元トリニティの生徒はゲヘナの風紀を守りたい。   作:スイソーミズクサ

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戦闘描写って難しいですね。本当に。


五話 決戦!温泉開発部!

 

 

頭がグラグラ揺れる、頭の中で「救護」のニ文字が暴れ狂う。

 

「あの規則違反者共め……」

 

イオリは路地裏に隠れながら周囲の様子を伺う。

熱と煙が周囲に充満する、視界に映る全てが赤く照らされている、頬から垂れた汗は地面に触れた瞬間に蒸発する。

 

「けほっけほっ」

「大丈夫か?」

 

炎によって発生した煙が口内にに侵入し体を灼いていく、呼吸うまく取れずに身体機能が低下していくのを感じる。

 

「酸素いるか?」

 

イオリが酸素の入った缶をシロウに渡す、シロウはそれをひったくる様にに取り、酸素を補給する。

脳に新鮮にな酸素が行き渡っていき脳が活性化し、頭の中でごちゃごちゃになっていた情報が組み立てられていく。

そして自分が温泉開発部を他の風紀委員達と共に捕まえに行ったことを思い出した。

 

「にしても、温泉開発部もめちゃくちゃやるな……ここら一帯更地になるぞ」

「他の風紀委員は全員やられちゃったし、あいつら無駄に強いな……」

 

イオリがそんなことをぼやく。

路地の外には煤だらけのタンクトップを纏った温泉開発部員が大勢いた

 

「はぁはぁ……よく考えたらこれって火気厳禁だよな大丈夫なのかな……」

「あー……まぁ爆発しても大丈夫だろ、この状況だと危ない気もするけど」

 

そう言うイオリを大丈夫か?という目でシロウは見る。

 

「開発開発!」

「温泉最高!開発最高!爆発最高!」

「私のダイナマイトはレボリューションだ!」

 

変なことを叫びながら温泉開発部は爆薬を運び込んでいた。

 

「せっかく温泉開発部部長のカスミが出没してるって情報を掴んだのに……」

「どうするんだよ突っ込むか?援軍をしばらく来ないぞ」

「まぁそうするしかないだろ、あのままほっといたらアイツらの思い通りになっちゃうし」

 

そう言いながらイオリはクラックショットに弾を込める、なんで突撃癖があるのにスナイパーライフルなんて使ってるんだろうと今更ながらにシロウは疑問を持ったが考えないことにした。

 

「と言うか委員長がいない時に限ってこんなことやるとか、性格悪いなぁ」

 

ヒナは現在出張でいない、だから温泉開発部がこんなに風に暴れ回っている。

 

「それだけ舐められてるんだろ、痛い目見せてやればそんなことにはならないんだ」

 

イオリはふんと鼻息を鳴らし、すぐにでも突撃できる体勢に入った。

シロウも彼女に倣う。

 

「よし3秒数えるぞ」

「おっけ」

 

全力で走り出せるように呼吸整える。

 

「サン」

 

足に力を込める。

 

「ニー」

 

手に持つ銃を深く握り込む。

 

「イチ」

 

最初に障害となる敵を見定める。

 

「ゼロ」

 

地面を抉り取る様に蹴り跳ぶように走り出した。

急に現れた風紀委員に温泉開発部は驚いている様で固まっている、そんな様子の彼女達の顔面に弾丸を叩き込む。

 

「とりあえず、開発の中心まで行くぞ!多分そこにカスミはいるだろうし!」

「おけまる!」

 

キャラに合わないギャルっぽい返事をシロウは笑顔で返し、温泉開発部を倒しながらイオリ共に炎で焼け焦げた道を駆けていく。

 

 


 

 

そうしてる内に開発の中心付近まで辿り着いた。

 

「着いたけど色々と酷いな」

 

現場は殆どの建物が崩れているか半壊して燃えていて、道路のアスファルトは所々抉れ砕けている。

吹いてる風にはアスファルトやコンクリートの粒が乗っている。

 

