海上のカンパニュラ   作:千里亭希遊

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6.歌✕歌

 しばらくベッド上生活を余儀なくされて、お世話になりっぱなしで悶々とする。

 それでも少しずつ回復してるのは確かで、その内自分の右手でご飯食べれるようになった。……まだ一人で座らせてはもらえないんだけどね。ホンゴウさんごめんなさい。

 

 治ったら一宿一飯の礼で働かせてくれって頼んだんだけど、そん時はまず降ろすここは海賊の船だぞ? とシャンクスににまっと笑われて閉口する。

 

 ウタが毎日たくさん歌を聞かせてくれるのが幸せ。

 無意識に一緒に歌っちゃうらしきことには無理するなとしばしば顔をしかめられた。自分でも愚かな……と思うんだけど無意識の奴が自重してくれない。意志弱すぎでは?

 

 でも順調に回復してくると、つい歌ってしまったのは意志薄弱というより、身体と頭がうまく働いてなかったせいらしきことを自覚した。無意識というより本能がウタの素晴らしさに手を引いてもらっちゃってた感じだ。

 それが分かった頃にはだいぶ回復してた訳で、歌うのは抑えられるようになったんだけど、そしたらウタがぷうと膨れた。

 

「元気になってきたのに何で一緒に歌ってくれないのー!」

「ええと……」

 

 情けない理由ばっか頭に浮かんでもごもごする。

 

「……ね、ルリ! お礼したいって言ってたでしょ! 一緒に歌うのがお礼!」

 

 思わずたじたじとする。

 

「そ、そんなのお礼にならないよ、楽しくさせてもらうのこっちだし」

 

 世界一の歌姫とご一緒するなんて夢のまた夢な経験させてもらえてるのもあるし。

 

「私も楽しいからちゃんとお礼だって!」

 

 ふんすと少し怒ってる感じなウタ。

 

「……楽しい、のか?」

 

 恐る恐る、聞く。

 

「そうだよ!」

 

 お、恐れ多い……ほんとだったら光栄がすぎる。

 

「そろそろ面会謝絶解いてよさそうだし、まあまだケア残ってて降ろせないけど、船の上に出て村の皆に元気な姿見せてやろうぜ。一曲くらいなら無理がない範囲で披露していいぞ」

 

 ホンゴウさんがニコッと笑って言う。

 

「ェえ……緊張で倒れそう」

「お前そんなタマじゃねえだろ」

 

 逃す気ないらしい。

 

 という訳でホンゴウさんに抱っこされて(まだ歩いちゃだめってコト……?)甲板に上がってくと、まず海賊団の皆に「お、面会謝絶解除か?」とかニコッとされて心がぽわぽわする。

 そして村の方に寄ると、ホンゴウさんが叫んだ。

 ……ああ、町並みに懐かしさを憶える。

 

「おーい、ルリが起きられるようになったぞ〜!」

 

 外歩いてた人たちがばっとこちらを見ていた。

 めっちゃ通る声。海賊すごい。

 村の皆があちこち走ってくのが見えた。知らせまくってるんだろうなあ。

 この村の皆だいたいフレンドリーだから、村の子供たちと仲良くしてくれてる人は多い。

 

 しばらくしたらある程度の人垣ができてた。

 最前列に両親と五人組とルフィが出てくる。か、顔が……皆顔がこわい……。

 両親が涙ぐんでて胸が痛いしどでかいホームシックに襲われた。……しょうがないじゃん身体五歳だぞ!

 

「まだ降ろせないけど、何日かしたら村の病院に移れると思うぜ!」

 

 ホンゴウさんが叫ぶと、ウォォ! と村の皆から歓声みたいのがあがった。うっ、ほんといい村。

 

「やっほーみんな! ルリが頑張って回復してる証拠を聞かせてあげる!」

 

 いつの間にかそばにあった広い箱の上にウタが乗って、村の皆に手を振っていた。箱は、姿が見えるようにだな。

 

 そしてすぅっと息を吸い込んで、それと体全体で拍を作って歌い始める。

 

 ──あ! 『新時代』だ!

