諸君、名探偵コナンの二次創作において1番多いであろうイベントはなーんだ?
正解は、園子ちゃんに誘われて行ったパーティーでの事件である(諸説あり)。なぜ俺がこんなことを言っているかというと、こんなテンプレのような展開のプロローグが実際に目の前で起こっているからだ。
「えええぇえ⁉︎モストロ・ラウンジぃ⁉︎」
「園子姉ちゃんモストロ・ラウンジって、あの?」
「えぇもちろん‼︎そのモストロ・ラウンジの日本第1号店が隣の杯戸町でオープンするのよ‼︎そ・れ・で‼︎鈴木財閥の代表として、この園子様が招待されたってわけ。同行者も連れてきていいって書いてあったからあんた達をと思って」
「いいの⁉︎…でも、ドレスコードとかあるんじゃ…」
「それがね、あっちで貸し出してくれるのよ‼︎カタログを見たけど、有名ブランドの新作まで勢揃い‼︎さすが、アーシェングロットさんね」
「そっかぁ、それならお邪魔しようかな?ね、コナン君」
「うん、ボクも気になってたし‼︎」
「よし、決まりね。優一さんもどうですか⁉︎」
「っえ、俺⁉︎」
「やっぱりJK2人とガキンチョじゃあ絡まれるかなって思って…優一さんなら有名人ですし」
「あ、はは…男避けか。悪いけど、俺は個人で招待されてるんだよ。オーナーのアズール・アーシェングロットって、俺の一個上の特待生仲間でね。交流もあったし、手伝って欲しいって言われててさ」
「さすが優一さんですね‼︎あのアーシェングロットさんに手伝いを頼まれるなんて‼︎あ…でも、どうしよう…」
園子ちゃんには悪いけど俺はモストロで長年バイトしていた経験を活かしてフロアマネージャーをしろとの依頼が来ている。バイト代は弾んでくれるらしいし断る理由もない。
ちなみに呼ばれたのは俺だけじゃなく、エースとエペルが余興として、オルトがシステム管理で、デュースは(イソギンチャクだった経験を活かして)俺と同じくホールスタッフとしてそれぞれ招待されている。
男避けには…そうだな、ジャック…いや、セベクでも紹介しようか?190近い男が1人いるだけで近寄りがたくなるだろうし。
サーモンのカルパッチョで釣ればやってくれるか?要人警護は手慣れたものだろうしな。
「園子ちゃん、それならさ…」
「それ、僕が行ってもいいですか?もちろん、盾にしてもらって構わないので…」
安室さん割り込んできたー⁉︎あ、アズール先輩を調べるためか?先輩、既に警戒されてるじゃねぇか。ま、確か今マフィアの首領らしいしそりゃ公安にも話が行ってるか。
「え⁉︎安室さんが行ってくれるんですか⁉︎やった、イケメン確保よ‼︎」
「少し、アーシェングロットさんに興味がありまして…ぜひ、ご一緒させてください‼︎」
「もっちろん‼︎蘭もいいわよね?」
「うん、安室さんなら私も安心だよ」
「…」
あーあ、コナンが深刻な顔をし始めた…まだ安室さんが公安だって知らないから組織との関連を疑ってるんだろうな。残念、たぶん私用です。
でもとりあえずセベクも紹介しとこう。安室さんも色々調べてみたいだろうし。
「よかったら俺の友人も紹介しようか?安室さんも好きに見て回りたいだろうし、それに安室さんだと逆に女性の視線を集めるだろうしね。190近い男ならいい感じに威圧になるだろうし」
「え、いいんですか?…でも、その人の予定とか…」
「大丈夫だと思うよ。最近は暇そうにしてるし、それにソイツともう1人以外の友人は全員招待されてるんだ」
「…ホォー、この間来てくださったジャックさんですか?」
「いや、残念ながらジャックはバイトらしくて。紹介しようと思っているのはこの間仕事で来れなかったセベクという奴ですね。ソイツ卒業したらとある王族の護衛になることが決まってまして、要人警護はお手のものなんです」
「‼︎王族の護衛ですか…」
「そ、そんなすごい人なんですか…忙しいんじゃ」
「気にしないでいいよ、愛想は悪いし上から目線だろうけど真面目で素直だから。ソイツの敬愛する若様さえ貶さなければ基本はいい奴だしね。あ、でも若様について聞いたらながーい話が始まるし声もデカくなるから気をつけて」
「「…」」
「なんというか…」
「濃い人なんですね…」
「俺の友人達は全員濃いよ。じゃあ、当日に連れてくるね」
「よろしくおねがいしまーす‼︎」
とりあえずセベクの機嫌取りにサーモン買って帰らなきゃだな…
先に今日の夜いるメンバー、ジャックとエペル以外のやつらに先に謝っておいた。全員返信が「なにが?」とかでなく、それぞれ「チェリーパイ」「高い卵」「ツナ缶byグリムさん」なあたりさすがNRC生である。赤井さんは「なにかあったのか?」だったぞ見習えバカども!!!!!
