子分のたまねぎから「怪しい奴らがいたんです」との報告を受けたキャプテン・ウソップは、たまねぎ含む子分たち三人を引き連れて偵察に向かった。
港でもない場所に停泊する正体不明の小さな船。
それに乗って来たらしいのは、ウソップと同年代と思しき五人の少年少女だった。
彼らの一般人然とした様相に、ウソップは毒気を抜かれる。
「怪しいかあ? ただの旅行者じゃねェか?」
「でも、こんな所からこっそり上陸してるんですよ?」
「うーん。知らねェ島で港の場所分からなかった、とかかもしれねェだろ?」
しかし。
「ところで、さっきから気になってたんだが……あいつら何だ」
緑髪の男に気付かれてしまった。彼らは木の陰に隠れて様子を伺っていたというのに。
一般通過旅行者が、気配察知などできるものだろうか。
よく見れば、腰に刀を三本も差している。
「うわああああ見つかったあああ!!!」
「お、おいお前ら! 逃げるな!!」
キャプテンだけを置き去りに、子分三人は一目散に逃げて行った。
ウソップは小さく溜め息をつく。
「で、お前は何だ」
再びそう問うてきた男の吊り目は、妙に恐ろしく見えた。ウソップはせめて、牽制だけはしておくことにした。
「おれはこの村に君臨する
腕を組み、大音声でハッタリをキめる。
「人々はおれを称え、さらに称え、〝我が船長〟キャプテン・ウソップと呼ぶ!!」
それは嘘だと早々にバレたが、話す内に意気投合と相成った。
「けど何で逃げなかったの? あんな嘘までついて」
「嘘、嘘、ってさっきからお前よォ」
ナミに言われてウソップは口をひん曲げた。
「何よ、嘘は嘘でしょ。ともかく、わたしたちが本当に悪い海賊だったら、あんた弱そうだし、殺されてたわよ」
「おめェ
「わたしはあんたみたいな長い鼻してないわ(確信犯)」
「おれの鼻は関係ねェ。……はは、もし悪い海賊だったら、か。……それが逃げる理由になるのか?」
「!」
ナミは目を丸くした。
「お前らだって、この海にいるんなら知ってんだろ? 去年、躍起になって戦力増強してたらしき海軍支部が、たった一隻のガレオン船に潰された。あの特殊階級持ちの若ェ将校ですら殉職しちまった。……これからだったろうによ」
ルフィたち四人が内心でぴくりと反応する。
ナミは別の意味で少しだけ眉間にシワを寄せた。
「立て直しには時間がかかるって話で、海賊その他無法者どもが、デカイ脅威がひとつ減ったってテンション爆上げしてやがる。そいつらが明日にも襲ってくるかもしれねェ。平和ボケしてたらあっと言う間に挽き潰される」
ウソップは小さく息をついた。
「だからおれは逃げねェ。つか、誰だってそうだろ」
真剣な顔で毅然と言うウソップを、ナミはじっと見つめる。
そしてふっと笑った。
「弱いくせに」
「うるせェ。お前こそ強そうにはとても見えねェが?」
「失礼ね? わたしはこの海で何年も一人でやってきたのよ。ナメないで」
「はあ? それこそ嘘だろ」
「何ですって?」
ナミはジト目を送りながらぷうと膨れた。
「お前ら仲いいな〜」
ルフィが機嫌良さげににししと笑う。
「どこがよ!」「どこがだ!」
ほぼ異口同音の二人にルフィは「ほら」とますます笑う。
ナミとウソップはお互いジトリと睨み合った。
つい最近同じ目にあったゾロとじんぺーは、顔を見合わせて肩をすくめ、苦笑した。
そして何やかんやで、島を本当に襲う気満々の海賊団が現れる。
「あのさ、気のせいかしら」
村へと続く一本道で待ち構えていると、ナミが聞き耳を立てた様子で言う。
どうやら彼らは場所を見誤ったらしかった。本当の現場へと、一斉に走り始める。
しかし。
油で滑ったナミが、ゾロを身代わりに踏んづけて行った。
「うっわマジかナミちゃん、シビれる〜……」
そう言って笑いながら、ケンジは油の上に星の砂を敷き詰めて固め、足場を作る。
「…………ありがとよ。ったくあの女……」
「あれっ皆もういないんだけど!? 薄情!?」
「チッ……ここから北だろ、とっとと行くぞ」
「ちょっ、ゾロそっち南西!!」
「……」
言葉を失い何とも言えない表情になったゾロは、大人しくケンジの後に続いた。
一番に走り出したはずのルフィは、何故か
既にひと悶着起きていたらしく、じんぺーがナミとウソップに「退がってな」と笑っていた。
彼が突っ込んで行った先、わらわらと駆け上る人だかりに、ケンジはシモツキ村でのとある一件を思い出し、ふふっと苦笑する。
「なあゾロ、なんかあの時のアンデッドの群れみたいじゃねえ?」
カチリとゾロはくいなの刀を歯で握る。
「……そんなこともあったな」
三刀流で話す様子を見るたび、どうやって話してるんだろうと、ケンジの内心にハテナがひょこひょこ浮かんでは消える。
「そういやケンジ、もう刀は握らねェのか?」
敵陣に向かって走りながらゾロが問う。ケンジも後を追うようにして走る。
「んー、アテもないしな」
かつてガープに貰ったモノは、綺麗に手入れして村に置いてきた。
彼の意思と真逆の海賊になるなら、持って行けない気もしたからだ。
そして、平和なフーシャ村には武具屋などない。
ひゅんっとケンジが手を振り抜くと、現れたのは白い刀──だろうか? 言わずもがな星の砂製だ。
「外見だけは似せられるかもしれないけど、ただの棒にしかならねえ。さすがに『刃』を作るのは無理な気がする」
ケンジが白い刀を解いたため、さらりと星の砂が散っていく。
話している内に、接敵。
ゾロがばっさばっさと斬り捨て、ケンジが体術と星の砂の雨で次々に昏倒させていく。
「ソレで刀造れたら武器屋が食いっぱぐれるな」
「はは、そうかなぁ?」
ケンジは苦笑しながら、頭上で星の砂の塊を作った。
「ルリちゃんなら、棒でも斬っちまうだろうけど」
少しだけゾロがぴくりと止まったような気がした。
そしてフッと笑う。
「やっぱあいつイカレてんな」
「あはは」
雑談しながら往なされて相手が怒り始めていたが、彼らはどこ吹く風だった。
少し向こうで既にじんぺーが暴れているのだ。ケンジがヒュウと口笛を吹く。
「さっすがじんぺーちゃん。負けてらんねえよなあ」
「あいつはちょっと早く飛び出しただけだろ」
ふふっとケンジは笑った。
「ゾロがコケてたせいでな?」
「あぁ?」
青筋を立てたゾロの悪ノリと苛立ちは、クロネコ海賊団に向けられた。
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【挿絵表示】
彼らにアクセなんて解釈違いってかたは画像見ないで下さい。元は巾着に宝石だけ入れて持ち歩いてる設定でした。突発的に原作と違う要素を入れてみたくなっただけです。
成長した顔まだ出せてないから載せときたかったのもあります。自己満足です。