皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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作者です。
第三章がついに始まりましたね。
この章では、アンケート結果をもとにあるキャラを出演させようと思います。

それでは本編どうぞ!!


第三章 魔王編
第二十七話 トーパ王国派遣部隊


 中央暦 1639年5月17日

 

 

 突如出現したゲートから出てきた未確認生物(セイレーン)に報復する為に、大和ゆかを司令官としてゲートに艦隊を派遣した数日後のことだった。その日、新たに国交を結んだ国家であるトーパ王国から援軍要請があった。

 

 

「世界の扉が破られた今、我が軍だけでは持ち堪えられません。どうか援軍をお願いできませんか?」

 

 

 要約すると上の通りである。

 世界の扉とは、トーパ王国が成立する前の時代に、魔王軍の侵攻による悲劇を二度と起こさないように造られた城壁である。

 

 日本は既に彼の国周辺を衛星にて怪しい存在を確認していた。だが、それが彼の国にとってどういう存在なのか分からないが故に放置していた。それが今のような状況に繋がっている。

 

 

「分かりました。早速準備してできるだけ速やかに派遣致します」

 

 

 トーパ王国大使に対応している海斗は、少し考えてからそのような決断をした。

 

 

 

 

 トーパ王国に軍を派遣するに当たり、どのような編成で行くかを日本にいるネクロマンス首脳部は悩んでいた。魔王と呼ばれる者はどういう攻撃をしてきて、どういう防御をするのか……それを予測しながら用意するしかない。トーパ王国大使に聞こうにも、言い伝え程度の情報しか出てこない。

 

 

「私が行きます」

 

 

 そんな時に立候補したのが黒岩煉だ。確かに剣豪の二つ名持っている者ならばどんな状況でも対処できる可能性がある。雪も興味を示したが、今回は煉が行くことになった。未来は国防の為に残るこで立候補せず、煉と雪が話し合っている様子を紅茶を飲みながら眺めていた。

 

 

「魔王……面白そうね」

 

 

 会議に突如乱入した1人の少女の声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして派遣されたのは、黒岩煉を隊長とする派遣部隊だ。編成は以下の通り。

 

海軍戦力

 

長門型戦艦 1隻、翔鶴型空母 1隻、吹雪型駆逐艦 5隻、

 

陸軍戦力

 

歩兵 15000人、39式戦車 30両、38式装甲車 ハ型 20両、へ型 3両

 

 

 一見、煉は陸軍なのに専門外の海軍の指揮はできるのかと疑問に思うかもしれないが、一応の心得はあるのだ。また、第五次世界大戦では第四主力艦隊を率いていたことがあるためそれなりに出来るのだ。

 それらの戦力がトーパ王国王都ベルンゲンに到着すると、王国騎士団の護衛兼案内によって城塞都市トルメスへ向かう。事前情報で城塞都市トルメスで数多の犠牲を出しながらなんとか戦線を維持し続けているとの情報があるため、できるだけ急いで向かっていた。

 

 

 

 

 同時刻、城塞都市トルメスでは、南門に騎士団の命によって騎士モアと傭兵ガイが待機していた。王国軍騎士団の護衛でまもなく南門に到着する日本軍を待っているのだ。日本軍が南門に到着すると日本軍を城まで案内することになっていた。その後彼らは、観戦武官として日本軍に同行する……そんな予定だった。

 

 

「なあ、モア。俺たちが案内する日本皇国軍ってどんななんだ?師団規模しか来ないらしいが、そんな少数の援軍なんて意味あるのか?」

 

 

「まあ、確かに大規模な援軍なら嬉しいが、指揮官が異なる上に小規模の援軍だから混乱を招くだけのような気もするが、彼らの力が噂通りならすごいことになるな。ただ、内容が内容だけに、私は半信半疑だが………」

 

 

「噂?」

 

 

「ああ。ロデニウス大陸で、ロウリア軍の大軍を超短時間の猛烈な爆裂魔法の投射で滅した。それでいて、日本皇国軍の死者はいないというものだ」

 

 

「そりゃ、ウソだな。自国の力を強く見せようとするための情報操作ってやつだぜ」

 

 

「やっぱりか?」

 

 

 歴戦をこなしてきたガイが断定したように話し始める。

 

 

「俺は数多の戦場を見てきた。圧倒的に強い軍もいたが、いくら武具や戦略、策略が優れていても、死者がゼロなんてあり得ない。いくら技術を持とうが、戦略を駆使しようが、最前線にいる限り死なないなんてありはしない。

 ロウリア軍には勝ったんだろうが、死者が出ていないなんて盛り過ぎだな。俺はそんな国嫌いだぜ。見た目を重んじる国なら金ピカの鎧で来るんじゃないか?」

 

 

「うーむ、そうか。しかし、まあ、日本皇国軍は国賓のようなものだから、嫌いであってもくれぐれも失礼のないようにな」

 

 

「へっ、解ってらぁ」

 

