不良男子の生活記録   作:全智一皆

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■  ■

 ▽月エ日

 支取にディオドラの事を話したら、なんでそうも目を付けられる様な事ばかり仕出かすんだと怒られた。いや、俺悪くねぇし。俺にそういう事やらす相手が悪りぃんだよ。

 そう言ったらまた怒られた。昼飯食ってる時に説教しないでくれよ、マジで勘弁。今日は黒歌と塔城が作ってくれた弁当なんだよ。美味しく食べさせてくれ。

 まぁ、途中からは心配してくれたんだけど。やっぱ優しいなコイツ。そういう所も匙が好きになった理由なんだろうな。頑張れよ匙、変わらず応援してるぜ。

 あと、支取からもディオドラの話を聞いた。やっぱりあんま良い噂は無いらしい。正直、だろうなとしか思わなかったけどな。

 あんな性格だしな。あれで良い噂があるんなら、俺はもう絶対に冥界の悪魔達を信用しねぇな。

 

 そんな奴とグレモリー達は戦う訳だが、まぁ、グレモリー達なら大丈夫だろ。兵藤に限らず、皆強くなってるしな。それにいざとなったら俺が蹴り飛ばしてやるから。何ら心配要らねぇよ。

 

 

 ▽月∞日

 ディオドラとのレーティングゲーム……というか、今回のレーティングゲームの参加者である若手悪魔達の特集があるらしい。

 冥界にもテレビとかあんだな。いやまぁ、支取の家に行った時からわりとイメージぶっ壊れてたけど、なんかさらにイメージがぶち壊された気分だ。

 なんで冥界にテレビがあんだよ。なんで電波とかそういう概念知ってんの? ニコラ・テスラとかエジソン辺りの科学者涙目だぞ。

 まぁ、それは良いんだよ。野暮なツッコミだろうし。だけどよ、なんだってレーティングゲームに参加する訳でもない俺まで出演せねばならんのだ。

 マジで訳が分からん。断固として拒否したい。俺が出る必要ねぇだろ、だって参加しねぇんだぜ?

 そりゃ、グレモリー達になんかあったら協力するとは言ったけどよ? だからって俺が出る必要無ぇよな。つか俺の了承も無しに勝手に進めんなよ。

 

 話を聞くと、どうやら俺は特別ゲストという扱いらしい。ディオドラが何やら俺の事を言及したらしく、それで出演する事になったんだとか。

 アイツまた蹴り飛ばされてぇのか? よし、見付けたらまた蹴り飛ばそう。勝手に俺を巻き込んだ罰だ、絶対に蹴り飛ばしてやる。

 

 

 ▽月ỏ日

 前みたくケーキを作ったのでオカ研に出向いたら、アルジェント以外に居なかった。なんか用事が重なったりディオドラの事だったりで忙しいらしい。

 かくいうアルジェントも、ディオドラのレーティングゲームの映像を見ていた。レーティングゲームって、映像化されてんだな。出来るもんなのか、魔法で。

 ……マジで冥界がよく分からなくなったわ。どうなってんだ。そう言ったら、アルジェントが笑ってくれた。

 そっから、アルジェントと色々な事を話した。そしたら、沢山惚気られた。アルジェントはスゲェよ、マジで。

 昔は聖女で、今は悪魔。そもそも教会に追われてたのは、そのディオドラを助けたのが切っ掛けだったらしい。けど、アルジェントは後悔なんてしていないと言った。あんな人でも分かっていても、助けていたと思うと。

 それに、そのお陰で今の暮らしを手に入れられたと。オカ研の皆と楽しく過ごせて、兵藤―――好きな人とも毎日を共に過ごせる。頼りになる先輩や親しい友達にも囲まれて、幸せだと。

 良かったなって言ったら、他人事じゃないって叱られた。頼りになる先輩というのは、どうやら俺の事だったらしい。支取とかだと思ってたのに……正直、書いてて恥ずかしかった。勿論、嬉しかったけどな。

 

 話を聞けば聞く程に、アルジェントは本当に凄くて良い奴なんだと思い知らされた。こんなに良い奴に真摯に想われてるとか、マジで兵藤はアルジェントを幸せにすべきだと思う。絶対に。

 羨ましいとか言うつもりはねぇけど。だって、俺にはミッテルや黒歌達が居るからな。俺にとっては、アイツらと一緒に過ごせる事が最高なんだ。

 そう言ったら、渉先輩も大概ですねって笑われた。

 そうかもな。けど、恥ずかしくはない。本当の事だからな。

 

 

 ▽月ロ日

 テレビ収録に向かったら、サーゼクスさんが居た。なんで居んだよ。魔王だろアンタ。仕事はどうした仕事は。

 わざわざ来るなよ。なんで知り合いに自分のインタビューを見られなきゃならねぇんだよ、普通に恥ずかしいっつーの。

 他の悪魔の人達も緊張してんだろうが。もっと自分が周りに与える影響考えろって言ったら、君にだけは言われたくないなと笑われた。

 んなこたぁ知らん。俺は俺だ。それで終わり。それ以上でも以下でもねぇよ。そう言ったら、また笑われた。何が面白いんだか。

 

