資材置き場かなんかよく分からんとこで例の箱を二つ受け取って、エースとルフィとともに出発した。
中身が非常に気になる所だけど、管理者らしいブルーベリー自身もその辺うろついてるっぽかったし覗きづらい。
「エースたちも中身知らないの?」
「知る必要がねェからな」
「ふうん……赤い旗とかついてるし、重さ不揃いだし、箱自体はただの重しなんかな?」
案外重めだし。
それもあってかルフィが一個頭の上に乗っけてて可愛い。
自分は両方肩に担いだゴリラスタイル。可愛くないな。
「……必要ないっつってるだろ……」
「えー、気になるじゃん、的あて競争とか旗の取り合い競争でも始める気かな」
「競争? 賞品肉かな!? おれも参加する!」
「そんな呑気なこと海賊がやるかよ……」
「ん? ブルーベリー海賊なの?」
「あ あ そ ー だ よ !」
げんなりした雰囲気で語気強めにエースは答えた。
フフン、どうせ自分を棚に上げて、ガキが危ねェのに首突っ込みやがってとか思ってんだろ。
「海賊がなんで
「こんなゴミ山でゲーム開催するアホがいるか!!!」
とうとう盛大に突っ込まれた。
漫画で言えば白目吊り上げてギザギザ牙なでかい口になるあれなんだろうな。想像して少し楽しくなる。
「つーかブルーベリーじゃねェ、ブルージャムだ」
今度は打って変わって静かに小さく突っ込まれた。
「なんか青くて甘そう、みたいな。まだうろ覚え。てへぺろ」
「……お前よく分からんとこでいきなりバカになるよな」
「えっなにそれ。お前より四つも下なんだぞ、バカで当たり前じゃん」
「開き直ってんじゃねェ」
「あははおめェらやっぱ面白ェ」
にぱっと笑うルフィのすねに再びエースの蹴りが飛ぶ。
「い゙っでえ゙ェ゙ꔛ!!!」
さっきより悲鳴でかくね。わっ、ぽろぽろ泣いてる可愛あっ可哀想。
「暴力反対」
「うるせェ」
「てか、さっきとおんなじとこ蹴ったんじゃね。酷すぎ」
「……う」
エースがたじたじしてる。ふふ。
「しかもすねだぞ。第二の心臓だぞ。人の心無いんか」
「っ、ルフィが気ィ抜けたこと言うからだろ!」
「酷い兄貴だなー、なあルフィ」
「うぅっ、エースは酷くねェ。ぐすっ。おれの、にいちゃんだから。強くて、ウゥ、かっこいいんだっ。ひぐっ」
いい具合に良心を抉る涙を溢れさせるルフィ。ふふ。
「ああもう! 泣くんじゃねェ!」
言われて即座にむぐっと口を噤み涙を引っ込めるルフィ。健気だ。訓練されすぎだろ。
「わー、泣かせたのお前なのに」
「うるせェェエエ工! とっとと運ぶぞ!!!」
なんてエースをからかって遊んでると、ふと、少し離れたゴミ山の上で透けたロジャーが大爆笑してるのが見えた。隣でルージュが苦笑しながらなだめてる。
あんた少しは息子の肩持ってあげなよ。
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何度か箱を指定位置に置いて戻ると、いい時間になってきた。
「ブルーb、ジャムさん、そろそろ帰らないとおかあさん心配する」
「ん? お前親いたのか」
「だからおれたちとは関係ねェって言っただろ。こいつはフーシャ村のガキで、ここへはオモチャ探しに来てるだけだ。おれたちはお節介で守ってやってたんだよ」
よく回る口だなエース。
「何だよ、そーやってすぐ仲間外れにするんだから!」
「ハハハハ、ならお前には先に報酬を渡さねェとな。二人はもう少し頑張ってくれ。何度か言ったと思うが人手が足りてねェ」
「いや、いったんこいつを村に送ってくる」
「オイオイエース、お前こいつを舐めてるのか? 一人でゴミ……オモチャ漁ってたんだ、一人で帰れるだろ、なあ?」
またブルーベリーは頭にぽんと手を乗せてきた。
