アイリッシュ准将は、ルフィが手錠破壊したワノ国の覇気(なんか名前あったような……)までは知らなかったみたい。
感覚を言葉で説明するの大変だったけど、一生懸命伝えた。
しばらく経って、彼はわたしの武装色まとった縄を、ガープさんみたいにブっ千切るようになりました(白目)。
そして、いかにして手柄をあげるか、についてなんだけど。
賞金首を捕まえるとか、街で犯罪者取り締まりに協力するとか、そういうのにはあんまり遭遇自体しなかった。このご時世にしてはとても平和的で良い。
この国、リク王統治時のドレスローザみたいな治安なのかもしれないね。
ただ島が広いからか、迷子とか行方不明とか、郊外の山や森で遭難、とかがしばしば起きる。
あと落とし物も多いなあ。
わたしはその辺うろついてる霊さんに話聞けるのもあって、見つけるのは結構得意だ。
霊さんだけじゃなくて、空から探せる
そういう捜索系で劇的に活躍するのは付喪神の皆さんもだ。
姿は見えないんだけど、お話は聞こえる。めっちゃありがたい。
おかげで探し物で躓いたらまずわたしに回ってくるようになった。
「おかあさんとはぐれちゃったの? どっちから歩いて来たか分かる?」
なんて表面的には本人に聞きながら、身振り手振りで霊さんに聞いてみたり。
「……喋り方キモ」
「ハァン? 口調柔らかくしろっつってたのお前じゃん」
「わぁああん」
「もー! ニール、ルリ! あんたら怖いよ! この子泣いちゃったじゃん!」
「うっ、ごめんジェナ」
「謝るならこの子に謝れよ~」
って言いながらジェナとブラッドは笑ってる。この二人和やかで良き。好き。
……ニールは突っかかってくんな。好かん。
たまに朔がつっついてくれるんだけど、
まあたまに何か感じるのかびくっとしてて、ざまぁってなるけどな! さすが朔!
霊さんが指差してくれた方向で、迷子ちゃんのご両親を見つけられた。皆さんいつもありがとうございます。
ニールが悔しげに睨んでくるのを、霊さんもニヤニヤ眺めてるものだから余計笑っちゃう。
そのせいでますますガルガルされる。
そしてジェナとブラッドに以下略。
……ふふふ。たのしいなあ。
ガープさんに拉致られないための出世欲だけど、班のみんなと活動するのが楽しくて捗る面が多々。
ありがたやありがたや。
海上パトロールも、雑用と訓練だけじゃなく、実戦で前に出してもらえるようになった。
本物の対人戦はいざ直面すると、やっぱり緊張と……恐怖、が湧いてきた。
じいちゃんの刀に海楼石付いてるおかげで、能力者だと命奪うことなく捕まえられたりする、けど。
やっぱり能力者なんて稀で、命のやり取りがほとんど。
ただ、賞金首は Dead or Arrive ではあるけど、海軍的には殺めるより捕らえて投獄するか処刑するかが良いみたい。
……多分その方が見せしめになる、からかなあ……。
何にしろ、ほんの少しだけ気持ちを軽く持てた。
しかし、相手は海賊等の
東の海が最弱なんて呼ばれてるせいなのか……あるいは。
それにたまにガープさんがうろついてるし、ゾロみたいな賞金稼ぎ出したような道場もある訳で。
……まさかね。
てか、一時期幽霊船の噂が飛び交い出した。
被害が色々と出てるとか出てないとか。
なんかの見間違いじゃなく?
だって確かさ、原作で……モリアのゾンビって悪魔の実だし、魚人島あたりで出てきた幽霊船って普通に生きてた、よね?
とか信じてなかったら出くわした。本物だった。
何も調べずに祓うのはヤだから、様子見で甲板にだけ乗り込んでみた。
……海兵の皆さんなんでそんなビビってんの。海賊蹴散らすような猛者が何してんすか。着いてこなくても良いんだよ。
「な、何でルリたまに何もないとこ斬るのおォ?! 怖いよ!?」
ジェナが涙目で訴える。かわゆ。
「気休めだよ。何か斬ってる気になって自己満してる」
我ながらよく回る口だ。
「そ、そう……だから怖くない、の?」
「多分。気持ちの問題なのかもね」
「な、成程……?」
ってジェナが「たーっ!」ってあちこち剣を振り回し始めた。危ないデス。
話聞いてたのか先輩とブラッドもやり出した。危ないデス。
ニールは強がってやんなかった。ビビってんの分かってっかんね。
帰って街でも調べて、十年くらい前の海賊船だって当たりをつけた。
いがみ合ってた海賊同士が争った挙句、負けた方はどこまでも追い詰められて虐殺されたみたいだった。
そりゃ恨みが溜まっててもおかしくない。
ちなみに、追ってた方はリヴァース・マウンテンで全滅してるようだった。因果応報?
色々準備してたらそのうち再び出くわした。
今度は船室に入ってみようかなんて言ってて、コッソリその色々を配置して、色々と施す。
結局分からん、ってなって、帰るとなった時。
振り返る。
「お前たちを苦しめた奴らはとっくに死んでる。とっとと忘れて
叫ぶと、周りのみんなが硬直したのを感じる。
「──
ズバァン!!!
船体が真っ二つになる。
でも沈没するとかはなくて、煙のように徐々に崩れて消えて行った。
霊体たちも赤い色が抜けて、フワフワと上って行く。
次はもっと楽しく生きれたらいいね。
小さく苦笑いしながら見送ってると、後ろの皆さんがザワザワしてた。
振り返る。
「ル、ルリ……!?」
ジェナが目を白黒させてる。
ふふっと笑う。
「だから、気休めだよ」
「「気休めで船真っ二つにできてたまるかァ!!!」」
な、何ですかその大合唱……!?
「いやほら、本物の船じゃなかったじゃないですか、溶けたし。ハリボテですよ」
「は、ハリボテ……?」
「乗り込めたぞ……?」
イマイチ信じてくれない皆さん。
もっと回れわたしの口。
「乗れるくらい頑丈なハリボテだったってことでしょう? どっかの誰かが何かのイベントでお化け
「だって色々と被害が……」
「そんなの噂ですよ、噂」
噂=嘘とは限らないもんね。
けどなんかそれ以来、怖いもの知らずとか図太いとか言われだした。
遺憾です。
そうこうしてるうちに、探し物でじわじわ昇進してった。
ガープさんが様子を見に来た。
「わしの階級に追い付かんようなら、本部に連れて行くぞ」
ニィっと笑って言われる。
……。
「ハァ!? 基準がおかしいんだけど!?」
「言ったじゃろう。この海で替えの効かない戦力になれ、とな」
「にしてもガープさんって本部中将だから……ここで追い付くとしたら……支部元帥……より上!? とか、名前的におかしいよ!? 存在していい奴じゃない!」
何をメチャクチャ言ってんのぉおオ!?
「そうかのお? ……ふむ。今度それ専用の階級でも作らせるか。それになれたら、名実ともにわしに並ぶ戦力、と言える訳じゃ」
「む・ちゃ・ぶ・りぃいィいイイ!!!」
「何を言うとる。それくらいの気概は見せてもらわんとなあ?」
殴りたい、この笑顔。