「一応周囲の住民は避難してるから思う存分暴れられはするけど」

「正直ここまでボロボロだと被害拡大とか気にしなくても良さそうだな」

「とりあえずカスミ……うん?」

 

地面が小刻みに揺れ何かが抉れて崩れるような音が聞こえる、何かが地面に潜んでいる様な気配がする。

段々と揺れは大きくなりそれに比例するように音も大きくなっていく。

 

「なっなんだぁ?」

「くっ来るぞ!」

 

イオリはシロウの襟を掴んで後ろへ飛んだ。

 

「ぐえっ何するん……えっ!?」

 

シロウがイオリに文句を言おうとした瞬間、回転する2本のドリルを持つ赤い何かが先程まで立っていた場所なら飛び出した。

 

燃え盛る様な赤いカラーリングに人に比較的近い形をしていたソレは、どっしりとした重たい両足で着地した。着地した瞬間、地面のアスファルトは細かく砕け砂粒のようになり空中を舞った。

 

「アレってカイザーの新兵器か?……なんでこんなところに」

「なんつうもん持ち出してるんだアイツら!!」

 

カイザーのゴリアテらしき機体はこちらを向く。

 

『ハッーハッハッハッ!!』

 

耳を覆いたくなるような高笑いが周囲に響く、発生源は赤いゴリアテのようだ。

 

「まさか、カスミか!」

『そうその通りだ……風紀委員諸君……』

 

赤いゴリアテは頭に当たる黒々とした砲台をこちらに向ける。

無機質な印象を与えるそれに少しだけ恐怖心を覚えながら二人は身構える。

 

『まぁそこまで構えなくても良いじゃあないか、それに、これは唯の温泉開発用の機体だ、そこまで警戒しなくとも良いだろうに』

「んなわけあるか!温泉開発にあんな大砲いつ使うんだよ!」

 

イオリは苛立ちを隠さずに叫ぶ。

 

『まぁまず話を聞いてくれないか?私たち温泉開発部ではよく爆薬を使うんだが、それは硬い岩石を効率的に破壊するために、爆発力が調整されていてね。とても慎重に扱わなければならない。至近距離で使えば、大きな怪我をする可能性があるんだ。そこで、この掘削用の機体が役立つ!これを使えば、安全な距離から爆薬を放ち硬い岩石を破壊することができる。それによって、危険を最小限に抑えて安全な採掘ができるというわけだ!だから、この機体はただの兵器ではなく、安全な採掘を実現するための道具なのだよ!』

 

カスミはそう捲し立てる。

 

「そっそうなのか?」

「そんなわけないだろ、温泉の掘削に大砲とか使わねぇよ、どっちかというとドリルとか……あれにも付いてるな」

 

シロウは赤いゴリアテの腕部を見ながら言う、本来だったら付いてるはずの砲が無くなっており、代わりにドリルが付いている。

 

『まぁそこはどうでも良いだろう!さぁメグやってしまえ!』

「ほいきたぁー!」

 

その掛け声が聞こえた瞬間シロウとイオリの間に炎が走った。

二人は炎を避けるが分断されてしまう。

 

「なっなんだぁ!?」

「シロウ!後ろ!」

 

シロウはイオリの声を聞いた瞬間に後ろを振り向く、すると目の前には目が痛くなるほど明るく赤い炎が此方へ向かってくる。

シロウは咄嗟に避けると炎の発射元であろう人物に目を向ける。

 

「あちゃぁ、避けられちゃったぁ」

 

目の前には、目が痛くなるほどの真紅の髪に煤だらけの白いタンクトップを纏った少女がいた、その少女は火炎放射器をシロウの方向へ向けている。

 

「シロウ!そいつは!」

『よそ見している場合かい!』

 

イオリの声が聞こたが何かが砕ける音にかき消された、これだけで助けは期待できないことが分かる。

 

 

「俺一人でやるしかないか……」

「どうして、そんなに難しい顔してるの?」

「お前をしばく方法を考えてる」

 

そう言うと少女……メグは目を丸くして。

 

