というわけで、とある二人の出会い話でもと。
友人が話の流れを書いたっきり「いつ入れようか?」ってなってたこのお話、今いれなければ!!
っていうか、入れようって二人で話して決まりました。
では、どうぞ。
ここは日本。そして、今は夜。
唐突で申し訳ないが、この平和だった日本に、悪さばかりしていたマフィアが逃げ込んだ。
しかし、そのマフィアはすでにほとんど壊滅状態で、残党らが逃げ込んできただけだったので、特に被害はなかった。
逃げていたせいで、誰かに危害を加えよう、なにかをしてやろうとなんて、考える者はいなかったのだが。
そのマフィアを追って、その残党の始末を任された二人の男が日本に向かった。
―――――ドサッ。
鮮血をまきあげながら、残党は倒れ伏した。
その背中を踏みつけ、男はあたりを見渡す。
首を動かすたびに、長い髪が揺れる。
「・・・う゛ぉ゛ぉい。これで終わりかぁ?」
低くそう言うと、懐から取り出した通信機で、もう一人の男に連絡を取ろうと、声をかけた。
「おい、ベル。こっちは全員殺ったぞぉ」
そう言うと、ベルと呼んだもう一人の応答を待つ。
だが、帰ってきた声は彼の呼びかけに対してのものではなく。
『あぁ・・・王族の血を流しちゃったよぉ~・・・』
「・・・・・・チッ。また意識飛ばしやがった。めんどくせぇなぁ・・・」
男は深くため息をついてから、その場から移動することにした。
☆ ☆ ☆
青年が一人、そこに立っていた。
それを見た男はその青年に近づいて、彼の背中を蹴とばす。
「う゛ぉおおおおおい!!!!ベル、さっさと起きろぉ!」
受け身もとらずに蹴り飛ばされたベルフェゴールが正気に戻ったか、男のほうを見上げて、「あれ・・・?」と声を漏らす。
その場に座り、首を傾げたベルフェゴールに対して男は嘆息する。
男が顎で指し示す方向をベルフェゴールが見やると、そこは惨劇の跡が残されていた。
死んだマフィアの残党たち。誰もが銃すら構えられぬまま無残に殺されている中、一人だけ銃を握ったまま倒れている男がいた。
彼が、『ああなった』こととつなげて考えると、つまり、この男は必死に撃ったら一発当てて、―――そして、気をおかしくしたベルフェゴールによって――——。
男はベルフェゴールを見下ろす。
ベルフェゴールは申し訳なさそうに肩をすくめて、
「あー・・・スクアーロ、えっと・・・ごっめーん」
「ごめんで済むかァ!また派手に被害出しやがって・・・」
スクアーロはひどく呆れたようにベルフェゴールに対して言う。
ベルフェゴールは小さく縮こまって、スクアーロの小言を聞く体制をとっていたが、しかし。
「――う、ぅ・・・」
そんな声が聞こえて、二人があたりを見渡した。
「・・・ったく、どうせなら全員殺れぇ。まだ生きてるやつがいんじゃねぇか」
「だーかーら、ごめんって。ちゃんと殺してくるからさ」
ベルフェゴールが立ち上がり、声の聞こえたほうへ歩いていくと、緑の髪の少女を見つけた。
全身が紅い―――血でまみれており、着ていた服が真っ赤に染まってしまっていた。
「・・・女?」
「なんだ、一般人のガキか?」
痛そうにうめく少女を見てボソリとつぶやくと、様子を見に来たらしいスクアーロがそう問いかけた。
眉を寄せたベルフェゴールがスクアーロに対して指示を仰いだ。
「どうしよー、スクアーロ?」
「・・・はぁ。とりあえずイタリアに連れて帰れ、お前が」
「えー」
「もともとお前が原因だろォがぁ!」
不満そうにするベルフェゴールに一つ言い放って、何度目かのため息をついて、
「・・・それに、俺は『オミヤゲ』を買ってかねぇといけないらしい」
「お土産?」
「ああ、マーモンに『五円チョコ、ジャポーネ製の買ってきて!』って言われた。あとクソボス用の酒」
「・・・」
うわぁ、と明らかに嫌そうな顔をしたベルフェゴールは、少女を見下ろした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ん・・・?」
少女は目を開けた。
体が締め付けられているような感覚を覚えて、自分の体を見下ろした。
包帯だらけの自分の腕、胴、足―――とにかく、包帯を巻かれていたのだ。
「あれ?もう起きたの?結構傷深かったのになー」
そんな陽気な声が前の座席から聞こえてきて、少女はそちらのほうを見やった。
体を起こそうとすると、体に痛みが走る。
「痛っ」と声を上げながら前の座席に座るその青年を見た。
「・・・と、いうか、あの・・・あなた、誰ですか?それに、ここ・・・どこですか?」
二つの質問をすると、前に座っていた青年、ベルフェゴールが答えた。
「王子♪」
「・・・え?」
予想外の返答だった。
少女は自称王子と名乗ったベルフェゴールにいぶかし気な視線を向けた。
ベルフェゴールは少女のほうを向いた。
そのことで気づいたが、彼の目元は前髪で隠れており、目があっているかもわからない。
(王子様に見えない・・・)
「ん?どしたの?」
「ほ、本当、ですか・・・?」
「まーな」
嘘を言っている様子は見られないものの、少女にとっても信じられない、いや、信じたくないことだった。
(・・・この人が、王子様・・・?!)
