開幕
【セミナー視点】
先日の『郊外』での橋の崩落が市街地に近い地域で起こり、ミレニアムは調査を強いられた。
結果としては、何者かのミサイルが橋に撃ち込まれ、片方の橋脚を巻き込み断裂し、ドミノ倒しに崩落したことがわかった。只の桟橋ではなく街を繋ぐ大橋レベルが崩落しているのが問題であった。
超高密度な爆薬が、互乗起爆札の様に連爆しているような跡だった。使われているであろう爆薬の中には、高度な精製を必要とされる、オクトーゲンと微量のヘキサニトロヘキサアザイソウルチタンが含まれていた。
報告書を見て、頭を抱えた。
ユウカ「軍用の爆薬じゃない…」
ノア「橋を落とすほどの威力があるのも納得ですね」
冗談じゃない。早瀬ユウカは徹夜明けであった。先々週に起こった、MRIの事後処理もまだ終わっていない。
死亡した生徒の事後処理報告の精査が進んでおらず、更には通常業務である、会計としての予算の帳簿をノアと2人で管理していたため、この2つの突発的な事案のせいで、オーバーワークとなっていた。
それに加えて現在セミナーの会長が行方不明であった。
又、昨日は黒崎コユキを連行していた為、業務が滞っている。
現資料では、これ以上調査は不可能なため切り上げようと考えるも、原因不明の兵器を乱発する者を放置することができなかったため、この案件は『ヴェリタス』『特異現象捜査部』送りになった。
ヒマリ「理由はわかりました。この超天才清楚系病弱美少女ハッカーに任せなさい」
この人はいつも自己紹介が長い。後、自信過剰である。
ヒマリ「早速ですが、1つ。このミサイルを撃ったと思わしき人物に心当りが有ります。ここ数日でブラックマーケットや『廃墟』並びに『郊外』で問題行動を盛大に行っている者です」
ヒマリ先輩が見せたのは
ユウカ「『波村ハズハ』ですか? この方がミサイルを作ったと?」
ヒマリ「いいえ、まだ疑惑の段階ですが、余りにもミレニアム周辺で似たような問題を起こしていますので…」
過去2ヶ月分の飛跡を見ると―――
銃撃戦で、自分の改造銃を試し撃ちによる火災や、建物の崩落、住民を巻き込んだ榴弾の試爆。そして目につくのは
ユウカ「――死亡事故に関与。」
ヒマリ「まだ、ヴァルキューレでは調査中。しかし【連合】の『犯武領』から出てきたと思われる武装集団が暗黒銀行を襲い、同時期に暗黒銀行で死亡事故の疑いが彼女にはかかっています。この時に使われていた銃も改造品。威力も肉体を容易に傷つける。又、激焼を伴っています。この事件もここ2ヶ月での事件と一部似ていますね」
ヴァルキューレの調査書をハッキングで手に入れたのか…ツッコミたい所はあるが今は、問題解決が先。
【連合】は比較的新しい自治区だったはず。と言っても連邦生徒会からは認められていない、ブラックマーケット類。ヒマリ先輩曰く、【犯武領】の自治区自体は、元々小規模の商業高校であった。しかしカイザー到来以降、高校自体が競争に負けて、赤字を挽回できずに閉校まで追いやられた。それが5年前。
ヒマリ「もう一つミサイルの事で疑問が有ります。恐らく、使用されている火薬は2種より強力な物。又はそれに準ずる構造的な加工がされています。」
ユウカ「既存の素材ではないってことですか?」
ヒマリ「えぇ、ミサイルの残骸から推測して推進剤とミサイルの軌道を制御する回路部分を除くと、爆薬を仕込む部分が想定より小さい。連爆という観点からも、爆薬一つ一つが私の拳と似たようなサイズだと。最大の特徴として爆弾の一つ一つが『爆轟』を起こすレベルではなければ、崩落した橋があのようにひしゃげないのではないかと思うのです。」
そうしてもう一つの実験データを示していた。エンジニア部協力の元、再現実験を行ったところ、『爆轟』レベルが連爆しなければ、橋脚は折れないことがわかった。
私は、膝から崩れ落ちそうになった。コレが本当ならば、もはや未知の兵器だ。
私とヒマリ先輩が話し込んでいるうちに、スマホが鳴る。
ノアからだった。
ユウカ「ノア急にどうしたの何か問題でも?」
ノア『ユウカちゃん。ミレニアムの自地区内で出所不明の姿形がバラバラなロボットやドローンが複数徘徊しているとヴァルキューレに通報があったみたい。既に何機かは学園内に侵入したわ。』
ユウカ「…ヒマリ先輩…」
ヒマリ「今は、ロボットを回収が第一ですね。市街地の方はヴァルキューレの方々に任せましょう」
波村ハズハと特異現象捜査部が衝突するまで間近である。
【波村ハズハ視点】
「さて、目的のツヅミちゃんの研究レポートを根こそぎ消しに行こうか。ついでに、いくつかエンジニア部の機器も掻っ攫おうか。楽しくなるぞぉ」
ミレニアムのネームドの会話とかめっちゃ疲れるわぁ。想定していない落とし穴でした。国語力3以上取ったことない自分には会話の負担がおもすぎた。でも会話させたいよねぇ…