「えっそれは困るよぉ!部長に足止め?を頼まれたし!」

「なんでそこで疑問系なんだ」

 

メグは火炎放射器に付いたガスの弁をカチカチと調節しながらいう、調節というよりも全開と言った方が良いほど勢いよく回している。

 

「いっくよぉ!」

 

その掛け声と同時に火炎放射器からガスが放出され、そのガスに火がつくことにより揺れ蠢く炎と化しシロウに襲いかかってくる。

 

シロウはそれを宙へと飛び上がって回避するが、メグは火焔放射を薙ぎ払う様に扱い炎を宙へと拡散させる。

シロウは炎を避けるために体を広げないように縮こめる。

 

「あっつぅ!?」

 

それでも避けきれず当たってしまい、片手に持っていた銃を落としてしまう。シロウは地面に着地しすぐに走り出す、動き続けなければ炎に当たってしまうと判断したからだ。

 

「うーんあんまり当たんないなぁ、もっと出しちゃお」

 

そう言いながらメグは更にガスの弁を回す。

そしてシロウに向けて先程までとは威力の違う爆炎を放つ。

爆炎は荒々しい爆発音と共にアスファルトを焼き溶かしながら向かってくる。

 

「ぐぅ」

 

それをギリギリで回避し、メグの様子を見る。

すると少しだけよろめいていた、先程の炎とは威力が違いすぎるせいか反動があるようだ。

シロウはその隙にメグに近づくために溶けたアスファルトを蹴る。

 

メグは近づいてくるシロウに気付いたようで再度爆炎を放つ。

シロウはそれを回避しメグへ飛び掛かり……

 

「しゃんおらぁ!!」

「きゃっ!?」

 

腹に飛び蹴りを喰らわせる、尾を踏まれた犬の様な甲高い声をメグは上げる、シロツは上手くいった思ったのか口角をあげる。

 

「このぉ!」

 

メグはお腹の痛みを何とか耐えて、火炎放射器を目の前のシロウに向けて爆炎を放つ。

 

「ぐああぁぁぁ!!?」

 

指向性を持った爆発とも言えるそれをシロウは全身で受けてしまい、背後に大きく吹き飛ばされる。

 

シロウは吹き飛ばされた先の崩れた建物の壁に翼を突き立てる。

翼は衝撃を吸収しバネの様に縮む。

 

「いってぇじゃねぇか…この野郎!」

 

ビュン!!

 

縮んだ翼を解放し跳ね返るようにしてメグへと突撃する。そしてシロウは懐から瞬時にスタンガンを取り出し起動する。

 

「わっわわ」

 

メグは驚きながらも防御姿勢を取ろうとするが、あまりの速度に追いつけずに喉元にスタンガンを叩き込まれた。

 

「あばばばば!」

 

喉元にに接触したスタンガンはバチバチと火花を散らすながら、メグに電流を流し込む。

 

「きゅー……」

 

虫が鳴いたような断末魔を上げながらメグは倒れた。

それとほぼ同時に地面が揺れ動いた。

 

 


 

 

「あぁもう!無駄に硬いな!」

 

イオリそう叫びながらゴリアテのドリル攻撃をかわしながら関節部に弾丸を一発一発的確に撃ち込む。

 

『ふむぅ、同じ一年とはいえ流石は風紀委員会の幹部と言ったところか……よしこれを試すとしよう!』

 

ゴリアテの関節から蒸気が勢いよく放出される、ただでさえ高い気温がさらに上がる。

 

「なんだ?蒸気攻撃か?」

『本来は風紀委員長用装備なのだが……試しには丁度いい!』

 

頭の砲台がイオリを方へ向き、砲口が赤熱し始める、イオリは何かが来ると思い回避の準備をする。

 

『重油熱砲!発射!』

 

耳によく響く声がゴリアテから発せられた後に、砲門から赤熱した黒い何かが恐ろしい勢いで放たれる、それは周りの酸素を燃焼させながら進むためか赤い炎を纏っているように見えた。

