「そぉーれっ!」
「シャアアアア!」
「熱ッ!! うぉぉぉぉぉッ!?」
刃物で有名な町ティエールにて二騎のサーヴァント――ランサー、エリザベート・バートリーとバーサーカー、清姫から攻撃を受ける一捷。
Wサイクロンメタルで守りを固めるが、槍と音波に翻弄され、次々と飛んでくる火球に体を燃やされる。転がって消しながら距離を取り、マシュとアルトリアに前線を。エミヤとアマデウスに後方からの援護を頼む。
暴れ回るエリザベートと清姫、だがアルトリア達の前に次第に押されていき、
『ルナ! トリガー!』
『トリガー! マキシマムドライブ!』
「トリガー……フルバースト!」
ルナトリガーとなった一捷がマキシマムドライブで青と黄のエネルギー弾を多数発射。それらはエリザベート達の左右に散る。避けるように飛んでいく……と思わせるよう一捷は操作し、二騎の背後で弾丸がぶつけ爆発させる。
「ふんっ、どこ狙って……キャーーーっ!?」「あーーーっ!?」
「今の僕で当てられるなんて思ってませんよ……」
『ルナ! ジョーカー!』
「なので申し訳ありませんが、大人しくしてもらいます」
「「ぐえっ!?」」
エネルギー弾丸の爆発でエリザベートと清姫を吹き飛ばし隙を作ると一捷はルナジョーカーにハーフチェンジ。右腕を伸ばしエリザベート達をぐるぐる巻きにすることで動きを止めた。
砦で一夜を明かした翌日。
聖人のサーヴァントを探すため、カルデアメンバーは二組に分かれて行動していた。
マリーの提案でくじ引きをすることになり、アマデウスかま作ったくじで以下の通りに分かれている。
・グループ1
一捷、マシュ、アマデウス、ジークフリート、アルトリア、エミヤ
・グループ2
オルガマリー、ジャンヌ、マリー、クー・フーリン、百貌のハサン
一夜を明かした砦の東側へ一捷達。反対の西側へオルガマリー達が進む。
互いが持つ通信機で密に連絡をとりながら進んでいると、
一捷のグループがティエールでエリザベート、清姫の反応をキャッチ。接触を試みたのだが……タイミングが悪く、二騎は町のど真ん中で喧嘩の真っ最中。どうにか話しかけようとしたが、それが返って二騎を敵に回すことになり、仕方なく戦闘に突入してしまった……ということだ。
「や、やられましたわ……きゅう」
「や、やるじゃないの……。きょ、今日はこの辺にしておいてあげるわ……」
もう暴れないのを見て二騎から腕を解き、一捷は変身を解除。話を聞いてもらう。
「ふーん、それで貴方達カルデアっていう組織が、聖人を探しているのね。あ、もう一個寄越しなさいそれ」
「どうぞ。……良く食べますね、美味しいです?」
「さんきゅー。えぇ、そりゃあもう。何せ極東のド田舎リスとも戦ってたから」
「はしたない真似を。やはり爬虫類のトカゲだからでしょうか。……わたくしはその茶色いお菓子、もう結構ですので」
「――何よ」「――何ですか」
「はいはいはいはいはいはい!!!! ひとまずそこまで、そこまでにしましょ。ね、お二人とも。さささ、お茶もありますよ」
火花が散ったエリザベート、清姫の間にわざと大声を発しながら一捷は割って入り、自分の水分として持ってきていた麦茶を渡すことでどうにか矛を収めさせた。
また戦いになっては敵わないので、あの手この手でエリザベート達を落ち着かせようとする一捷。
その光景を遠くから見ている休憩中のアマデウス達。
「意外と彼、仲裁に手慣れてたりする? うるさい子猫みたいな二人をどうにか抑えてるよ」
「相手にもよるだろうこれは。わざとらしい態度をとって」
「それはそうですが……」