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「わぁ…すっごくきれいだね」
「すご…」
「ふむふむ、壁が全部水槽になっているのね、流石海の中をコンセプトにしているだけあるわ〜」
「流石たった2年で世界に名を轟かせた名店ですね…内装もとても素敵です」
オレ…江戸川コナンこと工藤新一と蘭は園子に誘われてモストロ・ラウンジという世界的に有名なレストランの開店パーティーに来ていた。
例の組織のバーボン…安室透もここのオーナーに興味があるとついてきた。アズール・アーシェングロットさんと言えば新進気鋭のやり手経営者である。そんな人に組織がなんの用なんだ…?もしかしたら組織と関連があるのかもしれない。
そして、兄貴が絡まれないようにと付けてくれたセベク・ジグボルトさんとも合流した。
蘭達と後ろで我関せずといった感じで立っているセベクさんをチラリと見る。
190はあろうかという高い身長と筋肉が程よくついた体、常にひそめられた眉はたしかに兄貴が言うように威圧感がある。男避けには効果抜群だろう。
外国人であるとは知っていても兄貴と同い年、つまりオレの2個上の代には見えない。どことなく貫禄があるというか…
「コナン‼︎それに、園子ちゃんと蘭ちゃん、安室さんもいらっしゃいませ」
『‼︎』
「優一さんすごくかっこいいです‼︎」
「はは、ありがとう園子ちゃん。ごほん、それではお客様、改めまして本日、フロアマネージャーとしてこの場を任されております工藤優一と申します。本日はお楽しみくださいませ」
「「わ…」」
「フロアマネージャー、ですか…とても信頼されているようですね」
「はは、恐縮です」
オレの前に兄貴が現れた。普段とは違う、黒いスーツに菫色のシャツとストールを着て、白い手袋を着けていた。髪もいつもと違って長めの前髪をオールバックにしているしいつもより高い位置で後ろ髪を結んでいる。
正直、とてもかっこいいと思った。
「相変わらず、馬子にも衣装だな」
「おいおい、素直に似合ってるって言いなよセベク」
「こちらからすればそんな姿見慣れたものだろう。貴様をからかいに何度もモストロには足を運んだからな」
「たしかに。…さて皆様、会場まで案内しますね」
あんなに軽口を叩く兄貴、初めて見たぞ…やっぱり同級生の前だと違うんだな。
兄貴について会場まで行くと、すでに多くの人で賑わっていた。オレでも知っているほどSNSで人気のインフルエンサーからでテレビで見たような有名な料理評論家まで。超が付く大物が勢揃いだ。
「あっ」
「蘭、どうしたの?まさか旦那でもいた?」
「ちがっ…もう‼︎ほら見てあれ‼︎あれ、ケイトじゃない?」
「えっうそ⁉︎ホントね‼︎あっ、そっか。ケイトもNRCの卒業生だから関わりがあったのかしら」
「ケイト、ですか?」
「はい‼︎うちら世代にちょー人気のインフルエンサーなんです‼︎たぶん、フランス人?なんですけど、日本語とか中国語とかいろんな国の言葉がネイティブかってくらい流暢に喋れるんです‼︎」
「ホォー、それはすごいですね」
「そしてなによりイケメン‼︎ちょっとチャラそうだけど、ああいうのは実は一途だったりするのよね〜」
「それに話も面白いしね。コナン君もケイト知ってる?」
「うん‼︎サッカーしてる動画は何回か見たことあるよ。あと、NRCでの思い出を話してる奴かな。優一兄ちゃんみたいな人が出てくるからね」
