ショウマは追ってくるストマック家の眷属から逃げていた。
「っ、ここは!?」
ショウマがやってきたのは360°全ての場所が階段になっている空間だった。
「わっ!」
ショウマは襲おうとしてくる相手の魔の手を避けた。
だが、先に相手の一人が回り込んで挟み込まれてしまった。
「あの扉なら!」
ショウマは離れたところにある扉に向かってジャンプして開いた。
「えっ!?」
扉の向こうは空になっていた。
「綺麗だな…」
ショウマは初めて見る空の景色に見惚れながら落下していった。
♢♢♢
数年前、時崎狂三が海を歩いているとショウマが倒れていた。
「あら…」
狂三は興味本位にショウマに近づいて息があるかどうか確かめる。
「死んではなさそうですが関わると後々が面倒なことになりますわね…」
狂三は放置しようかと考えていると足を掴まれた。
「何か食べ物…」
ショウマは腹の音を出した。
♢♢♢
ショウマは狂三と一緒に歩いた。
「こっちですわ」
着いた場所は廃ビルだった。
「こんな物しか用意できませんでしたが、どうぞ食べてくださいまし」
狂三はショウマにお菓子を渡した。
「これお菓子!?食べていいの!?」
ショウマはお菓子を見て興奮した様子だった。
「ええ、勿論ですがお菓子程度に驚く必要がありますの?」
「だってお菓子だよ!?驚くに決まってるよ!」
「意味がわかりませんわ…」
ショウマは最初にグミの袋を開けた。
「これがグミか!」
「この紫のは?」
「それはグレープ味ですわね。気になるのなら食べてみればいいじゃありませんの?」
「そうするよ!」
ショウマはグレープ味のグミを食べた。
「ジューシー!」
「美味い!何個でも食べれそうだよ!」
ショウマはグレープ味のグミをパクパクと食べた。
「ん?」
ショウマはお腹から下にかけて何かが出てくるのを見た。
「どうしましたの?」
「い、いや、何でもないよ」
ショウマは誤魔化し笑いを浮かべて動く何かを狂三から隠した。
(何故、わたくしは彼を助けましたの?わたくしには果たすべきことがあるというのに…)
狂三は不思議と“懐かしい気分”になれた。
♢♢♢
とあるアパートにゴミ出しをしている女がいた。
「すみません。少しお聞きしたいことがあります」
そこに近づいてきたのは折紙だった。
「あなたは?」
「失礼しました。私はこういう者です」
折紙は女に名刺を送った。
「ジャーナリスト?」
「はい。聞きたいのはあなたの夫が亡くなったことについてなんですが…」
「私は何も知りません!」
「あ、いや、奥さんを疑っているって訳じゃなくてただその日の近くにこんな姿をした化け物を見ませんでしたか?」
折紙は女に自分が描いた絵を見せた。
「馬鹿にしているんですか!?」
「ええと…」
女は怒って折紙から離れて行った。
「何やってるんだ折紙」
折紙のところに若い男悠斗が近づいてきた。
「あ、師匠」
「普通の相手にいきなりその絵を見せたって嘘の話だと思われるだけだぞ」
「それにあの女からは何かをやばいのを感じるな」
「やばいの?」
「まあ、俺にも色々あるんだ。あと、俺はお前の師匠じゃない」
悠斗は折紙にそう言った。
♢♢♢
場所は廃ビルに戻る。
「そういえばこの質問をまだしていませんでしたがあなたのお名前は?」
「そういえばまだ名乗ってなかったね。僕の名前はショウマ。下の名前は教えることはできないな」
「ショウマさん。あなたがよろしければここを根城にしてもいいですわよ」
「え?本当!?ありがとう!狂三さん!」
ショウマは心の底から嬉しそうに狂三に感謝した。
「まあ、わたくしの邪魔にさえならなければですが…」
「あれ、どこに行くの狂三さん?」
「少し用事ですわ。ここにあるお菓子は自由に食べもいいですわよ」
「行ってらっしゃい」
ショウマは狂三を見送った。
♢♢♢
扉を使って人間の世界に現れたストマック家の眷属の元に男がやってきた。
