梵天主と米花町   作:よたか

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とある公安の独白Part2

オレには気になるやつがいる。警察学校時代同期だった間宮塔矢という男だ。

 

 

 

間宮は珍しいやつだった。昔、暴走族だったらしい。警察になる人間には珍しいだろ?でも確かにオレたちが高校くらいの時はめちゃくちゃ不良が多かったんだ。特に東都は。

 

オレたちがそれを知ることになった件はまた別の話で。

 

 

オレたちは警察学校を卒業してバラバラになった。まぁ松田と萩原は一緒だったけどな。卒業まで配属先を明かさなかったのはオレ、ゼロ、間宮の3人だった。2人とも優秀だしオレと同じ公安に配属されたんだと思っていた。同じ部署ではなかったがゼロや間宮の優秀さなら警察庁の公安からスカウトされて公務員試験受けててもなんらおかしくはない。少しして潜入した組織にゼロがいた時に、それは確信に変わった。

ゼロはオレの1、2ヶ月程後に幹部になったと紹介された。ゼロは探り屋として潜っていてスナイパーのオレとツーマンセルを組むことも多かった。

 

 

ある日、組織の同盟相手として日本の最大反社会組織梵天の幹部が紹介された。共同で追っている組織の壊滅作戦にオレもスナイパーとして参加せることになっていたからだ。たぶんこの件はゼロ…バーボンには知らされていないはずだ。あいつが幹部になったばかりの頃だったからな。梵天側の幹部は4人。梵天の裏ボスであると名高いNo.2、黒川イザナとその側近の鶴蝶、No.3の三途春千夜。そして、情報屋として間宮がいた。間宮は梵天に潜入しているのかと思った。だが、本名で潜入していることなんてあり得るのか?そうも思った。

 

考えられるのは二つのパターンで、一つは梵天幹部が間宮の暴走族時代の知り合いなため本名で活動しているというパターン。もう一つは、考えたくないが間宮が警察を辞めて反社になったというパターン。二つ目のパターンの場合は最悪だ。オレ、そしてゼロがNOCだという情報が間宮から組織に入る可能性がある。一つ目のパターンの場合だとしたら間宮はゼロと同じ所属である可能性がなくはないだろうしゼロに聞くか上司に確認したらわかるだろう。一つ目のパターンであることを心の底から願った。

 

 

その答えは比較的早くわかった。オレの心は奈落の底に落ちたようだった。二つ目のパターンだったのだ。だとしたら間宮がオレらをNOCであると話していないのは、間宮のオレたちに対する情によるものか、もしくはまた別の意図があるのか。情によるものだと思いたい。が、とにかくオレらは間宮のおかげで潜入できているのだということになんら変わりない。…喉元にナイフを突き付けられている気分だ。

 

 

 

ある日、オレ、ゼロ、組織のスナイパー・ライ、間宮、三途の4人で任務があった。間宮と三途はだいぶ仲がいいらしかった。間宮に聞くと、三途が半ギレしながら制止するのも無視して幼馴染だと教えてくれた。あぁ例の。そういう感想しか出なかった。間宮には仲のいい幼馴染がいてそいつの話をよくしていた。

でも、間宮から聞いたのと三途はあまり被らない気がした。確かにケンカは強いだろうが三途が暴走族の総長であるのは想像できない。どちらかというと幹部レベルくらいが合うんじゃないか?それに間宮の話では蹴りがすごかったらしいが三途は蹴りを使わない。もちろん、蹴りでは人を殺せないからという理由の可能性もなくはないが。

 

任務が終わった後もそんな妙に納得できるようなできないような気持ちのまま日々を過ごしていた。

 

本当に間宮は何なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

その数ヶ月後、オレがNOCだという情報が流れた。遂にか。オレは思いの外冷静だった。とはいえメールを見た組織の人間がオレを仕留めようと追ってくる。オレはNOCじゃないと主張しながら逃げるのも辛くなってきた。その時、急に間宮から連絡が来た。ドキリとした。何を言われるのか不安になった。ただ、内容は予想に反してオレがNOCだというデマが公安の犬によって流されたのでRUMを通じて全幹部に通達した、もう終われることはないから安心しろ。そんな内容だった。実際その連絡が来てから追っ手がぴたりと止んだ。罠かとも思ったがバーボンではなく降谷零の携帯からも連絡があったからあまり心配はしてなかった。