 

「なっ!?」

 

イオリは後ろに回避することによって直撃を避けた。

 

「なんだこれ、ん?」

 

着弾地点を見ると黒い何かが赤熱し膨れ上がっていた。

それを確認した直後にそれは炎と共に爆裂し黒い何かが周囲に飛び散る。

 

「あっつうぅ!?」

 

黒い何かが皮膚に接触した瞬間、その部位に強烈な熱さと痛みを感じた。

熱さを感じた部位を見てみるとドス黒くぬらぬらとした物体がベッタリと張り付いていた。

イオリは熱さを感じながらもそれを取り払う。

 

「なんだよ!結局唯の兵器じゃないか!しかも大砲ですらないし!なんだよこれ!」

 

そう文句を叫ぶが話が通じない相手にそんなことを言っても無駄だろう。

 

『流石に風紀委員幹部と言えどこの程度か、部下がこの様子ではヒナ委員長も大したことないだろうねぇ!』

 

きゃきゃっと愉快そうな声がゴリアテのスピーカー越しに聞こえてくる。

 

「舐めやがってぇ!」

 

イオリは猛獣の様に牙を剥き出しにしてゴリアテを睨みつけながら、アスファルトが捲れ砕ける程の力と速さで道路を走り出す。

 

『ふむぅ、ならばこれはどうだ!』

 

ゴリアテの背中から無数のミサイルが放たれる。

 

「知るかぁ!」

 

イオリはそれを合間を縫うようにでも避けながらでもなく、ただひたすらに潔く突っ込んでいく。

例えるならば猪、まさしく猪突猛進を体現していると言えるだろう。

 

そのままイオリはゴリアテの懐に潜り込むと関節部にクラックショットをねじ込み

 

「壊れろぉ!!」

『おっと!?』

 

発砲する。至近距離で弾丸を撃ち込まれたせいか、先の攻撃より効いたようで関節部が爆裂しゴリアテは倒れ伏す。

 

「わぷっ!?」

 

イオリはゴリアテの下敷きにはならなかったが倒れた時の衝撃によって吹き飛ばされてしまうが、なんとか着地する。

 

「やったか?」

 

イオリは倒れたゴリアテを見る。

ゴリアテはキィーと煩い音が周囲に響かせているだけで動く気配は無い。イオリはほっと息を吐いて、倒れたゴリアテに向かってツカツカと歩き出す。

 

 

「イオリ!避けろ!」

 

視界の外からシロウの声が聞こえる。無事だったことにイオリは少しだけ緊張を緩め声の聞こえた方へ顔を向ける。そして遅れて声の内容を理解しゴリアテの方を向く。

 

「えっ?がっ!?」

 

イオリは鋭い痛みとそれを中心に皮膚の表面全体が捻られるような感覚に襲われ、大きく後方へ吹き飛ばされた。

 

『危ない危ない……念の為に関節を折られた時の手段を講じていて良かったよ』

 

くぐごもった声が起き上がったゴリアテから聞こえる。壊したはずの関節部を見ると細い棒で固定されていた。骨折したみたいだなとイオリは痛みで混乱する頭でふと思う。

 

『さてと……念の為に撃ち込んでおくか!しばらく眠ってもらうぞ』

 

はきはきと元気いっぱいで張り上げられた声がゴリアテから聞こえる。

頭の砲門がイオリの方を向き、熱を帯び始める。

 

「イオリ!」

 

メグを倒したシロウはイオリに向かって走り始めるが間に合いそうもない、シロウが着く頃にはイオリは熱い重油塗れになっているだろう

 

そんなことを薄々感じながらもシロウは力の限り走る。

 

だが間に合わない。ゴリアテの砲門から莫大な熱を帯びた重油がウォータージェットのようになって放たれた。

 

「うぉぉぉぉ!!イオリィ!」

 

もう間に合わない、そう考えながらもシロウは何かに縋るように手を伸ばす。

 

イオリ自身は「あぁ一ヶ月は休みになるなコレ」と諦めていた。

 

どっちに焦点を当てるにしても絶望的な光景、もう駄目だろう、二人がそう思った時

 

 

 

 

 

どがぉぁぁん!!