 この頃からもう作ってたのか!?

 

 でも、確かルフィに「新時代を作る!」って言ってたの幼少の時からだったよな? ルフィが彼女に伝えられてないっぽい方は『夢の果て』だっけ。

 ついミーハーが疼いてワクワクしてしまう。

 

 そして──。

 

『Music〜』のあたりとか、Bメロの一部とか、サビの随所とかにハモリを入れてく。一曲の頭から尻尾まで全部にハモリ入れるのは、個人的にはあんまり好みじゃなくて。

 体調を思えばあんまり声は張れないけど、主旋律をやらない今は丁度いい。……下にいる皆にしっかり聞かせるのやっぱむずむずするし。

 

 全身で歌うウタが途中途中くるりとこちらを向いて笑ってくれるのが可愛すぎて思わずふわりと笑いながら。

 ……ああ、楽しいなあ。

 

 ──終わって、ウタがカーテンコールで見る感じのお辞儀をすると、村の人たちから拍手と歓声があがる。

 

「ルリ大丈夫そうだな! ウタちゃん最高ー!」

「ルリお前みんな心配したんだぞー! ウタちゃんアンコール!」

「まだ包帯まみれかよー! 無理すんなー! ウタちゃん天使ー!」

 

 大人たちの声。ああ、ほんといい人たち。

 両親が泣いてる。ごめんなさい。……父は、泣きながら笑ってた。

 警察学校組はしょうがねえ奴だなんて言いたそうに笑ってるなあと思えば、ぶっすー、としてるじんぺーとゼロ。えー……?

 何でだよ、き、傷は抜糸とかも終わったし塞がってるらしいし……! 今はほんと船降りるためのケア段階っぽいのに……!

 ……いや、実はめっちゃ仲間思い(じんぺーとゼロはツンデレの気配があると思ってる)な奴らだもんな知ってるよ、心配させてすまんて……。

 

 そうして、休ませる、って引っ込むことになった。ウタがアンコールに答えてあげてて、『風のゆくえ』じゃん聞きたい! ってなってるのに気づいたホンゴウさんが船室に向かう廊下に入ったとこで扉閉めずに留まってくれた。

 

「……ありがと」

「ふふ。ウタの歌いいよな」

「うん」

 

 聞き終わって余韻抱えながら戻って、少ししたらウタが部屋に駆け込んできて、

 

「やっぱ教えてなくても一緒に歌えるじゃん! ルリ何者なんだよ! 超楽しいじゃん!」

 

 ってニコニコ飛びつかれてひゅって喉が鳴った。アワワワワせせせ世界の歌姫がァ!?

 ていうかそうか今生で聞いたの初めてじゃん迂闊! これはもう印象操作だッ!

 

「コラ、ウタ! ルリが怪我人なの忘れてんなよ!」

 

 ホンゴウさんが首根っこ掴んで引っぺがしてた。まるでネコチャンだな可愛い。

 びっくりしすぎて頭停止してたけどそういえばちょっと左側ピリピリする。

 

「ご、ごめん! 大丈夫?」

「大丈夫だ。ホンゴウさんの治療のおかげで、これくらい痛くない」

 

 ほんの少しだけほわっとした顔で間をおいて、ウタはえへへと笑った。

 

 その日からご飯は船内の食堂になった。……けど、ホンゴウさんに抱っこされるまま。……か、過保護だったりしそう? いや医者判断なのかな。

 その場でもたまにウタに誘われて一緒に歌うことに。

 

「いい体力回復になりそうだな」

 

 と、ホンゴウさんはぽんと頭に手を載せてくれた。

 ああ、まだ一人で座るだの歩くだのは心配な状態なのか。過保護かなとか思ってすいません……。

 

「ルウさん、いつもありがとうございます。めっちゃおいしい」

「ハッハァ! 嬉しいこと言うじゃねェか」

「ほんとのことだし」

 

