皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第十七話 Schlacht in der zerstörten Stadt (廃墟街での戦闘) 4

 夕立との白兵戦は、獣を相手している様だ……綾波はそう思った。すばしっこく、尚且つ噛み付いてくるように激しく攻撃してくる。

 ラフィーも、ジャベリンも綾波の援護をするが、その全てが悉くかわされる。

 

 

 

「どこ狙ってるぽい?」

 

 

 

 急加速した夕立は、約100ノットの速力でジャベリンに肉薄する。間一髪で持っている槍を間に挟むことで直撃は免れたが、その衝撃はそのままジャベリンに伝わり彼女は吹き飛ばされる。

 

 

 

「きゃあああああああああああ!!」

 

 

 

「1人目…」

 

 

 

 獰猛な目つきで獲物を狩っていく夕立。ゆかによって鍛えられた練度は伊達じゃない。

ジャベリンを吹き飛ばした夕立が次の標的に定めたのは、ラフィーだった。

 

 

 

「短魚雷発射!ぽい〜!」

 

 

 

 綾波を相手しながらの魚雷攻撃。無論、誘導魚雷なので避けようとしても無駄である。

 

 

 

「妖精さん。ギリギリで自爆させるぽい」

 

 

 それを分かっている夕立。ただでさえ、魚雷の威力が強いのに対艦ミサイルによるダメージの上からならば尚更轟沈の可能性がある。

 ならばとギリギリで自爆させてできるだけダメージを与えつつ、轟沈しないようにする。

自爆した際にできた水柱は夕立とラフィーとの間の視界を塞いでいた。

 綾波はその隙をついて夕立に砲撃。そして刀で斬りかかる。

 

 

 

「あなたは何者なの!?どうして、私たちを攻撃するの!?」

 

 

 

 ジャベリンは叫ぶ。敵は日本皇国だと分かっている。それでも日本皇国と接点はないのに何故、戦わなくちゃいけないのか。それが知りたかった。

 

 

 

「何者かって…私は日本皇国海軍白露型駆逐艦夕立っぽい。何故攻撃するかは、敵だからとしか言えないっぽい」

 

 

 

 至極当然のように答える夕立。その間にも夕立は綾波と交戦していた。綾波は、本能で察していたとはいえ、知っている夕立と違うことに内心動揺していた。

 

 

 

「隙ありっぽい!」

 

 

 

 そして、その戦いは夕立が綾波にできた隙を攻撃することで一時中断した。エネルギーを溜めた右手を突き出し、綾波の腹部に直撃させる。吹き飛ばされた綾波は近くの廃墟のビルに突っ込んだ。

 

 

「2人目っぽい」

 

 

 そうして振り向いた夕立。そこにはボロボロになりながらも未だに立っているラフィーと、フラフラになりながらも立ち上がっているジャベリンの姿があった。夕立の紅い眼は再び、彼女らを標的に定める。

 

 

 

「しぶといっぽい。艦対艦ミサイル撃ち方始め!」

 

 

 

 それは光の槍だった。夕立の艦装から白煙が出たかと思えば、光の槍が二隻に向けて突っ込んで来ていた。

 音速を超える速度で突っ込んでくるミサイルに、手負いの2人はなす術がなかった。

 

 

 

 

 そのミサイルが2人に着弾する………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よりも前でミサイルは爆発した。

 

 

 予想される衝撃が前方で起きたことに安堵を覚える2人。しかし目を開けると、そこにはボロボロの綾波がいたのだ。

 

 

 

 

 

「綾波ちゃん!?」

 

 

 ミサイルは2人を庇った綾波に着弾したのだ。夕立によって吹き飛ばされていた彼女は、急いで戻って来ていたのだ。

 

 

「どうして…」

 

 

 ジャベリンは動揺していた。辛うじて轟沈していない綾波を見て、涙目になっていた。

 

 

 

「敵どうしだけど……体が勝手に動いていた…です」

 

 

 

「そんな……」

 

 

 

 ジャベリンはショックを受けていた。自分が不甲斐ないせいで綾波がこうなってしまったと。

 

 

 

「何やってるぽい?」

 

 

 聞こえた声で現実に戻される。そこには元凶の夕立がいた。警戒して構えるジャベリンとラフィー。しかし夕立から聞こえたのは彼女らにとって予想外の言葉だった。

 

 

 

