【RC&レジガール二次創作】ノバシェード残党北欧某国ちはや山荘事件   作:G-20

1 / 5
オリーブドラブ著『仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ』の二次創作を始めました。
結構な長篇となるでしょうが、色々お楽しみください。

因みに本作はオリーブドラブ著『仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ』とは別に佐々淳行著『連合赤軍「あさま山荘」事件』も原作としています。なので司令部要員がいっぱい出てきたり会議シーンが多かったりする見込みです。

原作登場人物
 ドナルド・ベイカー警察長官
  オーファンズヘブン事件後政治的理由で警察長官に就任し、部下の活躍でノバシェード残党を次々と検挙するという功績を挙げる。平時の人ではあるが、部下の活躍振りを称えたり労ったり負傷した部下の見舞いに行ったり殉職した部下の葬式に出たりと忙しい日々を送っていた。
  今回はノバシェード残党により特殊部隊が全滅したことで総統閣下する(ブチギレる)ことになる。


事件発生、ノバシェード対策室派遣幕僚団出動。

 オーファンズヘブン事件は終結した。同市を占領していたノバシェードは撃破されてその残党は逃走する。

 そんな中同市市長であったドナルド・ベイカーは(ツイてないことに)ノバシェードに屈しなかったことが(何故か)評価されてしまい北欧某国警察長官に抜擢されてしまった。無論本人は固辞したものの事件で余り良い所が無かった北欧某国政府は彼を持ち上げるプロパガンダを展開しており、世論の突き上げを前に1期のみという条件での就任を余儀なくされることになる。

 「どうしてこうなった…」ドナルド・ベイカー警察長官は新しい執務室で頭を抱えていた。彼は彼の評価に値していないことをよく知っていて、かつ本質的に善人であつたが故に虚像の通りに振る舞う事も出来ずにいる。実際のところ北欧某国警察の警察官たちはお飾りと認識しているのだが、本人がそれを知ったら120%同意したことだろう。*1

 

 そんな中、北欧某国警察に入った一本の通報が事態を大きく動かすことになる。それは"見慣れぬ薄汚い男女がキャンプ地じゃないところでキャンプしている"というものであつた。これをきっかけに北欧某国警察はオーファンズヘブン事件の失点を取り返す意気込みで捜索を開始して次々とノバシェード残党を検挙していった。そして「その栄誉は部下のものだよね?」という本人の声を無視してドナルド・ベイカー警察長官の株が高騰する。

 かかる事態を前に自棄となったドナルド・ベイカー警察長官は全力で警察官をサポートすることで警察官からの声望までも手にしてしまった。*2

 

 そんなある日のことである。北欧某国の機動隊員数名が捜索していたところある山荘にアジトがあるらしいという通報を受けてその山荘に向かい窓から中を覗いた瞬間、ノバシェード残党が突如発砲し銃撃戦に発展する。

 冬のため長閑になった避暑地に銃声と(何故か)爆発音が木霊する。不意にノバシェード残党がAKを乱射しながら突撃を敢行し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を抱えたノバシェード残党や()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を抱えたノバシェード残党らがあとから続く。結局数名の一般機動隊員では防ぎ切ることが出来ず突破を許してしまった。そしてノバシェード残党は断崖絶壁からせり出すように建設されたちはや山荘に侵入し留守番していた管理人夫人を人質に立て籠もった。

 

 それらの報告を受けたドナルド・ベイカー警察長官は警察特殊部隊の投入と救出失敗という最悪の事態に備えて軍竝ノバシェード対策室への要請準備を命じた。だが、事態は想定された最悪を悠々と超えていった。

 

 

 人質救出を命じられた警察特殊部隊は車輌で素早く展開し、徒歩で慎重にちはや山荘まで距離1,200mのところまで接近する。そこでドローン班と通信隊を分離して距離600mのところまで前進を続ける。彼等は彼等のボディアーマーの性能を信じていたし、そもそも距離600mではアイアンサイトでの照準は不可能であると知っていた。そんな彼等の頭上を複数機のドローンがちはや山荘に向かって飛んで行く。ドローンには高性能カメラが装備されていた。