 ハッハッハとルウさんは豪快に笑う。

 

「材料費とかは……?」

「……は? アッハッハ! んなこと気にしてんのかァ? お前の食う量なんてミジンコだぜェ? なのにいいっつってもお前の父ちゃんと母ちゃんが毎日色々持ってきてくれんだよ、律儀すぎるぜ」

「……ホンゴウさん、医療費は?」

「はあ? 小難しい言葉知ってんなお前。ウタの友達だし要らねえよ」

「えええ! こんなに手間かけてもらってるのに!」

 

 あと技術とかとか薬とか包帯とか点滴とか、最初は多分輸血もだ、他にも素人には分からないものだってありそう。ほんとはすっごいお金かかることのはず。

 

「「ガキが気にしてんじゃねェ」」

 

 二人して合唱された。うェ、圧を感じる。

 

「気になるんなら、ご両親がくれる食いもんの材料でチャラだ!」

「……なあ」

 

 後ろでシャンクスの声がしてホンゴウさんと二人してびくっとする。

 

「何でこいつらには『さん』つけるんだ? おれは呼び捨てなのに……」

 

 ちょっと寂しそうな気がして焦りが沸く。

 

「えっ、特に意識してた訳じゃ……えっと……多分、シャンクスはウタと一緒にたくさん話したことがあるから……慣れみたいなものというか……」

 

 思えば大海賊に対して失礼な気がした。ひぇ。

 しかしシャンクスは一瞬きょとりとして、そしてにぱっと笑った。

 

「ルウのメシ一緒に食ってる仲だろォー! こいつらとも仲良くしてやってくれよ」

 

 そ、そっち!?

 

「き、気が引ける……!」

「おれと何も変わんねェから」

 

 にこにこしてるシャンクスが可愛くて。

 ……大の大人に子供がンなこと思うのはどうかと思うけど。人生三回目な訳だしきっと中身はシャンクスより年だから許して。

 

「……うん。ありがと」

「丁寧語もいらねェからな」

 

 抱っこのおかげで頭のすぐそばからホンゴウさんの声もして、ふるりと振り返ってめっちゃ優しい色した目とかちあう。

 照れくささに笑う。

 

「……うん」

 

 ……えへへ。

 世間一般の『海賊』のイメージとはかけ離れた優しさが眩しい。シメるべきときはきちんとシメる人たちなのを知ってはいる、けど。

 多分彼ら、ウタと六、七年航海してきてるんじゃなかったっけ。だから赤髪海賊団のみんなはきっと、小さい子との接し方にある程度慣れてるんだと思う。

 

 ふと、エースが村に入りたがらないのは無理もないだろ、とエース本人に言った気がするのを思い出す。

 ……この人たちの優しさと彼らをすっかり受け入れてる村人たちの様子に触れられたら、『海賊』に悪いイメージしか持ってない人ばかりじゃないって、気づいてくれるだろうか。

 

 そこまで思ってはっとする。

 

 シャンクスはゴムゴムの実を『ロジャーの子供』に食べさせようとしてた説があったのを思い出す。

 今シャンクスとエースを引き合わせたら、色んな人の命がどうなるか分からない……気がする。逆に生き延びる人が増える可能性も考えられなくはないんだろうけど、そんな博打する気にはならない。

 

 このへんへの干渉は、したくない。

 

 人を生かしたいんだったら、確実だと思える方法にだけ全力で走るんだ。

 ワンピースに関しては……特にルフィの周りに関しては、ほんの一ミリ間違えるだけで彼らを死の道に突き飛ばしかねないと思うから……。

 

 それに……エースの心の傷とロジャーへの蟠りへは、誠意と本音で向き合いたい。それが彼へのプラスになれるかは不明にしても。

 

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 そろそろ降りてもいいくらい回復したぞとなって、その前日、夕飯が送り出しの宴になった。船上でわいわいする皆と一緒になってもぐもぐしてると、ひょいっと食器とともに抱えられて驚く。犯人はシャンクスだった。

