皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第五章 endless nightmare(終わりなき悪夢)
第五十五話 雷作戦改


 能力発動(アビリティドライブ)

 

 

 日本国内で能力を発動する者がいた。その人物のそばには雪がおり、彼の護衛のもとで万全の態勢で能力が発動されていた。

 その能力は、一瞬だけ謎の浮遊感が皆を襲う。その直後に、この能力は発動する。

 時空が歪み、視界を白い閃光が覆う。

 

 その能力こそが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時戻し(リトライ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『逆再生(リトライ)』の応用であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中央暦1639年7月20日 アルタラス王国 飛行場

 

 

 その日、数多の爆撃機がここから飛び立っていた。その爆撃機、彗星は、これからパーパルディア本土爆撃作戦、雷作戦を実行するためにパーパルディア本土に向かう予定であった。

 その見るからにムーのより巨大な飛行機械には多数の爆弾が搭載されており、独特の大きな音をたてながら飛び立っていく。その光景は、見ている人々を圧倒していた。

 

 

「これが、日本の……」

 

 

 それは、アルタラス王国王女であるルミエスも例外ではなかった。彼女は、日本に亡命していた頃に日本の軍事についても調べていたが、本や映像で見るより実際に見た方が迫力は段違いであった。

 

 

(これでパーパルディアに怒りの鉄槌を下すのですね)

 

 

 作戦内容はルミエスに予め伝わっている。飛行機械にてパーパルディアに爆弾の雨を降らすという簡単な説明だ。

 パーパルディアには空爆に対する備えはない。何故なら、ワイバーンは爆撃機みたいな運用ができないからだ。ワイバーンはせいぜい対地支援や制空戦闘程度しか運用できない。対艦攻撃もできはするのだが、木造船ぐらいしかある程度のダメージを与えることができない。せいぜい甲板や艦橋などを燃やす程度だ。

 その程度の性能しかないワイバーンが、高高度を飛行する爆撃機を撃墜するなど不可能であった。ということは、必然的にパーパルディアは日本の飛行機械を堕とすことはできないことを意味した。

 

 

「どうか、我々に希望の光を」

 

 

 ルミエスは、両手を胸の前で合わせて祈り始めた。

 

 

(あれ?なんか、前に似たようなことした気が?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルタラス王国から飛び立った彗星は、日本本土から飛んできた富嶽、富嶽II等と合流しパーパルディア本土上空に向かっていた。ステルスモードを展開し、姿が見えない状態で接近していく。

 パーパルディア本土攻略戦の第一段階である雷作戦は、大量の爆撃機による爆撃が中心である。その目標は、エストシラント、パールネウス、デュロの三つだ。それは時が巻き戻る前と変わらない。

 

 

『いいか!!第一目標は航空基地と陸軍基地だ!!その後は自由に爆撃しろ!!いいな!?』

 

 

『『『『『『『はい!!!』』』』』』』

 

 

『爆撃開始!!』

 

 

 パーパルディア上空に到達した編隊は、第一目標目掛けて爆弾を落とす。大量の無誘導1トン爆弾は、正確に目標に落下した。

 爆弾を落とさなかった機体は、周りの建築物という建築物目掛けて爆弾を落とす。それは民間人の家でも容赦なくやっていく。

 特に爆撃が苛烈だったのは、ガウ攻撃空母IIが担当した地域だった。絨毯爆撃を得意とするこの機体は、パーパルディア市街地を容赦なく整地していった。

 空からの攻撃だと気付いた竜騎士は、すぐさま上空を探し始める。しかし、姿が見えない。何もないところから爆弾が次々と落ちているだけだった。

 

 

『ヒャッハー!!芸術は爆発だぁ!!』

 

 

『フハハハハハハ!!環境破壊は気持ちいいZOY!!』

 

 

