白銀の狂犬   作:嘘の仮面

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プロローグ

 

何も見えない・・・

 

何も感じない・・・

 

そんな”私”の身にひとつの光が差し込む・・・

 

ああ、どんなものであろうと私に触れるな・・・

 

私は、ぼくは、僕は、黄金の一番槍だ!!

 

僕は誰にも触れられたくない!!

 

僕を倒せるのは至高の黄金だけだ!!

 

故に、

 

”ああ わたしは願う どうか遠くへ 死神よどうか遠くへ行ってほしい”

Vorüber, ach, vorüber! geh, wilder knochenmann!

 

少年の声が響き渡る・・・

 

 

”わたしはまだ老いていない 生に溢れているのだからどうかお願い 触らないで”

Ich bin noch jung, geh, Lieber! Und rühre mich nicht an.

 

言い聞かせるような暗示のごとく・・・

 

 

”美しく繊細な者よ 恐れることはない 手を伸ばせ 我は汝の友であり 奪うために来たのではないのだから”

Gib deine Hand, du schön und zart Gebild! Bin Freund und komme nicht zu strafen.

 

少年の願いが広がる

 

 

”ああ 恐れるな怖がるな 誰も汝を傷つけない 我が腕の中で愛しい者よ 永劫安らかに眠るがいい ”

Sei guten Muts! Ich bin nicht wild, sollst sanft in meinen Armen schlafen!

 

 

 

”創造”

Briah――

 

 

 

”死世界・凶獣変生”

Niflheimr Fenriswolf

 

”泣き叫べよ劣等共・・・”

 

”今日ここに神はいない・・・”

 

 

 

彼自身の渇望を歌ったものである”それ”は「抱きしめてほしい」という彼の原初の願いを皮肉にも「誰にも触れられたくない」という願いにおきかえている。

 

接触された事実にも気づかなくなるその力は彼の意識を狂わせる。

 

故に、

 

     「接触した事実にも気付けない」

 

愛を受けられなかった人生ゆえに自分は両親に愛されている、しかし自分がそれを拒絶しているに過ぎないとすることで、真実を狂乱の檻へと追いやった。

 

無意識の思い込みでここまで捻じ曲がった渇望をもった少年は最終的に「自分は男でも女でもなく、子供も生めないし孕ませない」「故に種として完成しており、不死身である」という妄想にとらわれ、母と父を殺害、さらにその後もシリアルキラーとして客を中心に殺人を繰り返した。

 

同じ十三騎士団のマレウスには本名であるアンナと呼び特別な感情を寄せているかのように見えるが、実際は自身の本名と同じルサルカに自己を投影した自己愛を表していた。

 

そんなかつて水銀に侵された世界で黄金の下に従い白騎士(アルベド)を名乗っていた狂った白い狂犬の新しい人生である。

 

 

(今度の宿主は規格外の狂気だな・・・)

 

最初に狂気を垣間見た白い龍がつぶやいた。

 

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