不良男子の生活記録   作:全智一皆

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訂正:イリナとゼノヴィアを天使からエクソシストに訂正

水鏡@読み専さん、訂正箇所の指摘ありがとうございます。


24(兵藤日記)

 

■  ■

 □月QE日

 木場が先輩と話してた。なんでも、助けてもらった時に「何かあるなら頼れよ」って言ってくれたらしい。

 先輩に頼らせてもらえるなら、頼もしい限りだけど。やっぱり木場も躊躇というか、申し訳なさが勝るらしい。

 

 放課後、先輩に飲み物を奢ってもらった。お前も頑張れよって言って貰えた。

 

 

 □月QR日

 バチカンからエクソシストが来た。

 ご近所で幼馴染だった紫藤イリナと、その同僚であるゼノヴィア・クァルタの二人だ。

 二人が部長に色々と話そうとした丁度良いタイミングで、先輩が来た。クッキーを焼いたから持ってきてくれたらしい。あれ、なんかデジャブ……

 なんでか先輩も一緒に話を聞いてたけど、よく分からなかったらしい。俺もよく分からなかった。なんか聖剣ってのが盗まれたってのと、その問題には関わるなってぐらいしか。

 先輩はその聖剣の話を聞いて、

 

「いや絶対パチモンじゃねぇか」

 

 って馬鹿にしてた。二人が怒ってたけど、先輩は気にも留めずに「俺の知ってるエクスカリバーにはそんな特徴はねぇな」って言ってた。今度は二人が驚いてた。もう部長は驚かなかった、慣れちゃったから。俺は驚いた。

 取り敢えず、そんな感じで話が進んでたんだけど……やっぱりよく分からなかった。

 けど、彼奴らがアーシアを馬鹿にした事だけは、すぐ理解出来た。優しいアーシアを、彼奴らは馬鹿にしやがった。

 俺が文句を言う前に、先輩がめっちゃキレてた。

 

「そもそもお前らの管理不足が祟った問題なんだよな? それに対して上から目線で手を出すなって時点が腹が立つ。しかもそれに加えてアルジェントに死んで償えだ? 巫山戯た事言ってんじゃねぇぞ」

 

 正直かなりスッキリした。先輩もアーシアの事を大切に思っててくれて嬉しかったし。

 二人が顔を真っ赤にして怒ってた。聖剣に手を伸ばしてから部長が蹴られるだけだから止めなさいって忠告したけど、聞く耳持たずだった。

 そっから木場も来て、一緒に戦う事になった。しかも先輩も一緒だ。

 マジで頼もしかった。安心感が半端じゃない。

 先輩は聖剣ごと二人を纏めて蹴り飛ばしてた。先輩が人間だって忘れそうになるよ、俺。

 俺がドレスブレイクを使ったら、「何してんだよテメェ」の一言で蹴り飛ばされた。

 

 食らって漸く理解した。先輩の蹴りマジやばい。なんで生きてるんだって不思議に思っちゃうくらいやばい。

 俺、絶対に先輩だけは怒らせない様にしよう。またあれを食らったら確実に死んじゃう。

 

 

 □月QT日

 気合の入れ直しという意味も含めて、匙も一緒にして下ネタを叫んでた所を先輩に見られた。

 なんでかめっちゃ恥ずかしかった。

 

「何やってんだよ……」

 

 めっちゃ呆れた目で見られた。しかも肩にぽんと手を置かれて、そっとクッキーを渡された。

 

 違う、違うんです先輩! 多分先輩が思ってる様な事はないんですー! 誤解ですー!

 

 

 □月QU日

 前の件で部長にお尻ペンペンされた。この歳になって……でも部長になら良いのではないかと思う自分も居た。

 支取会長も一緒になって匙を叩いてたんだけど、その様子を運悪く先輩に見られた。すごい何とも言えない様な顔をしてた。

 部長は別に隠しもしなかったけど、支取会長は必死に弁明しようとしてた。気持ちは分かる。俺だってそうしただろうし。

 

 支取会長がめっちゃ口をパクパクさせてるのを見て、先輩は面白そうに笑ってた。朱乃先輩の時と言い、先輩ってSなのかな?

 

 

 □月QI日

 自分の弱さ、情けなさを痛感するばかりだった。

 コカビエルという堕天使の男と戦った。バルパーという司教とも、フリードとも、ケルベロスっていう番犬とも戦った。

 ミッテルト……というか、レイナーレが所属していた堕天使達の組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部である堕天使で、神の死と呼ばれていたらしい。

 バルパーもフリードも、ケルベロスだって倒せた。特にフリードは、先輩のお陰で調子を取り戻してなかったから。

 木場が『禁手』に至って、皆で協力して。でも、コカビエルを倒す事は出来なかった。

 部長の『滅びの力』も効かなくて、俺だけじゃなく皆が手も足も出せなかった。

 しかも、小猫ちゃんを庇ってミッテルトが怪我をした。もう誰も、立ち上がる事だって出来なかった。

 

 でも―――先輩だけは違った。

 先輩はコカビエル相手にも臆する事なく立ち向かい、まるで何時もの様に蹴り飛ばしていた。何が起きたのか分からないって顔をして、腹を抱えて悶絶していた。

 立ち直したコカビエルの攻撃を受けても、先輩は傷を負っていなかった。いや、そもそも傷を負う程の威力にすら至っていなかった。

 攻撃の全てが弱くなって、遂には立ち上がる力はおろか呼吸する力すらも無くしてしまう程に、コカビエルは衰弱していった。

 ヴァーリ・ルシファー―――衰弱して死ぬ寸前だったコカビエルを回収した奴から、弱いと言われた。

 

 その通りだ。俺は、何も言い返せなかった。

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