 はっちゃけている人がいるが、それも迎撃を受けないワンサイドゲームになっているからだろう。現に、富嶽や彗星の周りには護衛機が一つもない。これは時が巻き戻る前と違うところだ。同じなのは、ガウ攻撃空母IIや富嶽IIから発艦した無人機の護衛がそれぞれについているところだ。

 

 

「爆弾の雨が来るぞー!!!」

 

 

「逃げろぉ!!」

 

 

「ま、また来たのか!?」

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 地上では、阿鼻叫喚になっている人々で群がっていた。飛行機械の姿は見えないが、降ってくる爆弾は視認できる。その爆弾によって、陸軍基地が悉く壊滅していく。また、人が密集しているところにも落下し、多くの人を消し炭にした。

 爆撃機は数回にかけて襲来した。否、数回どころではない。できる限り、反復攻撃を行っていた。

 

 

『目標、巨大な壁!!投下!!』

 

 

 パールネウスでは、巨大な壁に目掛けて前と同様に釘型爆弾が投下された。その爆弾は地中深くまで突き刺さった後に一斉に起爆するという、坑道も同時に潰すことができる兵器である。この兵器は、巻き戻る前に巨大な壁を一掃していたが、今回も全く同じ方法で吹き飛ばした。

 

 

「遊星の中間誘導開始!!目標、パールネウス、コンフィル、デュロ!!」

 

 

 一方、宇宙に展開している宇宙戦艦大和は、遊星を三つの街に落とそうとしていた。遊星とは、『人工衛星型人工隕石』のコードネームである。必要な衛星は、謎の衛星を利用するつもりだった。これは、時間が巻き戻る前と同じであった。

 

 大量の飛行機械に紛れて、複数の人工隕石が落下する。パールネウスは、釘型爆弾の爆発の後間髪無く着弾したため、なんとか生き残っていた者、爆発で死亡した者の遺体含めその場にいた全てのパーパルディア人を消し飛ばした。

 その光景は、他の着弾地点でも同様だった。デュロの工業地帯は跡形もなくなっていた。中でも一番被害が大きかったのはコンフィルだった。

 

 

『隊長!!コンフィルから放射線反応!!()()()が起きたと思われます!!』

 

 

『何!?』

 

 

 富嶽IIに搭載されている放射線測定器がコンフィルに反応を示したことを確認したパイロットは、編隊の隊長にそれを報告した。隊長は、その報告を受けて自身の機体の測定器を見る。そこには、通常より多い放射線値を示していた。

 実は、人工隕石が着弾した時に中に眠っていたICBMに酷似したコア魔法が爆発したのだ。原因として、コア魔法を破壊した時の衝撃で中のコアにその衝撃が伝わり原子の分裂反応を起こったと考えられる。

 いきなりの核爆発だったが、そのほとんどはコンフィルの地下で起きた爆発のために地面の一部が抉れた。だが、小さなクレーターを形成し放射線による環境汚染が起こってしまった。

 

 

『こちら、4649富嶽爆撃隊!!コンフィルで核爆発が起きた!!至急、放射線除去爆弾(クリーンボム)を手配してくれ!!』

 

 

『何!?核爆発だと!?』

 

 

 その通信は、本土にあるネクロマンス本部にある統合作戦司令部に届いていた。

 統合作戦司令部とは、陸・海・空・宇宙の全ての軍を総括して指揮する組織である。その組織のトップはネクロマンス首脳部がそのまま務める形となっていた。

 核爆発の通信が入った司令部は、すぐさま輸送機『鎌鼬』に放射線除去爆弾(クリーンボム)を搭載して向かわせた。これは、予め予想していたことだったのですぐに対応できた。逆に、時が巻き戻る前には反応していなかったので、その時は奇跡としか言いようがない。

 

 

「司令!!デュロ工業地帯は壊滅!!パールネウスも壊滅しました!!」

 

 

「そうか。よし、フェーズ2に移行しろ」

 

 

「はい!」

 

 

