「背後からワープ反応!!囲まれました!!」
ゆかが巡洋艦と駆逐艦だけの艦隊の救援に向かっている最中、旗艦の武蔵がいる本隊の背後にナチス艦隊の一部がワープしてきた。いくら制空権が拮抗しているとはいえ、ただでさえ数的不利なのは変わらないのに囲まれた本隊は明らかに大ピンチとしか言いようがない。
「ワープした艦隊の内訳は!?」
「戦艦3、巡洋艦10、駆逐艦48です!!既に付近にいたこちらの駆逐艦2隻轟沈されました!!」
ゆかが救援の為に一時離脱する間、臨時で司令官となった武蔵艦長は今の状況に顔を顰めていた。前方にはナチスの大艦隊、後方にはワープしてきたナチスの艦隊、横にはオロチがいるのだ。そうなるのも仕方ない。
そうしている間にも攻撃は止まず、ついに戦艦が轟沈してしまった。流石の戦艦でも、陽電子砲や対艦ミサイルの飽和攻撃には耐え切れなかった。
一隻でも戦艦が轟沈したことで、士気の低下は免れないと直感した武蔵艦長はここで思いっ切った作戦に出る。
「これより武蔵単独で敵艦隊へ突撃する!!」
その言葉は武蔵の乗組員を驚愕させた。いくら大和型は他の戦艦より硬いからって言っても限度がある。轟沈する時は轟沈するのだ。だが一部の乗組員は納得していた。それは結界の弱点を突いた作戦であるからだ。海戦は遠距離戦が多くなる。その為、ミサイルや陽電子砲に対する結界を強くすることはできても、その分ドリルで突貫したり船体を体当たりする等の直接攻撃にはどうしても弱くなってしまう。また、この海戦に参加している軍艦の中(空母抜き)で一番巨大なのは大和型の武蔵であることから、その大きさを利用して攻撃することが可能と判断されたことも一つの理由として挙げられる。
この本隊どうしの戦闘に参加している艦艇は以下の通り。
・日本皇国
戦艦 7隻、空母 10隻、巡洋艦 6隻、駆逐艦 27隻
・ドイツ第四帝国
戦艦 35隻、巡洋艦 204隻、駆逐艦 489隻
戦力差は圧倒的だった。むしろ、これで渡り合えているのが奇跡といっても過言ではなかった。日本側にとって幸いなのは制空権が拮抗していることだった。制空権が敵側に渡れば、どこから発艦しているか分からない敵艦載機からのミサイル飽和攻撃によって迎撃能力が飽和する可能性があり、もしそうなれば一気に日本艦隊が壊滅する恐れがあるのだ。
そんな紙一重な状況の中、日本側は必死に戦っていた。
「オロチの艦首に高エネルギー反応!!波動砲だと思われます!!」
「なんだと!?味方ごとやる気か!!」
オロチの艦首に青白い光が収束していくのがなんとか確認できた。どうやら本気で撃つ気のようだ。武蔵艦長は思わず「正気か!?」と叫んでしまった。
波動砲に対して耐えられる結界は戦艦と一部の空母しかない。それを知っている武蔵艦長は急いで射線上から退避するよう命令した。
(我が国よりエネルギーが収束する速度が遅い?)
そして全艦が敵の攻撃を受けながら退避に成功した頃、中々放たれないオロチの波動砲に武蔵艦長は不気味に感じていた。日本と同じなら退避途中で撃てるようになっていた筈だ。こちらはオロチ特有の結界を防御貫通弾を用いて破壊する、もしくは無効化することが出来かった。なので発射阻止及び発射する事に対する妨害はできない。その事からも撃てるはずの波動砲をどうして撃たないのか疑問になっていた。
そうして気付く。ナチスなら日本と同じくらいの速度で撃てるようにできるということを。技術レベルが同じくらいならそのようなことが出来てもおかしくない。そこで武蔵艦長はあることを推測した。それが上に書いた通り、収束速度が遅いのでないかということだ。
そもそもオロチは、セイレーンの技術を利用して造られた巡航ミサイルを放つこの軍艦はこの世界にとって新時代の軍艦だった。それをナチスが無理矢理自国の軍艦と融合させたのだが、誰が考えても無理矢理の時点で一部に不具合が出ることになるのは当たり前だった。オロチからの攻撃が少ないのはそれが顕著に出ているからで、今回も波動砲を発射する時に出ていた。例えば、日本と比較して明らかに波動砲のエネルギー収束の速度が遅い。
これは完全にナチス側の失策だが、日本側にしてみれば九死に一生を得たと言っても良いレベルで奇跡な出来事だった。
「こちらもやるぞ!!波動砲発射用意!!目標!敵艦隊密集地帯!!ど真ん中ぶち抜いてやれ!!」
この命令が出されてから島風型は敵艦隊の端の方へ移動していた。同じように突撃している妙高型も端に移動しており、武蔵の波動砲の射線上に味方艦はいないという状況になった。
