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▽月QL日
今日もミッテルトの修行に付き合ってあげた。相変わらず弱いけど、前よりはちょっと動ける様になってきたにゃー。
ミッテルトは単純に手数が少ないのが難点だよねー。決定打も無いし。あとは本人の性格もあってか動きがわりと直線的で、フェイントにもよく引っ掛かる。
ただまぁ、下級の堕天使にしては学習が早いのは純粋に凄いと思うにゃー。飲み込みが早いというか、理解が早いというか。でも、体がそれに追い付けてないって感じ。
せめて私に擦り傷負わせるくらいは出来る様に頑張ってね、ミッテルト。
学校から帰ってきた渉が、
にゃー……渉って、本当に何処まで知ってるんだろ。
▽月QZ日
ミッテルトと遊んだ。いやー、ミッテルトも中々良い撫で方してる。純粋で優しい手つき。まるで子供みたいだにゃー。
渉のそれとは違って、ミッテルトはすっごく明るいんだよね。こっちまで絆されてしまいそうになっちゃう。まぁ、だいぶ手遅れかもしれないけど。
渉はそんな私達を見ながら、穏やかな顔でお茶をしばいていた。おじいちゃんみたいな事するにゃー。まだ高校生だよ?
こういう平和って良いにゃー。可能なら、ずっとこうしていたい。白音も一緒だと尚良いにゃー。
▽月QX日
魔王とそのメイドが来た。魔王サーゼクスとグレイフィア。来る前に気配がしたからすぐに逃げたけど。
渉の家って誰でも来るにゃー。まさか魔王まで来るとは私も思ってなかったけど。そう易々と人を家に上げるものじゃないよ?
サーゼクスが三大勢力の会議について渉に教えていた。悪魔、天使、堕天使の首領が一同に会し、今後の事について話し合う―――三大勢力の和平を結ぶ為の会議。
今度、私も所属する『禍の団』が襲撃する予定のものだ。
渉も出席するのかな? 人間なのに魔王に臆さず、二天龍だけに留まらず
渉が争い事に巻き込まれるのも、渉と戦うのも……嫌だな。
▽月QV日
ヴァーリが渉に会ったらしい。遂にヴァーリとすら会っちゃったかぁ……渉ってドラゴン好きなのかな? それともドラゴンを引き寄せる体質? これ、その内オーフィスとも会うんじゃないの?
ヴァーリはお菓子を持っていた。渉から貰ったらしい。ヴァーリの事をまるで子供みたいに……怖いもの知らずだにゃー。ヴァーリは別に嫌そうじゃなかったけど。
不思議な男だって、ヴァーリも言っていた。うんうん、やっぱそうなるよねー。渉って本当に不思議だもん。
▽月QB日
渉がソファでお昼寝していた。だから一緒に寝ちゃった。
渉って、寝てる時はすごい無防備だよね。頬を舐めたりしたけど全然起きなかったし。普段の悪い目つきも、年相応の男の子って感じの寝顔で可愛かったにゃー。
私が寝てると、ミッテルトも一緒に寝ちゃった。起きた渉がビックリしてたけど、一緒に撫でられちゃった。
ミッテルトは渉が寝込んでた時の事を思い出すって言ってた。私もそれを思い出した。
渉はとても暖かった。いつまでも、その暖かさを失わないでほしいと思う。
▽月QN日
今日は授業参観があった。白音は相変わらず可愛いかったにゃー。勿論、ちょっと遠くから見守ってただけなんだけど。
渉のも見たけど、ギャラリーが凄かった。普通に魔王が居たし。ルシファーだけじゃなくてレヴィアタンまで居るとか、普通じゃ有り得ないよ?
しかも、途中から渉は窓から飛び降りて別の階まで逃げて行ったし。何があったんだろ?
