皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第五十七話 二度目の蹂躙劇

 転移した日本軍は瞬く間に各地を制圧していった。本土から来たガウ攻撃空母IIやアルタラス王国から飛んできた彗星の支援のもと、39式戦車を先頭に進撃していく。

 

 転移から30分後には、エストシラントにある皇城を包囲していた。綺麗な中世の街並みは軒並みやられて瓦礫の山と化していて、その上を日本軍が踏みしめている。空は日本の飛行機械が飛び回り、パーパルディアに制空権がないことを知らしめていた。

 

 

「どんどん投げるぞ!!お前らも投げろ!!」

 

 

「無茶言ってんじゃないですよ!!」

 

 

 他の戦線では、爆坂が爆薬を詰め込んだ大型トラックを敵に向けて投げまくっていた。嵐の中、投げられたトラックが爆発し、それによってトラックのガソリンが発火する。発火したガソリンは、竜巻に巻き込まれて炎の渦を形成する。それによって新たな地獄絵図が生み出される。

 

 彼の部下は、同じことをさせようとする爆坂に上司であるにも関わらずツッコミを入れていた。普通ならトラックを持つことなどできはしないのだが、彼はできた。だが、部下はできないのは当たり前なので断るのは納得できる。

 

 

「燃えろよ、燃えろ〜♪」

 

 

 テンションが限界を超えたのか、突然歌い出した爆坂。それでも、彼は投げるのをやめない。逆に、満面の笑みで片手に一つずつ持って両手で投げ始めていた。

 

 

「爆発しろよ〜最後まで〜♪」

 

 

「何歌ってるのかしら?」

 

 

 そんな爆坂の様子に、同行していたパチュリーがため息をつきながら問いかける。だが、彼の回答はズレていた。

 

 

「爆弾を愛する者が歌える歌さ」

 

 

「何言ってるのかしら?」

 

 

 意味不明な言葉にパチュリーは首を傾げる。「動く大図書館」と呼ばれている彼女には、その歌のことは知らなかった。

 その間にも、敵はどんどんやられていく。巨大な爆弾となっているトラックの爆発に巻き込まれて肉体が爆散したり炎に包まれて焼死したりとやられ方は様々だが、犠牲者数は急速に増加していた。

 

 

「あ、あの女を狙え!!」

 

 

「おい!!あの女は!?」

 

 

「水符【プリンセスウンディネ】」

 

 

 一人のパーパルディア人がパチュリーにマスケット銃を向けるが、それより先にパチュリーのスペルが発動した。

 もう一人のパーパルディア兵がパチュリーのことを見たことあるかのように慌てるがもう遅い。スペルを発動したことで出現した水の弾幕は、必死に抵抗しているパーパルディア人を次々に風穴をあけた。見るからに幻想的な弾幕は、初めて見た者の目を奪い、抵抗していない間にその者に直撃、その者の命を奪っていった。

 

 

「そこの爆弾魔(ボマー)、早く終わらせなさい」

 

 

「なんでなんだ!?愛する爆弾から離れろというのか!?」

 

 

「そうよ。だから早く終わらせなさい。他の戦線と合流しないといけないのだから」

 

 

「だが断る!!爆弾を愛する者として、爆弾から離れてはいかんのだ!それに、他の戦線と合流すると()がいるではないか!!」

 

 

「奴?」

 

 

「大和ゆかとかいう良いところで毎回止めてくる、容姿がいいムカつく野郎だ!!」

 

 

 爆坂は恨めったらしくそう言った。最後のは完全に私怨だが、パチュリーは気にせず話を聞く。

 

 

「そもそも相手が貧弱過ぎるのだ!!!せめてナチスぐらいの強さの敵はいないのか!」

 

 

「いたら逆に恐ろしいわよ」

 

 

 本当にそうである。ナチスといえば、第二章の大海戦で激闘を繰り広げた国のことである。技術力は日本より少し劣っているが、物量や工業力は日本より上である。また、日本がいた世界と同じ世界にある国のため、チート能力者も少なからずいた。そんな能力者がいるとなると、こちらも相応の装備かチート能力者をぶつけるしかない。それが敵として今目の前にいたら、日本側の損害もバカにならなくなる。