 

 

 

 

 

突然、イオリの目の前に黒い物体がアスファルトを砕きながら降り立った。その物体は、放たれた重油を受け止め、イオリを守る盾となった

 

「「えっ?」」

 

イオリとシロウは、状況を把握できず、驚きの声を上げた。

目の前に現れた存在は黒いコートを羽織り、たなびく袖には「風紀委員」と記された腕章が付いている。背中には大きな黒い翼が生えており、その翼に包まれることで降り注ぐ重油を防いでいた。

 

砲撃が止むと同時に、その存在は翼を勢いよく広げ、付着した重油を一気に払い飛ばした。

 

開かれた翼の奥には白くボリュームのある髪に、恐ろしい威圧感を漂わせ、それに反比例するような幼い体躯を持つ少女……ヒナがいた。

 

 

「……なに?この状況?」 

 

 

ヒナは面倒そうな声で背後のイオリに尋ねる。

 

「ヒナ委員長……」

「まぁいいわ……なんでこんなにぐちゃぐちゃになってるかも、なんでカイザーの新兵器を温泉開発部が持ってるかも、渦中の人物に聞けば済む話だわ」

 

そう言いながら、機関銃…… 終幕:デストロイヤーを構え唸らせる。

紫色のオーラのような物が彼女の周囲に漂っているように見えるのは気のせいではないだろう。

 

『まさか風紀委員長が現れるとはねぇ……しかも重油熱砲を翼で防ぐとは……そう簡単には行かないか』

 

ゴリアテは全身から蒸気を吹き出しながらヒナに狙いを定める。

 

「……まぁめんどくさいけど、いいわ……叩き潰す」

 

そう呟いた瞬間にゴリアテの鉄腕がヒナに襲いかかる、速度としては車の走行速度と同じ程、銃弾程の速さこそがないが、人体の運動能力で避けることは至難の業だろう。

 

バギィン!!メキィ!

 

鉄腕が地面に接触し先のドリルが地面をえぐり煙を上げた、避けられたのだろう。

煙は数秒すると晴れた、その先には……

 

「結構堅かった」

 

ヒナが切断されたゴリアテの腕に立っていた。

 

『なっ!?あれを一瞬で切断したというのか!?』

 

スピーカーから強く反響した声が聞こえる。

 

「次は?」

 

ヒナはふうっと息を吐きながら腕から降りる。トンと軽やかで華奢な音を鳴った。あんなことをしたとはとても思えない。

ゴリアテはヒナから離れる。

 

『ぐうっ!ミサイル展開!』

 

砲門を赤熱させながら、背中からミサイルを無数の放った。

夥しい数のそれは避けたり防御するということが考えられない程だった。

 

「叩き落とす」

 

ヒナは終幕:デストロイヤーは構えてトリガーを引く。その瞬間、弾丸が絶え間なく発射され、向かってくるミサイル全てを撃ち落とした。

撃ち落としたミサイルは爆発し煙が周囲に充満する。

 

『ふっふっ油断したな!ヒナ委員長!』

 

煙の先から火炎を纏った黒い重油が光線のような形でヒナに迫る。

それを目視したヒナはその重油の方に銃を向ける。

 

ヒナから紫色の様なオーラのようなものが放出され、それが彼女の銃に渦を巻くようにして吸収されていく。

 

「追い詰める……」

 

そう呟いた瞬間に機関銃からは銃弾ではなく、紫色のレーザー様なものを放たれた。

それは迫りくる重油を貫き花火のように飛散させる。そしてそのままその先にある砲門を貫いた。

貫かれた砲門は爆裂する、その衝撃でゴリアテは後ろに倒れる。

 

『うわぁぁぁ!?』

 

スピーカーから情けない声が聞こえる。

ヒナはツカツカと音を鳴らしながら、倒れたゴリアテへ近づいていく。

 

『くぅ!!一時撤退だ!』

 

ゴリアテは残った腕のドリルを駆動させ地面に潜ろうとする。

それに気づいたヒナはゴリアテに飛び乗る。

 

「コックピットはここかしら……」

 

ガン!ガン!