ケイトとはSNSで今人気のインフルエンサーだ。オレの兄貴と同じくNRC生且つ特待生だったらしく、彼が話す学園での思い出の中に兄貴らしき人物もたびたび登場する。正直あの軽薄そうな見た目とは裏腹に言葉の節々に計算高さと頭の回転の良さが垣間見えて、そんなに動画を見ないオレでも見入ってしまうことがある。一度、得意だという占星術について話していた時にはそれが特に顕著だった。占星術はオカルトに見えて理系らしく、オレも少し興味が湧いたほどだ。
そんな彼が、目の前にいる。蘭達だけじゃなくオレも少し心が湧き立った。
すると、そんなオレたちの視線に気付いたのかケイトがこっちに向かってきた。
「…ねぇ君達」
「「はっはい‼︎」」
「もしかして、シンイチ君の幼馴染?」
『えっ』
「そ、そうです…」
「なんでわかったんですか⁉︎」
「実はユウちゃんにたっっくさん話聞いてたんだよね〜。写真も何枚か見せてもらったし。ねっ、セベクちゃん」
「あぁ…喧しかった」
「優一さんが私達の話を?」
「そーそー。ユウちゃん弟君大好きだからね。何回も話聞いてたんだよね。でさ、そこのチビちゃんはコナン君?」
「ボクのことも知ってるの?」
「さっきユウちゃんが親戚の子だって言ってたからね。シンイチ君にそっくりで可愛いんだって」
「あ、あはは…そうなんだ」
兄貴、オレのことも話したのか…卒業しても話すってことは、仲が良かったみたいだな。
よく考えてみると、兄貴から学園での生活は聞いたけど友人についてはそんなに聞いたことがないな。後で聞いてみるか。
「よし、それじゃバイバーイ」
「はい‼︎」
「写真まで撮ってくれてありがとうございました‼︎」
「いーえー。ユウちゃんによろしくねっ」
「「はい‼︎」」
「なんというか…」
「すごく気さくで話しやすかったわね。それに、変なことなんて起こらなかったし。想像通りで拍子抜けだわ」
「だよね。やっぱりネットの噂なんてアテにならないよ」
「噂、ですか?」
「…実は、ケイトって不思議な噂があって…」
「彼にしつこく付き纏ったファンが何人も精神病院に入院することになったとか、後はケイトと話していると段々彼が増えていくとか…」
「ホォー、そんな噂が…」
「あと、彼は裏でヤバい情報をヤクザとかに売ってるとか…」
「「⁉︎」」
「…ふむ」
「…」
「まぁ信憑性の低い話ばっかりなんですけど、やっぱり数が多くて…」
「まぁ、人気者の宿命かしらね」
ケイト…か。確かに所詮は噂話だろうけど火のないところに煙は立たない。調べてみるか。
その後、安室さんが知り合いを見つけたと離れていき、園子達とセベクさんと雑談をしていた。セベクさんは口数こそ少なかったが、ちゃんと受け答えしてくれるので、兄貴が言っていた通り悪い人じゃないんだろう。
会場の照明が落ち、前方に設置されていたステージがパッと明るくなった。そこには兄に紹介された友人の1人、エース・トラッポラがいた。彼は世界的にも注目されているマジシャンだというし余興なんだろう。
「Ladies and Gentlemen‼︎ようこそ、エース・トラッポラのマジックショーへ‼︎」
彼がそう挨拶すると会場がドッと沸いた。流石の影響力だ。
数分間彼の見せる手品に釘付けになり、次に出てきた人物にあっと驚くことになった。
「みなさんこんにちは‼︎おとこの娘アイドルの、エペル・フェルミエです‼︎今日は楽しんでくださいっ」
兄の友人の1人であるエペル・フェルミエが登場したのだ。彼は最近アイドルとしてデビューし、すでに連日いろんなメディアに引っ張りだこになっている。テレビで見ない日はないくらいだ。そんな彼を連れてくるとは流石モストロ・ラウンジだ。
また少しの間エペルさんのパフォーマンスに魅了されていると、急に照明が落ちた。そして、もう一度ステージがパッと明るくなった。