 本国はナチスを最大限警戒しており、そのナチスの恐ろしさをパチュリーたちは知っている。故に、パチュリーの反応も頷けた。

 

 

「早くしなさい。私の喘息がぶり返す前に、ゴホッ、ゴホッ」

 

 

 パチュリーは体が弱いので、持病の喘息をよく発病する。最近は日本の薬などの技術によって治まっていたが、それがないと前みたいにぶり返す。今回もそれだった。

 

 

「仕方ねぇな!!それ!」

 

 

 咳き込んだパチュリーを気遣ったのか、トラック投げのスピードをあげる爆坂。さらにドローンまで投入して敵兵の殲滅スピードをあげる。

 

 

 ブウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!

 

 

 ドローンの独特な音が戦場に響き渡る。もちろん、その音は敵兵にも聞こえるわけで、瞬く間にパニックに陥った。空を埋め尽くすほどの量のドローンが、38式指揮兼支援装甲車によって統制されながら敵兵に突撃する。

 ドローンによる正確な自爆攻撃は、敵の塹壕内を血で染め上げた。迫り来る掌ぐらいの小型な飛行機械に追尾されながらパーパルディア兵はマスケット銃をドローンに向けて乱射するが、運良く数機撃墜できたぐらいで対抗など不可能であった。

 

 

「や、やめろぉ!!!」

 

 

「こっち来るなぁ!!」

 

 

「うわぁぁぁ!!!」、

 

 

 パーパルディア兵の阿鼻叫喚とした悲鳴が聞こえてくる。それに加えて、トラック投げによる炎の竜巻も含まれるので、地獄絵図だった戦場はさらに地獄絵図となる。

 

 現在彼らがいる戦線は、パーパルディア軍が塹壕を掘って防衛線を築いている場所だ。だが、その防衛線はもうすぐ陥落する。

 

 

「今だ!!前進だ!!」

 

 

 爆坂の声が響く。それに応じるように、他の部隊が一斉に突撃する。敵の防衛部隊は既に壊滅状態の為、迫り来る日本軍に対抗できるはずがなかった。

 

 

「ハッハッハッ!!真威人様のお通りだぁ!!」

 

 

 突撃する日本軍の先頭には爆坂がいた。彼は、相変わらず周りを爆破しながら物凄いスピードで戦場を駆け巡る。それをパチュリーが援護で弾幕をはる。あちこちで爆発音が響くカオスの中に、弾幕という幻想的な光景が広がっていた。

 

 

「よし!!このまま合流するぞ!!」

 

 

「その前にトラック投げるのやめてください!!」

 

 

 部下の悲痛な叫びが響く。実は、爆坂が投げたトラックの中に弾薬が入ったトラックがあったのだ。しかし、爆坂は爆発すれば問題ないとして堂々と投げまくっていた。だがそうすると、味方が使う分の弾薬が足りなくなる可能性がある。てか、実際に足りなくなっていた。それでも問題なかったのは、パチュリーが弾薬を転移で持ってきてくれたからだ。

 

 

「真威人、私からもやめてほしいわね。足りなくなった弾薬を持ってくるのは私なんだから」

 

 

 パチュリーは、少し呆れたような表情で言う。それに対し爆坂は、ただ笑うことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標、敵密集部!!撃てぇ!!」

 

 

 先に空挺で降下していた地中戦車が敵陣地の背後に地面から出現し、敵陣地に向けて搭載されている210㎜のレールガンを放つ。弾種は当然榴弾であり、敵陣に着弾すると、そこにいたパーパルディア兵たちは瞬く間に吹き飛ぶ。その中には、肉塊となって飛ばされる者もいた。

 敵陣地は、塹壕を含めた市街地に構築されていて、ゲリラ戦が展開できるようになっていた。仮に日本軍が正面から突撃すると、そこに潜んでいるパーパルディア兵からの十字砲火を喰らうことになる。そのため日本軍は、地中戦車を利用した奇襲をすることにした。

