元トリニティの生徒はゲヘナの風紀を守りたい。   作:スイソーミズクサ

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小説書くのは久しぶりなので、ガタガタの文章だと思いますがよろしくお願いします。



プロローグ
一話 ようこそゲヘナへ


 

「どうして私だけ、みんなと違うんだろう。」

 

ある日、彼女はふと空を見上げながら、そう呟いた。

 

小学生の頃、周りの少女たちは人形遊びをしたり、少女漫画を読んでまだ見ぬ恋にドキドキしていた。一方で、彼女は少年漫画の中でも、グロテスクで筋肉質な暑苦しいものばかりを読んでいた。

 

もちろん、ただ好みが違うだけで、本来なら深刻な問題ではない。

 

ただ、彼女にとっては、それが周囲との違いを示す象徴だった。

 

どちらが先に離れたのかは、もう誰にも分からない。ただ、時が経つにつれ、彼女の周りから人の姿が消えていった。

 

彼女は姉にそのことを相談した。

 

「そうですね……正直、周りに合わせるのが無難でしょうが……でも、自分を隠して作った友達というのは、長続きするものなのでしょうが?」

 

「どの口がそんなことを」と言いかけたが、口を押さえてそれを飲み込んだ。

 

「私の考えとしては、今いる友達を大事にした方がいいと思います、シロウ」

 

姉はそう言った。今でも、この言葉を覚えている。要するに、今の自分と仲良くしてくれる人を大切にしろ、ということなのだろう。

 

時が経つにつれ、次第に女の子らしいものも好きになっていった。ある意味、周りの女の子たちと変わらない感性になっていった。だが、その頃にはもう、色んなものが手遅れになっていた。

 

 


 

 

「んぎゃぁぁぁぁぁ!? いったぁぁ!」

 

勢いよくベッドから起き上がり、ベッドガードに足をぶつけた。鋭い痛みが脛に走る。

 

シロウはベッドの上で悶絶した後、ヒリヒリと痛む足を抑えながらベッドを降り、洗面所へ向かった。

 

洗面台の鏡を見て、はねた髪を直す。

 

「あぁぁぁ……イラつく。」

 

思わず鏡を叩き割りそうになったが、先月、それで高くついたことを思い出し、手を止める。そのまま洗面所を後にした。

 

部屋に戻り、壁の時計を見ると、針は八時を指していた。

 

「もうそろそろ行かないとな。」

 

ここからゲヘナまでは一時間。始業式は九時十分。数分で準備を終え、急がなければ確実に遅刻する。

 

「急がないとな。」

 

そう呟きながら、クローゼットのハンガーにかけてあるシャツを着て、スラックスを履く。壁に飾ってあった愛銃を腰のホルスターに納める。

 

「ふぅ、かんぺきぃー。」

 

カバンを手に下げ、シロウは部屋を出た。

 

駐車場へ向かい、バイクにカバンを取り付け、シートに跨る。

 

ハンドルにかけてあったヘルメットをかぶり、アクセルをひねる。バイクがゆっくりと動き始め、そのまま駐車場から道路へ。

 

シートから心地よい振動が体に伝わる。その心地よさに少し機嫌を良くしながら、シロウはゲヘナへと向かった。

 


 

 

ゲヘナに近づくにつれ、黒いシャツに短めのスカートをはいたゲヘナの制服の生徒たちが次第に視界に増えてきた。

 

通り過ぎる人も、追い越していく生徒も、皆ゲヘナ生だ。動物型の住民やロボットの姿はほとんど見かけない。流石はトリニティと並ぶマンモス校と言われるだけのことはある。

 

周りを見渡しているうちに、いつの間にか校門に辿り着いていた。

 

バイクのエンジンを止めて降り、校門の前に立つ。

 

「……ぁぁぁ!! ついについに! きたぁぁぁぁ!!」

 

人目も気にせず、校門前で大声を上げる。恐らく、側から見れば頭のおかしい奴にしか見えないだろう。しかし、シロウは気にしなかった。

 

「うわ……」

 

明らかに引かれた声色で、銀色のツインテールの少女がそばを通り過ぎていく。流石に声に出して引かれると少し悲しくなり、シロウは叫ぶのをやめてバイクを押しながら校門をくぐった。

 

くぐった先は別世界……とまではいかないが、地元では決して見られない光景だった。爆発の炎が視界の隅に現れ、補修が間に合っていないのか、道の至るところに銃撃戦の痕が残っている。耳を澄まさずとも、あちこちから銃声や爆発音、怒号が聞こえてくる。

 

「やっぱりすごいなぁ、ゲヘナは」

 