そこにはオーナーのアズール・アーシェングロットと思わしき銀髪で眼鏡をかけた青年と、双子と思われる背の高い青年達が立っていた。
「さて、皆様。本日の余興はお楽しみいただけましたでしょうか?」
彼が尋ねると会場中から拍手が起こった。
「ありがとうございます。彼らは学生時代の後輩でして、忙しい中で今夜のためにスケジュールを調整してここに来てくれたようで、とても感謝しています。…さて皆様、改めましてご挨拶を。モストロ・ラウンジオーナーの、アズール・アーシェングロットと申します。この度、ここ日本で我がモストロ・ラウンジを開店できたことをとても嬉しく思っております。そして…」
アズールさんのスピーチが終わると、兄貴がステージに登った。
「ご紹介いたしましょう。本日に限り、フロアマネージャーを任せたクドウ・ユウイチです」
「はい、工藤優一です。現在NRC4年生で、インターンシップで日本に帰国しております。本日は、モストロ・ラウンジでの長いアルバイト経験を買われてフロアマネージャーとして携わることになりました。普段は様々な会社のインターンシップに行っていますので、皆様もぜひよろしくお願いいたします‼︎」
会場から拍手が巻き起こった。周りを見渡すと、兄貴を見ながら話す怪しげな黒服の男達がいた。まさか組織の?と思い少し話に耳を傾けてみると、ただ単に兄貴をインターンに招待しようという話だったので肩透かしを食らった気になった。そんな簡単に組織の人間が見つかるはずがないか。バーボンのことで過敏になっているようだ。(フラグ)
「それでは、乾杯っ‼︎」
アズールさんが乾杯をすると、参加者達は各々がビュッフェ式になっている料理達を思い思いに取り、お酒なども嗜みながら雑談を始めた。
オレはウェイトレスからノンアルコールの飲み物をもらい、蘭達と合流した。
園子は両親の代理で来たことで挨拶回りに行かなくてはならないようで、セベクさんを連れて知り合いらしき人に声をかけに行ったので蘭と2人きりになった。
蘭は取り皿を片手にずらっと並ぶスイーツを吟味していた。
「うーん、どれも美味しそうで迷っちゃうねコナン君」
「うん‼︎全部すっごく美味しそう」
「…よし決めた‼︎こっちのいちごタルトにしよっ」
「蘭姉ちゃん、あっちの料理も美味しそうだよ」
「わっ本当だね。うーん、悩むなぁ…」
オレはレモンタルトを取ろうと思い立ってスイーツの並ぶテーブルに手を伸ばしたが、思いの外テーブルが高く、手が届かずにいた。すると急に視界がぐっと持ち上がった。
「えっうわぁ⁉︎」
「あはっ驚いたぁ?」
「えっ、と…」
オレを持ち上げたのはさっきアズールさんの横に立っていた双子の1人だった。確か、こっちがフロイド・リーチだったはずだ。遠くてよく見えなかったから間違えているかもしれないが。
「オーナー補佐のフロイド・リーチでぇす。稚魚ちゃん何食べるの?オレ今気分いいから取ったげるよ」
「えっと、じゃああのレモンタルト…」
「オッケー。そっちのグラミーちゃんは?」
「ぐ、グラミーちゃん?」
「蘭姉ちゃんのこと?」
「オレがつけたあだ名、可愛いでしょ」
グラミー、は多分熱帯魚のグラミーのことだろう。さっきからオレを稚魚と呼んでいることから、おそらくあだ名に海洋生物の名前を付けているんだろう。そういえば、兄貴がそんな先輩がいると言っていた。
「あはっ、稚魚ちゃん小エビちゃんそっくりだねぇ」
「小エビ?優一兄ちゃんのこと?」
「うん、ユウイチねユウイチ。初めて名前呼んだかも」
「へ、へぇ…」
この人、変な人だな…
とりあえずありがたく料理を取ってもらうことにした。蘭はグラミー呼びに最初こそ戸惑っていたが、段々慣れたようだ。
「あ、コレオレが作ったやつ〜」