「エネルギー充填率!120%!!」
「総員!対ショック、対閃光防御!!波動砲発射!!」
武蔵は護衛を付近の駆逐艦や巡洋艦、戦艦に任せていた。そんな武蔵から発射された波動砲は奇しくもオロチと同時に発射された。
オロチから発射された波動砲は味方であるはずのナチス艦隊の一部を巻き込み、日本側の艦隊は射線から離れていた為、この攻撃による損害はなかった。逆に、波動砲発射準備中で無防備な武蔵の護衛をするに当たって、格好の的である武蔵へ向けた敵艦隊からの激しい攻撃に対する損害の方が大きかった。
こうして発射された武蔵の波動砲は敵艦隊の密集地帯に見事に命中し、巻き込まれた艦艇を結界ごと消滅させた。
波動砲を発射して動けるようになった武蔵は一番に周りに群がっている敵艦を主砲で薙ぎ払った。轟沈は少なかったが退けることには成功しており、オロチと武蔵の波動砲によって一気に多大な損害を払ったナチス艦隊は立て直すには時間がかかると思われた。そして、敵が一時的とはいえ退いたことは日本側にとっては幸運でしかなく、立て直しをするには充分な時間だった。
「艦長。我が艦隊の損害をまとめてみました」
そうして、武蔵艦長が部下から知らされたのは無視できない程の損害だった。
その損害は以下の通り。
・轟沈
戦艦 1隻、巡洋艦 4隻、駆逐艦 16隻
轟沈艦だけでも上の通りで、空母は轟沈こそしていないが結界が崩壊して大破判定になった艦艇がいくつもある。一応、その状態でも艦載機は発艦できるもののその空母は一撃でももらったらアウトになってしまう。また、護衛が多くやられたことにより単艦当たりの負担は増大すると簡単に予想でき、ミサイル飽和攻撃に対処できなくなる可能性がある。こちらの数的不利がまだある中で、そのような損害はとても危険なのは明確であった。
「艦長。背後にワープした艦隊がそろそろ主砲の射程範囲内に入ります」
「そうか………向こうの動きは?」
「変わらずミサイルを大量にこちらに撃ち込んでいるだけです。敵本隊が退いている間にこの艦隊を叩いた方が良いと私は愚考いたします」
部下の言い分はもっともであった。現状、こちらが勝つには敵艦隊の各個撃破しかない。いくら敵が退いているとはいえ、数は未だに向こうが上だ。そのことから、質が同じ兵器を持つ相手に数が劣るこちらが仕掛けてもどうなるかは明らかだった。とはいえそれは、相手にまともに正面からぶつかったらの話であり、別に奇襲や常識外の戦闘なら数的不利などはどのようにして戦うかの一種の判断材料でしかない。それに、いくら質が同じと言っても全体的に日本に一日の長がある。練度はさることながら高いのは当然であり、こちらができていることが向こうにもできるとは限らないのだ。
つまり何が言いたいのか。
質は同じでもそれは大体の見解でしかなく、実際は微妙に日本側が上ということである。そうでなければ、数的不利の日本側がいくら練度が高くてもここまで渡り合える訳がないのだ。
「その考えを採用する。全艦!進路を敵別働隊へ!!」
武蔵は20秒ほど考えた後に、そのような解答を出した。この時、武蔵艦長の出した命令には彼の二つのメリットがあった。
一つ目は知っての通り敵の別働隊を叩けることだ。敵の規模から苦戦は必至だが、数少ない各個撃破のチャンスとなれば実行しない手はなかった。それに、現状の戦力の一部を敵本隊に張り付けるより、全戦力を集中運用した方が各個撃破にならずに済むというのもあった。
二つ目は敵本隊から離れられることだ。損害が激しく空母の護衛が乏しい現状では、これ以上敵本隊と戦闘するのは避けたかった。また、敵空母の場所が航宙駆逐艦からでも分からないとなると、物量によって味方航空機が弾切れになるのはこちらが先だし、そうなれば制空権維持が出来なくなって一気に総崩れとなり得る。そうならなくても、味方艦艇に多大な損害が出るのは避けられない。
ならば、その2つを果たせる行動をとれば良い。それが今の行動で今できる最善だと武蔵艦長は思っていた。
日本側がそのような動きをしている頃、ナチス別働艦隊ではナチス本隊の予想外の大損害に混乱していた。彼等も多少の損害は予想していたが、まさかオロチの波動砲によるフレンドリーファイアと武蔵の想定より速いエネルギー収束速度で撃ち出された波動砲によって一気に多くの艦艇が失われるなんて彼らは思っていなかった。実はあの時、ナチス側は波動砲の射線上には入らないようにしていたが、味方には撃たないだろうという魂胆で射線から離れる日本側を追撃しようとして巻き込まれている。
