不良男子の生活記録   作:全智一皆

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■  ■

 ◇月〃日

 黒歌が俺じゃなくてミッテルトに抱き着いていた。

 いや、不満は何もねぇよ? 寧ろ、二人が相変わらず仲良しで嬉しいくらいだ。黒歌は懐くの早かったよなー、ミッテルトには。やっぱ純粋だから信頼出来たのかな?

 相変わらず塔城は黒歌にべったりだが、それも何ら問題無いだろう。黒歌も別に嫌がってないし。そりゃ、これまで離れ離れだった訳だからな。存分に家族の時間を過ごして欲しいと思う。

 まぁ、その分だけ俺に姫島が寄ってくるんだけどな。お前の距離の詰め方あまりにも唐突過ぎてちょっと怖ぇんだけど。

 単に俺が色々と気にしない性格ってだけの話なんだが……まぁ、姫島はそれで救われたって言うし、そこを突っ込むのは野暮ってもんだろ。

 

 俺と姫島を見て、三人揃って突っ込んできやがった。流石に支え切れずぶっ倒れてしまった。

 その様子がおかしかったのか、皆が笑ってた。いや、笑ってないで助けてくれ。

 

 

 ◇月仝日

 今日が、支取とグレモリー達のレーティングゲームの日だ。ちょっとだけ楽しみにしている自分が居る。

 黒歌とミッテルと三人で会場に向かう途中、支取と会った。黒歌を見て何とも言えない顔をしてた。あんま気にしないでくれ、うちの猫は甘えん坊なんだ。

 頑張れよと応援しておいた。支取には、その立派な夢を叶えてほしいと思う。今ん所、悪魔で一番常識的なのはお前ぐらいだ。お前が次代の悪魔達を支えると言っても過言ではない。

 大袈裟だと笑われた。けど、ありがとうとも言われた。俺は結構ガチで言ってるんだけどな。鈍感なやつめ、こりゃ匙も苦労しそうだ。

 

 俺達は参加者じゃないので、観戦席に案内してもらった。案の定サーゼクスさんとセラフォルーさんも居た。そりゃ自分の妹の試合だしな、居るに決まってる。でもそれ以上にびっくりしたのは、これまで以上の大物が居た事だ。

 オーディン。北欧神話の主神、魔術と戦争の神。日本人に一番有名な神は?って質問したら大半がその名前を答えるぐらいには有名な神様だ。

 遂に神様とすら顔合わせしちまったよ。しかも主神。やべぇなこれ、その内に外なる神とも出会うんじゃねぇの? 流石にそれは勘弁したい、SAN値直葬待った無しだ。

 あと、一緒に北欧系美人も居た。ロスヴァイセさんと言うらしい。流石はオーディン、そりゃワルキューレを付かせてるよな。

 黒歌に軽く叩かれた。なんでだよ。

 サーゼクスさんからどっちが勝つと思うか聞かれた。支取だと答えた。夢の話とか私情は抜きで、俺は支取が勝つと思う。

 

 支取は単純に頭が良いからな。『戦術』っていう面で言えば、グレモリーよりも上だと思う。戦闘において駒をどう動かすかを決める『戦術』がしっかりしているか否かで、勝負の結末はかなり変わる筈だ。

 グレモリーは言っちまえば脳筋だ。戦術を疎かにしている訳ではないし、眷属達の能力的にそっちの方が良いから別に問題はないんだが……名前が知れてるってだけで、戦術の幅は大きく広がるからな。それで言えば、支取の方が有利だと俺は思ってる。

 

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 結果は支取達の敗北、グレモリー達の勝利だった。

 いやぁ……凄まじい試合だったと思う。やっぱ支取はすげぇ、しっかり相手の能力を踏まえた上で磐石な戦術で仕掛けて、ヴラディだけじゃなく兵藤とアルジェントを先に落としやがった。

 そりゃ、単純な能力の強さならコイツらが一番厄介だから抑えるのは当然なんだが、それが出来たのが流石だと思う。

 とは言え、グレモリー達も凄った。主戦力が落とされたにも関わらず、クァルタと木場が全力を出してそれを巻き返したんだからな。普通に感動しちまった。

 最後の支取とグレモリーの一騎討ちも、見ていてドキドキした。勝ったのはグレモリーだが、全員すげぇ頑張ったと思う。

 個人的には匙がMVPだと思う。オーディン様にも褒められてたし。お前マジですげぇよ。

 だが兵藤、お前はダメだ。乳翻訳(パイリンガル)って嘗めてんのか? ドレスブレイクといい、お前は何故そうも巫山戯た技ばっか思い付くんだ? 取り敢えず後で蹴り飛ばす。

 

