皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第五話 異世界での戦争2

 陸上で圧倒的な戦いが繰り広げられている頃、海上でも同じことが起こっていた。

 

 

 

 

 

 日本側は、ロウリア王国から7700隻の大艦隊が出港したことを衛星で掴んでいた。

その情報を即座にクワ・トイネ公国に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 クワ・トイネ公国はクワ・トイネ公国第二艦隊をマイハーク港に集結させていた。

各艦は帆をたたみ、来たる決戦の準備をしていた。

船に打ち込む火矢とそれを漬ける油が積み込まれ、矢を防ぐ木盾が等間隔に並べられていく。

バリスタが船横に配備される。

 艦船の数はおよそ55隻。

 

 

 

「壮絶な光景だな」

 

 

 

 提督パンカーレは、海を眺めながらそう呟く。

しかし、彼は7000隻を超える艦隊を相手に、圧倒的な物量を相手に、どうしようもない気持ちになる。

 

 

 

「提督。海軍本部から魔伝が届いています」

 

 

 

 側近であり、若き幹部であるブルーアイが報告する。

 

 

「読め」

 

 

「はっ!「本日夕刻、日本皇国の艦隊約20隻が援軍として、マイハーク沖に到着する。彼らは、我が軍より、先にロウリア艦隊に攻撃を行う為、観戦武官を1名を彼らの旗艦に搭乗させるように指令する」とのことです」

 

 

「何!?たったの20隻だと!!2000か200の間違いではないのか?」

 

 

「間違いありません」

 

 

「やる気はあるのか、彼らは・・・。しかも観戦武官だと?20隻しか来ないなら、観戦武官に死ねと言っているようなものではないか!!明らかに死地と解っていて、部下を送るような真似は出来ないぞ!」

 

 

沈黙が流れる。

 

 

 

「・・・私が行きます」

 

 

 

ブルーアイが発言する。

 

 

 

「しかし・・・。」

 

 

 

「私は剣術ではNo1です。一番生存率が高いのは私です。それに、あの鉄龍を飛ばして来た日本の事です。もしかしたら勝算があるのかもしれません」

 

 

 

「すまない・・・。頼んだ」

 

 

 

「はっっっ!」

 

 

 

 その日の夕刻・・・

 

 

 ブルーアイは、目を疑っていた。

 その船たちは彼の常識に当てはまらないような船だった。

鉄でできている300メートルを超える巨大な船。それよりも小さいものもあったが、それでも200メートルは超えていた。

それも全て帆がついていなかった。

 

 

 

 一番大きそうな船から、竹とんぼのような金属でできたものが飛んできた。

 

 

 

 彼は事前に連絡を受けていたが、どうやらそれは乗り物らしかった。

理解不能な乗り物に乗り、沖合いへと移動する。

 

 

 

 

 

 やがて、船へ着艦した。

これは鉄でできている?どうやって浮いている?

ブルーアイの疑問は尽きなかった。

それでも彼は船員の指示に従う。

 

 

 

 

 

 船の中は明るかった。

光の魔法?何かを燃やしている?これは魔導船?

 会議室に入ったブルーアイは艦長と対面する。

 

 

 

 

「ようこそ、ブルーアイさん。戦艦『大和』艦長の山本です」

 

 

 

「クワ・トイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。この度は援軍感謝致します」

 

 

 

「早速ですが、我々はロウリア海軍の位置を既に把握しており、ここより西側500kmの位置に彼らはおります。船速は5ノット程度と非常に遅くはありますが、こちらに向かってきています。我々は明日の朝出港し、敵艦隊を排除する予定ですので、明日までは、ゆっくりとされてください」

 

 

 

 ブルーアイは驚いていた。

彼らは、単独で7700隻の大艦隊に挑むつもりなのだ。

確かに艦は大きく、斬り込み用水夫を大人数収容できるだろう。でも、たったの20隻で7700隻に挑むのは自殺行為と思われた。

また、火矢やバリスタを防ぐ木盾がないのもブルーアイの不安を駆り立てた。

 

 

 

 

 

 

翌日早朝

 

 

(何回驚愕すればいいんだ!驚愕のしっぱなしだ)

 

 

 

