あとがき
まずは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
「名前のない英雄」はどうだったでしょうか?
王道な逃亡劇ではありますが、ギミックといいますか、叙述トリックのようなものを合わせてみたので、驚いていただければ幸いです。
以下、執筆時の話になります。また、ネタバレを含みます。
読了後で興味がある方のみお読みください。
※※※ ネタバレ注意 ※※※
というわけで10万字を通して一度も主人公の名前を出さずに書きました。
誰もが英雄である、というテーマを書くと決めたときに真っ先に思いついたアイデアです。
誰もが英雄なのだとしたら、主人公に名前は要らない。そこには誰の名前を入れてもいい。そんなコンセプトでした。
個人的にはストーリー自体は令和版「走れメロス」だなあ、というつもりで書いていました。あとは「ローグワン」や「ロードオブザリング」でしょうか。いずれにせよ、王道だなあと思います。
さて今回、自分に課した縛りはいくつかありました。
・主人公の名前を一度も出さない。
・主人公のことを地の文で「少年」や「彼」といった三人称で呼称しない。
・現代日本の単位を使わない。秒やメートルなど。
・カタカナは使うけれど、外来語は使わない。オノマトペはあり。「ランプ」「ベルト」などの単語はなし。
などです(もし達成できていない箇所があったら教えてください。すぐ直します)。
下二つはともかく、上二つは想像を絶する難しさでした。簡単さ、と
ですが、この世にそうそうない小説を書けたのかなという点では、挑戦して良かったかなと思っています。
ラストについて。
本当は仲間が全員死んで、妹も死んで、それでも独りで剣を届けるという修羅のような道を歩ませるつもりで書き始めたのですが……終盤を何度書いてもライラは死なず、メノウも死なず、二人を死なせるのが却ってご都合主義に感じられてしまったため、しっかりと生きてもらうことにしました。
人が死ぬお話を扱うことの難しさを身を持って体感しました。これは、適当にやったらグダグダになりますね。もっと上達したいと思います。
というわけで、主人公くん(名前はまだない)には、生き残った嫁と妹と、それから娘ちゃんを幸せにしてもらおうかなと思います。
思えば走れメロスでも誰も死ななかったので、あるべき形に収まったのかなと。
改めまして、ここまでお読みいただきありがとうございました。
「面白かった」と思っていただけましたら評価していただけますと次回作の励みになります。
感想などもお待ちしております。
ではまたどこかで。