 

 そして現在、地表に出た地中戦車は、パーパルディア軍に対してその圧倒的な力をもって蹂躙していた。迫り来る兵士に榴弾や機銃を浴びせ、建物の中にいる兵士にはその建物ごとドリルで粉砕する。敵の中には、そのドリルに巻き込まれる者もいた。

 

 

「生体反応探知機に反応!!目の前の建物です!」

 

 

「よし、角度はそのまま!!突っ込め!!」

 

 

 また、いくら隠れても生体反応探知機によってすぐに見つかる。どこに隠れても、そこにいる限り逃れることは不可能だった。確実に生体反応探知機に捕まるからだ。

 見つかった敵は無慈悲にもドリルで粉砕されていた。建物の中や塀の影にいても、ドリルで貫通してくる。反撃しようにも、地中戦車の装甲で阻まれる。彼らはマスケット銃しか持っていないため、抵抗は無意味だった。

 

 

「車長!!敵味方識別装置に反応!!上空に味方です!!」

 

 

「通信開け!!援護を要請する!」

 

 

『その必要はないわ、既に殲滅に入ってるもの』

 

 

 上空には、蝙蝠の羽を持った少女…に見える女性、レミリアが地面を見下ろす形で滞空していた。地面には無数の光の槍が突き刺さっており、直前にレミリアの攻撃が行われていたことを示していた。

 

 

「車長、生体反応探知機に敵反応なしです。ここら一帯は粗方殲滅し終えたかと」

 

 

「そうか。なら、次の村に行こう。そこは海神(創造者)の能力で既に壊滅状態らしいからな。介錯してあげようか」

 

 

『面白そうね。私も混ぜてくれないかしら?』

 

 

「もちろんです。レミリアさんがいれば、百人力ですから」

 

 

 レミリアの力は日本国中に伝わっている。だがそれは、ゆかの使い魔という立場故に広まったものであるが、それは最初だけである。というのも、雪とよく遊んでいるフランと遊んでいるところをよく目撃されているため、レミリアの強さは雪のお墨付きということになっているのだ。

 

 上空から地面に降り立ったレミリアは、地中戦車に乗り込む。レミリアが飛んで奇襲してもいいのだが、彼女は地中戦車に興味があった。本来なら陸軍ではないレミリアは乗れないのだが、今の機会に乗っておこうということだろう。

 

 

「ドリル、起動!掘削開始!!」

 

 

 地中戦車は再び地面に潜っていった。ドリルで進む先を掘削しながら、戦車並みの速度で進んでいく。現在地については、衛星などから常に位置情報を受け取っているため、迷うことはない。

 

 

「すごいわね。こんな速度で掘って進むなんて…」

 

 

「そうですよね。だからこそ、モグラなんて言われているんですが」

 

 

 不本意そうにそう言う車長。だが、地中戦車の任務故に仕方ないことである。地面を掘って地下から奇襲することが主任務の地中戦車は、モグラのように地面の中を掘って進んで奇襲する。そのような任務だからこそ、そう呼ばれるのは仕方なかった。

 

 

「モグラ……確かにそうね」

 

 

「ですよね…」

 

 

 この愛称は、国民の間でも周知されている。一部では、「モグラ=地中戦車部隊」というところもあるぐらいだ。それだけ、この部隊は特殊だった。

 

 

「さて、レミリアさん!出ますよ!」

 

 

「分かったわ」

 

 

「進行角度上50度!ドリル回転速度上げます!」

 

 

 この命令で、地中戦車の速度が上がる。掘るスピードも上がり、それに伴ってドリルの角度を上に向ける。地中戦車は、地上に向けてどんどん掘り進めていく。

 ドリルの可動音は消音専用の結界で、掘る時の振動は常に掘る前に結界が張られるようになっている。これにより、出来るだけ敵に気付かれないように接近できた。

 

 

「地上、出ます!」

 

 

