皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第六十一話 パーパルディア皇国の終焉〜月読命作戦最終フェーズ 黎明作戦〜

 同日 15:00

 

『みなさん、こんにちは。アルタラス王国王女ルミエスです』

 

 

 それは、女神のようであった。ルミエスの力強い、それでいてどこか儚さを感じられるその声は、この放送を聴いている者たちの心に響いていた。

 

 

『これから行う発表は、正式に日本皇国の承認を得ています。

 先程、日本はパーパルディア本土に直接攻撃を行いました。我が国にある飛行場から飛行機械による爆撃から始まり、それと同時に日本海軍がパーパルディアの軍港を攻撃したようです』

 

 

 ルミエスは、後ろにある日本から無償で提供されたプロジェクターに映像を映す。その映像は、無人機から撮影された、大編隊での爆撃の様子だった。パーパルディアの主力のワイバーンロードが届かない高さから一方的に爆弾を大量に落としていく。

 さらに、飛行機械から飛行機械が分離してそれぞれ独立行動を行なっているところの映像もあった。その飛行機械は、片方は爆撃、片方は護衛の役割を果たしていた。

 この映像を見たこの場に集まった各国のマスコミたちがざわめくのにそう時間はかからなかった。この映像が本物ならば、日本はパーパルディアどころかムーや神聖ミリシアル帝国すら上回る技術を持っていることになる。

 

 

『結果は……日本の圧勝です!!日本は無傷のまま、パーパルディア本土を蹂躙したのです!!』

 

 

 映像は、爆撃の後のパーパルディア主要都市に切り替わる。エストシラントを始め、各都市は戦前の見る影もなかった。歴史ある建物や市街地などが、全て爆撃で破壊されている。地面は廃墟と瓦礫で埋め尽くされ、舗装された道路には爆撃に巻き込まれたであろう人の一部があちこちに散らばっていた。さらに、映像の途中には、魔石の集積所か弾薬庫かどちらかは不明だが、何かに引火して誘爆した光景も映っていた。

 

 

『さらに、軍港に停泊していたパーパルディアの主力艦隊も全滅させたとのことです!!!これで、パーパルディアは殆どの兵力を失ったことになります!!』

 

 

 映像は、再び別の映像に切り替わる。ステルスモードで飛行していたドローンから撮影された映像だが、そこには、艦娘たちの砲撃で粉々になっていく戦列艦らの様子が確認できた。出撃する様子も見られなく、ただただ一方的に的になるだけ。マスコミたちは、パーパルディアの落日を確信していく。

 

 

『パーパルディアによって苦しめられてきた人々よ!!!今です!!立ち上がる時は今なのです!!今一斉に動けば、パーパルディアはそれを止める力は残されていません!!今こそ、自分たちの祖国、誇りに満ちた祖国を取り戻すため、立ち上がろうではありませんか!!!

 

 今回の戦いでわかる通り、彼らは日本には勝てない!!それは誰の目から見ても明らかです!!立ち上がったその時は、そんな日本の支援も確約してもらいました!!』

 

 

 ルミエスの声が段々と大きくなっていく。人々を鼓舞するかのように、心を奮起させるかのように、さらに力強い声に変わっていく。

 

 

『皆さん!!戦いましょう!!!今こそ、あの悪魔の国(パーパルディア)を、太陽の国(日本)とともに倒そうではありませんか!!!』

 

 

 後に、人はこれを「女神(ルミエス)のお言葉」と呼ぶことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同日 15:30 パーパルディア属領 旧クーズ王国 属領統治機構

 

 

「おい!!急いでバリケードをはれ!!突破されるぞ!!」

 

「無理言うな!!作ったそばから破壊されるんだぞ!!それに!あの弾幕の中を突っ込んで作れって言うのかよ!!」

 

 

 統治機構の職員がそう言う目の前には、ルミエスの声を受けて立ち上がった反乱軍の軍勢が広がっていた。手には、日本からの支援であろうパーパルディアより高性能な銃が握られており、それで弾幕がはられていた。