 

「主役と歌姫借りてくぜー。船長特権だ」

 

 職権乱用だ横暴だとブーブーする皆だけど、きっとこれもじゃれ合いだ。何せ皆にこにこしてるから。

 

 位置が高くなってる船首の方に運ばれると、そこには既にウタがいた。シャンクスが床におろしてくれて、三人で料理を囲みつつ座る。

 

「ねえ早く教えてよ! けんぶんナントカって奴!」

 

 ウタの目がキラキラしてるのを見て、ああそう言えばシャンクスが『治ったら』と言ってくれてたのを思い出す。

 

「せっかちだなあウタは。あと『見聞色の覇気』な。まず覇気の色には三つあって……」

 

 わあ、そこから教えてくれるんだ、優しい。

 

「……んで次に『武装色の覇気』。これもざっくり言うと、身体とか強くするやつだ。普通壊せないものが壊せたり、防げない攻撃に耐えれたり」

 

 子供にも分かりやすいよう言葉を選んでくれてるんだろうな。「へえー」と興味津々なウタが可愛い。

 

「おれは、ルリはこれも使ったんじゃないかと思ってる。じゃないと熊なんかに叩かれたら普通五歳児なんて木っ端微塵だ」

「こ……こっぱ……!?」

 

 ウタが青くなってる。

 ……道理を考えたら、その方が自然な気はする。だけど、自分が覇気を開花させたなんてあまりにも信じ難い。

 

「そして最後に、『見聞色の覇気』。周りのことを感じ取ったり、感情を読み取ったりする。鍛えれば数秒先の未来が見えるようになる奴もいる」

「へえー! 超能力みたい! ルリは私が歌ってる未来を見たってこと?」

「それなんだけどさ」

 

 たまらず口を挟む。

 

「未来なんか見えてないよ。そんなすごいやつ使えると思えないし……」

「お前のことだから自信ねェだけだろー? 覇気じゃないと説明がつかねェ」

「ええと……もしその『覇気』だとしてさ」

 

 頭の中を整理する。伝え易そうな言葉を自分なりに探す。

 何なんだこの状況、って考える時間はたくさんあったしな。

 

「ウタの曲がすごく印象に残るくらい素敵なのがまずあってさ」

 

 ウタがきょとりとしたあとえへへと照れた。可愛い。

 

「それを、幸せなことに間近で結構聞かせてもらってきてて……音楽ってさ、ある程度決まりに従わなきゃだろ? だから、ウタ自身と、ウタの曲の性格と、歌ってる時の感情なんかをそばにいることで読み取って、それで予想して組み立ててるとかじゃないかと思う。内心の歌詞が聞こえてるとしたら、ほんの僅かな遅れが生じたとして、コーラスやハモリだとそこまで大きな支障にならないしさ」

 

 覇気のはの字も今まで使えてなかったのに、熟練者の境地なイメージのある『未来が見える』なんて、いくらなんでも使えてたまるか。

 

「ほー。なるほどなあ」

 

 シャンクスがしみじみしてる。

 

「しかしルリはほんと小難しい言葉使うなあ。ほんとに五歳か?」

 

 ギクリ。

 

 いかん。見聞色持ってる確定なシャンクスの前では内心までポーカーフェイスにならないと……無理では???

 

「そんなの……新聞ならよく読むし、それこそ大人の心の声聞いて知らんうちに言葉の意味勉強できてるとか……?」

 

 皆わからん(多分)だろうことはテキトウにゴリ押ししてしまえ。

 

 ふうむとシャンクスとウタは二人して同時に首を傾げた。仕草もそっくり。

 

「……ふふ、そっくり。やっぱ親子だな」

 

 思わずにまにますると、二人は顔を見合わせた。

 そしてふっと笑い合う。

 

 ああ、いいなあこの光景。ずっと眺めてたい。

 