「全艦、速力30ノットに合わせろ」

 

 

 

 山本が言う。

クワ・トイネ公国の最大船速を遥かに上回る速度をもって、西へと向かう。

やがて、水平線の向こうに目的の艦隊が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい景色だ。美しい」

 

 

 

 そう言うのは、ロウリア王国東方討伐海軍海将、シャークンだ。

7700隻に大量の水夫と揚陸軍を乗せ、クワ・トイネ公国経済都市マイハークに向かっていた。

 

 

 

 

海が見えない。そう表現してもいいような量の船。

 

 

 

 

 6年かけた準備期間。パーパルディア皇国からの軍事援助を経て、ようやく完成した大艦隊。

これを防ぐものはロデニウス大陸には存在しない。

 

 

 彼は東の海を見据えた。

 

 

 一つの小島が動いている。船だった。

その船は、ついている棒のようなものを艦隊に向けた。

その僅かな変化をシャークンは見逃さなかった。

 

 

「あの棒はなんだ?」

 

 

 そう呟いた瞬間、棒の先端が火花を纏った。

 

 

「なんだ?勝手に燃えたのか?」

 

 

 そう見えたのだろう。

 距離3㎞。至近距離射撃。

 刹那、最前方を走る帆船が突然、消滅した。その後ろにある船も同様に消滅する。

それは爆発してからやっと止まった。

 

 

「なんだ!今の攻撃は!!」

 

 

 経験したことのない攻撃。見ていた全員が驚愕する。

 

 

「まずい!!しかし、まだここがワイバーンの届く距離でよかった。通信士!!ワイバーン部隊に上空支援を要請しろ!敵主力船団と交戦中とな!!」

 

 

 爆発に巻き込まれた船は、無事だった乗員を乗せたまま自重に耐え切れず沈没する。

放たれた砲弾は次々とロウリア艦隊を撃破していく。

 

 

 

 

ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

 

「ロウリア王国東方討伐海軍より魔伝入りました。敵主力艦隊と思われる船と現在交戦中、敵船は巨大であり、航空支援を要請する」

 

 

「ほう、敵主力か・・・。よろしい。550騎全騎を差し向けよ」

 

 

「し、しかし、先遣隊に150騎ほど分けてあるため、本隊からワイバーンがいなくなりますが・・・」

 

 

「聞こえなかったか?全騎だ。敵主力なら大戦果となろう。戦力の逐次投入はすべきではない」

 

 

「了解しました」

 

 

 ワイバーンは、次々と大空に飛び上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「副砲、レールガンに切り替えろ!!副砲発射用意!!」

 

 

「充電完了!!いつでもいけます!!」

 

 

「よし!副砲!撃ちィーー方始め!!」

 

 

 

 

 51センチのレールガンから放たれた砲弾は、次々と敵船に着弾する。

前方の船を悉く貫通、消滅させ、一気に消し飛ばす。

 

 

「艦長!CICより通達。レーダーに550程の飛行物体を確認したと」

 

 

「おそらくロウリア軍の援軍だ。駆逐隊に連絡。

全て撃ち落とせ」

 

 

 

 

 

 

 

 

駆逐艦『深雪』

 

 

「旗艦大和より入電。550騎のワイバーンを全て撃ち落とせです」

 

 

「了解。こちらのレーダーも捉えている。

『初雪』『吹雪』『敷波』『綾波』にも同様に通達。

データリンクを開始せよ!」

 

 

 それぞれが割り振られた目標を確認。いつでも攻撃できるように構える。

乗員は今か今かと待つ。

そして………

 

 

 

 

 

「射程距離に入りました!!」

 

 

 

「撃ち方始め!!!」

 

 

 

 それぞれの駆逐艦から、艦対空ミサイルが飛んでいく。

 

 

 

 

 ワイバーン部隊に悲劇が襲いかかった。

瞬時に半分以上のワイバーンがいきなり落とされた。

それを理解する間もなく、第二波の攻撃で全滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 シャークンは何が起きたのか理解できなかった。否、したくなかった。

船が一方的にワイバーンを落とすことは歴史上一度もない。

 

 

 

「我々は悪魔を相手に戦っているのか?」

 

 

 

 そう思うしかなかった。

 