 現在、ゆっくりとエストシラント沖に向かっている第一連合艦隊総旗艦紀伊に搭乗しているゆかが、次の段階に移行する命令を下す。

 今回の雷作戦は複数のフェーズに分かれていた。その内容は以下の通り。

 

 フェーズ1 敵主要要衝を爆撃して壊滅させる。

 フェーズ2 上空20,000m以上の高さから無差別爆撃を行う。それと同時に、この世界に転移してから初めて戦線に参加する地中戦車及び地中輸送車を空挺降下させる。

 フェーズ3 海神を未来がパーパルディア上空に転移させ、直後に海神は能力で天変地異を起こす。

 フェーズ4 37式水陸両用装甲車のみで編成した機甲師団で、生き残りのパーパルディア海軍及び沿岸部に攻撃を行う。

 フェーズ5 パーパルディア本土に日本軍240万人が転移で強襲する。

 

 この内容を見れば分かる通り、海龍作戦と大蛇作戦を完全にすっ飛ばしている。もはや、雷作戦だけで決着が着くのではないかと突っ込みたくなる作戦であった。

 

 

『目標地点到着!!これより、地中戦車及び地中輸送車の降下を開始する!!』

 

 

 輸送機鎌鼬から出てきたのは、作戦通りの地中輸送車と地中戦車であった。パラシュートを開きながら、ゆっくりと降下していく。

 やがてそれが着地すると、正面に付いているドリルを回転させてすぐに地中に潜っていく。

 

 地中輸送車は、その名の通り部隊を地中を通って運ぶために作られた輸送車だ。正面にドリルが付いており、それを回転させて掘りながら進んでいく。

 その横には、地中戦車が進んでいた。この戦車も名前の通りで、地中を通って奇襲することができる戦車である。主砲に210㎜のレールガンを搭載していて、ドリルで掘りながら敵を倒すこともできた。

 そして、これらの真髄は敵要塞の()()()()()()()である。ほとんどの要塞は地面からの奇襲に対応していない。しているのは空と陸からだ。故に、この兵器は敵に効果的な損害を与えることが期待されていた。

 それが叶ったのは第五次世界大戦のことだった。欧州戦線にて、地面のアスファルトを突き破って敵背後を奇襲したのだ。それまで膠着状態だった戦線が、この一撃で大幅に動いた。しかも、市街地戦でも活躍し、ありとあらゆるところからモグラみたいに穴掘って奇襲した。それと同時に、地中輸送車で歩兵部隊も送り込んだりしていた。敵が空と陸を警戒する中、警戒されていない地面からの奇襲は実に効果的であった。これらの戦果を前に、各国はこれを陸の潜水艦と呼んだ。

 その後終戦してからある程度経つと、この戦訓から各国でも生産されるようになり、新たに台頭したナチスドイツも保有するようになる。また、その対抗策も出てくるようになり、地面からの奇襲はやりにくくなった。しかし、それでも地中輸送車及び地中戦車、通称地中車は陸上戦力として重宝された。要塞戦や市街地戦の幅が広がるからだ。

 このような存在である地中車だったが、なんの対応策も持っていないパーパルディアにとってはクリティカルだった。悉く防衛線の背後から奇襲してくるのだ。その中には構築途中の防衛線があり、彼らはこの攻撃によって、防衛線なしで戦わざる得ない状況に追い込まれていた。

 

 ある程度掻き回したことを確認した地中車は、紀伊に向けて通信を行う。フェーズ2終了の報告だ。

 

 

「こちら、モグラ部隊。奴らの撹乱を完了した」

 

 

「了解。海神と未来に通達。フェーズ3に移行する」

 

 

 フェーズ3は、本土にいる未来が海神をパーパルディア上空に転移させることから始まる。この時の海神は、『創造者』の方だ。

 彼女の能力は【自然創造(バイオクリエイト)】。自然を創造したり操ったりすることができる。つまり、これから敵に襲いかかるのは自然の猛威ということになる。

 