 「人質の所在が明らかになればノバシェード残党は忽ち消滅するであろう。」シュタイナーはドローンのカメラにより人質の所在が割れると確信して麾下の特殊部隊に訓示した。

 シュタイナーが確信した通りドローンは人質の所在を明らかとした。ノバシェード残党は油断しているのか人質を窓の近くに置いているようである。シュタイナーは麾下の隊長を集めて砂盤を作り、作戦の立案に取り掛かった。基本の流れは包囲と見せかけながらちはや山荘に取り付いてよじ登り、人質を確保してロープで降ろすというものである。そして安全確保のため距離300mの位置から対壕*3を掘ることも決定された。

 そして各隊ごとに分散して攻撃位置へと前進を始める。そうしてシュタイナー直率の本体が距離400mまで近づいたところで銃声がして、直ちに伏せる。そして周囲を見回して損害を確認すると各隊長へ被害報告を求めようとしたのだが、伝令が無線の故障を報告してきた。已む無く伝令を直接派遣して被害報告を集めさせることにした。直後に再び銃声。再び辺りを見回すと、ドローンが次々と落下していくのが見えた。シュタイナーは隊員を急いで通信隊に伝令に走らせると、またも銃声が鳴り響き、今度は爆発音と伝令に走らせた隊員の断末魔が聞こえてきた。何が起きている?シュタイナーは未だ嘗て経験したことのない事態に内心動揺していた。

 その後もノバシェード残党による発砲は続いている。そんな中ようやく伝令が戻ってきた。どの隊も最初の発砲では被害が出ていないという報告を怪訝に感じたが、続く報告である疑念に確信を抱いた。それは全ての隊で無線が故障しているという報告であり、最初の発砲から間もなく通信隊の無線機に支障が生じたというものである。そこでシュタイナーは伝令に通信隊の被害状況をみてくるように命じると、伝令への援護としてちはや山荘への制圧射撃*4を命じた。ちはや山荘に銃弾が撃ち込まれる。しかしノバシェード残党は被弾を一切気にすることなく伝令への射撃を行う。しかし伝令もさる者で*5、仲間の発砲音とノバシェード残党の発砲音を聞き分けてノバシェード残党による発砲音がした瞬間に伏せることで敵弾を回避していた。躱されてしまった敵弾は伝令から離れた所で雪に突入してから炸裂し、虚しく雪を巻き上げるのみであつた。

 そこから数秒して、ノバシェード残党は伝令への狙撃を切り上げた。そして継続される制圧射撃を意に介する事無くちはや山荘に接近する他の隊への狙撃を再開する。

 

 その頃、陽動のため繞回運動を行う隊はノバシェード残党の狙撃により地獄絵図となっていた。狙撃により始めに隊長の頭部が爆発四散し、それに混ざった弾片(スプリンター)が伝令や周囲の隊員を襲い偶々隊長に顔を向けていた隊員の顔面を引き裂く。生じた混乱の最中今度は伝令の下顎部が爆発して弾片(スプリンター)が周囲の隊員の頸部を切り裂く。生き残った隊員が伝令が背負っていた無線機を使ってシュタイナー達に事態を知らせようとするも、無線機は何ら機能を果たさない。隊員はバラバラに応射するが、当然功を奏する事無く狙撃により見るも無惨な状態となって全滅した。

 

 それを知らないシュタイナーたちは塹壕を掘りながら通信隊に派遣した伝令の帰りを待っていた。ほぼ同時刻、通信隊に派遣された伝令は榴弾で吹き飛んだ通信隊に所属する警察特殊部隊員の変わり果てた姿であった。おまけにドローン班もまた全滅していた。伝令は足取り遅く原隊に戻り始めた。

 だが、伝令が到着する前に北欧某国警察特殊部隊の別働隊は全て上半身を内側から爆破されるようにして全滅してしまい、狙撃の脅威がシュタイナー率いる北欧某国警察特殊部隊本隊に迫っていた。幸い彼等は塹壕を掘っていたためノバシェード残党の狙撃兵は目標を定めかねていた。そんな中通信隊に派遣された伝令が戻ってきた。ノバシェード残党の狙撃兵は伝令に狙いを定める。しかしながらノバシェード残党の狙撃兵は弾を撃たずに合流するのを待った。そして通信隊に派遣された伝令はシュタイナー達に合流して通信隊やドローン班の状況を報告する。シュタイナーは北欧某国警察特殊部隊本隊に原位置から対壕を掘り進めてちはや山荘に向かうことを命じた。

