不良男子の生活記録   作:全智一皆

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38(ミッテルト日記)

 

■  ■

 ▽月QM日

 渉くんに新しい後輩が出来たっす。渉くんはまた面倒事に巻き込まれたって愚痴ってたっすけど。

 ギャスパー・ヴラディくん。グレモリーさんの眷属の一人らしくて、学園の旧校舎にある『開かずの間』っていう教室に引き篭ってた男の子らしい。

 しかも、『時間停止の邪眼』っていう目に映るもの全ての時間を止める事が出来る凄い神器を持ってるらしいっす。渉くんの知り合いになる人って、皆凄くないといけないルールでもあるんすかね?

 でも制御が出来ないらしくて、やってきたグレモリーさん達の時間を停止して逃げちゃったらしいっす。グレモリーさん達も停められるんすね……凄いっす。

 

 でも、やっぱり渉くんは動けてたらしい。

 うん、まぁ……渉くんから納得っす。

 

 

 ▽月^~日

 掃除をしてたら、久しぶりにチラシを見付けたっす。

 なんか懐かしいっすねー。昔はよくチラシを使ったりしてたっすよね。姫島さんから料理を教わったり、小猫ちゃんと一緒にお菓子を食べながらお話したり。色々懐かしいっす。

 渉くんが久しぶりに使ったら、兵藤くんとダンボールを被った女の子が来たっす。どういう状況っすか?

 でも、その女の子がギャスパーくんらしい。えっ!? でも、女の子の服着てるっすよね!? 男の子なんすか……世界って広いっすね。

 ギャスパーくんは神器の所為で対人恐怖症っていうのを持っているらしいっす。それを克服する為に、兵藤くんと一緒に活動してるんだって。

 

 確かに、見るだけで何もかも止めちゃう神器なんて持ってたら、怖くもなるっすよね。

 でも、渉くんは動ける。多分、渉くんの存在自体がギャスパーくんにとってはプラスになると思うっす。

 是非とも遊びに来て欲しいっす。うちも友達になりたいっすから。

 

 

 ▽月;:日

 今日も兵藤くんとギャスパーくんが来た。今回はお菓子を出してお出迎えしたっす。

 それも、ただのお菓子じゃないっすよ! 渉くんが焼いてくれたクッキーっす! 美味しいって言って二人共食べてくれてたっす!

 兵藤くんが渉くんに、「なんで俺って先輩には召喚されるんですか?」って質問してたっす。

 なんでも、兵藤くんは魔力が低いから完全には召喚出来ないらしいんすけど、渉くんに召喚される時だけしっかり召喚されるんすよね。

 多分、と言うか確実の渉くんの神器が原因なんだろうけど……渉くんは「今更気にする必要あるか?」って言って、兵藤くんは「確かに……それもそうっすね」で納得してた。

 

 あと、ギャスパーくんは吸血鬼らしいっす。人間の血が混ざった半分人間で半分吸血鬼。

 純血の吸血鬼でもなければ人間でもないのと神器の所為もあって、友達も出来なかったって話してくれたっす。

 そこで渉くんが、

 

「じゃ友達なるか?」

 

 って、ギャスパーくんに手を差し伸べてくれたっす。

 面倒事に巻き込まれたなんて愚痴言ってたのに、結局助けてあげるんすから。ほんと、渉くんは素直じゃないっすねー。

 

 

 ▽月)(日

 ギャスパーくんが、渉くんにどうして動けるんですか?って質問してた。

 だって、時間停止っすもんね。止まった時間の中を動く事が出来るなんて、普通なら有り得ないっすよ。赤龍帝である兵藤くんですら停まってたらしいっすから。

 でも、渉くんは「俺にもさっぱり分からん」って肩を竦めてたっす。

 名前はおろか姿形すらも知らない神器。ギャスパーくんのモノとは違って、条件すらも分からず扱い切れていない訳の分からない代物―――渉くんは、自分の神器をそう言ってたっす。

 それから、渉くんが

 

「神器を上手く扱えてないって意味じゃ、俺と似てるかもな。同じ神器を上手く扱えてない者同士、頑張っていこうな。俺もやれる限りなら協力するから」

 

 ってギャスパーくんを励ましてたっす。

 

 渉くんも、自分の力に悩んだりするんすね……ちょっと意外っす。

 でも、人間らしくてそれも良いと思うっす。渉くんがしっかり人間なんだって思える一面を知れたのは、良かったと思う。

 

 

 ▽月/]日

 また渉くんが凄い人と出会ったっす……渉くんの知り合いには殆ど凄い人しか居ないっすよ。もうそのうち神様とかも知り合いになるんじゃないっすかね?