 その筆頭に立つのは、クーズ王国再建軍のハキである。彼は、ルミエスの会見を聞いて、今が好機と行動を起こした。属領統治軍はまだ残っているが、それは日本から援軍として軍事顧問官含めた約3000名が担当しているので、彼らは安心して職員たちと撃ち合いができていた。

 

 

「パンツァーファウストはまだか!!」

 

「今撃ちます!!」

 

 

 弾幕の中、一つの対戦車兵器が使われる。第二次世界大戦で活躍したこの対戦車兵器は、今は対物兵器として運用されていた。

 パンツァーファウストの弾が直撃したバリケードは粉々に粉砕される。その際に出た破片は、飛び散って付近にいた職員を傷つける。

 

 

「今だ!!突撃ぃ!!」

 

 

 ハキの命令で、クーズ王国再建軍は一斉に撃ちながら前に走り出す。職員は1人、また1人と減りながらも、必死に籠城する。

 統治機構の職員は、数にして約100人程度しかいなかった。属領統治軍は2000人ぐらいであるが、それらは日本軍に釘付けになっていて反乱軍の方に対処できていなかった。彼らにとって幸いなのは、属領であるが故にループに巻き込まれなかったことのみだった。

 

 

「たぁ!!」

 

 

 その隙をついた形となっているクーズ王国再建軍だが、そのリーダーのハキの右腕のイキアの奮戦は、誰の目から見ても凄まじかった。それだけ暴れていた。

 

 まず、クーズ王国再建軍から1人で突出すると、姿勢を低くしながら敵に向かって突撃する。もちろん、それに向けて職員はマスケット銃の銃口を向けるが、味方の牽制により壁に隠れるしかなくなる。が、隠れきれない者もいた。

 イキアはその者に向けて、自身が持っている銃ーー「MP40」を連射する。かつてドイツで活躍した短機関銃は、ここでも充分に活躍していた。

 

 

「パンツァーファウスト!!」

 

 

 イキアは突然そう叫ぶ。その瞬間、パンツァーファウストに持ち替えたハキから榴弾が飛んでくる。その榴弾はイキアの目の前の壁に直撃し、壁の奥にいる人ごと吹き飛ばした。その時に発生した土煙に向けて、彼は躊躇なく飛び込む。

 

 

「クソッ!!こんのッ!!」

 

 

 奥にいた職員は、イキアに気付くと手のマスケット銃を慌てて構えて撃つ。マスケット銃は、単発ずつしか撃てないので、外すと隙が大きくなる。それが素人なら尚更だ。しかも、撃ったのは職員で軍人ではないため、余計にその可能性が大きくなる。

 撃たれた銃弾は、慌てた上に素人のおかげかイキアの横を掠めるだけだった。他の職員も同じように発砲するが、それもイキアが避けずとも勝手に外れるばかりだ。

 

 

「イキア!!」

 

「ハキ!!」

 

 

 そこに、ハキがイキアに追いつく。その際にも、職員を撃ち殺すのも忘れない。

 

 

「合わせろ!!」

 

「そっちこそ!!」

 

 

 2人は互いに連携しながら、職員を少しずつ片付けていく。イキアがマスケット銃の銃弾をしゃがんで避けると、弾が通った弾道に沿うようにハキのトンプソンが火を吹いた。この銃も短機関銃であるため、発射レートはマスケット銃と比べて高く、射程も長かった。

 

 

「お、おれは逃げるぞ!!こんなところにいられるか!!」

 

 

 その2人の奮戦に、職員は怖気付いて逃げ出す者も現れ出す。そういった者は、他のクーズ王国再建軍に狙撃されて真っ先に死亡していた。

 逃げても殺される。逃げなくても殺される。投降しても、自分のこれまでを鑑みると自分に返ってくるのは確実なため、逆に嬲り殺される。彼らは、実際にその光景を目撃してしまったため、必死に抵抗する。正に八方塞がりと言える状況であり、それだけ、属領の住民たちの恨みは強かった。

 

 そして、さらに、

 

 

「第一次攻撃隊、発艦!!高雄(ア)、いくよ!!」

 

「あぁ、瑞鶴(ア)殿、合わせるぞ」

 

 

 2人の刀を持った女性ーーー瑞鶴(ア)と高雄(ア)が敵を斬りながら、同じように無双していた。上空では、瑞鶴(ア)から飛び上がった式神が震電に変化して、敵を機銃で掃討していく。

