----------------------------------- side : Ace
「マルコ、お前の火って青いよな」
「? 何だよい」
航行中の甲板で、掃除などしつつのんびりしていた時のこと。
「……お前、強いよな」
「……。本当に何だよい?」
真剣な顔をして言うエースに、マルコは首を傾げた。
「昔、幼馴染たちから、火は温度が高ければ色が変わると聞いた。強い火は青い、ってさ」
「……へえ。随分勉強熱心な奴らがいたもんだよい」
そんな知識を求めるのは学者か職人くらいだろう。
「超高温で火が青くなるのは確かだがよい、おれの炎の青さは多分、そういうのとは関係ないよい」
「関係、ないのか?」
エースはきょとりとした。
「ああ。……お前は、青い炎を見たことがあるか?」
「マルコの火」
「はは。そうじゃねェよい」
キッパリ言い切ったエースは、もうすっかり可愛い『弟分』だった。
「自然界で青く燃えてる火なんて、この
「……ふうん」
エースはどこか納得いかなそうだ。
「実際おれはお前が弱いなんて思ってねェが、それでも青くねェだろうがよい。お前が青い火を知らねェってだけだよい」
エースは少し眉根を寄せた。
「……まあ、強い火は青い、って言った奴らの存在がお前にとってでかいんなら……オヤジに頼んで探してみるかよい、実際の青い火を」
「!! 見てみたい! おれ、強くなりてェんだ!」
「他の連中にとっても、楽しい物見遊山になるだろうよい」
「あはは、エースは真っ直ぐだなあ」
サッチがニコニコとそう言いながら、二人に歩み寄ってきた。
彼はぽふんとエースの頭に手を載せて、わしゃわしゃとかきまわす。
「あれだろ、幼馴染君がちょくちょく新聞に載るから、焦ってるんだろ」
「ち、違ェ、ってか、『君』じゃねェよ、あいつは女だ」
「え、マジ? 新聞って顔のドアップばっか載せるからなあ」
サッチがきょとんとする。
「あ、さてはエース惚れてんなァ? 幼馴染
「だからそれも違ェ! あいつは妹みたいなもんだ!!」
「イスカぁ、エースが二股してるよい」
「何言ってんだマルコてめェ!?」
ぎゃーぎゃー揉み合っている三人に、イスカはくすくす笑った。
「私、ルリ幕僚長に頼まれたぞ? 危なっかしい兄ちゃんだから見ててやってくれ、って」
「ハァ!? あいつも何言ってんだ!?」
腹を立てるエースに周りは皆笑った。
エースには白ひげ海賊団や、かつてのスペード海賊団の他にも、賑やかな友人たちがいたようだ。
兄貴分たちは、少し安心した。
----------------------------------- side : Red Force
「だっはっは、まさかルリが一躍有名になるとはなあ……」
シャンクスが大笑いしている。
「いや、あの子流されやすいじゃん。気付いたらスゴイことしてました〜、とか、これからも山程重なるよ、きっと」
「あはは、ウタの言うとおりだろうな」
ホンゴウは楽しそうに笑った。
「ルフィもそろそろ海に出るんじゃねェか? 楽しみだなあ」
肉をかじりながら言うルゥに、赤髪海賊団はみんなして笑う。
「早く会いてェなあ〜」
「ウタ、フーシャ村で作ったやつ歌ってくれよ!」
「お、いいねェ!」
「あー、懐かしいなあ」
「いい村だよなあ〜」
わいわいしながら、ウタのためのステージが整えられる。
とはいえ、マキノのバーでテーブルの上に立ったような小ささは、今のウタにはない。
だから今は、専用の敷物をちょうどいい場所に敷くくらいのものだ。
それは時に、大岩の上だったり大木の枝だったりもするが、大抵は数個並べた荷箱の上となる。
「ふふっ、じゃあ、みんな聞いて──」
朗々と響く天使の歌声。
終われば──。
拍手や口笛が飛び交う。
「ヒュー、やっぱ最高!」
「いつかワールドツアーやろうな〜!」
喝采に応えてから、ふふっとウタは笑う。
「ルリともまた歌いたいなあ」
シャンクスは目を細めて微笑んだ。
----------------------------------- side : Ruri
第14支部では鍛錬だけじゃなく、もちろん新規海兵募集にも力入れてる訳なんだけど、ポスター作りやらコンサート公演やらもちらほらやった。
音楽好きの隊は海兵楽団兼ねてた。言ってくれよ。
ニールたちはそもそも音楽も見られての採用だったらしく、知ってたか察してたからしい。
……わたしはガープさんが何か言ったんだろう、うん。
まあそういう兵力の底上げ、練度上げだけでなく、武器弾薬等々の装備充実も図り、そうしていたら海兵になってから二年が過ぎようとしていた。
楽団からわたしの強襲部隊に引っこ抜かれたニール班も全員、コートを羽織るようになってた。
「お前にはぜっっったい勝つからな……」
ニールはわたしがこんな階級になっても変わらず接してくれるから、いつの間にかむしろ癒しになってる。
「まだ言ってるの?」
「ニールお前、現実見ろよ」
くすくす笑うジェナとブラッド。
「二人こそわたしを何だと思ってるんだ……」
「えっ?」
ジェナとブラッドがきょとんとする。
「……ルリちゃん、自分がスーパースターなこと自覚してね?」
「……ぇえ……」
ジェナ、何そのキラキラした名称……。
「妙な私語してないで、もう一本な」
「わあ……」
きりっと竹刀を構えると、ジェナとブラッドはげっそりした。
「望むところだ!」
ギッと竹刀を構え直したニールの赤毛が、なんだか眩しかった。
「ジェナ、合図──」
「ルリ幕僚長、不審船だ。お前らも一応来い」
アイリッシュ准将の声がして、全員反射的にそちらを向いて敬礼した。
「「はっ!」」
……アイリッシュ准将とピスコ少将は、わたしがまだ『上官を必要としてる』んだって解ってくれてて、新兵の頃のまま接してくれてる。
『幕僚長』が特殊なおかげか、誰も違和感は持ってない……か、流してくれてる。
しかし不審船か。珍しいな。
航路申告なしは、ほぼ海賊旗掲げた海賊だし。
申告忘れの商船とかなら、見つけたパトロール艦と話して終わりだ。
一体何だろう。
もしかして、また幽霊船か……?