VR:インタラクト   作:非論理的エキドナ

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異世界スーサイドスクワットを見ました


第1話

 「ねえ、警察官さん。人を殺したことはある?」

 

 肉袋を踏みつけて拳銃を私に突きつけてくる男に問いかける。

 繁華街の路地裏。下水道と食べ物、あとは肉袋はぶちまけてる血の匂いが私の胃を締め付ける。

 マイナスドライバーを握る手は震えてるけど、血で滑って落とさないように握りしめた。

 

 「武器を捨てろ、膝をついて手をあげろ!」

 「質問に答えてよっ!!!」

 

 欲しかった答えはもらえなくて、警察官さんの言葉を遮るように叫んだ。

 

 あ、私何してんだろ。

 

 叫んだおかげか、体の中の熱が冷めて何もかもどうでもよくなった。足元はグチャグチャで気持ち悪いし、浴びた血やまとわりつく湿った空気が鬱陶しい。ああ吐きそう気持ち悪い。

 

 ドライバーを投げ捨て膝をつく。両手をあげると頭がすごく重くておでこを地面につけて体を支える。ギロチンに掛けられる人みたいと思わず笑っちゃった。

 

 足音が沢山したら、強く手を引っ張られ手錠をかけられる。重装備の警察官さんが起こしてくれて、私の横には重装備の警察官さんがついた。

 

 「か弱い女の子に厳重だね」

 「黙って歩け、殺人鬼」

 

 警察官さんの硬い声色がなんだか面白くって、キャハハと甲高い笑い声が思わず出て地獄みたいになってる路地に響く。

 

 「何がおかしい」

 「何も。想像以上に大きい声出ちゃったごめんなさい。私黙るね」

 

 そう言って口を閉じれば警察官さんは大きなため息を吐いた。

 

 

 あぁ、私はこれからどうなるんだろう。揺れる車内でぼんやりとそう思う。

 殺したのはさっきの肉袋、りょうくんで十三人目。

 理由は私を殴ってきたから。

 私は優しくしてねって言ったのにね、僕が調教してあげるって言われて笑っちゃったら顔を殴られちゃった。

 私が初めてって言ってたけど、よかったね私以外の女の子を傷つけることはもうしなくていいから。

 

 

 最初はあきらくん。小さかった私に酷いことをしてきたから暴れたら死んじゃった。次はけいたくん。その次は……。

 

 今まで殺してきた肉袋を思い出していたら鈍いブレーキ音がなり車が止まる。

 

 お風呂入れるかな?気持ち悪いから着替えたい。

 

 

 

 

 

 

 

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 情状酌量の余地があれど、死刑。

 ついてくれた弁護士さんが頑張ってくれたし、私も死にたいわけじゃない。どうにかこうにか足掻いたけどやっぱり死刑になった。

 

 私が次にやったことは遺族のために道化になることだった。

 

 泣いて叫んで暴れた。死にたくないと嘆いて、押さえ込まれたら押し殺したように泣いた。

 こうした方が遺族も溜飲が下がるだろうと演技をした。

 

 内心ほっとしていた、別に人を傷つけたいわけじゃない。私にとってりょうくんたちは肉袋だったけど、他の人にとっては愛すべき人だったから罰せられるのは当たり前。

 

 だからこうして自由な時間は遺族への謝罪の手紙を書いている。

 

 全ての作業が終わって夜、小さな机で消灯の時間まで手紙を書く。

 りょうくんのご両親当てに大事な息子さんを殺してすみませんという文を言葉で着飾って、殺した理由をオブラートに包んで書く。

 事実を知るのは大事だと思うから、りょうくんの気持ち悪いところを書いたり。

 私だったら知りたくないけど。

 

 書き終われば消しカスを払って綺麗にする。読み返して誤字がないか確認したら綺麗におって便箋に入れて封をして切手をはる。

 

 やっと全部書き終わったな。そう思い、緊張して固まった体を伸ばしてほぐす。

 

 書き終わっちゃったしやることないな。返事が来ちゃったらどうしよう。来週は面会があるんだっけ。死んでもいいけど死にたくないな。

 

 いろんなことが脳内を駆け巡るけどそれはただ頭を重くするだけで、重みに耐えられず床に寝っ転がる。

 

 ぼうっと考えていると聞き慣れない足音が聞こえてくる。看守さんの歩きかたじゃないけどキビキビとした感じ。こんな時間に誰かがいるのは珍しいと思う。私新入りだからわかんねぇや。

 

 

 大きな影が私にかぶさり、足音が近くで止まる。

 廊下の方を見れば、見たことのある顔があった。

 

 「私を捕まえた警察官さんだ。刑事さんって言った方が合ってる?こんな時間にどうしたの?」

 

 警察官さん改めて刑事さんは私の顔を見て苦虫を噛んだような顔をしていた。

 彼とは色々と顔を合わせる機会があった。取り調べだったり、色々と。

 淡々と全てを話す私になぜだか苛立っていたのが印象的だった。

 

 見つめあった私たちを遮るように、顔馴染みの人が出てきた。

 

 「150番、お前に緊急の面会だ」

 

 そう言って部屋に入ってきた看守さんは手錠をかけようとするが、床に寝そべったままの私を見て呆れたようにため息をつく。

 

 「頭が重いから支えてよ」

 「何言ってんだ、立ちなさい」

 

 そう言われて渋々と立ち上がれば手錠をかけられた部屋から連れ出される。

 このルートは面会室かな?

 そう思いつつ歩く。面会室の椅子に座るまで刑事さんは一言も喋らずにただじっと私を睨みつけていた。

 

 

 椅子に座り、見つめ合う。口火を切ったのは刑事さんだった。

 

 

 「もし、死刑が免れるというならどうする」

 

 「へぇ……」

 

 刑事さんの言ったことを脳内で咀嚼する。死刑が免れる?ついさっき思ったが死んでもいいけど死にたいわけじゃない。死なない方法があるならその方法を選ぶ。だが、確実に差し出さなければいけない対価があるだろう。それが死刑と同等のものが。

 考えたって仕方がない、正直に聞こう。

 

 「どうするって言われても、私に何をさせたいわけ?内容次第でしょそんなの」

 「そうか。だがこの場にいる時点で強制だ」

 「じゃあ聞かないでよ。私に選択権なんてはなからないじゃん」

 

  そういって口を尖らせれば、刑事さんは鼻で笑って少し表情を緩ませる。からかわれたのは腹が立つが、案外可愛い顔をしていたので許すことにする。

 

 「それで、私は何をすればいいの?」

 

 私の質問に刑事さんはもったいぶって答えた。

 

 「お前には異世界に行ってもらう」

 

 

 




えたらないようにのんびりやります
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