美しき日々   作:少年

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目を閉じれば、こんなにも美しい世界なのに。


取り返した日々

847年

 

 

 

「貴様!何しに此処へ来た!」

 

光刺す訓練場に第二の太陽が現る。

 

目前に迫る太陽は、それ相応の威圧を以てして「彼」に語り掛ける。

 

「彼」は応える。

 

「「少女」に願われた。」

 

と。

 

「彼」の目は蒼く、暗く、鈍く輝いていた。

 

 

 

「彼」は言語化できない感情を抱いていた。

 

OOではない と形容することは出来るが、

明確に表現できないのだ。

 

先ほど口をついて出てきた「少女」は、

誰だか知らない、ましてや数分一緒に居ただけの関係であり、

高々それだけの相手にここまでする理由は無い筈だった。

 

どうして「彼」は自身と対極の存在である兵士を目指すに至ったのか。

「彼」は理解できていなかった。

 

迷いは無い。

 これが正しいと信じ切っている。

悔いも無い。

 この道以外無いと確信している。

不安も無い。

 必ずや成功すると分かっている。

 

ではなぜ? なぜ信じ、確信し、理解できる?

分からない。

分かるのは、「少女」が背中を押してくれている事だけだった...

 

 

 

 

そうして、自問自答している間に通過儀礼が終了し、施設案内や食事を受けた。

それは、口減らし前とは違い、少ないながらもしっかりとした食事であった。

 

食事中に至る所で会話が発生し、

「エレン・イェーガー」を名乗る少年と、

「ジャン・キルシュタイン」を名乗る少年が喧嘩を始めた。

そして、それを宥めるべく数名が手を尽くす。

 

「彼」は、その風景を見て、845年のシガンシナ区陥落前を思い出していた。

騒がしく、活気に溢れたシガンシナ区を。

 

 

 

そして食事も終わり、就寝時刻となった為「彼」は就寝の準備をしていた。

すると、そこに金髪の少年が話しかけて来る。

 

 

「ねえ、ちょっといいかい?」

 

「僕はアルミン。君をシガンシナ区で見かけた事が有ると思うんだ。。

 通過儀礼の時からずっと気になってたんだけど、なかなか声をかけられなくてさ。」

 

「彼」は、応えるべきかどうかで悩んだ。

 

「彼」は人食いの悪魔であり、巨人と同列である事を自覚していた。

であるが故に、話す権利があるのだろうか、と。

 

数秒悩んだ後に「彼」は応えた。

 

「ああ。 確かに、あの時お前らが話してる時に近くを通りがかった。」

 

「本当に!? よかった...同郷が他にもいてよかったよ。」

 

「君はあの時...」

 

そう話していると、横から黒髪の少年も話しかけて来た。

あの時、金髪の少年と話していた少年だ。

 

「よお、アルミンに...誰だっけ?」

 

「ああ、エレン。 この人は...」

 

何年振りかすら分からない、久々の会話を楽しんだ「彼」は、

会話が終わった後に寝る準備を再開した。




そして、目を瞑る「彼」の脳裏には、「少女」の姿が鮮明に写されていた。
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