観光客のようにそわそわと周囲を見渡す。通り過ぎるゲヘナ生たちは、そんなシロウを不思議なもの、あるいは変人や異物を見るような目でじろじろと眺めていた。おそらく、場違いな見た目のせいだろうとシロウは解釈し、入学式が行われる体育館へ向かった。

 

 

体育館の中には、ぎっしりと椅子が並び、ところどころに銃弾の跡が残っていた。

 

席は自由のようだ。シロウは交友関係を広げるため、人の隣に座ることにした。

 

「すまないが、隣いいか?」

 

目についた赤毛で眼鏡をかけた少女に声をかけた。隣の席にいた白髪の子と話すのに夢中だったのか、一瞬肩を強張らせ、何故かメガネを外し、おそるおそるシロウを見た。

 

「あっ、はい、いいで……わよ」

 

口調を迷わせながらそう答えた。元眼鏡っ娘は、眼鏡を外した影響か目を細めてシロウを見つめる。

 

「なぁ……なんで眼鏡を外したんだ?」

 

「えっ? えっと、そのぉ……ああ、えっと……」

 

シロウが気になって聞くと、彼女はしどろもどろになった。もしかして、かなり重大なことだったのか? そう思ったシロウは、申し訳なさを感じて軽く謝る体勢に入る。

 

「あははは、申し訳なさそうにしなくて良いのに。アルちゃん、いつもこんな感じだから。眼鏡を外したのだって、高校デビューのためだし。」

 

クフフと擬音がつきそうな笑い声を出しながら、白髪の少女が赤毛の……アルの横から顔を覗かせる。

 

「余計なことを言わなくていいわよ! ムツキ!」

 

触れれば火傷しそうなほど赤い。まるで茹でタコのようだった。

 

「あはは……高校デビューかぁ。俺もそうしようかなぁって思ってるんだよ。」

 

「そっそうなの? 貴方もそうなの?」

 

シロウの言葉を聞いた瞬間、茹った顔が元の色に戻り、目が煌めき始めた。

 

「仲間を見つけたわ」と言わんばかりの表情。今にも言い出しそうだ。

 

「ああ、地元の地域だと、やりたい事があんまりできなくて青春を満喫出来なかった気がしたんだ……。せっかく地元を離れてゲヘナに来たんだから、思い切って今までとは違うことをやってみようと思ってるんだよ。」

 

「なるほどね……私もやりたい事が今まで出来なくてモヤモヤしていたもの。気持ちは分かるわ。」

 

うんうんと首を振りながら、共感してくれる。

 

そんなこんなで色々と話していると、いつの間にか入学式の始まりが近づいてきており、生徒会らしき人たちが登壇したところで、シロウ達は壇上の方向を向いて話をやめた。

 

 


 

 

入学式やその他諸々が終わり、部活勧誘などの時間になりシロウはアルやムツキとモモトークを交換した後に別れ、学園内を見て回っていた。

 

「にしても……部活も色々あるなぁ……」

 

救急医学部に給食部、飲食店爆破系テロリストの美食研究会に、そしてあまり聞いたことのない温泉開発部など様々な部活の勧誘を受けた。

因みに勧誘を受けた半分以上が違法サークルだった。

 

「まぁ……テロリストは論外として、給食部はなしだなぁ」

 

最初勧誘を受けた時は少し良いなと思ったが、明らかに人数が少な過ぎた、部員が三人しかいなかったのだ、しかも全員三年生。

ゲヘナの生徒数は数千はいたはず。どれくらいの人数が学食を利用するかのかは分からないが、千人単位の学食を作るにはあまりにも少なすぎる。

シロウはある程度話を聞いた後に断ったが、物凄く必死に引き止められた、袖を掴まれて破られそうになった。藁にもすがる思いとはあの事を言うのだろう。

 

「そもそも、洋菓子しか作れなしな、俺」

 

そう呟きながら部活勧誘のチラシを見る。

 

「救急医学部は……医療知識がろくにないからパスだな」

 

と言うかピンとくる部活がなかった、これも中学時代に部活に入らずに姉の金魚の糞をしていたツケだろうか、手に職を付けていなかった。

 

「風紀委員会の募集は明日からだしなぁ……取り敢えず帰るか」

 

そんな独り言を言いながら駐車場へと歩いて行く、さっさと帰って寝ようと思っていると。

 

 

 

 

 

「おい……ちょっと待ちなよ、そこの嬢ちゃん」

 

明らかにガラの悪い声が後ろから聞こえてくる。

 

「ちょっと面貸してもらうぜ」

 