「そ、それでも。お二人の戦闘は食い止められたので……」
一捷が持っていたア◯ファ◯ッ◯チョコレートをポリポリ
齧りながら、それぞれ感想を呟く。
皆の視線の先で、一捷はエリザベート・清姫に多めのチョコレートとお茶を渡し機嫌をとり、話を聞いていく。
エリザベート曰く、他に出会ったサーヴァントは狂化された存在のみ。
だが清姫の方は聖人のサーヴァントと会っていて、そ彼女とは反対方向に向かったという。
「反対と言いますと……オルガマリー所長達が向かった方角ですね」
『直ぐに連絡を取るよ!』
ロマニが通信を繋げると、オルガマリー達から聖人のサーヴァントを見つけたとの報告があった。
これでジークフリートの呪いも解けると安心する一行だが、その中で一捷は浮かない表情。
それからまもなく、悪いニュースが彼らに届く。
『申し訳ないが、安心はできない。たった今オルガマリー所長達から連絡があって……竜の魔女とファヴニールが現れたそうだ』
しかもワイバーンとサーヴァントを連れて。更に、
『こちらにも敵が向かっている、サーヴァント一騎にワイバーンが多数。そして……レフ教授がだ』
「レフ教授まで……!?」
「なら直ぐに突破しないと!」
「そうだ、急げば可能性もある。俺を復活させるために、彼女達を失っては大損だ。……そうだろう、平沢」
「っ……はい!」
ジークフリートにそう言われ、意図を理解した一捷は頷くと直ぐに指示を飛ばす。
「まずティエールの人達を避難させます! それから迎撃準備、敵を撃破しつつ突破を狙い、オルガマリー所長達と合流を目指します!」
(そうだ。どこにいようと、やれることはある。まずはそれをやるんだ!)
「ひとまず、その敵に対処しなければいけませんね」
「いいわ、一時休戦よ清姫。このままじゃライブの一つもできやしないからね!」
一行はエリザベートと清姫の手を借りティエールの住人達の避難誘導に入る。
いつ敵が来るのか。それを考えて心臓がバクバク言うのを感じながら、サイクロンジョーカーに変わった一捷は町の中を駆け回る。住人達に声をかけ、荷物を持ち、一人でも多く助けるために避難を手伝う。
そうして避難が八割ほど終わり後一歩……というところで、空に多数の影が現れた。
無数のワイバーン、ワイバーンドレッド、黒い体色のワイバーンエビル。
更にワイバーンから飛び降りる人影が二つ。
「また会ったねぇ。平沢一捷」
「レフ教授ッ……!」
「Arrrrrrrr――」
「ッ、貴方は……!」
「あの時追撃してきた、黒いサーヴァント!」
冬木で両腕をもがれたはずなのに、何もなかったように五体満足のレフ。隣に黒いフルプレートアーマーを纏う騎士『バーサーク・バーサーカー』。
アルトリア達がバーサーカーと接触するのはこれで二度目。一捷は覚えていないが、リヨンから撤退する際、追っ手として現れたサーヴァントの内一騎がこのバーサーカー。
その姿を改めて見たアルトリアが、悲痛な表情で呟く。
「やはり貴方なのですね……ランスロット卿」
「! Arrrrr……」
彼女の言葉を聞いたバーサーカーは唸り声を上げ、側にいるマシュとエミヤは驚愕する。
サー・ランスロット。円卓の騎士の中で最強と言われた湖の騎士にして、王妃ギネヴィアとの恋に落ち、円卓が崩壊するきっかけとなった裏切りの騎士。
真名を聞いて、特にマシュの方は驚きが大きかった。
彼女以上に『彼女の中で力を貸している存在』がランスロットに反応していた。現段階では誰も気づかないが。
言えるのは、間違いなく強敵の一人。
そして、今のマシュやエミヤの力とは相性が悪いことだ。
