【番外編】ここだけマコト議長の神秘が仕事し過ぎている世界線 IF√ 作:サルミアッキ
なお、マコト議長は元ネタ知ってるので大困惑する。
マコト(コブラケータイ越し)「フッ!ハッ!何故変身しない!」
イロハ(レプリホッパー1マルガム)「それ違う人では……?」
死人のE/永遠のユメ
……その日。キヴォトスの中心部にて、とあるタワーの占領事件が起こった。
『……私は、
キヴォトス各地の街頭スクリーンには、幾つもの影が映っている。それらは、強固なアーマーで身体を覆っていると思しき人型だった。
—————三本角に∞を模した黄色の複眼、黒いマントに蒼焔の四肢を持つ死の神。
—————赤と青の歯車をアーマーとして装備した、不老不死の黒い機械の皇帝。
—————血に塗れた悪魔の塔を築き上げる、契約の箱を持つ金色と業火の星蛇。
—————百足や蜂など、毒に縁ある生命を仙丹技術で金貨として錬成されし虫の王。
—————笑みにも涙を流しているようにも見える、正義を審判する白き監獄の戦士。
『さぁ、キヴォトスのみんな!
仮面ライダーエターナルと名乗った人物は、肉体の変身を解除した。右手でサムズダウンをした“ヘイローの無い緑髪の少女”が、画面いっぱいに映り込む。
「—————う、そ……」
その映像をアビドス自治区で見ていた少女—————、小鳥遊ホシノは現実を受け入れられず、絶望した声を絞り出す。
『
「
その塔に、
■
「……は?」
ゲヘナ学園の二年生である私、羽沼マコトはいつも通り、自分の神秘を結晶化させて神名の欠片にする作業を進めていた。
……ただ、その日は何かが違っていた。いつもならば桃色の結晶体となるはずの自身のエネルギーが歪な形で収束しているのに気が付いた。
「お、い?おいおい待て。待て待て待て!」
なんだこれ……!?
「赤い蛇とは言え、サマエルの神秘を抽出してなぜこんなものができる……?」
いや、裏モチーフとはいえ『こんなもの』にもそういった要素もあることは知っていたが、さぁ?火星と赤い蛇とバベルの塔立てたくらいしか私と関係ないだろうこれ?しかも塔の神話は暁の子とは言え、ネブカドネザル二世だから滅茶苦茶遠い縁だぞ?
「……この形状。仮面ライダービルドに出て来たパンドラボックスにも見えるが……、色が違う?金色なんだが……なんだコレ?—————あ、蓋外れた」
中身は、うわぁコレはまた……。この黒いヤツ、ライダーエボルボトルだぁ……。それに、エネルギーが集まって色んなパーツに組み上がっていくー……。今現状としてはばらっばらだけど、これ組み合わせたらあのベルトにならない?
「……。もしかして“シッテムの箱”の概念が、私専用のパンドラボックスになったとかか、これ?」
蓋として外れた金色のパネルに、自分の神秘を流してみる。
「……、できちゃったよ」
金色の外装に、鮮血色の内部パーツをした掌サイズのボトル。緑色の液体で満たされた内部には、うっすらと悍ましい怪物の顔が浮かび上がっている……。
それを、私は知っている。この世界に在ってはならない、というか在るはずのないものだと分かっている。
「……これ、“エボルエックスフルボトル”だろう?」
マジで何で?何故に元居た世界の日曜朝の特撮番組の、仮面ライダービルドの怨敵のアイテムが作り出せる?
そもそもこの世界ライダーねぇよ⁉キヴォトスナイズされたとしても、ニチアサ枠でやってる番組タイトルって仮面ドライバーだよ⁉
「世界の破壊者でも通りすがったか……?ただでさえこの世界、今でも“学園青春もの”のテクスチャで覆ってたのに、“仮面ライダーシリーズ”も追加されたのか……!?」
弱った。こういう類のトラブルは私では解決できる気がしない……。聞けるヤツは、アイツしかいないよなぁ……。嫌だなぁ、変なこと起きないと良いなぁ……。
■
というわけでやってきました、ブラックマーケット。私の前には、天才ゲームクリエイターである家出少女の才羽アオがいる。
「……ああ、それが言っていた————。成る程、こういう形状になっているのね……。そうそう、ついでに言っておくけれど、私のところでも未知のファクターが発見されたわ。このPCに保存してあるけれど、どうやらこっちに出現した物質Xは並行世界から流れ込む特製のコンピュータウィルスらしいわね」
……、はぁ!?マジでお前のところにもなんてものが出てやがる!
