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── 通りゃんせ 通りゃんせ
此処は何処の細道じゃ ...
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我々が一心道場で剣術を学んだのは六年間。
思えばちょうど小学生の間くらいだ。
これは中でも印象に残っている事件の話。
とある夏の日、子供たちの間にちょっと不穏な空気が流れ始めた。
「んんんー……」
目を凝らしながら思わず唸る。
「どうしたんだ?」
ヒロがきょとりと聞いてきた。
「……良くない縁が、見える気がする」
「Dッ」
身構えるヒロ。
「お前じゃないよ。条件反射する程になって……可哀想に」
憐れみの目を向けると何だか余計凹まれた。
ケンジが神妙な顔で肩に手置いて慰めてる。
「なーんか、すごく嫌な感じするんだよなあ……」
以前聞いたおじいさんの言が頭を巡る。
んんー……様子見てるうちに命に関わる事態になったら胸糞すぎるけど、お節介なのは確かなんだよなあ。
それに誰彼構わず無闇に祓いすぎると、後ろ盾の神さんからメッされる可能性すらある。
ヒロみたいな長年の付き合いだと別っぽいけど。あとヒロは色んな神霊さんにも好かれるし……。
「……勝手に切る前に、話聞いてみるか」
妙な縁に絡まれてる奴らに声を掛けていくと、どうやら昨晩肝試しに行ったらしい。
……ウワァ。
ますます嫌ーな予感。
村の子供の、つぐみ、トウヤ、カズハちゃん。
道場門下生の、ムク、へーじ君。
道場に遊びに来る子以外も数人いたみたい。
てか、カズハちゃん怖いのくっそダメなのに何で行ったん?!
……前世みたいに『ラブの予感』とか言って連行されたかな?
いや言ってた子もお化け駄目だったけど(余談)。
どうやら複数箇所巡ったみたいで(元気だなあ)、何がどうして
かといって足取りを追うと同じ穴の狢になりかねんしなあ。
ひとまず、行った場所を聞いた。
①メジロ川 カラカの吊り橋
村と街の間の森を流れる川に架かってる。
自殺の名所との噂。
②村の墓地
言わずもがな。村に一つだからか結構広い。
髪の長い血
③
村のすぐ外にある神社。
祀るのは氷の神。御神体は万年氷晶との噂。
神使が厳しく些細なことで神隠しに遭うとの噂。
④海岸の洞窟
悪霊が封印されてるとの噂。
へーじ君とムクに入り口の大岩を破壊してもらおうとして、さすがに無理だったらしく諦めて解散したそうな。
……。
尽く心霊スポットなのね。行くな。
夜中から四つも回ったために帰る頃には明け方になってたそうだ。
うーん。各所の背景を調べてみるかあ。
橋については自殺者がたまに出るのは事実みたい。
でも街側での家督とか悲恋とかが主な理由らしく、名所とはいえ頻度はそうないみたいだ。
でも理由が理由だから念は深そうよね。
墓地はまあ、色々あるのはどこもだからなあ……。
でもこういうトコは粗相しない限り害なんてないはず。
神社は近いから探れるけど、別にヤバイ気配はないんだよな。
むしろ綺麗で穏やか。
氷の冷たさからくる鋭いイメージも沸かないし、『霜月』の祖霊に関わる祈りの対象なんじゃないかと思う。
……信仰対象リューマさんだったりする? いやそしたら鋭いか?
ちなみに自分は安易にお参りできない。
後ろ盾の神さんと喧嘩が始まったら堪らないからね。
洞窟は……うーん。
入り口の大岩を壊そうとしたって行為は心配だけど、中には
あと悪霊ってのの背景がさっぱり分からない。誰に聞いても村史読んでも『悪霊が』、としか分からないんだ。
子供が海岸に近づくと危ないからっていう作り話の可能性もあるか?
数日経っても良くない縁は濃くなったりはしてない。
「何か寒気する気ぃするー……」
「ははっ、気のせいやろ」
「もうっ、人の気も知らんと! へーじは鈍感やから分かれへんのよ!」
「何やとぉ?」
カズハちゃんとへーじ君の様子もそこまで深刻じゃなさそうだし、自然に薄れてく類かなあ。
なんて、思ってたんだけど──。
とある日。
「エライこっちゃでへーじー!」
涙目のカズハちゃんがすごい勢いで走ってきた。
「何やねんまだ遊ぶ時間やあれへん、邪魔や」
「緊急事態や、モズが行方不明になってもた!」
「何やて!?」
──!!
「カズハちゃん、それってこないだ肝試しに行った子?」
「せやでぇ……やっぱり関係あるんかなあ……」
うっ、今にも泣いちゃいそう。
「そんな非科学的な繋がりあってたまるか。気にし過ぎやろ」
「もうぅぅ! 鈍感へーじは黙っとき!」
「何やとぉ?」
……しかし。
海岸でそのモズという街の子の遺体があがってから、へーじ君もカズハちゃんを邪険にしなくなった。
遺体の手の甲の少し下、手首のあたりに、動物の顔のような──狼か何かだろうか──印がついていた。
……くそ。道場に来ない子には近付きようがないとはいえ。
ぬかった。
……ちくしょう。ちくしょう……!!
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── の細道じゃ...
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