 

ジンに呼ばれて組織のアジトに行くと、幹部たちが勢揃いしていた。そこでジンに銃を突きつけられもう一度NOCでないことを確認された。組織も一応同盟相手の梵天からの情報を無碍にはできないからな。オレは要監視対象となるだけで終わった。

 

 

間宮のおかげでオレは今生きている。オレは間宮のことを信じたい。きっと何かやむを得ない事情があるんだと。

 

 

 

 

それから数年。オレは梵天に出向くことになった。梵天からは間宮が来るらしい。確かにオレなら三途や黒川イザナと顔見知りだけど、梵天にはスナイパーがほとんどいないと聞くしオレよりは別のやつの方がいいんじゃないのか?大方、NOC候補のオレを組織から離していたいという思惑だろう。まぁ公安の方からも梵天の情報を流せと言われてるしやるけどな。はぁ…

 

 

 

梵天に来てオレは、特に何もやらせて貰えてない…うん。三途にめちゃくちゃ嫌味を言われるくらいだ。

梵天に来てわかったのは黒川派と首領派に分かれていること。そして黒川派が多いことだ。幹部は黒川イザナを中心にして鶴蝶、望月莞爾、灰谷蘭、灰谷竜胆が黒川派。対して首領派は相談役の明司武臣、三途春千夜、間宮で、中立派が九井一と武藤泰宏だ。調べたところ黒川派の幹部たちはほとんど黒川イザナと同い年で同じ時期に少年院にいたメンバーらしい。元々は天竺という暴走族の総長とその幹部たちらしい。本来は武藤泰宏もそこにいたらしいが何故か黒川派ではない。そして鶴蝶と灰谷竜胆だけが年下で、それ以外は全員が昭和62年生まれの『極悪の世代』らしい。オレの一つ上と二つ上だな。

首領派は間宮と三途と明石武臣の3人だけだが権力自体は黒川派よりも強いらしい。そりゃあ相談役とNo.3がいたらな。首領はまだ会ったことが無いけど間宮が慕うほどの奴なんだろ?どんな奴か少し気になる。三途と明石武臣は仲が悪いというのを噂で聞いたから同じ派閥でも色々あるんだろうな。実際に見たところ三途が一方的に嫌ってる感じだったが。

中立派は梵天の金庫番と名高い九井一と前述の武藤泰宏だ。そこの2人に関しては特に調べられなかったな。ガードが硬いのか下っ端からはあまり情報が得られなかった。わかったのは武藤泰弘で、武藤は元々天竺の幹部たったが首領に絆されて中立派になったらしい。首領は人身掌握術にも長けてるのか。前に見たとき黒川イザナもカリスマがあったがそれと同等以上の何かがありそうだ。

 

 

首領についてオレが知っているのは警察内部でも組織でも言われている“白髪の男”というものだけだ。名前すら知らないが、それは下っ端もらしい。ある程度の地位にならないと首領について教えてもらえないらしい。なので皆が“白髪の男”という情報から『黒川イザナが首領なのでは?』という推測をしているのだという。実際警察の情報網が掴んだ後ろ姿は黒川イザナに似ていなくもない。とはいえ黒川イザナは髪が長いし肌はゼロと似た褐色だ。首領は不健康そうな青白い色…だと思うし首の後ろに梵天の刺青がしてあった。黒川イザナは刺青の代わりにピアスを付けているし別人だろう。どちらかというと『首領と黒川イザナは兄弟』という説の方が信憑性は高い。黒川イザナが首領(らしき人物)と電話している時一人称が“ニィ”になる時があるからだ。黒川イザナは孤児のため、成長するまで知らなかった兄弟がいたり兄弟だと呼んでいる者がいても特段おかしくは無い。

まぁこんな推測、意味はないけどな。

 

 

組織の方の幹部もだいぶ濃いと思ったが梵天も大概だな。これから1ヶ月、頑張るしか無いか。

 

 

 

待ってろ間宮、オレはお前を逃さないからな?

 

 

オレはそう決意した。頭によぎる嫌な予感から目を背けながら。

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