さっきの治安が悪い声とは違う声がすぐ後ろから聞こえ、肩を組んでくる、そして路地裏に連れ込まれる。

そして路地の奥までまで着く、路地の奥には3人ほど生徒がおり、全員が小銃を手に握っていた、どう考えても不良だ。

 

「あのぉー何のようで?」

「決まってるでしょ、お金だよお金」

 

肩を組んできた不良が、ものすごくいい笑顔でお金のジェスチャーをする、

 

「いやぁ……手持ちがあまり無いんだ……見逃してくれないか?」

「嘘つけよぉ〜、その羽トリニティのだろ?トリニティって金持ちなんだろ?」

「入学式とかで随分の目立ってたよなぁ」

 

と言いながら少し笑いながら不良達はシロウの白い翼を指さす、確かにこの翼はトリニティの自治区に住まう生徒特有のものだ。

だからジロジロ見られていたのかと彼女は一人で納得した。

 

「あはは……そのぉ……いま本当にお金がなくてぇ、のど飴しかないんですぅ」

「じゃあジャンプしてみてよ」

「やだよ、チャリンチャリン鳴るし」

「じゃあ持ってんじゃん、ふざけてんの?」

 

おちょくってると思われたのか、キレられてしまった、段々と雰囲気が悪くなっていく、もう平和に交渉で終わらせるとはできない。

おそらく数秒後には銃撃戦……いや一方的に打ちのめされてしまうだろう。

先手を打たなければならない、そう思いシロウはホルダーに手を伸ばした。

 

「おい、何動いてるんだよ、なんだやる気か?」

 

その言葉を無視してホルダーの中の拳銃に手をつけて握る、その光景を見た不良たちは、あと数秒もしないうちに手に持った銃を構え放つだろう。

 

「なぁ……あんたら、早撃ちは得意か?」

「あ?何言ってんだおまっ「バン」」

 

軽い音が路地裏に響く、その軽い音と共に発射された銃弾を頭に受けて不良の一人は軽くのけ反り蹲った、いきなり過ぎたのか全員が撃たれた仲間の頭を目で追う、そう気を取られてる隙にシロウは自分から最も近い位置にいた不良に飛び蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐえっ!?」

「ちょっあんたっ、いたぁ!?」

 

いち早く状況を理解したであろう不良が小銃を構えたが、すかさずを片手に持った銃でその不良の頭に銃弾を叩き込んだ。

そして先程蹴りを叩き込んだ不良の襟を掴み、その後ろにいた不良に投げつける。

 

「ぎゃん!?」

 

不良は痛そうな悲鳴をあげながら、投げつけられた不良と共に壁まで吹っ飛んだ。

 

「ふざけやがって!これでもくらえ!」

 

と言いながら手に持つ小銃を乱射してくる、この狭い路地だと当たってしまいそうだが。

 

「こっちには盾がある」

 

先程片手間に撃った不良の襟を持ち手にして盾の様に扱い突撃する。

多少の申し訳無さを感じるが、ここはゲヘナだから何をやるのも自由と頭に焼き付けるように考える。

 

「おまっ卑怯だぞ!」

「いたっいたっやめてぇ!?」

 

盾が不良の銃弾を受けて悲鳴を上げる。

良心が非常に痛む、地元にいたシスターが見たらどう思うだろうか、おそらく説教をくらってしまうだろう。

だが、ここはゲヘナだ地元の常識なんて通用しない、何だってしていい、俺は自由だ。

そう彼女は自分に言い聞かせた。

 

「私は自由だあぁぁ!」

「いやぁぁぁやめてぇえぇぇ!」

「ぬぎゃぁぁぁ!?」

 

喚き散らす盾を不良に叩きつけた、頭から叩きつけた為かメキ、ミシッと人体から鳴ってはいけない音が成る。

 

「ふぅ……意外とやれるもんだな」

 

盾から手を離し、改めて周囲を見てみる、今殴ったのが2人、壁際で倒れている投げられた1人と投げつけられた1人、あと片手間に撃ったのが1人。

表す言葉があるとすれば死屍累々となるだろう。

陰湿な地元にはあまり無かった野蛮な解決方法、それを実行できた彼女は上機嫌に鼻を鳴らす。

 

「あっそうだ……銃で語り合ったんだから、これを貼らないとな」

 

倒れ伏す不良たちの顔に電話番号とメールアドレスそれとモモトークのIDの書かれた付箋を貼っていく。

 

「……喧嘩した後は仲直り、友達だ」

 

昔読んだ漫画のことを思い出しながら呟いた。

 

「帰ろ……」

 

自分のやったことを思い出しながら、彼女はポケットから取り出したのど飴を口に放り込み、路地裏から出て行った。

 




私の推しはアリウスです。

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