「何や何や……!」
みんな重心を低くして警戒態勢に入ってる。
刀抜いた子もいた。
声が聞こえたのは大岩の方。
「あのヒビってムクとへーじ君がやったの?」
「ちゃう。……それにヒビなんかなかったで」
「はは、だろうねぇ……ちょーっと非科学的な予想なんだけど、独り言とでも思っといて」
──ヒビが入った原因は、鎮魂塔 壊されて中の人たちが起きたから。
ドォン、と、繰り返し大岩から鈍い音がして、ヒビを中心にしてカラカラと破片が落ちていく。
呟くだったり唸るだったりの恨み声が、大きくなったり小さくなったり、岩を隔てて篭って聞こえる。
──大狼一座は 子供 に目がないから、肝試しメンバー 全員 が目をつけられたこと。
過去の事実も相まってその全員に悪い縁が繋がってしまったこと。
──誰か捕まるか逃れるかしたら
「……あぁ、やっぱり海からも来てる」
途中だけど抜刀して斬る動作をみんなの周りで繰り返して一周する。気休めの、此岸と彼岸の線引き。
そしてみんなに井戸水に晒したキヨサゴルリを配ってく。
「お守り。懐にでも入れといて。そんで続き」
──モズやハイノ、今回亡くなった子たちの魂が中に攫われてること。
もしかしたら既に力として取り込まれているかもしれないこと。
──大岩が壊れたら中の奴らが飛び出してくること。
──仇のワノ国の『 侍 』を狙うはず。
我々の 道着姿が『 ワノ国の侍 』を想起させるであろうこと。
──子供は尚更狙われること。
パラパラと、破片が落ちて。
ビキッとヒビが広がった。
呪うように吐き出される唸り声が大きくなった気がする。
──ここで負けたら我々どころか村ごと襲われること。
──今回被害者が海で亡くなっていったために刺激されたらしく、討伐時に海に沈んだ盗賊はいざ知らず、海難者の霊すら大量に群がって来てること。
「てわけで大岩が吹っ飛んだら開戦だ。視えなくても嫌な気配全部斬って。でももしかしたら骸骨とか乗っ取ってて見えるかも」
信じて息を呑む子たち。半信半疑で戸惑いながらも構えて大岩を見つめる子たち。信じたか信じないかじゃなく大岩の向こうのやべーもんに気づいてしっかり臨戦態勢の子たち。
「──海からの方が早い! 暗くなってきたから同士討ちに注意して! 白ユリのお陰で多少明るく見えると思う」
めいめい頷いて素早く散開してった。
「うっわ! 気色悪!!」
ああ、色々乗っ取って来たか。
見えるなら少し安心だ。しかし。
「見える奴が全部じゃない! 注意な!」
ゾロとくいなはじっと大岩を見つめて構えたままだ。
鈍い音が響くたび、岩はどんどん壊れてく。
経を上げて封じてるものだから、壊れるまでは出てこない。
だから隙間から繋がった悪縁を利用して、魂の方からここへ吸い寄せられるように仕向けた訳だ。
居るのは頭領っていう一番やべーのと恐らく側近。
でもゾロとくいなだから任せられる。
「海から来る奴らが想像以上に多すぎる……! ゾロ、くいな、ここは任せた」
「うん」「おう」
二人は即答してくれた。
砂浜の乱戦へ駆け込んで混ざる。
できるだけみんなが視えない方の奴を叩き斬っていく。
憤怒に赤く燃え、あるいは悲しみや苦しみで青く冷え、生命あるものを喰って想いを晴らそうと子供たちに群がる。
斬って、斬って、斬って──。
皆が砂浜を駆ける音、刀が空を裂く綺麗な音、骨を砕く硬く乾いた音、皆それぞれな裂帛の気合の声。
「スナーッチ!」
ムクがたまに叫んでるのは薩摩の『ちぇすと』みたいなもんだろうか。
「かっけえ、な!」
斬りながらすれ違いざまに言うと、
「スナッチっ? うちのじいちゃんが……タアーッ! 言ってたんだ!」
「そっか!」
駆け回ってると、
ドゴオォン!!!
ひときわでかい音がして地面が揺れた。
誰もヨロヨロしなかったのは、皆が日頃鍛錬頑張ってるからだろう。
大岩が吹き飛んで中から、やべえ真っ赤のくそでかいやつと、でかさは普通なやつらがドバーっと飛び出した。
──ギャオォオォオン……
一斉になにか言ってるけど全部まぜこぜになって、悍ましい咆哮のように聞こえる。
くいなとゾロが即座に肉薄してた。
二人とも気配だけでいってる。素敵。
少し状況は続き。
「ッハ……視えねェのに居るのは分かる、そして斬った手応えもある……奇妙だが、」
ゾロがヒュンッと鋭く二本の刀を振りながら、
「悪くない」
ニィッと不敵に笑った。
かっけえぇ……!(ミーハー)
「世界一の大剣豪はッ!」
くいながゾロの背後から飛びかかってた赤いのを鋭く切り捨てた。
二人は背中合わせに辺りを睨む。
「これくらい斬れないとね!」
「これ以外もだッ!」
世界ではどんな何が襲ってくるか分からない。
少しでもみんなの知識になりますように。
攫われた子たちが、ほんの少しでも浮かばれますように。
「はぁああぁあ!」
最早誰の気合いの声か分からないけど。
みんな頼もしいなあッ!
キンッと一旦鞘に収め、その流れのまま重心を落として一気に抜刀する。
返し一段、二段、三段。
一振りで一体じゃ足りない。
一気にたくさん斬れるよう
──ああ視えた。
身体の底からあがってくるナニカ。刀をするりと鞘に収める。
「──一刀流、居合──」
溜めて。
「
勝手に出た言葉で威力もキレも高まってリズムが整ったのを察知──。
返す刀で一段、二段、三段、四段、五段──
「返し
居合からの、返し六連撃。
最終段での威力と速さと範囲が爆発的に高まった。
自分の周囲が、半径十メートル程まっさらになって、しかし再びわらわらと骸骨と霊が群がる。
「な、何や今の!」
へーじ君の声がした。
「言葉はッ、リズムと勢いをッ、整えてくれるみたいだ! ただのカッコつけじゃ収まらないらしい!」
斬りながら叫ぶ。
「スナッチって、そういうのな気がする!」
「へえ……!」
へーじ君はにやりと不敵に笑った。
そんな時──。
「──お父さん!!!」
くいなの声がして視線をやると、コウシロウ先生と数人の大人たちが戦いに加わってた。
「まったく、子供たちに任せっきりなんて、」
ズァアアア!!!
彼が駆けるとその跡に霊たちの姿はなかった。
「そんなのカッコ悪いよね?」
いつもの糸目で穏やかに笑ってるけど、振った刀見えなかったわ。
すげー……。そしてかっけえぇ……!(ミーハー)
そしてしばらく、乱戦は続いた。
もう何を改善したらいいんだろう!?(低評価増えた☆)
緑色脱出は夢のまた夢のようです。
決めたこと:
・抑圧感で私が楽しくなくなるので、邪魔かもと思っても絵を消さない。
・説明過多で読みづらい気がするので文章は引き続きダイエット。
ゆるゆると頑張ります。