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○月☆日
見廻りをしていると、気絶した堕天使を見付けたと祐斗から報告があった。
どうやら自販機に叩き付けられていた様で、祐斗が声を掛けて目を覚ますと、怯えた様に辺りを見渡したらしい。
詳しく話を聞くと、祐斗と同じ制服を来た男に蹴り飛ばされたとの事だ。
黒髪で、目付きが悪くて、制服を着崩していたと……とても聞き覚えがある特徴だわ。
これは、明日にでも話を聞く必要がありそうね。
○月□日
はぁ……何故だか、今日はとても疲れた気分だ。
今日、件の男子生徒を部室に連れて、色々と話をした。
私達がオカルト研究部に所属している事を明かしたら、噴き出して笑っていた。知らなかった事よりも、彼が笑った事に皆が驚いていた。
笑うのね、彼。私は同じクラスじゃないけれど、学校で彼が笑うなんて話は聞いた事がなかったから、かなり意外だった。
そうして、悪魔や天使の話をし始めた瞬間、上原君は分かりやすく顔を歪め、窓から逃げ出した。
何が悪かったのかしら……
○月△日
小猫に頼んでみたら、上原君を連れて来る事に成功した。正直ダメ元だったのだけど、嬉しい誤算だ。
最初は面倒臭そうでマトモに聞いていなかったけれど、証拠として祐斗の『魔剣創造』や朱乃の雷などを見せると、信じてくれた様でマトモに聞いてくれた。
それを見て興味を持ったのか、「塔城は何かないのか? さっきみたいなやつ」と小猫に尋ねた。その結果、彼と小猫が腕相撲をする事になった。
確かに分かりやすいけれど、どうせなら猫魈として爪を伸ばすだったり猫耳を生やすだったりの方が良かったんじゃないかと思う。
結果は―――小猫が負けた。あっさりと、呆気なく。普通に負けた。
皆が唖然としていた。私もその一人だ。
小猫の駒は『戦車』。攻撃力と防御力の上昇という特性を持つ駒だ。その『戦車』である小猫に、あっさりと勝つなんて……
先日も堕天使を蹴り飛ばしたという話だったし、彼は本当に人間なのかしら?
○月Q日
上原君が『教会』の堕天使と接触したらしい。イッセーが上原君を連れて来て、事情を説明してもらった。
イッセーを殺した張本人、堕天使レイナーレ。そしてその部下である『はぐれエクソシスト』フリード。その2人が、上原君に接触を図ったらしい。
その上原君は、平然としていてたけれど。
「堕天使に絡まれたなら、殺されて『神器』を奪われている筈だけど」……と言うと、上原君は、
「そりゃ、其奴等蹴り飛ばしたからな」
と、まるで大した事はしていないと言う様に、とんでもない事を言い放った。
貴方、人間なのよね? 神器を持っている自覚も碌に無い人間が、堕天使とエクソシストを蹴り飛ばして無事でいるって……
上原君が本当に人間なのか、ちょっと怪しくなってきた気がする。
○月E日
上原君がチラシを使って、祐斗を召喚した。
とは言っても、特に何かをした訳ではなく、単に上原君と他愛もない雑談をして来ただけらしい。
祐斗曰く、
「噂と違って、普通に良い人でしたよ。ただ目付きと口調が悪いだけで、不良だとはとても思えません」
との事だ。
まぁ、悪魔やら天使やらの話を証拠を見せたとは言え、何一つ言わずにマトモに聞いてくれていた辺り、不良ではないのは何となく察せてはいたけど。
祐斗は上原君と少し仲良くなれた様で嬉しそうだった。王としても、眷属と同級生が仲良くなれた事は嬉しく思う。
○月T日
部室の空気が悪い。すっごくピリピリしている。……主に、というか確実に朱乃の所為で。
いや、こうなってしまったのは上原君が原因だ。
朱乃によれば、召喚されて朱乃を見てがっかりした様にあからさまに肩を竦めたらしい。あと、(なんだ、塔城じゃないのか……)という心の声も聞こえたのだと。
つい雷を放ってしまったとの事。ねぇ、朱乃。上原君って一応人間なのよ? 悪魔じゃないのよ? 分かってる?
だが、上原君は朱乃の雷を叩き落としたらしい。しかも、それに加えて朱乃は気が付けば自宅のリビングに居たと言っていた。
彼の神器は、身体能力強化じゃないのかしら…? 彼には悪いけど、少し警戒する必要があるかもしれない。