「でも、今はそんなことよりもこっちね。これ、ボトル?中に何が入っているかとか、感覚で解ったりする?」
「……。少なくとも、私の神秘由来ではないということだけは分かる」
「ふぅん。でも、この機構からみて……。それに内部構造も多分……。デバイス接続が前提で、なおかつこの成分は、使用者を想定されて、体に作用し……うんなるほどね。パワードスーツ形成用のアイテムね。箱の中で形成されたギアパーツとかは、パワードスーツを構築するための出力装置かしら」
エボルエックスフルボトルを傾けたりのぞき込んだり、多面的にその機能を注意深く観察するキヴォトス産神の才能。即座にどのような用途に使うか分かったらしい。凄いな。ふむふむと可愛らしく顎に指をあてて考えていたが、やがてその顔を綻ばせた。
「よし、分かったわ。この私、才羽アオがそれらしいものを創ってあげるわよ」
そして、待つことたった数時間……。
「—————マジで作れてしまうとはな……」
「でもごめんなさい。一日だけじゃ、あなたの身体と神秘にそのアイテムの力をフィッティングするように設定、調整したデバイスを用意するだけで精一杯だったわ。それ運用するつもりなら後々機能を追加していくから、データ収集もお願いね」
いや、もうほぼ完璧な仕上がりだろこれ……?この、赤と金が嫌らしく輝く悪趣味な変身ベルト、見たことあるぞ。つーか寸分違わずに劇中プロップ並みのディテールなんだけど?
なに?使ってみて、だと?暢気に手をひらひらさせるなよ、才羽アオ…。でも仕方ない、か?はぁぁ……(クソデカ溜息)。
「……では、取り敢えず」
バックルの両端部分から黄金のベルトが伸びて、レプリカの『エボルドライバー』が私の腰に固定される。わぁ音声も完璧だぁ…。じゃあ言い出しっぺの法則で検証実験も私がしないとかぁ…。
苛立ちを込めてボトルをベルトのスロットに叩きつけるようにセットし、右手で荒っぽくハンドルをぐるぐると回した。
心境的には全っ然良くないけどなぁ……。不満たらったらでリスペクトの欠片もなく『例の言葉』を吐き捨てる。まぁ、良いよな。黄金の精神持ちの主人公の面々なら相応の態度でリスペクトするけど……これってクソみたいな生き物、そのクローンが死の商人連中の力で作って貰っただろうアイテムだし。
周囲に黄金のリングとキューブが浮かび、私の体を覆い尽くすと……棺のようになったキューブの表層から青い光がXの文字に発光して、世界から消える。ボトルから体に入ってくる成分が、自分の力で上書きされていく————私の神秘が再形成されるような感覚が体に奔る。
周囲の空間に星々が灯った後、ワームホールの中から異形の姿となった私が研究室に降り立った。
黄金と鮮血が薄気味悪い色彩の調和を醸し出す、華美な装甲が光源に照らされる。星さえ滅ぼす悪魔、地球外生命体エボルトが変身した仮面ライダー—————そのイミテーション、“仮面ライダーエボルX”となった私が立っている。
「おおー。中々にカッコイイじゃない。パチパチパチ~……。でも、もうちょっとポップなデザインが良かったかしら?今からでもそのベルトに手、加える?」
「……結構だ」
そのセンスはお前のところで見つかったウィルスでゲーム作る時に発揮しろよ。
「ちぇー……。あ、そうだ。私、このコンピュータウィルスとかを使って面白いこと思いついちゃったのよ!一口かまない?」
「—————聞かせてもらおう」
—————そんなこんなで、二年が過ぎた。
—————協力者や支援者、そして構成員を集める中で、私たちが立ち上げた秘密結社は力を増していった。そして、いつしかキヴォトス全土の裏社会において我々は…………未知の技術を有する謎の支援組織—————通称、『
■