 属領統治軍にワイバーンロードは配備されていなかった。それは、使う必要がなかったからであり、それを日本は知っていた。だからこそ、抵抗なしで制空権を一瞬で取ることができた。

 

 こうして、クーズ王国は反乱を成功させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後 12:00 パーパルディア皇国 地方都市 アルーニ

 

 

 ループ前に激しい戦闘が繰り広げられたパーパルディア本土の地方都市アルーニは、現在では閑散としていた。瓦礫と廃墟のみなのは相変わらずだが、まともなパーパルディア人の姿がどこにもない。死体となっているか、うんともすんとも言わない生きた屍しかいなかった。

 ここは、地方都市というだけあって、かつてまで栄えていた町であった。また、パールネウス共和国時代から絶対防衛ラインの最前線でもあり、北方侵攻の拠点でもあった。そのため、大規模な陸軍基地があって、都市は要塞化されていた。

 しかし、今回の日本の空襲で、その殆どが壊滅していた。生存者は少なく、その生存者も上のような状態に陥っていた。瓦礫の破片などで血を流していても、全く痛みを感じるどころか表情を変えたりしていない。不気味な様子だった。

 

 

「ど、どういうことだ…」

 

 

 その不気味さに、隆起した地面を超えてアルーニに進軍した73カ国連合軍の各軍人は、恐怖を覚える。少なくとも、こういった状況に陥った人は見たことがなかった。自国でも、どれだけパーパルディアの統治が過酷でも生きた屍のようになることはなかった。

 

 

「こっちも動かないです」

 

「こっちは死体だけです」

 

「何が、どうなってるんだ?」

 

 

 パーパルディアが崩壊した隙にと漁夫の利を得ようとしたリーム王国の使者はそう言葉を溢す。日本の空襲はアルーニにも広がっており、リーム王国が想像した戦前の都市とはかけ離れた被害を負っていた。

 リーム王国は日本から見れば中世程度の技術力であり、戦後の崩壊した国の都市も、ある程度ボロボロだが自国で復興させられる程度であるぐらいにしか思っていなかった。だが、現実はどうだ。あちこちで廃人で溢れ、建物も廃墟と瓦礫の街と化しており、自国では復興できないほどのーー例えると物語上で文明が崩壊した街として出てくるような都市となっていた。

 

 

「どうしますか?」

 

 

 1人の軍人がリーム王国の使者に対してそう問いかけるが、彼は日本のことで頭が真っ白になっていた。想定よりも高い日本の力に対して、恐怖しているのだ。

 

 

(に、日本の力がこれほどとはッ……)

 

 

 その時、今や聞き慣れた音が上空から聞こえてきた。それは、73カ国連合軍の方から飛んできていて、しばらくの間上空を旋回するとさらに奥の方に飛んでいった。

 その音の正体は震電ーー73カ国連合軍の援軍として派遣されている瑞鶴(ア)を始めとした空母のKAN -SENたちから発艦したものである。大多数の編隊が、生き残りのパーパルディア人をくまなく探していた。

 

 

「隊長、生体反応探知機に追加の反応ありません。動いている反応もなし」

 

「よし、そのまま進軍するぞ。道中、生きてる反応があれば、容赦なく射殺しろ。煉司令からの命令だ」

 

「はッ!」

 

 

 地上からも、73カ国連合軍に同行している日本軍が生き残りのパーパルディア人を探していた。生きた屍となっている者らは、邪魔なので見た瞬間に射殺している。そうじゃない者も、容赦なく射殺する。その繰り返しだった。

 

 

「あの、捕虜は取らないのですか?」

 

「ん?あぁ、新米はここに来るのは初めてか」

 

「はい」

 

「向こうからわざわざ殲滅戦を宣言しているからな。外交で伝えた降伏の方法をとっていたらまだわかるが、何もしてない。生きた屍のフリをしている可能性も否定できないし、便衣兵としている可能性もある。だから煉司令は、容赦なくやるよう命令したんだ」

 

「そうですか…」

 

