皇国の幻想〜異世界へ〜   作:大和ゆか

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第二話 クワ・トイネ使節団

日本皇国 博多港

 

 日本に到着した一同は、そのままホテルへと向かった。

 そこで、日本に滞在するにあたっての注意点を説明された。まあ、現代の常識の一部を教えただけなのだが。

 それはさておき、福岡は日本で有数のグルメ都市。

 使節団は日本の食べ物を満喫していた。

 

 

 

「な、なんだこれは!!美味い、美味いぞ!」

 

 

 

「スープが!麺が!美味い!」

 

 

 

 

 今食べているのは、かの有名な博多ラーメン。

 その味で使節団を盛大に迎え入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 福岡を案内される使節団。目の前には、日本皇国が誇る高速鉄道、リニア新幹線が停車していた。

 

 

 

「こちらはリニア新幹線といい、時速七百キロで福岡から首都東京を繋ぎます。皆様には、これに乗っていただき、東京まで向かいます」

 

 

 

 使節団は冷や汗をかいた。一部はハッタリと思っていたが、ほとんどは本当のことだと察していた。自国のワイバーンより早い鉄道は悪夢でしかない。

 

 

 

 そんなこんなで、東京に着いた一同。使節団は、福岡よりもさらに発展している都市に驚愕する。

福岡も高層ビルが建ち並び、発展している印象を受けた使節団だが、それでも地方都市でしかないのを知ったときは、もはや、言葉が出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

一同は会談の前に横須賀基地にいた。横須賀は首都防衛の任務がある為、必然的に大きい基地となる。

 

 

「クワ・トイネ公国使節団の皆さん、横須賀空軍基地へようこそ。私は横須賀空軍基地隊長の菅野美穂(すがのみほ)と申します。皆様方の案内を任されていますのでよろしくお願いします」

 

 

 

 使節団は驚いていた。それもそのはず。彼らの常識では、女性が兵士になるなんて聞いた事もないのだ。

 彼女の後ろには、一機の航空機が停止していた。

 

 

 

「私の後ろにあるこれは、我が国主力の一つである戦闘機雷迅です。これから、訓練飛行を行いますので、よく見ていてください」

 

 

 

 美穂はインカムでパイロットに合図をすると、雷迅は、飛び始め、あっという間に空の彼方へ消え、戻ってきた。

 

 

 

「………」

 

 

 

 言葉を失う使節団。音速を超えて飛行すること事態、見た事がないのだ。

 一同は、そのまま海軍の方で向かう。

 

 

 

 

「お待ちしておりました。私は皇国海軍横須賀基地所属、高松秋紀(たかまつあきのり)と申します。これから、地下ドックへご案内いたします」

 

 

 

 日本は島国。故に主力は海軍。

 一つの艦隊にとんでもない量の艦艇が存在する。

横須賀に第一主力艦隊、第九主力艦隊。

呉に第二主力艦隊。

沖縄に第三主力艦隊。

佐世保に第四主力艦隊。

舞鶴に第五主力艦隊、第十主力艦隊。

大湊に第六主力艦隊。

知床に第七主力艦隊。

仙台に第八主力艦隊。

 そして、一つの艦隊につき、二千隻以上の艦艇を運用している。

 何故、こんなに運用しているのか。それは、前世界にて、能力者による兵器の量産が世界各地で行われたからだ。必然的に日本も増やさなければならなかった。この量はその名残なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 次に陸軍の紹介が行われた。

 富士演習場までバスで移動した後、一人の男が待ち合わせていた。

 

 

「皆さん、富士演習場にようこそ。私は、皇国陸軍富士基地所属の真田正明(さなだまさあき)です。皆さんの案内を任されています」

 

 

 自己紹介をした後、彼の後ろについていく使節団一同。途中、歩兵の演習の様子が見れたが、統率力と練度は誰から見ても高かった。何より弓よりも射程、連射力、様々な面で強い銃と呼ばれる武器を使って目標に次々に命中させていく様は、使節団の額に冷や汗が流れるのも無理はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩いていた使節団一同。正明がある車両の目の前に止まり、その車両の説明をはじめる。

 

 

「目の前に停車しているのは39式戦車で、我が軍の主力を担っている兵器の一つです。これから、実際に奥にある的に向けて砲撃します。大きな音が鳴るので注意して下さい」

 

