海上のカンパニュラ   作:千里亭希遊

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47.過ぎ行けば

 主に訓練の日、主に雑用の日、とあって、雑用の時間はジェナたちと組んであれこれ駆け回ってる。

 わたしにとっては結構楽しい作業。

 

 てか、訓練では何故かアイリッシュ准将と組むことが多々あって、雑用の時間はむしろ癒し。特にジェナ。

 

 ……我々四人の班長がニールなことだけは不満(ガルガル)。だって何かと突っかかってくるんだもんよ……。

 

 例えば。

 今ニールと身長同じくらいなんだよな。したら、デカ女とか、だから男云々とか言ってくる。

 測ったら174。ワァ……。はっきり数値分かる環境以下略。

 ゼロたちと居たせいで麻痺ってたのかもしれない。

 こりゃやっぱあいつら将来的に6メートルとか行くな。

 

「てかニールだって成長期だろ。この時期って女のが成長早いだけじゃん。女は先に成長止まんだから、今ギャーギャー言う必要ないだろ」

 

 この世界のことだから、いつ止まるのか知らんけどな。

 むしろ、バカでかい人たちでも成人するまでは普通で、三十以降とかに平気でぐんぐん伸びるイメージ。

 まあ皆の歳知らんけど。聞かなくても支障ないし。

 

「うるせェ! だいたい、もっと言葉遣い柔らかくしろよ!」

「そんなん人の勝手じゃん」

「そこォ!!! 私語は慎めェ!!!」

「「はいっ」」

 

 くそか?

 ジェナとブラッドが楽しそうにくすくす笑ってるのは、可愛くてこれも癒し。

 まあだから調子こいて余計ニールを煽り返すんだけど(自業自得)。

 

 ともかく。

 五年前ので精鋭がごっそり減った影響で、アイリッシュ准将と組む海兵はまだ少ないらしい。

 そりゃそうか……。

 でも我新兵ぞ。この状況ヤダァ……。

 

 我々新兵は、しばらくすると海上パトロールの軍艦に乗せてもらえるようになった。

 海に出るのやっぱ良いなあ。

 ふと、赤髪海賊団のみんなとエレジアに行った時を思い出す。

 

 ……皆元気かなあ。

 四皇になったくらいだから、元気だろうけど。

 ウタの歌声聞きたいなあ。

 

 海軍にも、海賊でいう『ビンクスの酒』みたいな象徴的な曲があるみたい。軍歌も色々。

 だけどやっぱウタの歌と歌声が恋しい。でもここで歌える訳はない。ぐぬぬ。

 

 作業中に軍歌とか歌うのも呼吸やら発声やらが鍛えられるとかで、乗船メンバー全員で歌うこと多々。結構楽しい。

 

 けど夕飯のあとのわいわいした自由時間に、新兵たちが皆さんの前で歌わされる風習はなんなん。いびり?

 けどのちのち、この隊の趣味と判断した。たまたま音楽好きが集まった隊らしい。

 

 あと海軍カレーがすげえ美味い。やば。

 基地で食っても美味いけど、遠征中って何故か、より美味いよね。

 訓練も雑用も気合いが入るってものだ。

 

 そんな日々を過ごす内、外出許可も月一くらいで下りるようになった。そういう時は当然家に帰る。

 両親の食堂はやっぱ大繁盛で、その手伝いも楽しい。

 

 こういう時にフーシャ村や一心道場の皆からの返信も読む。

 

 道場の皆はやっぱびっくりしてた。けど納得してた子もいた。ほ、ほぉん……?

 ゾロはまだ村にいて、相変わらずくいなと勝負してるみたいだ。

 

 フーシャ村の皆の他愛ない雑談に和みつつ、ゼロの手紙の最後に気になる一文が。

 

『マキノさんのお子さん、二人ともコナン君に似てる気がする』

 

 ……マジ?

 去年は生まれたばっかでまだ髪もあんまない状態だったから、個人の特徴なんて分からなかった。

 もしかしたら、転生した工藤君と黒羽君なのかもしれない。

 

 けど原作のマキノさんに子供っていたっけ?

 てか結婚してたんだ。お父さん誰だろ。

 コナン世界が混じってきてる影響で変わったとかかな?

 

 色々と返信をしたためる。

 アイリッシュとピスコ居たって知ったら、ゼロとヒロはびっくりするかな?

 前世ではヴィランだったけど、(信条)は同じでも、人間誰しも、人生によってはどちらにも転びうるってことなのかもね。

 なんて話も書いてみる。

 新聞に載ってたあの三人だって、今どっちかは分からないよね。

 

 アイリッシュ准将に内緒で、ピスコ少将のお見舞いに行くこともたまに。

 だって話してみたかったからさ。

 色々と効きそうな花と花瓶を買って、両者に色々と施して、花瓶に花を差す。枯れたらすぐ片付けて、って看護師さんに頼む。

 

〖やはり視えているのか。そういう人間もいるんだな〗

 

 穏やかな目で、苦笑しながら彼は言う。

 

 ……ふと、漫画のワンシーンがフラッシュバックする。

 灰原哀(宮野志保)ちゃんに、彼は語りかける。

 

『君はまだ赤ん坊だったから覚えちゃいないだろうが』

『科学者だった君の御両親と、私はとても親しくてね』

『だがこれは命令なんだ……悪く思わんでくれよ、志保ちゃん……』

 

 あのご両親と親しかったなら……。

 いや、ヴィランだった彼はあくまでもヴィランだ。甘っちょろいこと考えても仕方ない。

 

「『あなた』は元気だし、身体ともきっちり太く繋がってます。身体が元気になったら絶対起きれますよ。気合いです」

 

 にーっと笑うと、彼はまた苦笑した。

 

〖そうだな。気合いを入れんとな〗

 

 ……しかし彼ら、コードネームで呼ばれてるってことは、今は本名がそれってことなのかな。

 いつかジンとウォッカの本名分かるかも、ってワクワクしたけど、そうとは限らないかもしれない。(´・ω・`)(ショボン)

 

 ……。

 

 アイリッシュ准将にたびたび昇級を促されるようになった。

 ガープさんに本部に連行されないためには、がつがつ出世しなきゃではあるけど……。

 

「て、手柄を立てていない内は、勘弁願います!」

 

 身を縮めながら敬礼する。

 アイリッシュ准将不満そうな顔しないで下さい!?

 

 見回りとかもっと出て、経験積みませんとね???

 それに、海兵が動かなきゃならないようなことなんか、そうそう起きてほしくないよ!








✦マキノさんのお子さん
 初めはコナン君とキッドの双子が五年後のお子さんに成り代わるのを考えていましたが、あのお子さんの背景がまったく分からないので、一応やめました(チキン)。
 コナン原作にならって、降谷さんたちの十二歳下になってます。
 ことによってはマキノさんは、未亡人になるとか離婚したとかののち、あの子を生むことになりますね…。
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