 シュタイナー達は対壕により狙撃から守られていた。どうやらノバシェード残党は対壕に対する有効策を有さないようだ。*6そうこうするうちにシュタイナー達は距離を100mまで詰めることに成功する。しかしながらシュタイナー達の目標は断崖絶壁に建つちはや山荘であり、それ故に上からの撃ち下ろしとなるため掘っただけの塹壕で十分な防禦が得られなくなりつつあつた。ノバシェード残党はシュタイナー達に向けてロケット擲弾を5〜6発放つ。ロケット擲弾はシュタイナー達の周囲に着弾して爆発したかと思えば爆炎が広がり、爆炎でシュタイナー達とその周囲を包み込んで灼く。

 そうして1630(16時30分)頃、北欧某国警察特殊部隊は燃え上がる爆炎に灼かれて玉砕した。

 

 

 北欧某国警察本部の会議室(しばらくの間ルビと共にお楽しみください)。(内装は総統閣下シリーズの例のシーンとほぼ同じである。)

 「観光地に建てられた山荘に(Es ist dem Feind gelungen, )不審な足跡があるのを(die Front in breiter)巡回中の警察官が発見。( Formation zu durchbrechen.)それを辿って山荘に向かったところ(Im Süden hat der)ノバシェードの残党と銃撃戦となり、(Gegner Zossen genommen)突破を許してしまいました。(und stösst auf Stahnsdorf vor.)ノバシェード残党は(Der Feind operiert am)断崖絶壁に建つちはや山荘を急襲し、(nördlichen Stadtrand zwischen Frohnau und Pankow,)これを占領して(und im Osten, der Feind hat an)留守番の管理人夫人を人質に(der Linie Lichtenberg, Mahlsdorf,)立て籠もっております。(Karlshorst gelangt.)」北欧某国警察幹部のクレーブスは事件の発生と経過を報告する。

 「人質はシュタイナー率いる特殊部隊により(Mit dem Angriff Steiners wird)救出されるだろう。(das alles in Ordnung kommen.)」ドナルド・ベイカー警察長官は優秀な部下を信頼して自信有りげに語る。

 だが、

 「長官…(Mein Führer ...)

 「シュタイナーは…(Steiner ...)」クレーブスは口籠る。

 「シュタイナーはノバシェード残党の(Steiner konnte nicht genügend Kräfte )強固な抵抗に遭い玉砕したのです。(für einen Angriff massieren.)

 「人質の救出は失敗しました。(Der Angriff Steiners ist nicht erfolgt.)」それを受けて頭が蛍光灯の灯りを反射して輝いている北欧某国警察幹部のヨードルが代わりに報告した。

 自身もノバシェードにより人質とされた経験を持つドナルド・ベイカー警察長官は、報告を受けると手をワナワナさせながら老眼鏡を外して無人偵察機部隊からの報告書を読む。

 しばらくの静寂。それを報告書を読み終わったドナルド・ベイカー警察長官が破った。「次の四名は残れ。(Es bleiben im Raum:)カイテル、(Keitel,)ヨードル、(Jodl,)クレーブス、(Krebs)アンポンタン。(und Burgdorf.)

 北欧某国警察幹部達がぞろぞろと会議室から出ていった。

 そしてドナルド・ベイカー警察長官と残るよう命じられた4名を含む6名の警察幹部を残して扉が閉まると、ドナルド・ベイカー警察長官は怒りを顕にした。

 「命令したのだぞ!(Das war ein Befehl!)

 「人質の救出は命令だったのだ!(Der Angriff Steiners war ein Befehl!)

 「いったいどこのだれが、(Wer sind Sie,)私の命令に反逆するなどという(dass Sie es wagen,)大それたことをしようというのだ!(sich meinen Befehlen zu widersetzen?)

 その怒りの中反論を試みた者が居た。

 「そこまでのことをしようというとは…(So weit ist es also gekommen ...)」アンポンタンである。無論その反論はドナルド・ベイカー警察長官の怒りの火に油を注いだだけであった。

 「警察は私を欺いていたのだ!(Das Militär hat mich belogen!)

 「だれもが私を欺いていた。(Jeder hat mich belogen, )特殊部隊までもだ!(sogar die SS!)

