不良男子の生活記録   作:全智一皆

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14(兵藤日記)

 

■  ■

 △日K日

 最近は悪魔として修行する事が多くなった。

 朝のランニングは、やっぱり結構キツイ。でも、オカ研の中だと俺が一番弱いのは事実だし、頑張らないと。

 ランニングの途中で、ゴミ出しをしてるミッテルトと会った。何でも、今は家事を頑張って覚えている最中らしい。

 

「一緒に住まわせてもらってるからには、せめてこれくらいはしないとっすからね!」

 

 健気だなと思った。ミッテルトも頑張ってるんだな。よし、俺も頑張って強くならないと!

 

 

 △月L日

 先輩の家にお邪魔した。

 先輩の家って、こう……なんだろう。他人の家って感じがしない。雰囲気が落ち着くというか、何というか。仲のいい親戚の家みたいな。

 まぁ、先輩は「なに平然と上がってんだよ、てめぇ……」みたいな顔してたけど。さりげなくお茶出してくれたけど。

 

 そういえば、先輩が俺の神器について聞いてきた。『赤龍帝の篭手』だと教えると、カッコイイなって言ってくれた。

 

 

 △月Z日

 今日は部長とアーシアも一緒に、先輩の家にお邪魔した。

「なんで増えてんだよ」ってツッコミを入れられた。ごめんなさい、先輩。でも休憩したくて……。

 アーシアが、先輩から出されたお茶をごくごく飲み干す姿は可愛かった。でも先輩、俺と部長も頑張りましたよ? お邪魔しといてあれですけど氷とか……

 

「てめぇらに氷はねぇよ。ちったぁ遠慮しろ」

 

 ご尤もな事を言われた。はい、その通りです……。

 

 

 △月X日

 廊下を通ってたら、先輩が段ボールを運んでるのを見掛けた。重たそうなので手伝う事にしたら、感謝された。素直に嬉しかった。

 本来は文化委員が生徒会まで運ぶやつらしいんだけど、その文化委員は女の子らしく、持つのも辛そうだったから代わりに持っていく事にしたとの事。

 先輩は優しいですねって言ったら、

 

「別にそんな事ねぇよ。誰だってやる事だろ、これくらい」

 

 って謙遜してた。

 でも、優しいのは本当の事だ。いつか皆にも知って欲しいと思う。

 

 生徒会まで持って行った後、会長から感謝された。先輩は「不良が居ちゃ、役員の奴らも落ち着かねぇだろ」って言ってすぐ帰っちゃったけど。

 やっぱり不服だ。会長も同じ気持ちだったと思う。

 

 

 △月V日

 メイドさんが来た。部長の義姉さんで、部長のお兄さんのお嫁さんらしい。

 めっちゃ綺麗だった。こんな美人でおっぱいが大きい人がお嫁さんだなんて、めっちゃ羨ましい。

 先輩も綺麗な人だなと言ってた。けど、それだけ。

 なんでメイド服なのかが気になってただけだった。魔王のお嫁さんって聞いても、

 

「へぇ、そりゃすげぇ。ラノベみたいだな」

 

 って、余裕な感じだった。

 本当、事ある毎に先輩の事を凄いと思う。

 

 

 △月B日

 言っちゃあれだけど、やっぱ先輩って普通じゃないと思う。

 今日、ライザーっていう悪魔が来た。部長の婚約者で、フェニックスっていう悪魔の家系のやつだ。

 ハーレムを作ってて羨ましいって所で、先輩がオカ研にやってきた。チラシにはお世話になってるからその差し入れだって言ってた。

 けど、ライザーはそれを自分への献上品だって勘違いしちまって、寄越せって先輩に言った瞬間、先輩がライザーの顔面に蹴りを叩き込んだ。

 

「これはグレモリー達の差し入れだ。てめぇのじゃねぇよ」

 

 ライザーが派手にぶっ飛ばされてた。皆が驚いてたし、俺も勿論びっくりしてたんだけど、正直怖い方が勝った。

 俺、先輩だけは絶対に怒らせないようにしよう……絶対殺される。

 

 後日、部長の婚約を掛けてレーティングゲームを行う事になった。先輩は差し入れを渡して「頑張れよ」って応援してくれた。

 部長が嫌がってるし、先輩が応援してくれたんだ。絶対に勝ってやる。

 

 

