不良男子の生活記録   作:全智一皆

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47(ミッテルト日記)

 

■  ■

 

 ☆月D%日

 またすっごい人が渉くんの家に来たっす。いや、もう驚かないっすよ。だって魔王様すら来るんすもん、今更っす。

 今日やって来たのはアザゼル様。堕天使達の組織『神の子を見張る者(グレゴリ)』の総督を務める堕天使で、レイナーレ様が崇拝していた堕天使っす。

 なんでも、近々駒王学園に教師として赴任するらしく、その挨拶をして回っているそうっす。遂に生徒だけじゃなく教師にまで人間じゃないのが入って来たっすね……しかも堕天使の総督っすよ、とんでもないっす。

 アザゼル様が、渉くんに会議の時の事で感謝してたっす。ヴァーリさんに腕を吹き飛ばされてたアザゼル様を治したの渉くんだったから、多分それっす。

 

「どうたいしてまして。あんま大した事してねぇけどな」

 

 渉くんは平然とそう言ってたっすけど、すっごい大それた事やってたっすよ!? 朱乃さんもちょっと呆れてたっす。

 

 それからは渉くんの神器やうちの神器……ヴォーくんの話を少しして、アザゼル様は帰って行ったっす。

 朱乃さんが淹れてくれたお茶が美味しかったっす。ライザーさんから貰った紅茶にも負けない味だったっす!

 

 

 ☆月F・日

 アザゼル様はオカ研の顧問になったらしいっす。堕天使の総督が顧問って、オカ研がどんどん凄い部活になっていっくす。

 アザゼル様が、渉くんに改めてうちの神器について質問してたらしいっす。渉くんはまだアザゼル様の事を信用していないのか、アルビオンが関連しているとだけ濁して伝えたらしいっす。

 ヴォーくんに聞いてみたら、元は人間だったらしいっす。ブリテンの王様で、アルビオンの象徴とされる人種だったらしく、ユーサーっていう王様に殺されて気が付けばドラゴンになってたって。

 

「神器に封じ込められた事も俺の手綱を握ったつもりでいる事も心底気に食わないが、この身体(うつわ)をドラゴンにした事だけは感謝してやる」

 

 すっごい偉そうだったっす。まぁ、実際王様だったから偉いんすけど。

 

 ヴォーくんは相変わらず口が悪いっす。多分、悪口を言わないと生きていけないんだと思うっす。卑龍だから。

 でも心折れないっすよ! 絶対に認めさせるっすからね!

 

 

 ☆月G*日

 渉くんが支取さんからクッキーを貰って来たっす!

 この前に渡したクッキーと、快復祝いで支取さんが自分で作ってきてくれたらしいっす。女の子から手作りのクッキーを貰うなんて、渉くんは罪っすねー。

 まぁ、渉くんが友達と仲良くしてるのは全然良い事なんすけどね。寧ろすっごく嬉しく思うっすよ。

 でも……ちょっと、いやかなり味はすごかったっすね。なんか、クッキーを食べてる感じはしなかったっす。

 朱乃さんも「独特な味ですね…」と濁してたし、渉くんなんか思いっ切り顔を顰めてた。

 

「ぶっちゃけダークマターとでも名付けてた方がまだ納得出来たぞ」

 

 って言ってたっす。流石にそれは言い過ぎじゃないっすか!?

 せっかく貰ったものだから、勿論全部食べたっすけど。支取さん、料理音痴だったんすね……ちょっと意外っす。

 

 渉くんが「今度クッキーの作り方ちゃんと教えてやるか…?」って真剣な顔してたっす。渉くんにあんな真剣な顔させるって、ある意味凄いっすよね、支取さん。

 

 

 ☆月H+日

 今日からしばらく山に引きこもる事になったっす。渉くんと黒歌ちゃん、朱乃さんとはちょっとの間だけ会えないっす。うぅ、結構寂しいっすよー……

 うちはまだまだ弱い。渉くんから『卑龍公の具足(フォーリングロスト)』なんて強力な神器を貰ったはいいものの、今のうちじゃあ碌に扱えない代物っす。

 まず基本の体がダメっすもん。そこから鍛えないと話にならないって事で、グレイフィア様が直々に修行の相手をしてくれる事になったっす。

 正直、だいぶスパルタっす……でも、このくらいじゃへこたれないっすよ! 渉くんに無茶をさせない為には、うちが頑張らないといけないんすから!

 

 そういえば、サーゼクス様の眷属って皆神器を持ってないんすよね。だから皆が神器を頼らない個々の力を持ってて、すっごく強いらしいっす。

 なんで神器持ってないんすかね? 不思議っす。

 

 

 ☆月J-日

 分かってはいたけど、やっぱりまだまだうちは弱いとさらに自覚させられるっす。

 グレイフィア様は強い。多分、黒歌ちゃんよりも強いと思うっす。魔法だけじゃなくて体術も凄まじい精度で、手も足も出なかったっす。

 ヴォーくんもグレイフィア様の事を強いって言ってたっす。あの小僧以外にあれ程の魔術師が居たのかって驚いてたっす。

 多分、小僧って魔術師マーリンの事っすよね? 伝説の魔術師であるマーリンを小僧呼ばわり出来るなんて、流石はヴォーくんっす。

 『卑龍公の具足』も使ってみたっすけど、やっぱりヴォーくんは『堕落』の能力は使わせてくれないっす。全然良いんすけどね、寧ろ使わせてもらったら困るっす。

 

 だって、うちはまだまだ強くないっすもん。ヴォーくんに認められるくらい強くなってからじゃないと、それは使っちゃダメだって分かってるっすよ。

 

 

 ☆月K_日

 グレイフィア様から、うちは堕天使としての戦い方は合ってないって言われたっす。

 悪魔が『魔力』という異能を操る様に、堕天使とか天使って基本的に『光力』っていう力を使って戦うんすよ。文字通り光の力っすね。

 悪魔にとって光の力はそれだけで弱点で、低級の悪魔なんかは太陽の光の下に居るだけで倦怠感とか力の減少とか味わっちゃうっす。

 だから基本的に、悪魔って先天的に光ってものと相容れなくて、堕天使であるうちもその光を槍にして扱えるんすけど、どうやらうちにはそれが合ってないらしい。

 グレイフィア様曰く、うちは光力を形にするんじゃなくて身体全体に流したステゴロの方が似合っているらしいっす。

 神器の形が具足ってのもあるんすけど、槍を使った時より素手とか蹴りの時の方が動きが良いそうっす。特に蹴りの方は筋が良いって褒めてもらったっすよ!

 

 まぁ、渉くんが色んな人を蹴り飛ばすの近くで見てきたっすからね! 多分、それで蹴り技が染み付いたんだと思うっす!

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