「そうなんですか?すごく美味しそうです‼︎」
「フロイドさん、厨房なの?」
「そーだ「フロイドッ‼︎‼︎」んぇ?あ、アズールじゃん。なに?」
「なに、じゃない‼︎お前の持ち場はキッチンでしょう⁉︎」
「え〜。飽きた」
「飽きたじゃない‼︎お前は料理長だろうが‼︎」
「「えっ⁉︎」」
「アズールが勝手に決めたんじゃん。オレも小エビちゃんとがいいジェイドずりぃし」
「却下‼︎とにかく持ち場に戻れ今すぐ‼︎」
「は?変えろよ」
「変えるわけないでしょう。いいから戻りなさいフロイド」
なんだ…⁉︎フロイドさんの雰囲気が急に変わり、とてつもない威圧感を感じた。まるで、ジンに初めて会ったときのような…まさか、彼は組織の?いや、バーボンが調べるということは恐らく例の組織とは別の…
そしてそんなフロイドさんに臆することなく言い返すアズールさんも…
オレはフロイドさん、そしてアズールさんへの警戒を強めることにした。
「フロイド先輩」
「あ?小エビちゃんじゃん。なに?オレ今気分悪いんだけど」
「先輩が頑張ってくれたら明日丸一日俺の家でタコパしようっていう計画を立ててたんですけど…」
「えっ」
「先輩が持ち場離れるならこの話もなしですかね。ジェイド先輩とアズール先輩だけ呼んでやることにします」
「は?」
「先輩も来てもいいですけど全部中身タコじゃなくてしいたけにしますよ」
「はぁあ?ぜっっったいヤダ」
「なら持ち場に戻ってくださーい。ほら、行った行った」
「小エビお前マジで覚えてろ。アズールに唐揚げもたくさんね」
「おいフロイド?」
「はいはい。ちゃんと作るので早く行きましょうね先輩」
フロイドさんは結局しぶしぶ厨房の方に向かっていった。あんな態度の兄貴、初めて見たぞ…やっぱり友人の前だと態度が変わるんだな。
「…ふぅ、ありがとうございますユウさん」
「まぁ慣れてるので。フロアマネージャーという名の猛獣使いなの気付いてましたからね」
「ふふふ、流石です。…さて、うちのスタッフがご迷惑をおかけいたしました。こちら、当店で使えるクーポンとなっています。是非、受け取っていただけませんか?」
「えっいいんですか?」
「もちろんです。あのバカにはよく言い聞かせておきますのでご安心を」
「蘭ちゃん受け取っておきなよ。あっても損はないからさ」
「じゃあ、ありがたく…」
「あぁ‼︎貴方が噂のランさんですか。お話はユウさんから予々。なんでもカラテの関東一に輝かれたとか」
「あはは、そうなんです。優一さん変なこと言ってませんでした?」
「まさか‼︎弟には勿体無いくらいいい子だと言っていましたよ」
「っもう優一さん‼︎」
「あはは、ごめんごめん。でももう間違ってないだろ?…コナン?どうしたの固まって」
「あ、いや…なんでもない」
「そう?ならいいけど」
「それでは、僕は仕事があるので失礼します。ランさん、モストロ・ラウンジをどうぞご贔屓に」
「はい‼︎クーポンありがとうございました」
アズールさんという怪しい人を蘭に近づけたくなかったなんて言えるわけないだろ…‼︎
オレは一度アズールさんのことな忘れようとウェイトレスからジュースを受け取ろうとした。
「えっ」
「ん?あぁ、コナンか。こんばんわ」
「デュースさんこんばんわ…今日はウェイトレスなんだ」
「あぁ。モストロでバイトしていた経験を買われてな。…イソギンチャクだったけど」
「イソギンチャク?」
「あぁいや、知らなくていいんだ。1人か?」
「ううん、蘭姉ちゃんと。さっきまで園子姉ちゃんとセベクさんもいたし、安室さんもいたよ」
「大人数だな。そうか、セベクも来ているのか」
「うん、今は園子姉ちゃんに連れまわされてるよ」