 △月N日

 休憩してると、グレイフィアさんがレーティングゲームに先輩が観に来るって教えてくれた。

 サーゼクス様が先輩に興味があるらしく、観に来ないかって誘ったそうだ。暇だし行くと言ったらしい。

 先輩らしいなと思った。でも、先輩が観に来てくれるなら、やっぱり負けられない。

 もっと修行を頑張らないと。

 

 

 △月M日

 木場は速い。これが『騎士』なのかって思い知らされる。

 手数も多いし、目で追うのも難しい。パーフェクトゲームで負けた。

 

 

 △月^日

 先輩の所為で感覚が麻痺してたんだと思い知らされた。『戦車』なだけあって、小猫ちゃんの身体能力は凄い。小柄だけど、俺より圧倒的な力と防御力があった。

 何も出来ずに負けた。

 

 

 △月~日

 今日も先輩がおかしいと認識させられた。

 朱乃先輩の雷を叩き落とすって何!? あんなのどうやって叩き落とせってんだよ!

 そもそも避けるのだって厳しいのに、それを真正面から迎え撃つとか無理にも程がある。先輩って何者なんだろう、もう人間だと思えなくなりつつある自分が居る。

 火傷しちゃったけど、アーシアに治してもらった。アーシアの労いの言葉が身に染みた……

 

 皆と戦って分かったけど、やっぱり俺は弱い。赤龍帝の篭手だけじゃ、宝の持ち腐れだ。

 もっともっと、強くならないと。俺は部長の『兵士』なんだから。

 

 

 △月;日

 部長の修行を終えて、やっと帰ってきた。

 丁度よく先輩が居て、「お疲れ様」って言ってくれた。もうその言葉だけで凄く嬉しかった。

 でも、気を張るのはここからだ。本番で修行の成果を出せなきゃ、意味がない。

 

 

 △月)日

 レーティングゲームに負けた。俺たちは、負けた。

 あんなに頑張ったのに……先輩に応援までしてもらったのに、負けてしまった。

 悔しい。くそっ、くそっ……!

 

「このバカ野郎が」

 

 打ちひしがれてたら、先輩に蹴られた。めっちゃ痛かったけど、先輩は、

 

「負けたなら後の事を考えろ。まだ出来る事はあるだろ」

 

 って言ってくれた。全部を言ってくれた訳じゃないけど、そこまで言われたら馬鹿な俺でも分かった。

 

 そうだ―――まだ、出来る事はある。

 アーシアの時と同じだ。俺は、部長を助けたい。

 助けたいと思うなら助ければ良い。先輩が教えてくれた事だ。

 

 

 △月(日

 赤いドラゴンと喋った。ドライグって言うらしい。

 今から、部長を助け(奪い)に行く。死ぬ事になるかもしれない。けど、部長を見捨てたくない。俺は部長を助けたい。

 部長の『兵士』である俺は、部長を守り、そして部長に勝ちを持って行く為の存在なんだ。

 だから、部長の笑顔の為に何だってやってやる。

 助けたいから、助ける。そんな素直な気持ちが大事なんだって、先輩に教えてもらった。

 簡単な事だけど、本当に大切な事だと思う。ありがとうございます、先輩。俺、また助けに行ってきます!

 

(次のページに続く)

 

 勝ったぞー!

 ライザーに勝って、部長を助ける事が出来た。めっちゃ嬉しい。

 あと、会場には先輩も居た。ルシファー様とレヴィアタン様と一緒にお酒飲んでた。正直めっちゃびっくりした。なんで居るんですか!?って言わなかった俺は偉いと思う。

 俺の左腕を犠牲にして至った『禁手(バランスブレイカー)』は、10秒という短い時間が限界だとドライグは言ってた。けど、俺はライザーに勝った。ドライグが言うには、先輩が俺を手助けしてくれたらしい。

 ドライグは、出力の最適化だと言っていた。

 

『10秒という時間で決着がつくように、お前の体が壊れない程度に抑えながらも、全力を出せる様に出力を最適化した』

 

 との事だ。

 ただ、それが全貌ではないだろとも言ってた。

 もっと奥が深く、もっと規模が広く、もっと強力で恐ろしい―――敵に回したくないタイプの力だって。

 まぁ、先輩と戦うなんて事はないだろうけど。戦っても勝てる気しないし。

 最後に先輩に手を振って感謝したら、呆れた様な顔をしながらも手を振ってくれた。

 やっぱ、先輩はカッコイイ。そう思った。

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