でかい手はいい具合に頭を包んでくれて、見てくれのゴツさにしては案外心地良い。目を細めて享受する。
「そうだぞ! 舐めんなよエース!」
気を良くしてペカーと笑いながら言うと、またエースがすごい形相になった。
「……勝手にしろ……!」
ぷいっと背を向けてルフィを引っ掴むと、彼は山積みの箱の方に向かって行った。
「わあ、本当にまだたくさんあるね。最後まで手伝えなくてごめんなさい……」
子供口調を心がけつつしおらしく言うと、ブルーベリーは頭を撫でてくれた。
「まあ、念の為の予備もあるからな。気にするな。たくさん運んでくれてありがとうよ」
ブルーベリーも気を良くしたのか口調が柔らかくて上機嫌だ。
従順な奴が相手ならこうなのかもしれないね。
「さあ、報酬はこっちだ。着いてきな」
「うん!」
という訳で後ろをてくてくと着いていく。
けれど。
ドアをくぐったところで縄でぐるぐる巻きにされた。まあ予想はしてたし縄なら能力でどうにでもなる。
「え、え!? なに!?」
うろたえてジタバタするとブルーベリーはニヤッと笑った。
「お前には聞きたいことがある。もし知らなくても、あいつらに対する人質になるからな」
「っ、ええっ、な、何だよっ、お前悪いやつだったのかっ」
子供の範疇かなってくらいでジタバタしてるとそのまま柱に括り付けられた。
「悪いやつはエースたちの方だ。おれたちから金をたーっぷり盗みやがったんだぜ?」
「えっ!?」
うーん、盗みで海賊貯金ためてるのは知ってたけど、面倒な奴から盗っちゃってた訳ね。
それで『あの頃』か。
「あいつらがどこに隠してるか知らねェか」
「ええー……前世話になってたトコ家出してからは、どこに住んでるかも知らなくて……何か隠してたこととかあったかなあ……」
首をひねってみせる。
ついでに嘘泣きできないもんか頑張ってみてるけどうまく行かないもんだなあ。
「世話になってたとこ?」
飛び火は避けたいけど、ある程度は素直に吐いとくべきなのかなあ。
「えと、山の中にあるんだ。ごっついおばさんの家で、多分、あいつらの……親代わり?」
「ほー」
「でもそこは、隠したとしたらあのおばさんが見つけて取り上げちゃうから、ないと思うよ」
「ごっついおばさんなあ……」
「うん、おばさん強いし、かめつい?もん」
ダダンじゃなく山賊のイメージなだけだけど良心が疼く。
「そうか。じゃあ山の中か中間の森か……まさかこのゴミ山の中はねェよなあ」
「うーん。……分かんない」
眉間にシワを寄せて考え込むように首を傾げる。
「そうか。嘘ついてる訳じゃなさそうだが、帰す訳にはいかねェんだ。悪ぃな譲ちゃん」
うおっ、ブルーベリーには女の子に見えたのか。
「えぇぇっ、おかあさんとおとうさんが心配するから、
必死に訴える。
「お家の人にはここに来るって言ったのか?」
「言ってないよ……心配されるから」
ハハハとブルーベリーは笑う。
「じゃあ探しには来ねェな? 諦めろ」
「ううぅ。何でぇ……意地悪しないでよー……」
顔をしわくちゃにしつつ両親のことやあの五人のこと、心配なサボや引き続き箱を置きに行ったエースとルフィのことを考えて、『縄でぐるぐる巻きにされてでかいおっさんに脅されてる小さい女の子可哀想』とか思ってると、じわあ、と目が潤んできた。ウェーイ。
「オイ泣くな面倒くせェ」
ブルーベリーは舌打ちして面倒そうに表情を歪めると──。
「少し眠ってろ」
鼻と口を布で覆われた。
ぶん殴られるくらいは覚悟してたのにわざわざ睡眠薬にしたのは、従順だったのと女の子補正だろうか。
父さん母さん、今日はごめんね。なんかこいつらと離れちゃいけない気がしたんだ。
そういや確かサボって……天竜人のせいでどうにかなったんじゃなかったっけ。
来るのは明後日だったかなあ。
……ああ、頭が回らなくなってきた。