「撤退するっぽい!!また戦うっぽい!」

 

 

 

 反転して急速離脱していく夕立。いきなりの出来事にポカンとする三人。夕立の姿が見えなくなってからしばらく経って、轟沈しないで生きていることにほっとする三人の姿がその場にはあった。

 

 

 

 

 何故、夕立はいきなり撤退したのか。それは川内、神通が撤退したことを知ったからである。

夕立の艦装も察しの通り皇国製であり、高性能なレーダーが積んである。そのレーダーに表示されている敵味方識別装置で分かる川内と神通の位置が戦場から離れて行っていた為、夕立も撤退した。

 これが真相である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦場から離れた場所で合流した艦娘たちとゆか。

艦娘たちは全員無傷であり、今はのんびりとゆかの横に立っている。

 

 

 

「提督、ただいま帰還しました」

 

 

 

 神通は、今回の作戦について話し始めた。

艦娘側の損害はゼロ。完璧に作戦を遂行できたのだ。

 

 

 

「お疲れ様。作戦第三段階発動まで、自由にしていい」

 

 

「わかりました」

 

 

「ぽーい!!」

 

 

 神通とゆかが話していると、ゆかの背後から夕立が突撃してきた。ゆかは咄嗟に反転して夕立を綺麗に受け止めた。

 

 

 

「提督さん、夕立、頑張ったぽい♪褒めて、褒めて♪」

 

 

「夕立ちゃん!ずるいです!司令官!私も褒めて下さい!」

 

 

 ゆかは、振り切れん程に激しく振っている尻尾をつけた夕立を幻視した。そんな夕立に便乗してきた吹雪。

 

 

「よく頑張ったな」

 

 

 そう言って撫でるゆか。その様子を神通は羨ましそうに見ていた。

 

 

「神通もやってほしいのか?」

 

 

「い、いえ、その……お願いします…」

 

 

「提督〜。私は?」

 

 

 顔をあからめながらお願いする神通。その横で自分もと催促する川内。ゆかは川内の頭も撫でる。

 

 

すると突如音がなった。その音は付近から聞こえた。その方向を見ると吹雪が顔を赤くしていた。

 

 

「確かにもう昼食の時間だ。皆で食いに行こう」

 

 

「やったー!!いっぱい食べるっぽい!」

 

 

「はっ!待ってよ〜、夕立ちゃん〜」

 

 

 夕立がはしゃいで食堂に向けて走っていく。吹雪はそれを追いかける。その光景を見て、川内、神通、ゆかは互いに顔を見合わせて微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 あの戦いの後のアズールレーンとレッドアクシズがどうなったか?

 まずはアズールレーン。出撃したKAN -SENのほとんどは軒並み中破もしくは大破しており、特に突入組はボロボロだという。戦利品として、黒いメンタルキューブが手元にあるのはシェフィールドとエディンバラのおかげだった。

 次はレッドアクシズ。こちらもアズールレーンと同じく、突入組はボロボロだという。特に、激戦を繰り広げていた綾波の損傷は激しく、真っ先に修理に出された。

 

 どちらの陣営も無傷のKAN -SENはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの海上

 

 

「大佐、派遣艦隊の基地が完成しました。今すぐにでも寄港できます」

 

 

「ご苦労。では、今すぐ寄港してくれ」

 

 

 誰もいない海上。そこには大艦隊があり基地に向けて進路をとっていた。その基地は人工的に作られていて、誰にも近付き難い雰囲気を放っていた。

 

 

「事前調査にて、この世界の技術レベルは第二次世界大戦レベル、我々とは100年以上の技術格差があります。制圧まで時間はかからないでしょう」

 

 

 1人の諜報員が報告する。この基地の大佐は満足そうに頷いた。それに合わせて雷が鳴り始め、激しい雨が降り注ぐ。

 

 

「日本皇国とやらの話も聞くが、それは過去の話。仮にこの世界にいても、あれから進歩してアメリカに匹敵する国家になった我が国に敵うはずがありません。それも極東の猿なら特に」

 

 

「そうだな」

 

 

再び、大佐は満足そうに頷く。

 

 

「この世界をさっさと制圧して、……への手向けとしようか」

 

 

 

魔王編にて、登場させて欲しいキャラは?(参考として検討します)

  • レミリア・スカーレット
  • フランドール・スカーレット
  • 両方出して欲しい
  • 出さなくても良い
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