 地上に出ると、そこは季節外れの猛吹雪が吹いていた。風が強く、ホワイトアウトで前が見えない。

 少し地中戦車を前に進ませると、何かを轢いた感覚がした。降りてみてみると、そこには、凍死したであろう半袖のパーパルディア人が横たわっていた。その人は、軍服を身につけておらず、体付きも至って平凡であった。つまり、民間人である。

 

 

「民間人…」

 

 

「仕方ないですよ。相手は自ら殲滅戦を宣言したんですから」

 

 

 地中戦車の通信手が暗い表情を浮かべるが、車長がそれを一蹴する。その車長の表情も複雑そうだった。

 戦争は戦闘員どうしの戦いならまだわかる。だが、今回は違う。しかし、誰だって民間人を殺したくはない。

 

 

「……そうね、向こうが先に始めたことなんだもの、こちらが躊躇するのもおかしな話よね」

 

 

「……はい」

 

 

 通信手が俯く。やはり、抵抗はあるのだろう。

 

 

「生体反応探知機に反応!!敵陣地に密集してます!」

 

 

「始末は任せるわ。寒いところには出たくないの」

 

 

「分かりました。目標、敵密集地点!!撃てぇ!!」

 

 

 敵陣地の背後に地面から出現した地中戦車は、その照準を敵が密集しているところに向けてすぐさま発砲した。青白い光が砲身の中を迸り、火薬式とは比べ物ににならない速度で砲弾が放たれ着弾する。

 着弾した砲弾は、見事に目標に命中した。敵が密集していたこと、地中戦車のレールガンから放たれた砲弾の威力が強すぎたことがあり、敵陣地の壁は貫通して内部で榴弾の爆発が起こった。

 

 

「命中!!あっ!!他の方向から別の地中戦車が攻撃を開始しました!!」

 

 

「こっちもだ!!撃ちながら接近しろ!」

 

 

 敵陣地の周りには合計5両ほどの地中戦車が包囲していた。その5両は、データリンクで上手く連携しながら、パーパルディア軍を逃さないようにする。陣地にいるパーパルディア軍は生体反応探知機からの情報だと約500人ほどだと思われたが、地中戦車の敵ではなかった。

 

 

「砲身が使えなくなるまでどんどん撃ち込め!!1人も逃すな!!」

 

 

「はい!!機銃による弾幕もはります!!」

 

 

「よろしい!!全弾薬使い切るつもりでやれ!!」

 

 

「了解!」

 

 

 外は猛吹雪の中、その影響を受けずに地中戦車は徐々に進撃していく。あらゆる方向から攻撃を受けていることで包囲されていることに気付いたパーパルディア軍は、猛吹雪の中を危険を承知で迎撃に出るしかなかった。

 小規模な塹壕の中には、季節外れの寒さに凍えるパーパルディア軍の姿があった。彼らは、地中戦車の砲撃を生き延びた者であり、守備隊司令の命令で降伏することを許されない者でもあった。

 

 

「まだだ、まだ撃つなよ…接近してきたら一斉に撃つ」

 

 

 彼らの認識は、自分らが敵を視認できないから相手も自分たちを認識できていないだろうということだった。猛吹雪の中を偵察員で探すのにも苦労する。だから相手も同じと考えていた。

 だが、相手は日本である。生体反応探知機を実用化している日本である。そんな考えが通用するはずがなかった。

 

 生体反応探知機で地面より低いところに反応があったために塹壕の中にいると確信を持った車長は、ドリルを下に向けるように指示を出した。それが終わると、一気に突貫する。

 

 

「グアァァァァァァァァァ!!」

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

 地中戦車は、敵塹壕の壁を簡単に粉砕した。その先にいた1人のパーパルディア兵を巻き込みながら、塹壕の中に出る。

 

 

「て、鉄の怪物だ…」

 

 

「に、逃げろぉ!!」

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 地中戦車は、パーパルディア側から見れば鉄で覆われた怪物に見えるだろう。それが、自分たちが劣勢で今にもやられそうか状況ならなおさらだ。

