あとこの話だけテンションおかしい
転生没個性と個性
やあみんな!俺だ!成功者は必ずLUCKに恵まれながらも天性の才覚を持つ!俺はなぜかトラックに跳ねられたと思ったら転生が発覚した!それじゃ!
…うん、真面目にやろうか。
といってもさっきので全部なんだけど、さらっとこうなるまで振り返ってみよう。
中肉中背で偏差値50の一般成人男性という自称没個性代表の俺は、自宅に帰ろうとしているときに何処からともなく現れたトラックに跳ねられてしまう。
そしたらなんとびっくり、ママを名乗る美人とパパを名乗るイケメン、そして姉を名乗る幼女(カワイイ)に囲まれていたのだ!
そこから何やかんやあって俺が転生して赤ちゃんになっていると知る。
うーーん…夢かな?夢だな。よし、夢ならこっちでまた寝れば起きるだろ!
ほなお休み!
( ˘ω˘ )スヤァ…
◇◇◇◇◇
…ハッ!
夢から覚めてるか?
ベッドよし!
タオルケットよし!
天井知ってる!
空腹感よし!
ベッドを囲う赤ちゃん用の柵みたいなやつよし!
……転生したのは夢じゃなかったよ。
いやまぁ分かってたけどさ。でもさ、なんでこうなったんだよ。俺、一般人ぞ?特に偉業も成し遂げてない凡人ぞ?神様の気まぐれにしても気に入られるような要素ゼロぞ?
……いや、もしかしてトラックか?トラックのせいなのか?まぁ、確かにトラックに跳ねられたら転生するもんなぁ…ラノベも、そうだそうだと言っています。
ま、なったもんは仕方ない。降って湧いたセカンドライフ、楽しむぞ!おー!
となれば情報収集からだ!自慢じゃないがこの世界は今どういう情勢なのかも分からないからな!
そういうわけで、別室で今世の母親が見ているはずのニュース番組が聞こえるようによく耳を澄ましてみる。
『昨夜、鳴羽田市───にて自動車同士が衝突する事故が───』
ふーん、交通事故ねぇ。どんな世界にもあるもんだな、これ。俺が死んだのも交通事故が理由なわけだし、今はあんまり聞きたくない話題だよなー。
というかさ、朝のニュースだけじゃこの世界がどんなもんかあんまよく分からないわ。まぁ、それでも今のところは前世と全く一緒って感じだな?とてことは異世界転生って分けじゃないのか。…いや、多分技術力が上がってるっぽいから未来の世界の可能性も?
うーん分からん。何か年号とかの決定的な何かがないとなんも分から───
『速報です。───駅に
……おっと?
すぅ…ヴィラン?え?今ニュースキャスターさんヴィランって言ったよね?絶対言ったよね!?え!?マジかよ!?もしやここ、某○ARVELの世界か!?てことは一般市民にとってヘルモードじゃないですかやだー!
『おっ!…失礼しました。速報です。先ほど───駅に出現した
ん?オールマイト?
…あーはいはい、そっちね?ヒロアカの方ね?○ARVELじゃないのね?なら大丈夫か!
……
「
グッバイ☆身の安全!
こっち来んな☆身の危険!
「ママーー!!ねねがおなかすいたってーー!!」
ごめんお姉ちゃん、お腹は空いてないよ。ただ非情な現実を突き付けられただけなんだ。
◇◇◇◇◇
やあ、俺だ。ヒロアカ世界に転生した自称没個性の代表こと、大阪府在住の
そう、今世での俺の名前は泡淡粘々になったのだ。個性が光る名前だな!
え?うん、泡淡。
まぁ待て。苗字がふざけてるように感じるかもしれないが待ってくれ。ヒロアカの世界だと全くもっておかしくも何ともない名前だから。
普通に鉄哲徹鐵って名前のキャラ出てくるから。大真面目に泡淡ってのが表札に書いてあるから。本当に。
後ついでに女の子になっちゃいました。はい。
え?他に何かないのかって?
あのね、時間経過を舐めないでほしい。
だってさ、何だかんだいって女になってから3年経ってるんだからさ、もう特にこれといった感情もないんだよね。
性自認まで変わった覚えはないけど、正直「あなたは女です」って言われても違和感なんかないよ。「うん。それで?」って感じ。
これが分からないなら、視力悪い人は裸眼から眼鏡に変えたときか眼鏡からコンタクトに変えたときを想像してくれ。マジですぐ慣れるし当たり前になってるだろ?