「んで、ここでどこだかは秘密だぜ、しししっ」
軽くそう言い、面白そうに笑ったベルフェゴール。
その言葉に目を丸くした少女が戸惑いながら言った。
「でも、私帰られなきゃいけないんです、けど・・・」
「無理」
「っ、なんでですか!」
即答されて、少女は痛みを訴える体を乗り出して、ベルフェゴールに向けてそう聞いた。
彼は少女に向けて、
「理由はけっこーあるけどまあ、『ここ、イタリアだから』」
先ほども浮かべた笑顔で、そう言い放った。
少女はしばし硬直して、そして、「いっ、」と声を漏らす。
「イタリアって外国じゃないですか――——!どうしてですか―――?!なんで――――—!!!」
「しししっ、おもしれー」
パニックになる少女を見て、ベルフェゴールは心の底から楽しそうに笑っていた。
☆ ☆ ☆
目的地にたどり着いたベルフェゴールは少女を連れて部屋の中に入る。
扉を開けて中へ入った彼を見つけたらしい、中にいた二人の人が顔を上げた。
「あら~ベル、おかえり~。早かったわね?」
「・・・」
ふわふわと浮いてる幼児と、オカマ言葉の派手な男が声をかけてきた。
そんなオカマ言葉の男――ルッスーリアに対して、ベルフェゴールは嫌そうに、
「うるせー、寄るな、オカマ」
とだけ言った。
ルッスーリアはむっと顔をしかめる。
「んまあ!つれないわねー!・・・ってあら?そっちのカワイイ子は?」
「・・・あ、の」
ルッスーリアの勢いに押されて、少女はベルフェゴールの背後に隠れてしまっていた。
涙をうっすらとにじませている。
「・・・これ、お前のせいだろ。すげーおびえてんじゃんか」
はぁ、とため息をついてベルフェゴールは少女を見下ろした。
「ところでベル、この子何者?」
「んー?一般じーん」
浮いていたマーモンが問いかけると、軽い調子でベルフェゴールが返す。
それを聞いてか、ルッスーリアが口をはさんだ。
「ちょっと、それまずいんじゃないかしら?スクアーロが責任とってボスに殴られちゃうわよ~?」
「いーじゃん。いつものことだろ?」
「あ、・・・すいません」
そんな二人の会話を聞いて、少女は申し訳なさそうにそう謝る。
ルッスーリアは少女の頭に手を置いて、ポンポンと撫でて、
「あなたは気にしなくてもいいのよ~。良い子ね、あなた。名前、聞いていいかしら?」
「わ、私の名前、ですか?」
優しい声音でそう聞いた。
少女は問われて、少し困ったように眉をハの字に寄せた。
「あ、それ俺も知りたい♪」
「・・・」
ベルフェゴールまでも聞きたがったので、言いにくそうに少女は頬を掻く。
そんなしぐさをするものだから、マーモンも声を上げた。
「ム・・・。答えたくないのかい?」
「違います」
マーモンの言葉を否定して、少女は言い放った。
「その・・・名前が、思い出せないんです」
ヴァリアーに着てしまった少女。
彼女、どうして記憶を失ってしまったのでしょう。とても不思議です(棒)
というわけで、次話も少女とベルフェゴールのお話となります。
それが終わったら、ついに黒曜編に入れるかな・・・?そんな感じですね。
少なくとも、来週くらいに黒曜編になるかと思います。
ではでは!