 地中戦車は方向転換して塹壕の中で逃げ惑うパーパルディア軍を追いかける。それに対して、手持ちのマスケット銃を撃つが自動結界に阻まれる。無慈悲にも弾かれる様子を見ていたパーパルディア兵は、武器を捨てて一目散に逃げる。

 

 この陣地を守っていたパーパルディア軍は瞬く間に総崩れとなった。地中戦車部隊は、敗走するパーパルディア軍を追撃しようとする。だが、そこに今までの比ではないほどの猛吹雪がパーパルディア軍を襲った。その様子を見ていたレミリアは咄嗟に上を向く。

 

 

「……いつでも見ているってことね」

 

 

 レミリアはそう呟いた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全車、前進せよ!!」

 

 

 ついに、皇城を包囲している部隊が動き出した。事前砲撃を皇城の壁に向けて容赦なく放ち、それに加えてその周りの屋敷も薙ぎ払う。その場を守るはずの近衛兵は、砲撃によって爆散していた。

 守るものがない皇城は、瞬く間に瓦礫と化していた。中にいた政府高官らはその下敷きになり、おそらくこれで生き残っている者はゼロだろう。

 

 その総攻撃の様子を、遠くからゆかは見ていた。彼は、崩れ落ちていく皇城を見て、パーパルディアの終焉を感じ取っていた。

 

 

「……そろそろか」

 

 

 ふと、ゆかはそう呟く。懐からスマホ型のデバイスを手に取り、電源を入れ起動する。

 

 

「2回目、いけるか?」

 

 

 起動したことで現れた立体映像に対し、ゆかはそう口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本皇国 ネクロマンス本部

 

 

『2回目、いけるか?』

 

 

「大丈夫です。問題ありません」

 

 

『わかった。なら、いこう』

 

 

 立体映像に映るゆかの姿を見ている少年がいた。ゆかは日本軍の攻撃によって見るも無惨な姿になっている皇城を背景にしている。その映像を見ていた。

 その少年、時和ミノルはゆかの命令に従い、自身の能力を発動させる。すると、謎の浮遊感が襲いかかる。

 

 

能力発動(アビリティドライブ)………【逆再生(リトライ)】」

 

 

 その瞬間、白い閃光が全てを覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミノルと中継し終わったゆかは、攻撃を受けて崩壊している皇城に振り向く。その光景はさっきと変わらない。いや、先程よりも荒廃しているだろう。

 

 ゆかは砲撃の嵐の中をゆっくりと歩いていく。日本軍は、ゆかに当てないように上手く調整しながら撃っている。

 やがて、かつて会議室があった場所あたりにまで来た。ゆかは時が巻き戻る前のことを思い出す。時が巻き戻る前は、ここでルディアスたちに「これで終わらせる気はない」と宣言した。その後すぐに時が巻き戻ったが、それは今も続いている。

 

 

「うっ…」

 

 

 すると、どこからか呻き声が聞こえた。辛うじて生き延びていたのか?ゆかはその声が聞こえた方向に向けて歩き出す。

 

 

「い、一体、何が…」

 

 

「おや?奇遇ですねぇ、レミールさん?」

 

 

 生き延びていたのはまさかのレミールだった。悪運が強いのか知らんが、瓦礫の下敷きになっているだけで意識はあった。

 

 

「お、お前は…」

 

 

 だが、それでも結構な重傷なのか声が掠れている。息も切れていて、今にもあの世に旅立ちそうな雰囲気を漂わせている。

 

 

「……別に俺は君と話に来たわけじゃない。ただ、言っておきたいことがあってね」

 

 

 ゆかはレミールに近づく。

 

 

「どうだ?みんな死んだぞ?あとはお前だけだ」

 

 

「ぐっ…」

 

 

 レミールは否定しようとするが、周りの光景が彼の言葉を実質的に肯定していた。否定できる材料がなかった。

 

 

「だが問題ない。また、()()()()()()()()…」

 

 

 ゆかはレミールの頭に懐から取り出した拳銃を突きつける。そして、その引き金をひくと同時に、謎の浮遊感が彼らを襲った。

 

 そうして、時は再び巻き戻る……。

 

 

 

 

 

 

 




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