長門たち暁がいる場所、否、その戦場を眺められる場所についたオビトが見たのは、暁とそれを囲む暗部。そして、その間にうちは火炎陣を張るオビトの影分身だった。
戦場を見渡し、的を数える。戦いになる前に殺しておきたい奴を探す。白い髪の男、山中一族かもしれない。殺しておこう。瓢箪を持った忍がいる、油女一族か。写輪眼を遮られては困る。殺しておこう。黒髪の・・・?あれ?シカクさんじゃね?この人殺したらダメだろう。覚えておこう。で、どれがダンゾウだ?殺したらまずいんだが。まあ、三人以上はほぼ殺せないからこれでイイだろう。
オビトはクナイを二本取り出し、片方を右手に乗せて(・・・)右目の前に置く。左目で油女一族に標準を合わせ、両目で神威は発動させた。クナイは時空間に取り込まれ、油女一族の首元から飛び出し、その首を貫いた。
更に素早くもう一本取り出し、山中一族の首を貫く。オビトはその後すぐ敵陣のど真ん中に飛び込んだ。
「さて、暗部諸君。言い訳があるなら聞こうか」
暗部諸君とは言ったものの実際にはダンゾウへと向けられた言葉だった。無論、これは輪廻眼を狙ったことではなく、オビトの写輪眼を狙ったことへの言葉である。
くい、と暗部の一人が手首を曲げた。答えるつもりはないということなのだろう。
暗部が各々構えた。
「なら死ね」
穏便にすまそうとしていたのだが、話も聞かないというのであれば手加減するつもりはない。こちらも手練の暗部衆相手に加減する余裕など本当はないのだ。
速攻とも呼べる影が俺を物理的に縫い留めに来るが、オビトはそれをサイドステップで躱す。影縫いならばいくらでも神威ですり抜けられるのだが、影縛りの術はそうは行かない。山中一族の心転身の術もだ。木の葉の秘伝忍術は神威との相性が悪いものが多すぎる。
横へと避けたオビトに何倍も倍加した秋山一族と思わしき人物の手が叩き込まれるが、オビトは神威ですり抜け飛び出す。しかし、待ってました言わんばかりに心転身の構えをする暗部がいる。
なるほど、とオビトは毒づく。ダンゾウは輪廻眼だけでなく、うずまき一族の身体も欲していたのか。心転身で身体を奪うというのは神威だけでなく、輪廻眼にも有効だ。
オビトは上着を脱ぎ、それを盾にした。心転身のネックは射程の短さと、このように相手と自分との間に何かあると術が失敗する成功率の低さだ。
オビトはそのまま山中一族を飛び越え着地し、反転。山中一族をクナイに火遁を纏わせて始末しようとするが、横から忍刀を持った暗部が二人、オビトを串刺しにする。
オビトはそれを神威ですり抜けるが、目の前には心転身の術を構えた山中一族。元来の、つまり原作時のオビトであれば、これで詰みと言えるが、今のオビトは両目を持っている。
神威ですり抜けを維持したまま、オビトは左目の神威で、山中一族の胴体を腕ごと飛ばした。
残されたのは頭と下半身だけだ。辺りに驚愕が走る。当然だ。オビトは神威をすり抜けたまま発動できることを誰にも、それこそ母親にも話していないのだから。
さらに身を伏せ、神威を解除して暗部二人をクナイで貫き、始末する。
眼だけで左手の甲を見る。針は既に15分は立っていた。左手の呪印は一言で言ってしまえば時計だ。腕時計もあるのだが、はっきりいって邪魔なので呪印で時計を作ったのだ。
後、数分程度のはずなのだが、とオビトは影と距離をとりつつ、常に移動しつつ、辺りを見渡す。数は減っていない。否、当然殺した分は減っている。
あと少し、雨隠れの忍、つまり暁の面々を守り抜けば目標は達せられる。
いきなり地面から飛び出してきた忍の腕を掴んでへし折り、蹴り飛ばして、仲間ごと巻き込む、膨大な水遁を土龍壁で直撃を防ぐ。さらに巧みに視覚からよってくる影から土龍壁を足場に飛んで逃れ、空中にいて、動けないのいいことに飛んできた真空玉を神威ですり抜け、着地点へとよってきた影を影分身を足場に躱し、土遁で足場を崩してきたのでコケてしまい、止むを得ず、神威で地面に潜る。
はっきり言おう。チャクラが持たない。常に写輪眼で且つ、神威を連発していて、影分身も今日だけで10体位は出しているのだ。
割とぜえぜえいいながら、シカクさんを土遁・心中斬首の術で生首状態にして、顎を蹴って、動けなくする。
チャクラ不足に写輪眼も解除される。これを機と見た暗部たちは襲いかかる。オビトは最後の術に口寄せを選択し、口寄せした。
ミナトを。大事なことなのでもう一度。ミナトを。
口寄せされたミナトは困惑したように周りを見渡し、オビトを見つけると頭を抱えた。
「オビト。僕を口寄せするのはできればよしてくれないかい。いや、ほんと。これからクシナと食事に行くところだったんだけど」
いきなり口寄せされたミナトに暗部も困惑する。他国里において見たら逃げろとまで教えられる忍がいきなり現れたら誰だってビビるもんだ。
ミナトの登場に困惑する暗部を囲むように大量の忍が姿を現した。
「間に合った~~!」
オビトは思わずそう叫んでいた。
忍の中心にいるのは火の笠を持つ忍。即ち、三代目火影だ。
「これはどういうことだ。ダンゾウよ」
暗部たちに話しかける火影をよそに、オビトは火影の元へと遣わせていたのと、暁を守る結界を張っていた影分身を解き、情報を統括した。影分身の疲労感も合わさり、オビトはどさりと倒れ込んだ。無論。まだ、気絶はしていない。
「そうとう、激戦だったようだね。オビト」
「もうマジ死ぬ」
ミナトはにこりと微笑むと飛雷神の術でオビトを自分の家へと運んだ。
「取り敢えず、一休みするといいよ。クシナ何か作ってもらっとくから、起きたら食べるといいよ」
ミナトはそう言って火影の元へと戻ろうとするが、オビトは最後の力を振り絞ってミナトを掴むとちょいちょいと指で寄せ、何かを呟くとそのまま眠った。
ミナトは目を細めてこくりと頷くと、再び、火影の元へと戻ったのだった。