「まぁ、気持ちはわかるさ。だけど、既にループで廃人になっている人がほとんどだ。介錯してあげるのが、唯一の温情だ。そう思わんと、俺でも中々キツイぞ?」

 

 

 便衣兵は、実際にフェン王国で行われた先例があった。今回の戦いでは、民間人ごと吹き飛ばしているために効果は薄いだろうが、それがゲリラになると、厄介どころではなくなる。日本軍ならまだ大丈夫だが、後ろの73カ国連合軍に多大な損害が与えられる可能性があるのだ。もっとも、その可能性は先の空襲とループで大体は潰えているのだが。

 

 

(にしても、フェーズ移行はまだなのか?いくらなんでも遅くないか?)

 

 

 73カ国連合軍に追従する日本軍の軍事顧問官がそう疑問を抱く。次のフェーズは、日本軍主力の上陸作戦であり、空挺強襲作戦でもあった。73カ国連合軍がこうして進軍している以上、そろそろのはずなのだが、一向に通信がこない。フェーズ移行時には連絡が軍事顧問官に来る手筈になっているはずなのにだ。

 

 

(何か問題でも起きたのか?)

 

 

 その疑問は、73カ国連合軍のいる周辺に()()()()()()()()()()()()()()()()()5()()()()()()()()()()()()()()()()解消されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻 パーパルディア皇国 沿岸

 

 

『こちら、ライス1。周囲に生体反応なし。オーバー』

 

『こちら、ライス2。こちらも生体反応なし。オーバー』

 

『こちら、ライス3。こちらも生体反応なし。オーバー』

 

「こちら、ライス4。生体反応に感あり。数1。接近して確保します」

 

 

 73カ国連合軍が日本軍とともにアルーニに進軍している頃と同時刻、パーパルディア沿岸では、日本の特殊部隊が沿岸部の残敵掃討を行っていた。廃人はもちろんのこと、それから逃れた人は拘束するか、抵抗したら容赦なく射殺していく。

 この作戦行動の目的は、上陸作戦をより円滑にするためだった。普通ならやらないが、相手がパーパルディアという圧倒的に格下なこと、謎の通信がエスケントから発せられ、その下手人がどこに逃げたかを探るなどが合わさって、以上の口実でやることになった。

 

 

「バ、バルス…」

 

 

 コールサイン、ライス4が見つけた生存者は、死んだであろう人物の名前を呟きながら、海軍庁舎の方を眺めていた。そんな余裕があるのかと言いたいところだが、何があったか想像できるくらいの庁舎の状況を見れば、暗い表情でそのようになっている理由に説明がつく。

 その生存者ーーシルガイアは、今に至るまでの経緯を走馬灯のように思い浮かべていた。ループに何回も巻き込まれながらもその全ての時間軸で生存しきっている彼は、何回も友人が死亡する姿を見せられて精神が摩耗していた。

 

 

(もう、終わりだな…)

 

 

 日本のミサイル攻撃が海軍庁舎に直撃する様子を目撃したのは何回目か。少なくとも、ループの半分以上は最初の攻撃で意識を失っているため、他の人ほど精神が病むことはなかった。だが、それでも何回かは目撃しているため、それはそれで心にくるものがあった。

 

 

「ッ!?ウグッ!」

 

 

 その時、いきなり背後から口元を布で塞がれた。麻酔効果があるのか、瞬く間に瞼が重くなる。

 

 

(日本軍の仕業か…眠気が…)

 

「こちら、ライス4。生存者を確保。これより、捕虜運搬船に転送する。オーバー」

 

『こちら、ライス1。こちらも生存者を発見。確保次第、転送する。オーバー』

 

『こちら、ライス5。生存者の転送を確認した。アウト』

 

 

 彼が完全に眠るまでそう時間はかからず、ものの数秒でだらんと脱力した状態になった。瞼は完全に落ち、しっかりと寝息をたてている。

 シルガイアの口に当てたのは、麻酔効果のある人体には無毒の液体を染み込ませた布である。それを彼の口にあてて吸わせることで寝かせたのだ。他の生存者も、同様の方法で捕らえている。それは、パーパルディア国民をできるだけ残すためであった。