あと、比喩表現方法なしに人生を大きく左右する重要なことがある。
それは“個性”だ。
俺はまだ発現してないんだけど、俺が原作主人公であるデクくんみたく無個性ってわけじゃないならもう9割分かってる。
というのも、大前提として個性っていうのは親から遺伝するもので、その両親の個性がそのまま引き継がれることがほとんど…らしい。
で、肝心の俺の両親の個性は、お母さんこと泡淡
ま、それでもヴィランなんていう凶悪犯罪者が蔓延る世界で自衛できない個性なのは弱い。ホントに簡単に死にかける。
そういう状況にさせないためのヒーローと言われればそうなんだけど、オールマイトが引退したあとはマジで治安崩壊してたから、その頃はもうそういうのから護ってくれるヒーローの手が足らんのよ。それに法律とか云々のせいでヒーローは常に遅れてやってくるしかないんだからさ。
そしてお父さんこと泡淡
それに頑張れば泡で摩擦を減らして速く移動できたりするし、防御面でも同じ感じで摩擦減らせば打撃系の攻撃ならいなせたりで、ないよりは断然マシ。
ね?超便利でしょ?
因みにお姉ちゃんこと泡淡
あ、お姉ちゃんは俺の3つ上の6歳ね。
そんな感じで俺の個性は『ガム』と『泡』の二つのどっちかになるはず。俺としては『泡』がいいなぁ。この世界だと本当に少しでも自衛できるかできないかで晒される危険の数って変わるからさ。
だから、お願い神様!転生チートなかったんだからせめて個性を『泡』にしてくれッ!マジで!
───と神頼みしたのが約三ヶ月前。
いやー長かった!三年前からこの瞬間を今か今かと待ちわびてたかいがあったぜ!
ん?何をそんなに待ってたかって?
フッフッフッ……聞いて驚け!ついに俺にも個性が発現したのだ!その名も…
『バブルガム』!
ガム風船を自在に操れる個性!
風船ガムじゃなくてガム風船、膨らんでる状態のやつ限定な!
…はい、個性『泡』と個性『ガム』が奇跡の合体事故を起こしました。なんでこうなったんだよ畜生め!
合体するにしてももっと他にいいのあっただろ!泡を自在に操れる個性とか!手を叩けば無限に生み出せるチューインガム兵とか!もっとこう…色々あったじゃん!
なんでガム風船を操るなんていうふざけた個性なんだよ!なんでそれに限定するんだよ!もっと操れる範囲広くあれよ!
というかそもそもガム風船操るってなんだよ!膨らませただけのガムを操ってどうすんだよ!自衛なんてどうすりゃいいんだよこんな個性で!
はぁ……はぁ……ふぅ…。
よし、これで不満は全部吐き出したな。
さて、正直なところ、個性が仕事に良い影響を与えるような職業なんてヒーローや肉体労働なんかで、そこまで多くない。ヒーローはともかくとして、もしそういう職業に就くことになったとしても不利になることはないだろ。
まぁ、成るようになれってやつだ。
それにヒロアカ世界の治安が崩壊するのはオールマイトが引退したあと。それまでは身の安全は守られてるといっても過言じゃないし、それにここは大阪。舞台が基本静岡周辺だったはずなんだからここまで露骨な影響は出ないはず!
これは勝ったな(確信)ガハハ!田んぼの様子見て風呂入ってくる!これで大阪まで影響きたら木の下に埋めてもらっても構わないよ。
「粘々、幼稚園行くよー」
「はーい」
おっともうそんな時間か。個性が発現したのは昨日の夜だったし、
よし!ちょっくら自慢してくるか!
◇◇◇◇◇
突然だが、俺には前世ではいなかった『異性の幼馴染み』という存在が今世ではできた。
俺が女になってるから、全男性が熱望してるその『異性の幼馴染み』は残念ながら男なんだけど。
それでも仲のいい男友達ってのは俺にとって嬉しい存在なわけで、そいつとはありがたいことに俺が産まれてすぐの頃、つまり3年前から家族ぐるみで仲良くしてるほどだ。いうまでもなく家は近い…というか真正面にある。
で、そいつと俺は同い年で当然同じ幼稚園に通ってる。だから俺たちはいつも一緒に幼稚園にいくんだけど、今日の俺はひと味違う!だって個性が発現したんだから!