この2発の波動砲によってナチス艦隊が受けた損害は以下の通り。
・轟沈
戦艦 6隻、巡洋艦 127隻、駆逐艦 354隻
・大破
戦艦 12隻、巡洋艦 49隻
尚、大破の駆逐艦がいないのは、駆逐艦に備えられている結界が波動砲に耐えられずに一瞬で崩壊し、駆逐艦ごと蒸発したからである。そして、上のほとんどが
残っているのは、中破以下の艦艇を集計しても戦艦17隻、巡洋艦28隻、駆逐艦135隻であり、当初の戦力の大半が轟沈もしくは大破したことになる。本来ならこの時点で撤退するなり降伏するなりするのだが、彼らはしなかった。その理由として、日本も同じぐらい損害を受けているという推測(実際、日本側は巡洋艦と駆逐艦は半数を失っている)と、まだこちらの空母は無傷(日本側は大破判定の空母がいる)という事態を楽観視する風潮が広まっていたからだった。
それぞれ異なる事情を抱えながら、日本艦隊本隊とナチス別働隊は激突した。
最初に攻撃したのはナチス側だった。
日本独自の戦術である敵艦隊への突撃を真似たのかは分からないが、突出した戦艦1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦5隻が最高速力で突出して日本側に猛攻撃を加えた。この攻撃により、日本側の駆逐艦1隻の結界が崩壊し、それに気付いた敵からの集中攻撃を受けて轟沈した。これ以上の損害を出来るだけ防ぎたい日本側はその駆逐艦の救援に向かおうとするが、突出していない敵艦隊の妨害にあい救援に向かえなかった。
ナチス側が次に標的にしたのは一番近くにいた巡洋艦だった。ナチスはその巡洋艦に対して対艦ミサイルと陽電子砲による同時飽和攻撃を実施した。日本側の巡洋艦はその攻撃を次第に対処仕切れなくなり、そのまま結界を無効化され轟沈した。
しかし、日本側も黙ってやられていた訳ではない。
味方巡洋艦の結界が崩壊する直前、敵艦隊から突出してきた計8隻のうち駆逐艦1隻に対し、長門型戦艦一隻が体当たりをして沈めた。長門型は大和型よりは小さいが大和型より機動性に優れている為、急旋回や急停止などの機動が出来る。それを利用して近くを通った敵駆逐艦の横腹に艦首を突っ込んだ。サイズも排水量も圧倒的な長門型に駆逐艦が敵う筈がなく、中心から真っ二つに折れて轟沈した。
「動ける機体は全機発艦せよ!!ここが正念場だ!!」
そう言うのは空母瑞鶴艦長だ。艦隊にいる全空母に搭載されている対艦対地専用攻撃機を含めた全航空機の発艦を行っていた。ナチス艦隊本隊が一時的に退いた頃、それに伴いナチス航空隊も合わせて退いていた。その時の航空戦の交戦戦力及び損害は以下の通り。
第一次制空戦
交戦戦力
・日本皇国
第一次航空隊 震電1000機(有人機100機、無人機900機)
第二次航空隊 空母瑞鶴から加賀利隊200機(有人機47機、無人機153機)
・ドイツ第四帝国
第一次航空隊 不明(推定3000機以上)
結果 日本側の戦術的勝利
ドイツ側の戦術的敗北
損害
・日本皇国
第一次航空隊 550機(有人機48機、無人機502機)
第二次航空隊 27機(有人機3機、無人機24機)
・ドイツ第四帝国
第一次航空隊 不明(推定1500機以上)
この戦いは、双方の空母から発艦した航空機が入り乱れた戦いになった。数的不利にも関わらず奮戦した日本だが、第一次航空隊は半数以上損失している。それでも、ある程度の制空権維持及び敵編隊の足止めを達成した。逆にナチスは日本側の艦隊上空の制空権を取ることに失敗し、対艦攻撃することができなかった。その為、この戦いは日本側の戦術的勝利となった。
しかし、ナチスの援軍が大量にやってきたことと日本の援軍もやってきたことで勝負は第二次制空戦へともつれ込む。
第二次制空戦
交戦戦力
・日本皇国
第三次航空隊 菅野隊300機
・ドイツ第四帝国
第二次航空隊 不明(推定3000機以上)
結果 日本側の戦術的敗北
ドイツ側の戦術的勝利
損害
・日本皇国
第一次航空隊 57機(有人機2機、無人機55機)
・ドイツ第四帝国
第二次航空隊 不明(推定1970機以上)
