に入るけど、学校とかで歴史習ってる訳でもないし、この島については十年前のことすら分からないんだ。
ゴミ山は色々ひっくり返されてて撹乱層でしかないし、出土状況の記録なんて気にせずにそのまま持ち帰っても問題ない、はず。
正体不明のふっるい物見つけられたら、「これなーに?」なんて村でおじいちゃんおばあちゃんに聞いたら色々教えてくれるんじゃね?
という訳で、じんぺーたちみたいに機械に使えそうな物を探してる訳でもなし、加えてなんかエースたちからは妙に避けられてるしで、誘える人間がいなくて一人で来た。
追い剥ぎに遭っても逃げれるっての実感しちゃったし。
「ルリ!? お前……一人か!?」
「エース?」
悪意ある気配しか探ってなかったから気付けてなくて、ちょっとビクっとした。
「一人かって聞いてんだバカ!」
「え、そうだけど……エースもお前らなら大丈夫って言ったじゃん」
「お前『ら』ならな! チビが一人でウロウロすんな! しかもこんなくっせえとこ」
「くせえのは慣れたよ」
「慣れんな!」
「あっはっは、お前ら面白ェなあ〜」
「笑いごとじゃねェ!」
「い゙でェっ!」
すねを蹴られてルフィが悶絶してる。
足が出たのは両手が塞がってるからだろうけど……。
「何だその箱? 戦利品?」
比較的新しい素材の木箱は、このゴミ山の中では少し浮いて見えた。
しかも全く同じのを複数個。
「お前には関係ねェ。さっさと帰れ」
「……それに、サボは?」
帰りたくないし気になったし。
エースはすっと目を逸し、ルフィはしょんぼりした。何?
「あいつは……家に帰ったよ」
淡々とした声でエースが答えた。
「家? ……え、いや、まさか……『
様子から隠れ家でもダダンの家でもなさそうだし。
「……そうだ」
「え、何で? サボ家大っ嫌いだったじゃん」
「……本当に嫌なら必ず戻ってくる」
「えぇー……」
サボが自分から貴族の家に帰るとは思えないし、エースがこうやって大人しくしてるのも何か変な気がする。
「おいチビども、何やって……ん、何だやっぱりもう一人いるんじゃねェか」
んん?
何か知らないおっさんが沸いた。
「げっ、ブルージャム……!」
「悪童四人って聞いてたが全く見ねェし、一人はどこかで野垂れ死にでもしたかと思ってたぜ」
悪童四人!?
いやまあ、四人でここに来てた時期もあったけどそれはすごい短かったはずじゃん、なんかしたっけ……。
でかいおっさん(ブルーベリーっつったけ?)がしゃがんでぽふんと頭に手を乗せてきた。
「ガキが死ぬなんて可哀想だもんなあ。生きてて良かった」
ん。おっさんいい奴なのか? 撫でられるの好き。
「お前もエースたちみたいに仕事を手伝わねェか? 金は出す」
んん……?
怪しさ大爆発だ。撫でてくれたってそれだけじゃ絆されないぞ。
チラリとエースの方を見ると首を振ってる。
ほほう。なんかまずいってことは着いてって探らないとな?
「お金くれるの? いいよ!」
にぱっと『子供らしく』笑うとブルーベリーは気を良くしたらしい。
「そうか、ならついて来い。二人はとっととその箱置いて来な」
エースの形相が恐ろしいことになってるけど知らん。内緒にしてるのが悪い。
ブルーベリーに着いてってるとエースとルフィが追いついてきた。
「おいブルージャム、そいつはおれたちとは関係ねェ」
「
「……」
「それに、こいつは金が欲しくて着いてきたんだ。大人だろうと子供だろうと、おれは人の意思を尊重するぜ」
エースの顔が怖い。
しかしあの頃、ねえ……なんかしたっけ。おっさん初めて見る顔だと思うんだけどなあ。
てか、ブルージャム、ね。間違えて呼ばなくて良かったね。