 前に記したと思うが、日本は別にパーパルディア人を民族浄化などしたくはない。しかし、このままだと実質的に民族浄化になってしまう。なら、どうするか。考えて出した結論が、生存者を捕らえるであった。

 仮に捕えないとどうなるのか。この後の作戦によって精神が破壊される。これに尽きる。なぜなら、この後の後ーーー最後のフェーズではパーパルディア内にいるパーパルディア人の精神を全て破壊するからだ。そのため、100人でも200人でも捕虜とすることで、国としてのパーパルディアを残さずともパーパルディア人は残すことができる。それでも、パーパルディア人の人口が大幅に減るのは確実なのだが。

 

 

「ふぅ。思ったより、少ないな」

 

 

 そのセリフを吐くコールサイン、ライス4は、少し残念そうにしていた。自身の上司のゆか及び煉からの直接の命令であるため張り切っていた故のことであるが、それを知る由はない。

 そんな彼女は、周りの仲間とは違う服装をしていた。言うなればフェン王国の忍者衣装ーーー日本のくノ一に似る服装をしており、周囲から一線を画していた。

 その人物こそ、金剛型戦艦「霧島(ア)」。第零主力艦隊KAN -SEN部隊重桜艦隊所属の戦艦である。本来なら川内(艦)も参加予定であったが、彼女は別の大国の諜報をしているため、彼女単独で特殊部隊と合同の任務となっていた。

 

 

「後は、適当に砲撃しておくか…」

 

 

 こうした敵本土砲撃も任務の一つに入っていた。あの2人組(マッドサイエンティスト)のおかげで、艦娘・KAN -SEN形態でも軍艦形態ぐらいの火力を出せるようになっていた。無論、実物大並まで自身でコントロールすることもできる。

 それを最大の力で、つまり、霧島の主砲ーー35.6センチ陽電子連装砲をレールガンモードで一斉射するばどうなるか。それは簡単に想像つくだろう。

 

 

『こちら、ライス1。特殊部隊全員の退避が完了。アウト』

 

 

 その通信が入ったのを確認した彼女は、一切の躊躇なくその主砲をぶっ放した。レールガンの音が辺りに響き、着弾音が大地を震わせる。生存者がいない大地を耕すだけの作業であるが、これが()()()()()()()()()()()()()ともなれば、その意味は違ってくる。

 

 海では、捕虜運搬船が海岸から少しずつ遠ざかっているのが確認できた。艦娘・KAN -SENたちの視力は常人よりも高いため、はっきり視認できている。ゆっくりと、それでいて少しずつ加速している。速さにして、今は15ノットに入ったところだろうか。

 パーパルディアにはこの船で上陸した。だからこそ、退避した特殊部隊もこの船に戻っているだろうと推測できるが、彼女もこの船で上陸していた。しかし、艦娘・KAN -SENなら水上機動が可能であるため、先に船が離脱しても問題ない。また、輸送船よりも戦艦の速力の方が速いため、ある程度遅れても追いつけるのもあった。

 

 そして、その輸送船にすれ違うように多数の戦闘艦に護衛されながら数多の強襲揚陸艦が海岸に接近していた。水平線の向こうから、さらなるパーパルディアの絶望がやってきていた。既に絶望が頂点に達しているのでその絶望が限界突破しそうではあるが、海岸を埋め尽くすほどの船が戦艦の艦砲射撃の下を躊躇いなく進んでいく。それを見た霧島(ア)は、ここらで潮時だと判断してワープ装置を使用する。

 

 

「こちら、ライス4。これより、捕虜運搬船(そちら)付近にワープする。オーバー」

 

『こちら、ライス1。了解。それと、護衛も兼任してくれ。オーバー』

 

「こちら、ライス4。要請を受諾。これより、ワープを開始する。アウト」

 

 

 その瞬間、その場から霧島(ア)の姿が消えた。その数秒後には、そこに戦艦の艦砲射撃が降り注いでいた。

 どの国家でも成し得ない圧倒的な火力投射。それは、パーパルディアの滅びの終章に入ったことを示す合図なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦任務部隊全てに命じる。

 

月読命作戦最終フェーズ、溶岩作戦改を開始する!!各員、一層奮励努力せよ!!」

 

 




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