 

翼を激しくコックピットのドアに打ち付ける、打ち付けるたびにゴリアテ全体に振動が伝わり震える。

 

『随分と激しいノックだな!だが委員長、いかに君とて三百四十ミリの暑さの扉を破壊することはふかの……』

 

叩きつけられた翼は徐々にドアを歪ませる。

 

「そろそろ良いかしら」

 

ヒナは歪んだドアの隙間に指を差し込んだ。

 

ぎしゃぎしゃぎしぃ……

 

ペンチで無理やり金属を歪ませ千切るような音が周囲に響く。カスミはその異音にびくりと肩を揺らし、出口の方を見る。

 

「ひぃ!?」

 

カスミは差し込まれた指を視界に捉えてしまい、恐ろしさのあまり操縦桿を離してしまう。ぶるぶると震え上がる彼女はまるで小動物のようだ。

 

「見つけた……」

 

気怠げな囁く様な声にカスミの耳は埋め尽くされた。

視界にいるのはアメジストの様な瞳を待つ白い悪魔、それは歪んだ扉の先からカスミを見ている。そこから白い腕が伸ばされた。

 

「ひっひぃ!?」

 

カスミは逃げ道を探るように背後を弄るが、そもそもコックピットの中のためボタンやレバーしかない。

やがて腕はカスミの襟の部分まで伸ばされ、掴まれた。

 

そしてコックピットから引っこ抜くように外に出され、放り投げられた。

 

「ぐえっ!?」

 

放り投げられたカスミは煤や砕けたアスファルトに塗れ、ボロ雑巾の様になる。

 

そうなったカスミにヒナは近づく。

 

「ひっ!?まだ待ってくれヒナ委員長、話があるんだ!」

 

ヒナはカスミに近づく。

 

「私達温泉開発部は決してゲヘナを破壊したいわけでないんだ、私達はあくまで温泉開発が目的なんだ!」

 

ヒナはカスミに近づく。

 

「温泉はとても素晴らしい!さまざまな効能があって健康にも良い!何より観光資源にもなる!」

 

ヒナはカスミに近づく。

 

「その観光資源が増えれば、ゲヘナにやってくる旅行客も増えて、経済もよく回る!学園にもメリットがあるはすだ!」

 

ヒナはカスミに近づく。

 

「それにゲヘナは火山がある土地だ!つまり眠っている温泉も数多くあると言うこと!これを生かさない手はない!」

 

ヒナはカスミに近づく。

 

「だから……」

 

ヒナはカスミの額に銃口を当てる。

 

「随分と長かったわね……そう言うのはね」

 

ヒナはトリガーに手をかける。

 

「万魔伝のタヌキに言いなさい、私達は風紀委員会だから」

 

ヒナはトリガーを引いた。

 

布を切り裂くような銃声が悲鳴と共に響いた。

 

 


 

 

「結局、最後は全部委員長が持ってったな」

 

イオリはギプスの巻きつけられた片足をブラブラさせながら言う。

 

「まぁそうだな……色々と凄まじかったな、気分としてはそうだな……薄汚い害獣のドブネズミが凄い悲惨な虐待されてるのを見た感じ……だな」

 

シロウはガーゼの貼られた頬をかいた。

 

「なんだそりゃ」

 

「そうとしか許容できないだろアレ」

 

「いやまぁ……良いだろ規則違反したんだから!」

 

むしろスッキリしたと言わんばかりにイオリは鼻を鳴らした

 

「とりあえず今日は帰るわ」

「うん、じゃあね」

 

シロウは保健室を出て仮眠室に帰って行った。




今回出てきたゴリアテは温泉開発部がそこら辺で拾ってきた試作品を改造したものです。

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