「そうか。楽しめよ‼︎僕は仕事だからな」
「はぁい、デュースさんも頑張ってね」
「あぁ‼︎」
デュースさんは最近ポアロでバイトを始めた兄貴の友人だ。真面目で素直、そしてなんといってもイケメンな彼は瞬く間に安室さんに次ぐ人気を誇るようになった。特におばさん世代に人気が高く、安室さんがいる日は女子高生が、デュースさんがいる日はおばさんが多いという事態である。おかげでポアロも儲かっているとか。
「あ、君‼︎コナンクン、だよね」
「コナン?あ、ホントだ」
「エースさんにエペルさん‼︎お疲れさま。すごくかっこよかったよ‼︎」
「マジ?素直なコナン君にはお兄さんがお菓子をあげよう」
「ありがとうエースさん」
「…僕としてはちょっと複雑、かな。かっこいいって言われるのは嬉しいけど」
「エペル最近慣れてきたって言ってなかったっけ」
「慣れるのと嬉しいかは別だよ?…はぁ、早く一年経たないかな〜」
「ま、それは人気が出ちゃった自業自得ということで」
「はぁ…僕が可愛すぎたばっかりに…」
「ははっその自信流石だわ」
「可憐さと美しさはヴィルサンのお墨付きだからね。コナン君も思うでしょ?」
「あ、あはは…そうだね」
「コナン引いてんじゃん」
切実にエースさんがいてよかったと思う。エペルさんは本人が自称する通りそこらの美少女より可愛い顔をしているし美人だ。蘭も負けてないが。ただ、自分の容姿に対しての自信がすごい。同時にジャックさんのような筋肉も欲しいと嘆いているのだからよくわからない。本質がわからないということにおいては兄貴の友人たちは全員が当てはまるが、個人的にこの人が1番よくわからない。
「コナンがいるってことはここら辺にセベクもいるよな」
「あ、ううん。セベクさんは挨拶回りに行った園子姉ちゃんに連行されてたよ‼︎」
「マジ?後でからかおうっと。んーじゃあランちゃんといたの?」
「うん、でも喉乾いたからジュースをもらいにきたんだ。そしたらデュースさんがいて驚いちゃった‼︎」
「デュース?マジか。探しに行こ〜」
「僕はそろそろ帰ろう、かな。明日も早いし…」
「うん、じゃあまたねエースさんエペルさん‼︎」
「…ん?」
「…ど、どうしたのエペルさん」
「それ、そのリンゴジュース。香りがおかしいよ。飲まないほうがいい」
「えっ?」
「モストロに下ろしてるリンゴジュースはうちのだからね。うん、色もおかしい。毒が入ってる」
「流石だわ。アズール先輩に報告しようぜ」
「な、なんでわかったの?」
「エペルはりんごのプロだからな。将来も実家のりんご農家継ぐんだぜ」
「許さね…」
「え?エペルさん?」
「絶対許さね‼︎うぢのりんごに手ェ出すなんて‼︎すかも毒⁉︎い度胸だなぶっ殺すてける‼︎」
「えっ⁉︎」
「エペル、方言出てるから。落ち着こうぜ、なっ?ほら、お前の怒号で周りの人の注目集めちゃってるから」
「そったごどどうでもい‼︎わーのリンゴさ手出すたやづ絶対許さね‼︎」
「…ふーん。じゃあ、ヴィル先輩に電話しちゃおっかな」
「…えっ」
「ヴィルって…俳優の?」
「そうそう。俺らの先輩で、特にエペルは寮も同じだから扱かれまくってたんだよな」
「お、落ち着いたからどうかヴィルサンだけは…」
「よし。じゃ、アズール先輩探しに行こ「きゃああああああ⁉︎」う…」
「っエースさんエペルさんこっち‼︎」
「あっちょ…‼︎もー」
「許さね…絶対犯人見つけ出してやる‼︎」
早速事件が起きたみたいだった。エペルさんが見つけてくれたからよかったものの、オレもこのリンゴジュースを一口飲んでたらと思うとゾッとする。エペルさんに感謝だな。
オレは2人を連れて事件現場に走った。