 

「いくよ〜」

 

 

「いつでもいいわ」

 

 

 

 

 【転移】

 

 

 

 寸分の狂いなく指定の座標に飛ばされた海神。彼女の真下には、フェーズ1でボコボコにされたデュロの工業地帯が広がっていた。

 デュロは、日本軍の緻密な爆撃により、瓦礫と廃墟しか残っていなかった。その廃墟からは黒煙が立ち上り、瓦礫は辺り一面に広がっている。

 

 

「どれだけ徹底的にやったのよ……私の出番がないじゃない」

 

 

 海神はそうぼやきながらも、彼女は能力を発動させる。

 

 

「まぁ、いいわ。さらに絶望の底に落としてあげる」

 

 

 彼女の周りに雷が迸る。それと同時に、空が分厚い黒い雲で覆われていく。パーパルディア人は急速に覆われていく雲に疑問を抱くが、それが積乱雲だと気付くのに時間は掛からなかった。

 その積乱雲から通常ではあり得ない頻度で落雷が発生する。それに加え、災害レベルの大雨が降り注ぐ。パーパルディア皇国内を流れる川は一瞬にして水位が上昇し、落雷によって火災が発生する場所もあった。それら全てが、彼女の手によって行われていた。

 

 

「か、神の怒りだ…」

 

 

 パーパルディア人がそう思うのも仕方なかった。上空で佇む1人の女性を見れば、神が直接手を下しているように見えるからだ。海神は実際に神なので、あながち間違いではないのだが。

 

 

能力発動(アビリティドライブ)!!」

 

 

 海神はパーパルディアに災害を起こす。ある場所は竜巻、ある場所は隆起、ある場所は大粒の雹などいたるところで災害が多発した。その光景はもはや天変地異と言っても過言ではない。

 

 

「いや〜すげぇなぁ」

 

 

「呑気にしてる場合か!!」

 

 

 一応、フレンドリーファイアだけはしないように専用の発信機を搭載している地中車。そのおかげか、こちらに攻撃が当たることは避けられている。だが、いつ流れ弾に当たるかわからない。

 地中車は現在、地中にて待機している。そして、その真上にはパーパルディア人が自然の猛威から逃げ惑っていた。

 

 

自然の神罰(バイオネメシス)

 

 

 それは、現在海神が発動している能力を利用した技である。ありとあらゆる災害が発生し、その場所を壊滅させる。この技の対抗手段は、パーパルディアには持っていなかった。

 

 パーパルディア皇国は、黙って彼女に蹂躙されるのを見ているしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逃げ惑っているのは、グラ・バルカス帝国諜報員であるエスケントもだった。何故なら、いきなり天変地異と呼べる災害が襲ってきたからだ。

 彼がいるエスタリアも、海神によって壊滅状態と化していた。彼の諜報拠点の屋敷も、雷が何回も直撃して全焼している。中にあった写真や暗号通信機なども巻き込まれていた。

 

 

「くそっ!!なんなんだ!!」

 

 

 日本軍とやらは空からしか攻撃してきていない。そう思い込んでいるエスケントは、安全な場所を探して走り回る。だが、すぐに災害が発生して足止めされてしまう。

 すると、エスケントの視界に1人の女性が入る。その女性は全体的に小さく見えるため、遠くにいることが窺えた。

 

 

「な!?ひ、人が浮いてる?」

 

 

 その女性は空中に滞空していた。彼女の周りを雷がバリアのように覆い、付近には複数の竜巻があらゆる物を吹き飛ばしていた。そう、彼が目撃したのは海神である。

 

 

「まさか!!あの女が原因か!?」

 

 

 エスケントは、手に持っていた双眼鏡で彼女の方を見る。彼女の肩には旭日旗のワッペンが貼られていた。

 それが意味すること。それは彼女は日本の者だということだった。

 

 

