不良男子の生活記録   作:全智一皆

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57(黒歌日記)

 

■  ■

 ◇月※日

 なんか、日記を書くのも久しぶりな気がするにゃ〜。まぁ、ここ最近は特に書く様な事もなかったし。

 でも、今日は良い事があった。『禍の団』は初陣で失敗したけど、その存在を知らしめる事は出来た。その活動で冥界に来たら―――渉に出会えた。

 いやー、これが運命ってやつ? なんて。渉、なんだかんだ色んな事に首突っ込むんだもん。今回も巻き込まれちゃったんだろうにゃー。

 黒歌って名前を呼んでくれた。首輪だってしてなかったのに……ちゃんと、私だって気付いてくれた。私の事を覚えてくれてた。

 嬉しかったにゃー。抱き着きたかったけど、ダメダメ。もう……テロリストなんだから、私。

 それから少しして、ミッテルトとも会っちゃった。正直、ミッテルトとは会いたくなかったなぁ……だって、渉と違って私の事知ってるし。あと、言葉が真っ直ぐだから。

 

「黒歌ちゃん、帰って来て良いんすよ! ちゃんと話せば、渉くんだってちゃんと受け容れてくれるっすよ! それに……うちはまだ、黒歌ちゃんともっと一緒に居たいんすよッ!」

 

 ありがとう、ミッテルト。そうまで言ってくれるのは、嬉しいよ? すごく嬉しい。

 渉も……きっと、受け容れてくれる。だって底抜けて優しいもん。家族だからって許してくれると思う。

 

 けど―――やっぱりダメ。だって私、テロリストだもん。そんな奴と一緒に居ちゃダメなんだよ。

 これでも、ヴァーリとか美猴とかの事、仲間だって思ってるんだよ? 流石にそう簡単に仲間は裏切れないにゃー。

 だからごめんね、ミッテルト。

 

 

 ◇月〒日

 近々冥界で行われる、新人悪魔のパーティを襲撃する。目的は―――白音と、まさかの渉の拉致。

 最初に聞いた時は何を考えてるんだって口に出しちゃった。でも仕方ないよね、だって妹と好きな人を拉致するって計画言い渡されたんだから。

 けど、それだけじゃない。白音なら兎も角、渉まで拉致するなんてあまりにも馬鹿げてる。あの三大勢力の会議襲撃時の惨状を忘れたの?

 ありとあらゆる全てに干渉する力。時間と空間はおろか、無限の龍神であるオーフィスにすら干渉出来る渉を拉致とか、どう考えても理不尽極まりない。どう策を弄しても、その前提から粉々にされるのが目に見えてる。

 

 美猴は楽しそうにしてたけど、私は全然楽しみじゃな。だって、渉と戦わないといけないかもなんだし。実力とかそういうの抜きにしても、渉とは戦いたくないにゃー。

 

 

 ◇月♂日

 計画を聞かされて、納得してしまった自分が少し嫌になった。

 アーサーが計画の内容を説明してくれた。『支配の聖剣』―――それを使う事で、渉を支配出来るのではないかと考えているらしい。そして、それを使う為に……ミッテルトと白音を人質に取る、と。

 渉が優しい人間だって、美猴が勘づいた。会議襲撃の時の戦闘行動、言動、それらから鑑みた結果らしい。ミッテルトと白音を人質に取れば、大人しく従うだろう、と。それが合っているから尚更腹が立つんだけど。

 

 でも……ぶっちゃけ、正解とは言えないにゃー。

 だって下手すれば、渉の地雷を踏みかねない。ミッテルトが人質にされただけで怒ってたのに、後輩である白音まで人質にするなんて。

 あーあ、戦いたくない。嫌だにゃー。渉とも、ミッテルトとも……戦いたくないよー。

 

 

 ◇月ヽ日

 あーあ、本当に疲れた。なんかもう色々あり過ぎて本当に疲れちゃった。

 結果から言って……計画は失敗した。と言っても、私が裏切っちゃったからなんだけどね。

 