「これが今日の成果だ」
男は慌てた様子で赤い布で巻いた人間のアクリルスタンドみたいな物を渡した。
その人間は女性で怯えた表情をしていた。
「だから早く報酬をくれよ!」
男は報酬である闇菓子をもらった。
「ええっ、闇菓子一つかよ!?しけてるな!」
「欲しければもっと頑張ることだ」
次の瞬間には眷属は男の前から姿を消していた。
♢♢♢
ショウマは色々なお菓子を食べた。
「これからここで生きていくのか…」
ショウマが感慨に老けていると、何かは数を増やしていた。
「もしかしてお菓子を食べるたびに増えてない?」
「そうだとして名前はお菓子を取ってガチゾウなんてどうだろ!」
ショウマはゴチゾウに名付けをした。
「ん?」
ショウマは何かに気がついた。
♢♢♢
男は闇菓子一つで満足できずに街を歩いていた。
「今度はどいつを食材にするか…」
男は狂三が見えた。
「いいターゲットになりそうだ」
男は狂三を追いかけて裏路地に入って行った。
「ん、いない?」
男が狂三を見失っていると狂三自らが姿を現した。
「あなたは少なくともASTやDEMではありませんわね」
「一体どんな要件があってわたくしを追いかけていましたの?」
「お前を闇菓子にするためだ。人間はいい食材になるからな」
男は腹から舌を伸ばした。
「危ない!」
ショウマが狂三をその舌から逃した。
「あなた…?」
「おいおい、邪魔するならお前もまとめて菓子工場送りにしてやろうか」
男は腹にあった物を取ると怪人グラニュートに変わった。
「お腹に口が?」
「ああ、グラニュート族にはお腹にガヴがあるんだよ」
「そういえばこれ」
「え?」
「狂三さんの持って行ってなかったから」
「貴様、なぜ俺の姿を見て驚かない」
「こう見えて僕も同じグラニュート族だから」
ショウマは服を捲り上げると赤い口があった。
「何だその赤いガヴは!?」
「狂三だけは連れて行かせない」
ショウマはグラニュートに挑んでいった。
「ぐっ、うわぁっ!」
やはり人間の肉体では化け物の姿になったグラニュートに敵わず追い込まれていった。
「何だ?口だけで何もできないじゃないか?弱い奴は引っ込んでいろ」
ショウマは自分の手を見る。
その手はあの日、大切な物を失ったことによる恐怖で震えていた。
♢♢♢
暗い工場でショウマの母親はショウマの目の前で人間菓子にされていく。
『ショウマ!』
母親はショウマを呼ぶ。
『母さん!』
ショウマは何もできなかった。
♢♢♢
その間にもグラニュートは狂三に近づいていく。
ショウマは手が震えながらでもグラニュートを止めようとした。
「なんでだよ…」
「ん?」
(なんで僕は弱いんだよ…だから何も守れない…)
「でも、これからは!」
ショウマはグラニュートに殴れても構わず拳を叩き込んだ。
「狂三だけは行かせはしないっ!」
「うっとおしいんだよ!」
ショウマはグラニュートに殴り飛ばされた。
その時、お菓子を食べた時に出たゴチゾウたちがショウマの元にやってきた。
「えっ、食べろ?」
ショウマはゴチゾウの一体を掴んで口に持っていくとその個体は涙を流した。
他のゴチゾウたちは全体で動いてジェスチャーを伝えた。
「あっ、こっちか」
ショウマは赤いガヴにゴチゾウをセットした。
【グミ!】
ショウマはガヴにあるレバーを回転させた。
【EATグミ!EATグミ!】
【ガヴ…ガヴ…】
ショウマの腕にグミの粒々みたいなものが出現した。
「変身」
ショウマは頭に浮かんできたその二文字を告げてボタンを押した。
【ポッピングミ!ジューシー!】
ショウマの姿は人間とは違う姿に、仮面ライダーガヴになった。
「そうか、これが僕の眷属の力!これなら守れる!」
ガヴはグラニュートと戦闘を繰り広げた。
ガヴは攻撃を受けるたび、胸の装甲のパーツが一粒一粒なくなっていった。