 

 目の前の船が再びこちらに目標を定める。

それからは、再び破壊の嵐を打ち出した。

 

 

 

 

 

 

 

 ワイバーンを撃破した皇国海軍は次の目標をロウリア艦隊に定める。

 

 

「主砲!斉射用意!」

 

 

「いつでもいけます!!」

 

 

「よし!全主砲、薙ぎ払え!!」

 

 

 大和の主砲から、ビームらしきものが放たれた。

陽電子砲。それが、全ての主砲から放たれる。

放たれたそれは前方の船を貫通、呑み込み、全てを薙ぎ払う。

 もはや、瓦礫すらも残さない。

 

 

 

 完全なアウトレンジ攻撃だった。

 

 

 

 

 ロウリア海軍は恐怖に包まれた。

 

 

 

「ちくしょう!!化け物どもめ!!あんなのに勝てるわけがねぇ!畜生!ぐぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

一隻、一隻と次々と撃沈していく。

信じられない速さだった。

 

 

「ダメか………」

 

 

 海将シャークンは絶望していた。

どうやっても勝てない。

 しかし、このままだといたずらに兵を殺すだけだ。

ギムでの大虐殺をしているロウリア軍を向こうが許す訳がない。

結果、捕虜はダメ。残る選択肢は一つしかない。

 

 

 

「撤退だ」

 

 

 

 部隊の三分の一を失っての大敗北。

本国に帰っても死刑は免れない。

歴史書に、無能の将軍として名が残るだろう。

しかし、部下を全て死なせるわけにはいかない。

 

 

 

「全軍撤退せよ。繰り返す。全軍撤退せよ」

 

 

 

 魔導通信が各艦に流れる。

彼の旗艦も撤退を始めようとした時、彼の船を陽電子砲が薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵は撤退を開始しました」

 

 

「そうか。駆逐艦『暁』『響』『雷』『電』を生存者救出に宛てろ。他の駆逐艦はある程度追撃。敵艦数隻残して撤退。我々は先に撤退する」

 

 

 

 

 観戦武官ブルーアイは実感がなかった。

艦橋でのやりとりは聞いていたが、実感がわかなかった。

しばらくして漸く、今の状況を認識すると海へと目を向けた。

海を覆い尽くさんばかりの浮遊物。

 彼は圧倒的な破壊力で一方的に破壊したのだけは理解できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ロウリア海軍に派遣されたパーパルディア皇国観戦武官ヴァルハルは震えていた。

彼の乗っていた船は、運良く撃沈されていなかった。

 クワ・トイネ公国を7700隻でどのように消滅させるか。それを記録するのが、彼の任務だった。

斬り込みとバリスタといった原始的な戦法でこれだけの数を揃えられたらどうなるのか、個人的興味もあり、彼はこの任務が楽しかった。

 

 

 

しかし、現れた船は彼にとって非常識だった。

帆船を増速させる風神の涙を使った形跡もないのに、圧倒的に速い。

そもそも帆がない。

 

 

100門級戦列艦よりも巨大な船と、見たこともない巨大な大砲。

 

 

 

 蛮地にないはずの大砲に驚いたが、その大きさにも驚いた。

 しかも、ワイバーンを射程外から一方的に防いだ。

パーパルディアでは竜母を使用し、ワイバーンにはワイバーンをもって対抗する。

蛮地より遥かに性能は良い為、同数なら確実に勝てる。

それが彼の常識だった。

 

 

 

 彼らの存在を知らずに、事を進めると、パーパルディア皇国を脅かすかもしれない。

 

 

 

 

ヴァルハルは魔伝により、見たまま、ありのままを本国に報告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 救助され、捕虜となった者の中にシャークンが混じっていた。

艦隊を全滅させなかったとして、彼は後に、上司に恵まれなかった指揮官と言われることとなる。

 

 

 

 

 

 

 この戦いは、ロデニウス大海戦と呼ばれ、歴史に刻まれることになる。

 

 

 

 

 

 

 

魔王編にて、登場させて欲しいキャラは?(参考として検討します)

  • レミリア・スカーレット
  • フランドール・スカーレット
  • 両方出して欲しい
  • 出さなくても良い
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