 今日出会ったのは、ミカエル様。

 天界の天使の代表であり、天使達を束ねる長を担う者。『神の如き者』と呼ばれる天使っす。ぶっちゃけ知らない人なんて居ないと言っても過言じゃないくらい有名な人っす。

 堕天使であるうち達にとっては、もう文字通り空の上に立ってる人っすね。

 そんな人とも知り合いになるとか……渉くんの人脈がどんどん凄くなっていくっす。

 まぁ、渉くんはそんな事より自分のプライバシー問題について怒ってたっすけど。

 

「取り敢えずサーゼクスさんは蹴り飛ばす。絶対に」

 

 もう止められる気がしなかったっす……申し訳ないっす、サーゼクス様。

 あと、今日は姫島さんと話したらしいっす。兵藤くんに連れて行かれた場所が神社で、その管理者が姫島さんだって。

 姫島さんは堕天使だったらしい。堕天使でありながら悪魔で、悪魔でありながら堕天使。

 本人は過去に両親とのいざこざがあった所為で、堕天使に複雑な感情を抱いてたらしいっす。

 だから、怖かったって。もし自分が堕天使であることを知られたら、兵藤くんや渉くんに嫌われるんじゃないかって。

 それに対して渉くんは色々言って、姫島さんは泣きながら渉くんにありがとうって言ってたそうっす。

 

 渉くんはグレモリーさんとか姫島さんが苦手だって言ってたっすけど、なんだかんだ二人の事を友達だって思ってるんす。

 やっぱり、渉くんはすっごく優しい人っす。

 

 

 ▽月[_日

 結局……うちは、何も出来なかった。

 三大勢力の会議は順調に進んでいた。悪魔、天使、堕天使。この勢力のボスが一堂に会し、話し合い、その和平を結ぶ為の話し合いは上手く進んでいた。

 けど、それを望まない者達も居た。『禍の団』―――そう呼ばれるテロリスト集団。和平を拒み、平和を嫌い、戦争という行為にこそ目的を見出した者達の集い。

 それが襲撃して来た。その中には、ヴァーリ様も混ざっていた。

 カテレア・レヴィアタン。初代魔王レヴィアタンの血統、セラフォルー様を殺して魔王レヴィアタンになり変わろうとした悪魔。

 カテレアは真っ先にセラフォルー様……ではなく、うちを狙ってきたっす。うちが渉くんの弱点である事を、知っているから。

 必死に抵抗したっす。殺されない様に。渉くんに迷惑を掛けない様に、必死で。でも―――結果が実る事はなく、うちはカテレアに吹き飛ばされてしまったっすよ。

 その所為で……また、渉くんに迷惑を掛けてしまった。渉くんを動かしてしまった。

 

 ―――『干渉』。それが、渉くんの神器の力。この世界に存在するありとあらゆる全てに干渉し、その全てを操る力。

 渉くんはカテレアに干渉し、その中にあった無限の龍神の『蛇』を取り出し、そのままヴァーリ様のアルビオンに干渉し、一つの『神器』を創り出した。

 黒く禍々しい具足。赫赫とした篭手でもなければ無垢なる白の翼でもない、ただひたすらに黒く禍々しい龍の具足。

 でもそれを使う事はせず、渉くんはうちを守る様にそれを傍に置いて、すぐ戻っていったっす。皆を援護しながら、たった一人でその敵を悉く蹴り飛ばしていった。

 

 結局、何も変われなかった。うちは……自分の身すら守れなかった。

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