 

 砲身の先に光が迸る。やがて大きな音とともに砲弾が発射され、厚さ数十センチもある鋼鉄を貫いた。

 既に察しているかもしれないが、この戦車の主砲はレールガンだ。初速音速超えのその威力を十分に見せつけた。

 

 

「次にスラローム射撃を行います。先程よりも遠くにある的を狙います」

 

 

 

 相応の練度でなければ厳しいスラローム射撃だが、それを可能とする技術は既に10式戦車に搭載されており、それよりも発展している技術を持つ皇国の戦車に載せてあるのは自明の理だった。

 

 

 

 

 

 

 使節団はもはや何も驚かなくなっていた。否、思考を停止していると言った方が正しいだろう。唯一、思考を再開したのは、日本の古来からの伝統の文化の紹介の時だけだった。

 

 

 

 

 

 

 ホテルにて、使節団一同は、日本について話し合っていた。

 

 

「なあ、ヤゴウ殿、日本についてどう思う?」

 

 

 軍務局から出向という形で外務局に派遣されたハンキが聞く。

 

 

 

「そうですね。一言で言えば、豊かですね。ホテルの中は、常に一定の温度に調節されているし、現存している全ての建物も調節されている。

 捻るだけで、お湯が出る機械がある。火を使わずにお湯の温度を一定に保つことができ、温かいままのお湯に浸かれる。トイレも清潔だ。

 外に出ると、無人の販売機械があり、いつでも、冷たいジュースや、温かい飲み物を飲むことができる。場所によっては酒まで手に入る。

 食品売り場では、新鮮な食材がいつでも手に入る。

 夜間開いている店舗でも、上質なものが手に入る。

 夜になっても明るく、街中は手持ちの明かりはいらず、そのまま歩くことができる。

 正直、生活レベルも、軍事力も、その他全てにおいて、次元が違う。圧倒的な力の差を見せつけられた思いです。

 私は、日本を敵に回したくありません」

 

 

 

 ヤゴウのその言葉に他の使節団のメンバーは頷いた。ヤゴウの言った言葉は、彼らの心の内と同じだったのだ。

 

 

 

「やはり、同じ思いか………あの鉄龍の前には、ワイバーンの空中戦術は役にたたないだろうと思っている。特に、ワイバーンよりも速い、新幹線とかいう乗り物も日本にはある。全く…日本は心臓に悪いよ」

 

 

 

「そうですか?私はワクワクしますよ。自分たち以外を見下しきっている文明国よりも遥かに発展している国がいきなり現れて、最初の接触国が我が国で………彼らに、覇を唱える性質がなければ、これは幸運です」

 

 

 

 使節団一同は深夜になるまで話し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予定通りに使節団一同は首都へと向かい、政府との会談に臨んでいた。

 

 

 

 

「我が国が求めるものは食糧です。前世界では、年間約6000万トンを輸入していました。今は食料プラントや養殖の技術の発達により、ある程度自国で賄えますが、それでも約1000万トン程輸入しておりました。勿論、貴国のみからではなく、他の国からも輸入しますので賄える限りの量をお願い致します。我が国は輸入に対して、相応の対価を支払う用意があります」

 

 

 

 そう言って、リンスイとその部下のヤゴウに必要な農作物のリストを渡す。それに目を通した2人から思いもよらぬ発言が飛び出した。

 

 

 

「正直、品目の多さに驚いてます。聞いたことのないものもありますので、代替品やそれらを抜きにしても、

 

 

 

我が国で賄えますよ。1000万トンの農作物」

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

 

 その発言に、日本側は開いた口が塞がらくなっていた。

 

 

 

「それは…真ですか?」

 

 

 

「真です」

 

 

 

 しかしとリンスイが言う。

 

 

 

「我が国には定期的に安定的にこの量を輸送する術を持っていません」

 

 

 

「なら、我が国はインフラを輸出しましょう。

技術者を派遣し、穀倉地帯と港を結ぶ輸送網を確立します」

 

 

 

「それは心強い限りです」

 

 

 