 そっから暫くして、インタビューが始まった。ちなみに俺は私服。グレモリー達は制服だった。前にグレイフィアさんが私服の方が良いとか言ってたし、別に問題ねぇよな。

 インタビューの内容は、俺が関わってる悪魔達との関係とか馴れ初めとか。

 ただの人間である俺が、今や冥界で注目される若手悪魔であるグレモリーや支取とどうやって出会ったのか、とか、今代の赤龍帝である兵藤とどう馴れ初めたのか。そんな所。あと、何故魔王相手に平然としていられるのかとかも聞かれたっけか。

 基本的に正直に、けど短く答えた。プライバシーとか色々あるしな。全部話す必要もねぇだろ。つかぶっちゃけそんな積もる話ねぇからな、グレモリーとも支取とも。支取はまぁ同じクラスになったからだし、グレモリーとかミッテルトに襲われたあの件で初めて顔合わせしたし。

 

 あと、ミッテルトと黒歌についても聞かれた。

 どうして自分を襲った堕天使を仕わせているのか。どうして元テロリストを傍に置いているのか。悪魔達には、それが疑問に思えて仕方ないらしい。

 まず、ミッテルトだ。確かに襲われた、それは事実。けど、()()()()()()()って話だ。襲われた、けど俺は生きてる。そしてミッテルトは死に掛けてた。だから助けた。例えどんな理由があらつと、目の前で死に掛けてる奴を見捨てるなんざ有り得ない。断じてだ。

 その後にミッテルトは俺に謝った。それで襲った襲われたの話は終わりなんだよ。そこから先の事は、ミッテルトが自分で決めた事だ。

 あと仕えさせてないと訂正させた。ミッテルトは俺にとって大切な家族だ、仕えさせる主と仕える従者じゃない。対等な関係なんだよ。

 次に黒歌だ。理由なんざ一つ、彼奴が俺の猫であり家族だからだ。黒歌が俺の家族になる事を頷いてくれたから、俺が彼奴を家族にしたいと思ったから、彼奴は家族になったんだ。だから、もう彼奴は俺の大切な家族だ。

 

 家族はずっと一緒に居るもんだろ。当たり前の事だ。だから、俺はずっとアイツらと一緒に居る。アイツらが死ぬその時まで、ずっと―――俺は、皆と一緒に居る。そう決めてんだよ。

 

 

 ▽月Ü日

 明日が遂にディオドラとグレモリー達のレーティングゲームの日だ。

 勿論、全員で見に行くつもりだ。だって姫島と塔城だって出るんだからな。家族の舞台はこの目でしっかりと収めなさいとな。

 姫島と塔城は、レーティングゲーム前日なのに全く緊張してなかった。姫島はともかく、塔城も緊張してなかったのは意外だったな。塔城も成長したって事だな、なんか嬉しかった。

 明日のレーティングゲームで勝ったら、なんかお祝いでもするかって言ったら、皆が賛成してくれた。広さで言ったら兵藤宅の方が広いし、兵藤宅でお祝いをしようって話になった。

 となると、俺はデザート係になんのかね? ケーキとかクッキーとか、色々作る事になりそうだ。そうなると食材が大量に必要だな、買い出しに出掛けねぇと。

 

 柄にもなく、明日が楽しみだ。ちゃんと勝てよ。応援してるからな。

 

 

 ▽月و日?

 何がどうなってんだ? マジで状況が全く読み込めねぇ。

 確かに日記は書いた。それは憶えてる。だが、▽月Ủ日ってのはどういう事だ? 俺が最後に書いた日付って○月☆日だったよな? なんで半年も時間が経ってんだよ。

 

 しかも、俺を襲ってきた金髪女と知らん黒髪の奴と白髪の後輩が居るし。つい誰だって言っちまった。

 ……何なんだ、この違和感。こんなにまで胸の内が痛く苦しいのはなんだ? 訳が分からねぇ。あぁ、くそっ。なんなんだよ。

 取り敢えず、今日は早く寝よう。夢かなんかだと信じて、寝よう。

 

 

 ▽月ϖ日

 過去に戻って自分を全力で蹴り飛ばしてやりたい気分だ。何やってんだよ、情けねぇ。

 朝起きたらやけに全員がよそよそしくて、何処か怖がってるみたいだった。取り敢えずおはようっていつもの調子で挨拶したら、思い出したのかって聞かれた。

 何の事かよく分からなかったが、どうやら昨日の俺は記憶喪失の状態だったらしく、ミッテルトと初めて出会った時までこれまでの記憶が消去されていたらしい。その所為で、ミッテルト達に誰だって言ったって。

 情けない。本当に情けない。レーティングゲームの事も全く記憶にない上に、ミッテルトと黒歌に向かって誰だなんて。最悪だ。……本当に、最悪だ。

 

 全員に謝った。土下座して謝った。多分、泣いてたと思う。

 俺が謝ったら、皆が泣き出して、泣きながら逆に謝られた。なんでお前らが謝るんだよ。悪いのは俺だ、俺が悪いのに。俺がお前達を悲しませたのに。

 その日は、皆で泣いた。思いっ切り泣いて、皆で許し合った。その後は泣き疲れた所為か、すぐ眠ってしまった。

 本当にごめん。そして、許してくれてありがとう。……もう二度と―――こんな事は、起こさない様にしよう。

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