「……。う、ぁ……、だ、れ?」
『—————キヒッ、もう手遅れだな。このままではお前は死ぬ。だが……、一つ助かる方法がある。悪魔と契約する勇気、貴様にあるかな?』
砂漠にて赤い毒蛇が嗤う。葦の原野に横たわる
■
「—————!何者だ?どこから入った…!?」
カイザーPMCの理事室にて、その部屋の主が顔を上げた。ロボットのボディに表情は無いものの、その声には困惑と疑問がありありと浮かんでいる。
左右非対称の、黄金の外骨格が体表に生えた怪人が、そこにいた。
『入って来た……のではありません。降って来ました。初めましてカイザーPMC理事。おっと失礼、私の名は“ユートピア”。以後お見知りおきを。カイザーコーポレーションに一つ、耳よりの商談を持ってまいりました……』
“ユートピア”と名乗った怪人は、傍らに置いていたアタッシュケースを手に取ると、ロックを外す。その中に格納されていた幾つものアイテムが日の目を浴びた。
『恐竜化石を思わせるUSBメモリ』、『銀色のメダル』、『星座のマークがボタンとなっているスイッチ』、『ゲームカセット』など、一見すると共通点が欠片も無いもの。そして、それらに取り囲まれる形で中央に配置されていたのは……『ギアがセットされた紫色の拳銃』だった。
■
「ん、うぅん……、こ、こは?」
「あ、起きたのね」
意識を失っていた
「あな、たは?」
「私は……、
「……?おか、しい…、何も、思い出せない……。私は、誰?」
「—————成る程。記憶喪失で頭の中が真っ白というわけなのね……。じゃあこのアビドス砂漠で彷徨ってたわけだし、真っ白子ちゃんだし、『
「……ん、名前が無いのは不便。お前って呼ばれるのも嫌だし、それでいい。ユメ」
「ところで、これはシロコちゃんの持ち物?はい」
「何、これ……銃と、カードキー?」
■
そして、時は移り……。
連邦生徒会長が失踪してはや一週間。この学園都市キヴォトスの治安は悪化の一途を辿り、ゲヘナ、トリニティ、ミレニアムの三大校さえも混沌を極めていた。
……我がゲヘナはいつも通りとも言う。
「……報告します。ハングリー、スイーツ、チキンアンドエッグのメモリが美食研究会の手に渡りました。料理店が次々と爆散しています……」
「議長。
「風紀委員会からです。温泉開発部の面々がマグマメモリを使用し、ゲヘナの廃墟を焼き払ってるとの情報が!二体はブルーフレア状態であるため、鬼怒川カスミ、下倉メグが使用した個体かと!」
マグマ・ドーパント、ブルーフレア。さしずめ溶岩の記憶の中でも、イジェン複合火山に見られる硫黄の炎色反応と言ったところか……確かに温泉開発部にはお誂え向きの姿だな。……。風呂繋がりでバイスタンプのライダーシステムを渡そうと思ったのにな……。
「……ビルが溶け、銃弾が飛び交う。この都市では良くあることさ。まぁ、我々の仕事のせいだがな?才羽アルティメット・オーバーゴッド」
「良いじゃない。ゲヘナ限定とはいえデモンズドライバーも量産化できて、I.M.P.R.O.V.Eの戦闘データもとれたし。ミレニアム程の人数はいないけど、ゲヘナでも頭の回る生徒を万魔殿親衛隊技術開発部に囲ったのは正解だったみたいね。これで仮想敵性創出計画……プロジェクト・ゼインも進展するわ」
紫色のガジェットを起動させ、才羽アオ……改め才羽アルティメット・オーバーゴッド、————“仮面ライダーゲンム”は深い笑みを浮かべた。
ユメ(NEVER)「ひぃん……、私の方がおっぱいおっきいモン……」
アオ(ゾンビ)「逆にキヴォトス全体で見てアンタ超えの人の方が少数では……」
前世の記憶をちょっと早く取り戻したマコト様。でもユメ先輩が死ぬことは予定調和。まぁこっちの世界は生きてる分まだマシだよね(人の心)。