 クワ・トイネ公国は現地の農民曰く、「作物なんか種さえ蒔けば勝手に生えてくる」らしい。

 お陰で、食料自給率が100%超えており、家畜や捕虜に至っても質のよい食事が与えられ、それでも尚余るという程の農業大国。

 彼らからすれば、ゴミとしかならない余り物の作物を輸出するだけでお金と優れたインフラに化けて返ってくるという願ってもない申し入れだった。

 そうして、その他諸々も会談した後、一か月後には正式に国交を樹立。

 また、公国の仲介のもと、「スコップで砂を掘れば石油が湧く」という資源大国、クイラ王国とも国交を樹立。同時に、二カ国共に安全保障条約も締結した。

 これを機に、3カ国内で人々の移動が活発になり、文化の交流や風習を学び合い、相互理解の道が確立されつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 使節団が母国に帰国した後、海斗、ゆか、すみれの三人は、会議室にてある話し合いをしていた。

 

 

 

「2カ国とは無事、国交を締結できたが、もう1カ国はどうだった?」

 

 

 

「無理だな。あの様子だと、完全にこちらを見下していた」

 

 

 

「そうなのか?すみれ」

 

 

 

「はい。彼ら、ロウリア王国はこちらを蛮族と思ってるようです。ワイバーンを持たない蛮族の国だと」

 

 

 

 先日、外交団はロウリア王国に行った時に、ワイバーンを間近で初めて見たのだ。その際に初めて見たということをロウリア王国に伝わり、それから、態度が急変した。

 

 

 

「それと、ロデニウス大陸統一、亜人撲滅を口実としてクワ・トイネ公国及びクイラ王国に侵攻する可能性が出てきました」

 

 

 

「それは臨検からか?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

 ゆかは考え込む。日本にとって、2カ国は生命線だ。しかし、転移してから間もないのでむやみやたらに戦争をするわけにはいかない。

 

 

 

「安全保障条約を理由に駐屯許可を出してもらおう。大使館経由で要請する。

それと、海斗。国内が安定してきたから、今まで通りの仕事に戻す。それに追加で外交官の補佐的役割をしてもらう。まあ、要するに、外交についていって、いざという時のフォローをしろということなんだけど、頼むぞ。こっちと地球(向こう)の常識は違うからな。殺される可能性もある」

 

 

 

「護衛の役割も兼ねていると?」

 

 

 

「そうだ。根回しなら任せとけ。それに君なら大丈夫だろ?ネクロマンス最強能力者の1人なんだから。

 

 

 

 

 

洗脳(マインド)』の海斗よ」

 

 

 

 

「君からそう呼ばれるなんて、何年ぶりか…わかった。やろう。だから、やらかすなよ?

 

 

 

 

幻想(イマジン)』のゆか」

 

 

 

「わかってるって。てか、能力は関係ないでしょ…」

 

 

 

「確かにな」

 

 

 

ゆかは立ち上がる。それに合わせて他2人も立ち上がる。

 

 

 

「警戒レベルを3まで引き下げる。ただし、軍には警戒を解かないように通達。後はその時その時で対応。いいな?」

 

 

 

「「異議なし」」

 

 

 

「よし、解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆかは1人となった会議室にて、思考していた。

 

 

 

 

 

(ほぼ、確実に戦争になるな)

 

 

 

 

 ゆかは、そう思いながら、作戦内容を考えていた。

 人工衛星は、明日打ち上げられる。宇宙軍により、この星は地球より巨大な惑星とわかっており、打ち上げの際に必要となる情報も調べられている。

 それを利用して、新たな作戦を立てるか。そう結論付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラ紹介

NO.2 黒岩煉 男 
ネクロマンス首脳部 陸軍総司令官
紳士的な男。誰にでも敬語で喋る。
剣術の家系に生まれ、誰もが認める天才剣士。剣豪という二つ名を持ち、第四次世界大戦では、1人で5万人以上を倒し、五万斬りを達成した人物として、伝説になった経験がある。先を読むのにも秀でているため、将棋などの盤上でのゲームは滅法強い。
能力『斬撃(スラッシュ)
斬撃を操る能力。正確には、あらゆるものを斬り裂く能力。使い方次第では最強の部類に入る。
時空を斬ることもできるとかできないとか…

魔王編にて、登場させて欲しいキャラは?(参考として検討します)

  • レミリア・スカーレット
  • フランドール・スカーレット
  • 両方出して欲しい
  • 出さなくても良い
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