 「警察幹部どもの全体が、(Die gesamte Generalität ist)卑劣な、忠誠心のない、(nichts weiter als ein Haufen)卑怯者の塊以下の存在だ!(niederträchtiger, treuloser Feiglinge!)

 「長官閣下、(Mein Führer,)閣下のために血を流している(ich kann nicht zulassen)お巡りさんをそのように言うことは……(die Soldaten die für Sie verbluten...)」ドナルド・ベイカー警察長官の余りの言いように、アンポンタンは毅然として抗議する。

 「やつらは卑怯者だ!(Sie sind Feiglinge! )裏切り者だ!(Verräter! )腰抜けだ!(Versager!)」だがそれは怒りの火に油を注ぐだけであった。

 「長官閣下、(Mein Führer,)閣下の仰りようは(Was Sie da sagen,)完全な侮辱です。( ist ungeheuerlich.)」アンポンタンは怒りにあてられてか感情的になる。

 「警察幹部どもは国民の中のカスだ!(Die Generalität ist das Geschmeiss des deutschen Volkes!)」ドナルド・ベイカー警察長官の怒りは未だ収まる気配が無い。

 「チクショーメ!(Sie ist ohne Ehre!)」ドナルド・ベイカー警察長官は激昂して鉛筆を叩きつけた。

 「やつらは警視などと言って偉ぶっているが、(Sie nennen sich Generale,)ただ警察学校を出たというだけだ。(weil Sie Jahre auf Militärakademien )そこで何をしていたかというと、(zugebracht haben nur um zu lernen, )お食事のお稽古をしていただけだろう!(wie man Messer und Gabel hält!)

 「警察幹部は私の活動を(Jahrelang hat das Militär)ひたすら妨害してきた。(meine Aktionen nur behindert!)

 「やつらが頭で考えることといったら、(Es hat mir jeden nur erdenklichen )私の歩く道に邪魔ものを置くことだけだ!(Widerstand in den Weg gelegt!)

 「私ももっと早く、(Ich hatte gut daran getan,)警察高級幹部どもを(vor Jahren alle höheren)みな粛清しておくのだった!(Offiziere liquidieren)あのスターリンのように!(zu lassen, wie Stalin!)」そしてドナルド・ベイカー警察長官は椅子に座り半ばうなだれる。

 「私は士官学校や警察学校などには(Ich war nie auf)行っていない。(einer Akademie.)

 「そのかわりに私はひとりで、(Und doch habe ich allein,)私自身の力のみで、(allein auf mich gestellt,)頼みになる将兵達を育ててきたのだ!(ganz Europa erobert!)*7

 「裏切り者め。(Verräter.)

 「最初の最初から、(Von allem Anfang)私は裏切られ、(an bin ich nur verraten)欺かれてきていたのだ!(und betrogen worden!)

 「これは途方もない裏切りだ。(Es wurde ein ungeheurer )国民への裏切りだ。(Verrat geübt am deutschen Volke.)

 「しかしこの裏切り者どもは、(Aber alle diese)みな報いを受けるだろう。(Verräter werden bezahlen.)

 「やつら自身の血でつぐなうことになるのだ。(Mit ihrem eigenen Blut werden sie zahlen.)

 ドナルド・ベイカー警察長官が放つ極めて希少価値のある怒号に、かつてオーファンズヘブン解放戦線に身を投じた少女たちの世話を担当した女性秘書*8のゲルダは竦み上がり泣き出してしまった。

 「ね、ゲルダ、落ち着いて。(Bitte, Gerda, jetzt beruhig dich doch.)」もう一人の男勝りな女性秘書のユンゲがゲルダを落ち着かせようとする。

 オーファンズヘブン事件の時折悪く海外に出張していたドナルド・ベイカー警察長官の被援助者のエヴァが心配そうに様子を伺う。

 だが、そんな廊下の様子などお構いなしにドナルド・ベイカー警察長官は続けた。

 「私の命令は(Meine Befehle)風の中にささやいているようなものだった。(sind in den Wind gesprochen.)

 「この状況を(Es ist unmöglich,)警察でどうにかしようなどというのは(unter diesen Umständen)もはや不可能だ。(zu führen.)

 「おしまいだ。(Es ist aus.)