 医務室に見舞いに行ったら、支取が落ち込んでいた。まぁ、負けは負けだからな。でも、凄かったのも事実だ。

 匙はサーゼクスさんから、レーティングゲームで一番活躍した証みたいな賞を贈られていた。納得だ、これからも是非頑張ってほしい。支取も、匙が褒められて嬉しそうだったし。

 あと、兵藤には俺が色々言っておくと言ったら皆が笑っていた。くれぐれも加減を間違えないように、とも。

 あんま保証は出来ねぇな、うん。

 

 

 ◇月々日

 ようやく、自分の家に帰ってきた。

 あー……やっぱ家が一番落ち着くわ。帰ってきた実感が湧く。

 改めて、黒歌におかえりと言ったら、泣いて抱き着かれた。そんなに嬉しかったのか。俺もめっちゃ嬉しかった。

 

 三人で久しぶりにご飯を食べた。やっぱこの家で、三人で食べる飯はなんか特別な感じがするな。

 まぁ、もう四人なんだけど。黒歌と姫島が仲良くしてくれたら良いんだが……そこがちょっと心配な所だな。

 

 

 ◇月〆日

 グレモリー達はまだ冥界に居る。反省会みたいな事をしてるんだと。

 本当なら圧勝出来る勝負を苦戦したとか何とか。支取達に圧勝出来るとか他の悪魔達思ってたのかよ、マジか。流石に支取の事嘗め過ぎじゃねぇか?

 まぁ、グレモリーは滅びの力とか言うの持ってるし、兵藤は赤龍帝の宿主だからグレモリーの方に期待が行くのは分からんでもないが。悪魔ってもしかして揃って脳筋なのか?

 夏休みの課題は支取達のお陰で終わってるし、三人でゆっくりした。人型の黒歌にも慣れてきた自分にちょっと引いた。慣れるの早過ぎんだろ、俺。

 

 あと、黒歌が塔城も一緒に暮らしたいと言ってきた。うーん……まぁ部屋は余ってるけど、塔城がどう思うかだな。後はグレモリーに聞かねぇと。

 

 

 ◇月◎日

 ミッテルトと黒歌が何か言い合っていた。いや、正確にはミッテルトの神器と黒歌が、だけど。

 ヴォーティガーンだっけ。ミッテルトはヴォーくんって呼んでたけど。わりと肝座ってるよな、ミッテルト。仮にもブリテンの統治者、山より遥かに大きな体をしたドラゴンを渾名呼びって。俺には出来ん。

 めっちゃ口が悪かった。卑しい龍の公爵と書いて『卑龍公』なだけはある。

 そういや、ドライグさんとかアルビオンさんが『帝』とか『皇』とか王に関連してるのに、ヴォーティガーンは『公』なんだな。

 

 俺にまで飛び火が来た。勘弁しろ、ドラゴンと口喧嘩とか御免極まる。

 

 

 ◇月ฅ日

 そういえば、ミッテルトも黒歌もどうしてここまで俺に気を許してくれたんだ? と気になったので、二人に聞いてみた。

 ミッテルトは、命を救ってから。悪人である筈の自分を受け入れて、優しくしてくれたから。と言っていた。

 黒歌も、似た様な感じ。最初は不思議な雰囲気が気になって、会う度に俺の事を知っていって、今みたいになったのだと。

 何とも言えなかった。いや、別に嫌とかそういうんじゃねぇんだけど……俺としては、して当たり前の事をやっただけだし。黒歌に関しては、そこまでの事はしてない。

 でも、二人にとっては俺にとってそれくらいの事が、それだけ大きな事だったんだろう。どうあれ、信頼してくれるのは嬉しいしな。

 

 好きだと言ってくれた。素直に嬉しかった。俺も二人の事大好きだぞ。

 むくれられた。なんで?

 

 

 ◇月Σ日

 アルジェントが訪ねてきた。何でも相談事があるのだそうだ。

 アルジェントから相談事を持ってくる事は何度かあったので、話を聞いてみた所、どうやら求婚されたらしい。

 まぁ、アルジェントめっちゃ良い子だからな。そりゃ求婚の一つや二つくらいありそう……いや、告白ならともかく求婚って結構デカくね? 相手が相手ならロリコンの可能性もあるな、危険かもしれん。

 名前はディオドラ・アスタロトと言うらしい。シトリーにグレモリー、バアルと続いて、今度はアスタロトと来たかぁ……どんどんソロモンの悪魔達が揃っていくな。

 ミッテルトも真剣に考えていた。仲良しで何より何より。

 

 まぁ、アルジェントが断るつもりであるならそうすべきだと思う。お前が好きなのは兵藤なんだし、それを諦める必要はないだろ。

 黒歌はアスタロトの名前を聞いて訝しんでいた。聞いた事があるんだとか。まぁ、そりゃアスタロトだからな。

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