「やばいな…」
【グミ!】
ガヴはもう一度変身と同じ手順を踏むことにした。
【ポッピングミ!ジューシー!】
ガヴの胸の装甲のパーツが全復活を遂げた。
パーツが無くなるたびに新たなゴチゾウを使って増やしていく。
そんな戦法で戦い続ける。
「意味がわかりませんわ。あとは化け物同士楽しく戦い合ってくださいまし」
「狂三さん…」
狂三はこの場から去って行った。
「聞いたかお前、化け物だってよ」
「そうみたいだね、化け物だ。僕もお前も!」
ガヴは腹から出てきたガヴガブレイドでグラニュートを攻撃した。
そしてゴチゾウを乗せた。
【PUSHミー、PUSHミー】
「やべぇ…」
【GO】
ガヴは逃げるグラニュートに向かってゴチゾウを放った。
だが、威力はイマイチだった。
ゴチゾウは涙を流した。
「ふざけやがって!」
ガヴはグラニュートが投げたコンテナを切り裂いた。
「こうなれば!」
グラニュートは四足歩行の獣のような姿になり、街に向かって行った。
「あっ、逃げるな!」
追う手段がなかったガヴの元にキャンディの眷属がやってきた。
「ここは考えるよりも動けだ!」
ガヴはその眷属をガヴに装填した。
【キャンディ】
【EATキャンディ!EATキャンディ】
ガヴはボタンを押した。
【ブルキャン】
眷属は姿をバイクに変えた。
「これなら!」
ガヴはそのバイクに乗ってグラニュートを追いかけた。
♢♢♢
「俺の獲物…!」
グラニュートは街で人を怖がらせていた。
「逃がさない!」
「追いかけて来たのか!」
ガヴはグラニュートを追いかけた。
二人が通ったところに聞き込みを続けている折紙がいた。
「化け物?」
折紙は街の人たちの声に気がついて見てみると数軒のビルが爆発していた。
グラニュートはガヴを爆発に飲み込ませた。
「へへ、やったぞ…」
「おりぁーっ!」
グラニュートがそこに近づくとガヴが突進してきた。
「はぁーっ!」
ガヴはブルキャンを消滅させてグラニュートを街の外れに蹴り飛ばした。
「馬鹿な、同族にこんな奴が!?」
ガヴの肩にオレンジ色のグミのゴチゾウが乗ってきた。
「どうする?もう二度と闇菓子に関わらないか、ここで僕に倒されるか…!」
「闇菓子を諦めるなんてできねぇ!答えはここでお前を倒すだ!はぁあまぁーっ!」
グラニュートはガヴに向かっていく。
それに対してガヴは腹に肩にいたゴチゾウをセットした。
【グミ】
ボタンを押す。
【キッキングミ】
ガヴは強化された足でグラニュートを蹴り飛ばした。
【CHARGE ME、CHARGE ME、CHARGE ME】
ガヴは変身した時と同じくレバーを回した。
ガヴの足にグミが集まり、強化された。
【キッキングミキック】
「はぁーっ!」
ガヴはグラニュートの元に高く飛び、キックを叩き込んだ。
【ジューシー】
グラニュートの断末魔と共に爆発が起こり、同時にゴチゾウが天に召された。
♢♢♢
翌日、狂三が廃ビルに行くと置き手紙が残されていた。
『狂三さん、名前を聞いてなかったけど、実は知っていたんだ。隠していてごめん。グラニュートに襲われた時に怖がらせてごめんなさい。お菓子はありがたく貰って行きます』
狂三の読んだ手紙にはそう書かれていた。
♢♢♢
同時刻、ショウマは街で走るバイクを初めて見た。
「あ、」
ショウマはブルキャンゴチゾウを取り出して話しかけた。
「ねぇ、あんな姿になれる?」
ショウマはブルキャンゴチゾウが快諾したことでベルトにセットした。
【キャンディ】
【EATキャンディ、EATキャンディ】
【ブルキャン】
ブルキャンゴチゾウはバイクに変化した。
「目指せ、僕の新天地!」
ショウマはブルキャンを走らせてこの街から離れて行った。
♢♢♢
狂三は手紙を粉々にした。
♢♢♢
数週間後、幸希は公園を歩いていた。
「えっ!?」
幸希は公園で生き倒れているショウマを見つけた。