その飛び降りた瞬間に、チラッとこっちを見て手を振ってくれた。なんでバレたんだろ……まぁ、渉だからなぁと納得しちゃった。
▽月QM日
三大勢力の会議を襲撃する計画は順調に進んでいる。『禍の団』というテロリスト集団を大々的に知らしめるチャンスとなる計画だ。
正直、あんまり乗り気しないけどにゃー。だって渉が居るかもだし。
渉と戦いたくはない。まぁ、ちょっと強さが気になったりはしてるけど、それはわざわざ私が渉と戦う理由にはならない。
渉って、一言で言えば『未知』だからにゃー。何をしてくるのか、何をされるのか全然分からない。ある意味で一番のイレギュラーかも。
ヴァーリも―――正確には中にいるアルビオンだけど―――初めて会った時に何か変な感じがしたらしいし。
はぁ、私こんな感じじゃなかった筈なんだけどにゃー。ぜーんぶ渉の所為だ。責任取ってもらわなきゃ。
▽月^~日
ヴァーリが珍しく考え込んでいた。どうかしたのかと聞くと、オーフィスが気になる事を言っていたらしい。
なんでも、新たな龍が産まれようとしているとか何とか。オーフィス、グレートレッド、アルビオンの三体の力の欠片が一緒になっているとも言っていたらしい。
よく分からないと言っていた。確かによく分からないにゃー、色々とあやふやだし。
でも、オーフィスと同じ黒龍で、尚且つグレートレッドとアルビオンの力の一部を持った新たなドラゴンとか絶対厄ネタだにゃー。あんまり関わりたくない。
あと、それとは別で渉の事で悩んでいるとヴァーリは言っていた。
「上原渉。奴は不思議な人間だ。コカビエルとの戦いを見て、彼奴と実際に話してみて、戦いと思っていた。だが……彼奴と戦ってもいいものかと、葛藤が生まれている」
戦闘狂のヴァーリを悩ませるなんて、渉は凄い。でも多分、それは恐怖とかそういうのじゃないんだろうなと分かった。
渉は確かに強い。けど、そんな渉が戦ってる姿は全然似合わない。一緒に過ごしたから分かった事。
渉は―――平和に過ごしている方が良い。その方が似合っている。
▽月;:日
渉の周りはどんどん賑やかになっていくにゃー。
窓から覗いてたけど、女の子の格好をした吸血鬼が居た。頭にダンボール被ってた。どんどん渉に女の子の知り合いが増えていくにゃー。
ハーレムとか目指してるのかな? なんて。まぁ、渉の事だからそういうの全然気にしてないんだろうけど。だって周りにあんな美人が沢山居るのに、全然そういう所見せないし。
おねーさんも自信失くしそうだにゃー。渉のそういう恥ずかしがる所も見てみたいのに。
でも、それは出来そうにないかな。禍の団が正式に活動する様になったなら、もう私は渉とミッテルトの側には居られないから。
寂しいけど、私の所為で二人が争いに巻き込まれるのはもっと嫌だから。また―――野良猫に戻るだけだから。
▽月)(日
もうあと少しで、計画が開始する。三大勢力の会議を襲撃する、『禍の団』の初仕事にして大仕事だ。
結界の制御はこちらの手の中。構造自体は単純だったから、わりと簡単だったにゃー。
オーフィスの『蛇』を手にしたカテレアを筆頭に、ヴァーリと美猴が襲撃に参加する。
渉は……多分、その会議に出席すると思う。そうなると、きっとミッテルトも来るだろう。裏方に回っておいて良かったにゃー。
テロリストの癖に何言ってるんだって感じだけど……渉もミッテルトも、死なないでね。二人が死んだら―――悲しいよ?
▽月/]日
いやー……ちょっと、アレだ。とっても複雑だ。嬉しい様で、悔しい様で、恥ずかしい様な。そんな、本当に複雑な感じ。
結論から言って、計画は失敗した。もう完膚無き敗北を喫した。手も足も出なかったと言っても過言じゃない。
『干渉』―――それが、渉の本当の力。生物、無機物、事象、果ては概念にさえ『干渉』し、自由に操作する事が出来る力。流石にアレは
完全に渉の独壇場だった。何をするにしても出力を削り落とされて無効化されるし、カテレアは蛇を取り出されて弱体化したのに、渉の神器でさらに弱体化されて蹴り飛ばされるし。
ヴァーリが『半減』を使っても、『時間』と『空間』に干渉して二つを『固定』した所為で半分にする力が機能しないし。
その固定のお陰で向こうは魔力を消費する事もなければ怪我もしない。何故ならその万全の状態でいた『時間』と『空間』が常に『固定』されているから。
魔王に熾天使、堕天使の総督が無敵状態のまま戦闘に参加し続けるとか、負け戦にも程がある。
にも関わらず、全員が無傷だった。誰一人として死ななかった。
「傷を負った瞬間から、それが一瞬で再生した。にも関わらず痛みは残ったままで、疲労も蓄積されたままだった」
ヴァーリはそう言っていた。本当、無茶苦茶だにゃー。
オーフィス―――世界最強と呼ばれる『無限の龍神』にすら、渉は『干渉』出来るのかな? だとしたら、もう渉は平和とは程遠い世界に生きる事になる。世界が、渉を狙うかもしれない。
あんな無茶をやらかしたんだ。きっと、また渉は倒れちゃう。ミッテルトも、また無理をしてしまう。
死なないよね? また少ししたら、普通に起きてくれるよね?
渉が死ぬのは、嫌だよ。ミッテルトにも無理はしてほしくないよ。
そうさせた奴等と同類の私が言っても、巫山戯るなとしか言われないかもしれないけど。