 「戦争は負けだ。 (Aber wenn Sie,)

 ドナルド・ベイカー警察長官は北欧某国警察幹部を睨むと宣言する。

 「しかし諸君、(Aber wenn Sie,)私がテロリストに屈するだろう(meine Herren, glauben,)などと思っているならば、(dass ich deswegen Berlin verlasse,)それはとてつもない間違いだ。(irren Sie sich gewaltig!)

 「そんなことをするくらいなら、(Eher jage ich mir eine )私は軍と対策室を呼ぶだろう。(Kugel in den Kopf!)

 「君たちは自分のしたいようにしたまえ。(Tun Sie, was Sie wollen.)

 それから間もなく、ドナルド・ベイカー警察長官はオーファンズヘブンから30km離れたところにある避暑地の街の警察署に「ノバシェードちはや山荘籠城事件警備本部」を設立して移る。同時にノバシェード対策室へ要請を発出して3,000名もの警察官を動員、断崖絶壁の山荘を包囲し周囲の道路を検問で封鎖する。それと時を同じくして北欧某国政府はドナルド・ベイカー警察長官の要請を受け、国王の名において事件後に創設された装甲師団*9と嘗ての精鋭部隊であった郷土防衛隊を改組して組織された第八装甲擲弾兵旅団の動員を発令する。オーファンズヘブンから30km離れたところにある避暑地の街は警察と軍隊に溢れかえろうとしていた。

 

 

 ノバシェード対策室本部に北欧某国からの要請が届く数日前、フィンランド首都ヘルシンキ郊外にある北欧支部*10による無線傍受*11報告によりノバシェード対策室警備局はノバシェード残党が北欧某国オーファンズヘブン方面で発見されたことを知る。この報に接した佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官*12はすぐにドローンも含めた纏まった規模の増援を派遣することを意見具申する。彼は何といっても事態が小さいうちに大戦力を一気に投入して事態が拡大する前に潰してしまう方法を好んでいた。しかしながらそれはノバシェード対策室の主流である「いつも手遅れ、いつも足りない、そして現場が酷い目に遭う」という戦力逐次投入思想とぶつかることになる。3年前のオーファンズヘブン事件では16人の仮面ライダーとB.A.V.A.R.F.4個()()の投入を具申するも仮面ライダー4人のみの派遣に留まり、幸運にも現地残存戦力と協力出来たためにノバシェードの占領軍撃破に成功したとはいえ仮面ライダーが撃破されかける事態となったし、4年前のビッグ・ノア事件に至っては4人の仮面ライダーとB.A.V.A.R.F.2個()()を一挙に突入させることを具申したが却下され、結局B.A.V.A.R.F.3個()のみを2派に分けて突入となった結果先行部隊が撃滅された上に凌辱されるという事態に陥った。それらを考慮すると偵察機やドローンを派遣して空から捜索するのは当然のように思われたが、結局それは実施されなかった。

 そんな中、北欧支部の無線傍受班がノバシェード残党のアジトを発見し銃撃戦となった旨を伝えてきた。とうとう追い詰めた。だが、ノバシェード残党はちはや山荘に人質をとって立て籠ってしまう。北欧某国警察本部は「ノバシェードちはや山荘籠城事件警備本部」を設置してちはや山荘を包囲したという。それを受けてノバシェード対策室でも「ノバシェードちはや山荘警備本部」が設置された。

 とはいえ北欧某国警察本部からは「応援無用、ライフルと警察犬だけ貸してくれ。」と言ってくるしノバシェード対策室警備局長はこんな時でも要請待ちの姿勢を崩さない。そこで佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官はB.A.V.A.R.F.や新特殊部隊の見切り発車と特殊車輌隊や警察犬部隊、狙撃班の即時発進を進言する。何せ現場は冬の北欧の上山の中なのだから、重車輌に冬の山道を進ませる以上早期発進は重要となる。そして無人航空隊を前進待機させて北欧某国に飛行場の確保をせしめ、部隊の宿舎や糧食手配に無人中継基地の設置を要求する。

 かくして警備課の大部屋は喧騒の坩堝と化した。そして翌日、北欧某国警察本部から警察長官名義でノバシェード対策室に応援要請が入り、ノバシェード対策室長官が佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官を長官室に呼び出した。

 

 「お呼びですか?」

 ノバシェード対策室長官は顔を上げる。

 「ああ、佐々君。あのなあ、ベイカー君はこういう警備やったことないでなあ。君、ちょっと行って指揮してこいや。」ノバシェード対策室長官は子供にお使いを頼むが如く無茶振りする。