「日本!?ということは、この現象は全て日本の仕業なのか!?」

 

 

 エスケントは祖国がこのような災害によって蹂躙される未来を幻視した。それを認識した彼は、無線機で本国に連絡しようとする。

 しかし、パーパルディアの遥か上空には電子戦機が旋回していた。本土攻略戦開始前からずっとパーパルディアの通信を阻害していたのだ。もちろん、これを突破する、もしくは無効化する技術をパーパルディア側、及びグラ・バルカス帝国側は持っていない。故に、エスケントから発せられた通信は、本国に届かなかった。

 ノイズだらけの無線機を聞いたエスケントは項垂れた。証拠となる写真や映像もない状況下で、ただただ無線機を片手にぼんやりと上空の彼女を見つめる。

 

 

「あれが、日本の力だと言うのか……」

 

 

 そう呟いたエスケントは、次の瞬間、ランダムに落ちている落雷に直撃して永遠に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 

「はっ!?」

 

 

 カイオスは突然、自室の寝室で目を覚ました。周りにはいつも通りの景色が広がっている。

 

 

「な、何がどうなってるんだ…」

 

 

 カイオスには、謎の記憶があった。国民皆兵までしても日本に蹂躙された記憶が。その記憶では、カイオスの自宅含む皇城以外の全てのエストシラントは更地になっており、パーパルディアのほとんどは日本軍に占領されている状態だった。それに加えて属領の反乱もあり、皇国の栄光は完全に崩れ落ちたかに思えた。

 だが、目の前の景色はどうだろう。いつも通りの自室の景色だ。窓から外を見ると、かつての栄光が残っていた。まだ日本の攻撃が行われていない時と同じ景色だ。

 

 

「あ、あの出来事は、夢だったのか……」

 

 

 未だに目の前の景色を受け入れることが出来ないカイオス。日本の圧倒的な力を前に心が折れかけた彼にとって、それがなかったことに安堵を覚えているのだ。

 カイオスは寝汗でびっしょり濡れている寝間着を着替える。顔色が若干悪く感じるが、それを気にせず食事を用意しようとする。

 

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 その時、突如として爆発音が響き渡った。それからも連続して響き渡る。

 突然のことに呆然とするカイオスだったが、聞き覚えのある独特の音でハッと意識を覚醒させる。

 聞き覚えがあったのは、カイオスが覚えているパーパルディアが蹂躙された際に、爆弾が降ってくる音を聞いていたからだ。それと全く同じ音が今も聞こえていた。

 

 

「日本の攻撃だ!!逃げろぉ!!」

 

 

 外から叫んでいる声が聞こえる。しかし、あの時に聞いた飛行機械の音が聞こえなかった。だから、本当に日本の攻撃なのかわからないでいた。

 

 すると、コンフィルの方からとてつもない大爆発の音が聞こえた。よくその方角の方向を見ると、どうやら地下で爆発したらしく、舞い上がった土が降り注いでいた。

 

 

「カイオス様!!至急、会議室へ来るようにとお達しが!!」

 

 

 現在の状況が全て分かっていない中、カイオスは伝令にきた部下を下がらせて自身は着替える。その後、真っ直ぐ皇城に向かう。

 

 カイオスはその間、夢のようで夢っぽくないあの記憶について考えていた。様々な考えが浮かぶ中、彼はある結論に達する。

 あの夢は明晰夢だったのではないか。それが彼の出した答えだった。実際、夢としてみると、ヤケにリアルで実体験のような夢だった。だからこそ、明晰夢だったと考えるようになった。

 そして、これが本当に明晰夢だったら、その夢の出来事を回避することができる可能性があった。故にカイオスは、あの夢と同じ轍は踏まないとばかりに、張り切って会議室へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同日 10:00 パーパルディア皇国 皇城

 

 

「これより、緊急御前会議を始めます」

 

 

 時が巻き戻る前より早い緊急御前会議が開催された。

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