 

 

 

 数時間後、日本軍が到着する。トーパ王国側から見た日本軍は、謎の鉄の地竜(装甲車)で来て、その中から緑の斑模様をした服(軍服)を着ている人が降りてきていて、蛮族と勘違いするような華やかさの欠片もない。

 その中から、フェン王国の伝統衣装に似たような服(和服)を着た日本軍の中で一際目立つ人物が前に出てきた。

 

 

「日本皇国陸軍トーパ王国派遣部隊隊長、黒岩煉です。ご案内感謝します。よろしくお願いします」

 

 

「トーパ王国世界の扉守護騎士のモアです。これよりトルメス城にご案内した後に貴方方日本国軍へ同行いたします。よろしくお願いします」

 

 

 モアも煉に続いて自己紹介をする。その時、モアは日本軍の左肩に視線がいった。白地に赤丸、その赤丸に向かって十六条の光線が入っているデザインは彼にとって、どこかで見たことがあるような気がしたのだ。

 

 モアはその疑問を頭の片隅に置きながら、日本軍をトルメス城に案内する。やがて入口に着くと、城内には車両は入れないので、煉含む4人がトーパ王国軍魔王討伐隊長の元に挨拶しに行く。その際に車両から降りる必要があるのだが、煉ともう1人が降りてもう2人が降りた時、場はざわめいた。

 降りてきたのは軍には相応しくないような身なりの少女で、降りた順に水色の混じった青髪の少女と金髪の少女が降りてきた。それだけなら良かったのだが、問題は羽、もしくは翼がついていることだ。

 

 この世界において、翼があるのは鳥かワイバーンなどの竜種か、有翼人と呼ばれる種族だ。その中で有翼人は珍しく、中でも有名なのは神話に出てくる古の魔法帝国の光翼人だ。この世界では光翼人は恐怖の対象とされており、彼女らとロウリア軍を圧倒的な力で倒した噂と結びついて日本は魔帝なのではないのかと疑うのは必然のことだった。魔帝軍については、ロウリア王拘束の際にロウリア王から言われたことをきっかけとして日本は彼の国について調べており、少女もその存在を知っていた。故に、自分が光翼人なのではという疑いを向けられていることを察したのだ。少女は不機嫌な表情をしながらも口を開く。

 

 

「あら?貴方たちは私たちを魔帝軍とやらと疑っているけど、あれと一緒にしないで欲しいわね」

 

 

 少女はそう言うと、煉に視線を送った。その意図を察した煉はモアの案内のもと、城内に入っていく。他3人はそれに続く。外にいるギャラリーは、彼女らが魔帝とは関係ないと否定したことによりホッとしている人が続出していた。

 

 

 

 

 

 

 城内に入ってから何回か曲がると前に扉があった。モアをそれをノックすると、中からどうぞと声がかかる。

 

 

「失礼します。日本の方々をお連れしました」

 

 

 中には円卓の机があり、その奥に座っていた男が立ち上がる。その人物は身長180cmぐらいあり、筋肉質の40代くらいの男性だ。帯剣していて、手には剣だこができているのを見るに相当な鍛錬を積んできたことが窺える。

 

 

「おお、日本の方々、よくぞ来てくださった。私はトーパ王国魔王討伐隊隊長のアジズです」

 

 

「日本皇国陸軍トーパ王国派遣部隊隊長、黒岩煉です。よろしくお願いします」

 

 

「レミリア・スカーレットよ。よろしくお願いするわ」

 

 

「フランドール・スカーレットよ。よろしくね」

 

 

 自己紹介が終わったところで、アジズは真っ先に疑問に思ったことを口にする。

 

 

「レミリアさんとフランドールさんは有翼人なのですか?それにしては見た事がない翼をしていらっしゃいますが」

 

 

「有翼人?まあ、確かにそう見えなくはないわね。けど違うわ。

貴方たち、よく覚えておきなさい。私とフランはね、誇り高き吸血鬼よ!!

 

 

 レミリアは威圧感を放出するとともに言う。レミリアの幼女と言っていい見た目から溢れ出るその威圧感は、普通の人間であれば恐怖に震えることだろう。軍人でも冷や汗を流して、体が震えて恐怖するほどだ。現に、アジズとモアは冷や汗を流しながらカタカタと小刻みに震えていた。

 

 

「レミリアさん、そこまでです。それ以上やると咲夜さんにフランドールさんにだけプリンを作ってもらうようにしますよ?」

 

 

 煉のその言葉によって一瞬で威圧感を引っ込めたレミリア。フランはチョロいと思いつつも、プリンが欲しいために事前に煉に言われた通りに大人しくしていた。まあ、フランはプリンがなくても大人しくできる。そこは日本人の感覚に触れてきたからこそできるようになったのだろう。

 

 

「うちのレミリアがすみませんでした」

 

 

 煉が謝罪する。その後、現状についての話が行われた。

事態が切迫しているのはこの話から理解できた。要約すると以下の通りである。

 