 「私が……ですか?」佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官は余りの無茶振りに思わず聞き返す。

 「そうだよ、君だよ。」ノバシェード対策室長官は言ってのける。

 「でも指揮してこいとおっしゃっても……」余りの無茶振りに佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官は口籠る。

 だが、ノバシェード対策室長官は「なんでじゃ。日露戦争で児玉源太郎*13は旅順に出掛けて行って乃木希典*14指揮して二〇三高地、陥したじゃないか。」などと戦史の知識を持ち出して言う。

 「児玉源太郎は陸相も務めた乃木希典と同格の陸軍大将でした。ベイカーさんは警察長官、私は警視正。階級も大きく違います。無理です。どうしてもとおっしゃるなら、カミ、ください。臨時に北欧某国警察長官に任ずっていう辞令、下さい。」そう言って佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官は歴史の知識を以て指揮権限を有するだけの格を要求する。

 「無茶言うな、そんな辞令なんか出せる訳ないじゃないか。控えめに言って内政干渉だぞ。」ノバシェード対策室長官は國際法の初歩の初歩を持ち出してそれは無理だと拒絶する。

 「ではどなたか、ベイカー警察長官と同格の方を派遣して下さい。その方の補佐役なら務めましょう。」佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官は妥協案を出す。

 そこにハラハラしながらやりとりを聞いていた警備局長が口をはさむ。

 「ではその線で人選するから、佐々君、君はいつでも行けるように待機しておれ。」

 そうしてゴルフに行っていたマルヤマ警備局参事官が呼び戻された。FBI長官も務めた彼なら十分指揮出来るだけの格があるだろう。

 緊急事態ということでスポーツシャツのまま夕方登庁したマルヤマ参事官はノバシェード対策室長官から誰を連れて行きたいか尋ねられた時、言下に警備実施竝広報担当幕僚長として佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官を指名した。それを受けて佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官はノバシェード対策室アジア支部*15警備部警備第一課首席管理官(筆頭課長代理)の宇田川警視を指名し、彼も歴戦の部下たちの"コンバットチーム"に出動を命じた。そうしてちはや山荘派遣幕僚団が編成された。

 ちはや山荘派遣幕僚団幹部はノバシェード対策室長官室でノバシェード対策室長官から指示を受けるのだが、ノバシェード対策室長官は口で言うと間違って伝わるといけないからと電話台のメモ用紙に鉛筆で六項目からなる長官指示を書いてコピーしてくると*16それを配布した。内容は以下の通りである。

 

 一、人質ヨセフィン・マリア・スヴァンホルムは必ず救出せよ。これが本警備の最高目的である。

 二、犯人は全員生け捕りにせよ。射殺すると殉教者になり今後も尾を引く。必ず公正な裁判により処罰するから殺すな。

 三、身代り人質交換の要求には応じない。特に警察官の身代りはたとえ本人が志願しても認めない。

 四、火器使用は対策室本部許可事項とする。

 五、報道関係と良好な関係を保つように努めよ。

 六、警察官に犠牲を出さないよう慎重に。

 

 佐々ノバシェード対策室警備局付警務局監察官は火器使用は現場判断とするとか射殺はだめだが手足を狙って撃つとかといった反対意見を具申するも、ノバシェード対策室長官の意思は固かった。

 ちはや山荘派遣幕僚団の面々は手早く進退伺と遺書を書いてデスクに入れる。

 彼等は翌日1000にジョン・F・ケネディ空港に集合と決めるとその場は解散して帰宅する。

 