まぁその個性、クソザコなんだけど。
それでもこの世界で俺くらいの子どもにとって個性ってのは、前世ならそうだった足の速さなんかよりも、もっとカーストを上下する決定的で重要なもの。
まだまだ個性が発現してない人がいる中なら、個性が発現しただけで一気にカーストトップ層に格上げだ。別に俺がカースト下位だったわけじゃないけど。なんなら母親譲りの綺麗系の顔つきのおかげで真ん中よりちょい上くらいだったんじゃないかな?
あ、綺麗系とはいったけど年齢的にクールビューティーって感じじゃなくて、とても子供らしいぷりちーな顔つきしてるから。
そんな感じでそいつを待っていると、ガチャリと音を立てて目の前の扉から、将来イケメンになりそうな可愛らしい金髪の男の子が飛び出してきた。
「ねね!おはような!」
「うん、おはようたいしろー!」
そう、この少年が幼馴染みの
なんてったって確かたいしろーの父親も母親もそんな感じの個性だったような気がするからな。おそらくきっとメイビー。
似た個性同士は惹かれ合うっていう考察、多分マジなんだろうなぁって。
あぁあと、身も蓋もない話にはなるけど、原作で『豊満太志郎』っていう名前は見たことも聞いたこともないから多分モブキャラ。だからといってたいしろーをどうするとかはないけど。
ま、そんなことより今は個性の自慢だ。たいしろーに俺の個性を披露するとしよう。
「たいしろー、いいもの見せてあげる」
「?なんや」
そう言って俺は、お母さんのバッグから事前にこっそりと盗んでおいたガムを口に入れて、膨らませられる程度まで柔らかくしていく。
「え?え?なにしとんの?」
たいしろーは混乱した様子で見ているが、そんなの関係ないのでガムを噛んでいく。
そしてようやくガムを膨らませて、それを口から切り離してふよふよと宙に浮かせてみせる。
「どうよ!」
よし!決まった!!これでたいしろーは俺を羨望の目で見て、舎弟に成りたいと懇願することになるだろう!フッフッフッ…将来的にすぐ立場が逆転する未来しか見えない!
ただ、肝心のたいしろーはわなわなと震えるだけで反応が返ってこない。そうしてたいしろーから反応が来るまで待つこと数秒。
「…す」
「す?」
「すげーっ!!ねね、個性発現したんや!ええなええなぁ!」
面白いくらい想像そのままの反応が返ってきた。反応が微笑ましくていいね!
「どない個性なんか教えてくれへん?」
「フッフッフッ…これはね、『バブルガム』って個性でガム風船を操れるんだ!」
「おおーー!!すご──…くはないなぁ」
「マジでそれな」
いくら子どもでもさすがに騙されてはくれなかったわ。でも、たいしろーも騙せないとか…やっぱり文面の時点で悲しいくらい弱いなこの個性。
もはや逆に意地でもこの個性でヒーローなってやろうか。無理か。
◇◇◇◇◇
幼稚園について、たいしろーにしたように個性を見せびらかして自慢したら案の定、今までにないくらいもて囃された後に全員から微妙って評価をくだされました。幼稚園の先生は苦笑いしながらそれを否定してくれましたが、絶対微妙だなって思ってました。俺は悲しいです、まる。
──そんなわけで、意外にも異形系個性を除いた女子の中で一番早く個性を発現したんだけども、まあ、『バブルガム』なんていうガム風船を操れるだけの個性はそうそう使わないから別に前までと変わらない生活を送っていた。
朝起きて
幼稚園に行って
幼稚園で友達と遊んで
家に帰ってきて
たいしろーと遊ぶ。
そんな感じのありきたりな幼稚園児の生活。マジで多分個性なんてない前世のそこらへんにいる園児とそんな変わらんと思う。
で、それが決定的に変わったのは、俺の個性発現から大体1年後の俺たちが4歳になったとき。
え?何が起きたのかって?まぁ、何かあったのか気になるよな、こういう風に言われたらさ。
実際に誰だって気になる。俺も気になる。んで、『いったい何があったのか』という質問に答えると、ところがどっこい何も起きなかったんだよ。
たいしろーの“個性”のことも何もかも。
《泡淡粘々》
個性『バブルガム』
本作の主人公。
将来クールビューティーな美人になりそうなTS転生者。
自分の容姿は分かっているもののモテるだろうという自覚なし。
《泡淡磨衣》
個性『泡』
我らが主人公の三歳上のお姉ちゃん。しかし残念ながら出番はほとんどない。
かわいい(かわいい)
《泡淡洗人》
個性『泡』
奈良出身。出番はない。
《泡淡噛莉》
個性『ガム』
千葉出身の標準語。出番は多分ない。