この戦いは、日本の援軍とナチスの援軍の一部が正面から、残りのナチスの援軍が日本の援軍の横からぶつかることで勃発した。菅野隊は持ち前の練度で敵編隊を圧倒して加賀利隊よりもスムーズに撃墜していた。尚、この戦いでナチスのエースパイロットをいくつか撃墜している。だが、物量を前に突破されてしまって味方駆逐艦6隻轟沈させてしまった。日本側は幸いにも空母は無傷もしくは小破判定だったので、第四次航空隊を発艦させて状況の打開を目論み、ナチス側はこのまま押し切る為に第三次航空隊を発艦させた。それらがぶつかりあった空戦が第三次制空戦だ。
第三次制空戦
交戦戦力
・日本皇国
第四次航空隊 震電1400機(有人機140機、無人機1260機)
・ドイツ第四帝国
第三次航空隊 不明(推定4500機以上)
結果 日本側の戦術的敗北
ナチス側の戦術的勝利
損害
・日本皇国
第四次航空隊 598機(有人機37機、無人機561機)
・ドイツ第四帝国
第三次航空隊 不明(推定3200機以上)
この戦いも敵味方入り乱れる空戦となった。ナチスは物量で圧倒し、日本は練度で対抗した。戦闘は互角に進むが、物量を前に制空権維持が困難になるところまでいった。状況が変わったのは艦隊戦の結果を双方が認識したからだった。その結果とは、ナチス側が2発の波動砲によって大損害を負ったという結果だ。これのおかげで敵編隊は一時的に撤退した。だが、これがなかったら第四次航空隊が突破されて大破判定になった空母に攻撃が行われていたことが考えられる為、この空戦は日本の戦術的敗北となった。
そして今に至る。艦隊臨時司令の武蔵艦長はナチス艦隊の別働隊を出来るだけ早く倒して突破したいと考えていた。それが瑞鶴艦長に伝わり、そこから全空母に全艦載機発艦という命令で伝わった。
発艦したのは、震電7723機、剣心5000機の合計12723機だ。これは待機していた第五次〜第九次航空隊と戻ってきていた第一次航空隊及び第二次航空隊の加賀利隊、制空権確保後に出す筈だった攻撃機含めて全て発艦したことになる。
空を埋め尽くす程の航空機の群れがナチス別働隊に襲いかかる。対空ミサイルなどで迎撃するが、先行していた加賀利隊や第六次航空隊として発艦予定だった金のライン3本持つ
そして撃ち落とされていないミサイルが全弾着弾してから少し経った頃、そこには無事な艦艇は一つもなく、駆逐艦、巡洋艦は跡形もなく轟沈。戦艦はボロボロになって轟沈する寸前だった。
「よし!抜けるぞ!」
この状況を確認した武蔵艦長は全艦に包囲を抜ける様指示を出す。全航空機には、ある程度を艦隊護衛用に残して他は敵本隊に攻撃するよう指示を出した。武蔵艦長はここで一気に勝負をつけにいくつもりなのだ。
「艦長!!これを!!」
そんな時、1人の部下が一つの航宙駆逐艦からの映像を持ってきた。
「ようやく見つかりました!!ステルスモードで隠れていたみたいです!!」
その映像には、今まで見つからなかったナチス空母が映っていた。その数20隻。それも、どれも翔鶴型に匹敵するもしくはそれ以上の大きさの空母だ。周りにはしっかり護衛がついていた。その規模巡洋艦54隻、駆逐艦127隻だ。
「ステルスモードか………よく見つけたな…」
「質は同じくらいなので見つけるのは簡単だったのですが、艦隊の位置が…」
部下が地図のある地点を指差した。そこは戦闘海域の反対側……つまり、例えると日本からブラジルの間の距離に艦隊がいたのだ。
「なっ!どうやって航空機を送ってきて………まさか!」
「はい。我が国でまだ試験段階の艦載機の編隊規模でのワープです。どうやら向こうは実用化していることかと…」
「そうか……」
武蔵艦長は、護衛の規模を考えてある決断をする。彼は一度大きな息を吐くと大きな声でその決断をもとにある指示を出す。
「包囲を抜け次第、敵空母艦隊付近にワープだ!!総員!ワープ後すぐに砲撃できるよう準備しろ!!」
日本側の反撃が始まる………
設定集「皇国海軍兵器」を更新しました。
追加内容
・長門型戦艦
・艦載機 剣心
魔王編にて、登場させて欲しいキャラは?(参考として検討します)
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レミリア・スカーレット
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フランドール・スカーレット
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両方出して欲しい
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出さなくても良い