「……ま、決めつけられないのも本当だ。けどひとつ言えるのは、武装色と見聞色は鍛えれば鍛えるだけ強くなれる。将来有望、って訳だ」

 

 にしし、とシャンクスが笑う。

 

「こんな年から開花してんなら、もしかしたら覇王色も持ってるかもなあ」

 

 だっはっは、と彼は笑う。

 

「それさっき、王者の風格みたいなもんって言ってただろ……買い被り過ぎ……こわ……」

「あながち根拠がねェ訳でもないんだぜ? お前に会わせろって必死だったあの五人見てたら、お前の人タラシっぷりがよく分かる」

 

 にやにやしてるシャンクス。

 

「ハァ……? あいつらの方がよっぽど持ってそうだよ」

 

 特にゼロとかワタルとかじんぺーとか。……いや全員持ってたっておかしくないと思う。

 ていうか覇王色=人タラシなのか?

 ……ルフィとかシャンクスとか見てたらそうな気はしなくもないけど……。

 

「ハハ。……なァ、将来有望君。ウチの船に乗らないか?」

 

 …………。

 

 ……。

 

「…………は?」

 

 なあ、今なんて言われた?

 

「十年後でもいい。海に出ようぜ。海賊は何でも自由だぞ」

「……」

 

 じいっと、シャンクスが……ウタまで……期待の目で見ている。

 

 ……。

 

 ……。

 

「…………正直、めちゃくちゃ魅力的、なんだけどさ……」

 

 二人の顔が見れなくて俯いて、分不相応ですらある誘いをしてもらって身体が震えて。

 

「……あのさ。体鍛えてる理由がさ……あいつら体力馬鹿だから、あいつらに付いていきたくて、あともし危なかったらとめたくて、だからさ……あいつらと離れるのは、考えられないんだ」

 

 しばらくの、沈黙。

 

 やがて、シャンクスが「だっはっは!」と笑い始めてはっと顔を上げた。

 

「十年……いや、この国だと十八で成人、だったか? 十三年後、六人まとめてかっさらいに来る。俺たちは海賊だからな!」

「ちょっ!?」

 

 ウタがあははと笑い始めた。

 ……あいつらが、『海賊』になるのを受け入れることが、果たしてあるだろうか。

 いかに赤髪海賊団が暴虐な奴らではないといっても。

 

「その時、俺たちの仲間になるのは嫌だってくらいの別の夢を見つけられてたら、考えてやる」

「そこは諦めるって言えよ!」

 

 しかしシャンクスはまた「だっはっは!」と笑うのみ。

 この人はーーー!!!

 

「まあ今は忘れて宴を楽しめ」

 

 あーん、と肉にかぶりつき、酒に口を付けるシャンクス。

 そんな彼をジト目で眺めながらもおいしい料理に舌鼓を打ってると、そのうち周りに船員たちが姿を見せるようになって、そして甲板に皆して戻って、ウタが歌って、ウタに誘われて一緒に歌って、何曲かでホンゴウさんにとめられて、そういう楽しい宴を過ごした。

 

 翌日、また来いよって見送ってくれた皆に内心でだけ冷や汗を流す。

 ホンゴウさんに付き添われて村の病院に行くと、そこには既に両親がいて抱きしめられて、ホンゴウさんと両親と先生が色々お話してる内に警察学校組の皆が大挙してきた。

 

 あれこれ詰め寄られてたじたじする。

 

「……お父さん、お母さん、みんな……心配かけて、ごめん」

 

 心からしゅんとしてると、また両親に抱きしめられて、苦笑してる奴、うるうるしながら笑ってる奴、ぶすっとしてる奴。……だから、ゼロとじんぺーは何でそんなずっと不機嫌なんだよ……。

 

「ホンゴウ、ありがとう。先生、これからよろしくお願いします」

 

 ぺこりとすると、先生がいい子だなあと笑った。

 ……いい子は家族に内緒でコルボ山みたいな危険地帯に入らないと思うんだ。ははは。

 

 エースとサボと、ダダンたち、元気かな。

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