 ごめんね、美猴。ごめんね、アーサー。私は二人より、『禍の団』の仲間より、渉を選んだ。ミッテルトを選んだ。

 ミッテルト、前よりずっと強くなってたにゃー。新しい神器―――『卑龍公の具足(フォーリングロスト)』を武器として使いこなしていた。蹴りとか完全に渉のそれだったにゃー。かなり痛かったよ? 本当に強くなってた。

 まぁ……多分、負けたかったんだろうなぁ、私。だって、ミッテルトってば全部吐き出してくれちゃうんだもん。

 

「うちだって人殺しっすよ、何も変わらない悪人っす。そんなうちが平和に生きて、黒歌ちゃんだけがダメなんておかしいじゃないっすかッ!」

「帰って来て―――いや、帰って来いっす! 本気で行くっすよ、全力をぶつけるっす! 黒歌ちゃんを倒して、白音ちゃんも守って、絶対に連れて帰るっすから!」

「また―――一緒に暮らすんすよ……!!! 償いも何もかも全部最後まで一緒に居るっすよ!」

 

 本当にさぁ……なんでミッテルトは、そんなに私の決意を揺らがせるのが上手いのかにゃー。こういう舌戦だったらミッテルトに勝てる気しないや。

 

 ミッテルトに負けちゃった。でも、ミッテルトもギリギリ。だから―――

 

(次のページへ)

 

 いやー、死ぬかと思った。というか、実際に死ぬ寸前までいってたんだけど。渉に助けられちゃった。

 聖王剣コールブランド。あれで斬られたら、ミッテルトは死んでた。つい体が動いちゃったにゃー。それで死んじゃったら、世話ないんだけど。

 でも……渉が助けてくれた。傷を治して、私をまた撫でてくれた。

 やっぱり、アーサーの作戦は余計だったね。ミッテルトだけじゃなく白音、そして私まで傷付けちゃったから。渉、見た事ないくらい怒ってた。

 あの美猴とアーサーが、呆気なく蹴り飛ばされていた。本当に凄く強いよね、渉。でも……とても優しい。

 怪我も全部、渉が治してくれた。渉とミッテルトがおかえりって、言ってくれた。

 

 ―――ただいま。私を受け容れてくれて、ありがとう。

 

 

 ◇月ヾ日

 渉がサーゼクスの所に行った。今後の私の事でどうするかを話してきたらしい。

 結果として、私は渉の下で暮らす事になった。

 

「家族を見放す馬鹿が何処に居る。家族を信頼しない馬鹿が何処に居る。アイツは俺の家族だ。例え誰が何と言おうと―――黒歌は黒歌だ」

 

 すっごく嬉しかった。帰ってきた渉につい抱き着いちゃったもん。

 私は、渉の飼い猫になった。これからはずっと、渉とミッテルトと一緒に暮らせる。後は白音が入ってくれたら最高だにゃー。

 

 今日は三人で一緒に寝た。暖かったにゃー……これからも三人で寝ようかな?

 そういえば、渉には人の姿見せた事なかったよね? 助けてくれた御礼もあるし……おねーさん、頑張っちゃったり?

 

 

 ◇月ゝ日

 いやー、良いものが見れたにゃー!

 渉が人型になった私を見て、すっごくびっくりしてた。渉のあんな顔が見られるなんて。ミッテルトと一緒に笑っちゃった。

 そしたら、「黒歌ー? お前が原因なんだぞコラー」ってわしゃわしゃされちゃった。いつもの優しい撫で方も好きだけど、こういう撫で方も悪くないにゃー。ミッテルトが癖になっちゃうのも分かっちゃう。

 

 でもさー、おねーさんとしてはもうちょっと可愛い反応期待してたんだよ? 渉はもうちょっと男の子らしくなった方が良いと思う。まぁ、そういう所も渉の良い所なんだけどね?

 あと、ミッテルトがとても嬉しそうだった。もー、見世物じゃないんだよ? でも、ミッテルトが嬉しそうにしてくれてると、私も嬉しくなっちゃう。

 本当、たくさん絆されちゃったにゃー。

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