・魔王軍約3万は突如として、グラメウス大陸からトーパ王国管轄の世界の扉に侵攻、守備隊は抗戦するも全滅した。

・その後、魔王軍は城塞都市トルメスの北側にあるミナイサ地区に侵攻し、これを陥落させる。その際、逃げ遅れた民間人約600人がミナイサ地区中心部の広場に昼間に一度集められ、毎日数人が連れていかれて魔王や魔王軍の餌にされている。よって、現在は約200人しかいない。しかも毎日食されているので、早めに救出しなければならない。

・現在、多くの被害を出しながらミナイサ地区で魔王軍を食い止めている。

・これまでも民間人の救出作戦が何回も行われたが、いずれも失敗に終わっている。その理由は、広場に至る大通りには必ずレッドオーガ、もしくはブルーオーガのどちらかがいる。これらの個体を倒そうにも、多くの被害に遭い撤退せざるを得なくなって毎回撤退している。細道に入った味方は毎回各個撃破されている。

・魔王軍に与えた被害はゴブリン約3000、オーク10体であり、こちらの損害は騎士約2500人が既に死亡している。

 

 

 上の説明を聞いて、煉は事態の深刻さを理解した。横に座っているレミリアとフランも顔を顰めていた。

 そんな時、煉は何かに気付いた。席を立ち、腰に差してある刀の鯉口を切って窓の方を見て構える。その構えは抜刀術の構えだった。

 いきなり何の変哲も無い窓に構え出した煉に、トーパ王国側は戸惑った。煉の意図に気付いたのは、同じく何かに気付いたレミリアとフランだけだった。そして彼女らは煉の実力を知っているので静観するつもりだった。

 煉は目を閉じて意識を集中する。狙いは一点。()()()()()()()()()()()()()()()

 トーパ王国は日本以外には援軍を頼んでいない。パーパルディア皇国には断られたらしいが、それ以外だと日本しか援軍を交渉していないのだ。そして、トーパ王国には寒冷な気候であるために変温動物であるワイバーンはいない。故に、トーパ王国で空を飛ぶ生物は存在しない。それらの情報を煉は知っていた。だからこそ煉は、空から近づいてくる生物の気配は魔王軍なのではと疑った。仮に違かったら違かったで謝罪すればいいのだが、正しかったら大変なことになる。そうした事態を避けるために煉は一度確かめてから、魔王軍だったらすぐに始末できるようにしているのだ。

 

 そして、それは現れる。天窓のガラスを割って入ってきたのは、漆黒の翼を生やし、白い服を着ている者…………マラストラスと呼ばれる魔王の側近が入ってきた。

 

 

「ホホホ、人間の頭を討ち取るために我が足を運ばねばならぬとはな………。永き時を経て、少しは進化したようだな、人間どもよ」

 

 

 マラストラスはそう言うと騎士団長に向けて手を伸ばし、伸ばした手の先は、魔力によって空気が歪み、黒い炎が現れる。

 

 

「さらばだ」

 

 

「させるか!」

 

 

 騎士団長に向けてその黒い炎を放とうとするマラストラスに、副騎士長は斬りかかった………斬りかかろうとして目の前に誰かの腕が出てきて静止させられた。

 彼を静止したのは近くにいたフランだった。副騎士長は抗議しようとするが、フランがある方向を指差す。その方向に副騎士長は視線を向ける。気づくとこの場にいる全員が同じところに視線を向けていた。

 

 

「【黒岩流抜刀術・光刃(こうしん)】」

 

 

 騎士団長に黒い炎を放とうとしていたマラストラスは首を刎ねられていた。断末魔を挙げる間もなく、煉によって斬られていた。煉は刀を抜刀した状態で、マラストラスの死体をじっと見つめる。そして、刀を鞘にしまった。

 

 黒岩流抜刀術・光刃。それは抜刀術特有の速さを利用して光並みの速さで敵を斬る技だ。抜刀術には速さが求められる。煉はかつてそれを追求していた時期があった。だが、いくら速くしようとも限界がある。彼は音速ぐらいまでしか速くできなかった。それでも彼は諦めずに追求した。それが報われたのか、光並みの速さで抜刀することができるようになった。それを技に昇華させてできたのがこの技だ。

 

 この一瞬の出来事に場は静まり返る。特に初めて見るトーパ王国側は固まっていた。彼ら全員が我に返ったのは煉の刀を仕舞う音でだった。

 

 

「煉隊長。マラストラスを滅していただき助かった。礼を言う」

 

 

 煉は素直にその礼を受け取った。

 

 その後、ミナイサ地区の民間人救出作戦の会議が始まり、その会議は深夜にまで及んだ。

 

 

対パーパルディア皇国戦にて参加するネクロマンス首脳部は?(大和ゆかは参加確定)

  • 黒岩煉
  • 小野未来
  • 船橋海斗
  • 冬花雪
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