少し経って、いつものようにガープさんの帰郷ついでに、自分たちもフーシャ村へ帰還することとなる。
「……チッ。勝ち逃げしやがって」
「何言ってんのさ、8,524対34じゃん」
「どこが『何言ってんの』だよ……」
わぁ青筋すげえ……。
「昔全勝してたのにあとで負け始めたってことはさ、ゾロはスロースターターなだけだと思うんだよね……将来が怖いわ」
「フン」
ご機嫌斜めが治ってくれん。
「世界一の大剣豪の取り合いしようってんだ。何
「あぁん?」
しまった。つい煽ってケツ叩くいつもの癖が。
内心冷や汗かきながらにぱーっと笑う。
「次どこで会うか分からんが、8,525勝目いただかれたくなかったら、ヘソ曲げてる場合じゃねーかんな」
引っ込みつかなくなった煽りを、そう言って締める。
上から目線すぎィ。すんません。
「……首洗って待ってろ」
ゾロはニッと不敵に笑った。まだ顔怖いけど。
「ふふ。……ルリ、元気でね」
くいながにこりと笑ってくれる。
「うん、くいなもね。……あ、階段には気をつけるんだよ」
「もう! 何年前のこと言ってるの。あれから寝不足だって鉄分不足だって、ちゃんと気をつけてるからね!」
「だってすげえ怖かったんだぞ、あれ」
色んな意味で。
「あはは。うん、気を付けるよ」
くいなは素直で癒しです……。
しかし、くいなが階段から落ちかけたのはあれ一回きり。
前世のケンジは、同じ事態に何回も見舞われたって言ったけど、くいなはそうでもなさそう……?
いやスパンが長いだけかもしれないから、油断はできないけど……。
その前世も、ケンジ以外はそんなことなさそうだった。人によるのか?
うーん。
こればっかりは死じゃうまで分からない。何でもいいから死なないで。
もやもやと考えてると、ヒロとケンジも同門の皆とわいわい別れを交わしてた。
過去ケンジは愚かなことに、くいなとゾロ、そしてへーじ君とかずはちゃんに「付き合ってるの?」とか聞いて、四人にしばかれたことがある。
以来何故か打ち解けてんだけど、今も気さくに小突き合ってる。
ヒロは誰も彼もと仲がいいから、すげえ囲まれてた。
……自分はといえば何故か、緊張の面持ちした連中が一列に並んで握手を求めに来た。
なんだこれ???
十二歳のガキに何を慄いてるの???
困惑しつつ応じてたら、あとでヒロとケンジに笑ったり引かれたりした。
自分が
「……お前、全然学んどらんのじゃなかろうな」
ガープさんがジトりと見てくる。
ひっ。
「な、何かあったらちゃんと、こいつらに話すようにしてるよ!」
「そもそも何かあるんじゃない!」
「ひィ」
り、理不尽では!?
「自分にできるだけのことは、したいじゃん……?」
「それは無事に解決できる力があればじゃ!」
「ガ、ガープさん! ルリはこの六年怪我とかしませんでしたよ!」
「そ、それに、師範に勝っちゃいましたし……!」
ヒロとケンジがアワアワと庇ってくれている。あははすっかり保護者にさせてしまっとる……。
ガープさんは目を丸くして黙ってた。
「い、一回だけだよ……」
「勝ちは勝ちだよ?」
「うっ」
コウシロウ先生から圧を感じる……。
じ、自覚、自覚……。
そんな感じに賑やかに送り出してもらった。
神社でシロとお別れした時はものすごい絡みつかれたんだけど、また朔に翼ではたかれてすっとんでた。
いつか
もしくは、この村にまた来たら会えるのかな。フーシャ村からここに来ようとするのも、大変ではあるけど……。
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帰ったら港にたくさん人がいた。
なんかエースもいる。昔村に来るの嫌がってたのが嘘みたいだ。
多分ルフィに連れて来られまくって慣れんだろうな。へへへ、微笑ましいな。
まーたじんぺーとゼロがぶすーっとしてる。
お前たち自分で
お帰りって皆で言ってくれて温かい。
この村ほんと気さくな人ばかりだよね。
「今回は単なる里帰りじゃないんだよな?」
「もう大人でもお前らには勝てなそうだなあ」
ほのぼので安心する。
あー本当帰ってきたんだなあ。ぐうーっと伸びをする。
「……力を付けたからと言って、暴れるなよ」
そこにジロリとガープさんに睨まれて、びくぅと身をすくませる。
「わ、分かってる……コウシロウ先生にも散々言われたから……」
自分の強さを自覚しろ、というのはきっとそういうことでもあるんだ。
「どうだかのう……」
うぅ、顔が怖い。
「よし。お前ら、今日の特訓はじゃな」
「えっ!?」
「ひいぃい!?」
「今!?」
……ということでスパルタ訓練が始まった。容赦がないよおぉ。
聞けばこれまでに、ルフィは風船いくつも括り付けられて、空に飛ばされたこともあるらしい。
……どうやって生還したの……。