 彼等は地獄を見ることになると理解していたが、事態が予想を大幅に上回っているだろうことは未だ知らなかった。

*1
あと彼等の知らないところで本人もそう思っている。

*2
そして事件後に真っ白になって燃え尽きオーファンズヘブンで隠居することになる。

*3
敵の陣地を安全に攻略するために掘る塹壕のこと。日魯戦役や第一次世界大戦初期はこれを怠ると恐ろしい数の死傷者が出る。

因みに掘り始める位置は事前にシュタイナーが知っているノバシェード残党の武器の有効射程を基に決定された。

*4
銃弾を撃ち込んで頭を下げさせたり引っ込めさせたりする目的での射撃。銃撃戦では主に機関銃や機関短銃で行われる。

*5
優秀でなければ伝令は務まらない。例として、小説ではあるが、『七都市物語』では伝令のミスによって戦役の勝敗すら決している。

*6
そもそも塹壕に直射兵器は相性が悪い。逆に擲弾発射器や迫撃砲のような曲射兵器は塹壕に対して非常に有効である。

*7
仮面ライダー✕4と協働して始祖怪人を含むノバシェードオーファンズヘブン占領軍を撃破した実績あり

*8
ドナルド・ベイカー警察長官は男なのでどうしても手が回らない箇所での世話を担当する女性秘書が必要とされた。

*9
軍に所属するオーファンズヘブン事件の生き残りと抵抗運動の民兵の寄せ集めと事件後に入隊した新兵及び海外留学組によって組織された北欧某国初の装甲師団。アメリカから輸入した強力なカービンを装備するなどノバシェード対策の切り札と目されている。

*10
地理的にはスウェーデンの方が適当と考えられるが、ノバシェードの襲撃を考慮して冬戦争や継続戦争といった実績があるフィンランド国内に設置することとなった。

*11
本来は禁止なのだが、ノバシェードの神出鬼没ぶりから誰一人として傍受禁止令を守らなくなった。最近とうとう禁止令を発令する側が無視するようになった。

*12
警備局付警務局監察官という肩書に前例が無い訳では無いものの、その前例に至るまで半世紀弱遡る必要がある。

*13
日露戦争時に満洲軍総参謀長として満洲に出陣し、遼陽会戦や奉天会戦の作戦を取りまとめて勝利に貢献。また、旅順攻略戦でも二〇三高地攻略の指揮を執ったと云われる。

*14
大日本帝國陸軍の名将。

日露戦争時に第三軍司令官として遼東半島に出陣し、旅順要塞を攻囲してこれを僅か125日で陥落させる。その後北進して奉天会戦で左翼を担当すると満洲軍司令部の想像よりも勇猛果敢に前進して麾下に配属された秋山支隊が後方連絡線を脅かす事態を生起させて魯西亞満洲軍を敗走させることで奉天会戦を勝利に導いた。日露戦争後に学習院の学長として赴任し、昭和天皇の教育に携わる。しかし明治天皇が崩御すると自殺した。

*15
東京都千代田区に設置された。

*16
その間にコピーしに行った人達は非常に吃驚(びっくり)することだろう




 如何だったでしょうか?
 今作は断崖絶壁の山荘に人質をとって立て籠ったノバシェード残党を検挙する話になりますので原作に比して作戦難易度が大幅に上がっておりますが、殉教者となったテロリストを看板に仕立ててノヴィエ・ノバシェードだの連合赤軍ノバシェード連合だのノバシェードハマスだのアルシェードカイダだのが出来てしまってはことですからね。なので全員生け捕りです。
 因みに本作は専らノバシェード対策室や北欧某国警察竝北欧某国軍視点で進んでいきますので、ノバシェード残党の人数や所有武器竝弾数などなどは偵察するにつれて判明していきます。
 という訳で現在ちはや山荘やそこに立て籠ったノバシェード残党に関して警備本部が把握している情報です。
 人数
  ノバシェード残党は総勢18名。
  うち黒死兵2名。
  他16名はアジア系男性が8名、アジア系女性が1名、スラブ系男性が3名、ラテン系男性ゲルマン系女性各1名、アフリカ系男性が2名と()()()()()
  人質ヨセフィン・マリア・スヴァンホルムは数時間前まで窓際に居たことは確認されていたが、現在の所在は不明。
 所有武器
  AK-47
   所持弾倉数から所持者は各120発携行と判断、但しちはや山荘を占拠する前に一弾倉乱射したことから残り携行弾数は各90発と推定。
   予備弾携行の痕跡有り。
  AK-74
   所持弾倉数から所持者は各120発携行と判断、但しちはや山荘を占拠する前に一弾倉乱射したことから所持者の残り携行弾数は各90発と推定。
   予備弾携行の痕跡有り。
  太い狙撃銃
   アジア系のノバシェード戦闘員と思しき者が所持している。
   詳細は不明。もしかして:水冷?
  火焔瓶投射器? ドローンで見たら何かが高温で燃えた痕跡があったため。詳細は不明。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。