「彼の相手は私がします。マシュ達はレフ教授とワイバーンの相手を」
「良い判断だ。流石は音に聞こえし騎士王。部下の手は知り尽くしているだろう」
皮肉を言いながら、左手で青いガイアメモリを取り出したレフが言う。
『アイスエイジ!』
「では、新たな力をお見せしよう」
ガイアウィスパーが鳴り、レフの右手の甲に生体コネクタが出現。メモリを突き刺す。
レフの全身が吹雪に覆われ、中より毛が逆立ったヤマアラシのような人型怪人アイスエイジ・ドーパントが姿を現した。
「何よあれ! ちっちゃい板みたいなので姿が変わったわよ!?」
「あれがガイアメモリ。刺すことでドーパントという怪人に変わる道具です」
「異世界のからくりと聞きましたが、直に見るとなんと面妖な……」
初めてドーパントを見るエリザベート達に説明すると、一捷はサーヴァント達の役割を割り振っていく。
ランスロットに彼をよく知るアルトリア。
アイスエイジ・ドーパントには一捷、マシュ、清姫。
飛び回るワイバーン達をエリザベート、エミヤ、アマデウスに対処してもらう。
「――Arrrrthurrrrrッ!!」
獣のように叫びながらランスロットが飛びかかる。
それが、戦いの始まりを告げるゴングとなった。
◆◆◆
拳を振りかぶったランスロットがアルトリアへ襲いかかる。
アルトリアが飛び退くと直前までいた場所に拳が叩きつけられた。石が砕け砂煙が舞う。
その砂煙を裂いて複数の黒い塊がアルトリアへ飛んできた。ランスロットが砕けた石を投げたのだ。
最低限の動きで石を避け、顔面など急所を狙う石をエクスカリバーで切り払う。刃が石に当たった瞬間、ガギン、と重い音が鳴り響き、アルトリアは思わず顔をしかめた。
これこそアルトリアがランスロットに一人で戦うと言った理由――ランスロットの宝具『
ランスロットが手にしたもの、触れたものをDランクの宝具にすることができる宝具で、魔力を流し込み自分の支配下に置く。
今のように石を投げるだけでもサーヴァントに傷を与える力に。相手の武器を奪えば自分のものに。もしエミヤと戦えば、投影された剣や飛来した矢を掴まれて使われかねないので相性が悪い。
だから自分一人で、生前の因縁もありランスロットへ挑むアルトリア。
エクスカリバーを下段に構え駆け出す。しかしそれを潰すように、上空から氷柱がいくつも飛んできた。
『私もいるのだよ、騎士王』
「Uuuuuuoooッッ!!」
「くっ!」
氷柱を切り裂くが何本かはランスロットの元へ。掴んだ氷柱に魔力が流し込まれ赤黒い筋が入る。宝具により強化された氷柱を氷の剣とし、ランスロットはかつての主へその刃を振るう。
「アルトリアさん!」
「氷の怪物……それならば!」
鍔迫り合いとなったアルトリアに一捷が叫ぶ。清姫が手にしていた扇子を振り抜き火の玉をいくつも発射。アイスエイジ・ドーパントの指から放出されて冷凍ガスと打ち消し合う。
マシュに氷柱と冷気を防御をしてもらい、一捷は接近戦に持ち込もうとするが、アイスエイジ・ドーパントは足場を凍らせスケートのように滑って逃げていく。凍って滑りやすくなり、距離がなかなか詰められない。清姫の炎で氷を溶かすことはできるが、再び凍結させられてしまう。
「なら熱量増加だ!」
『ヒート! トリガー!』
「えいやっ!」
赤と青のヒートトリガーへハーフチェンジ。トリガーマグナムから火炎弾を連射、清姫との同時攻撃で凍らせた足場を一気に溶かしていく。
「キリエライトさん、走れっ!」
「はいっ!」
『小癪なぁ!』
「やぁぁぁぁぁっ!!」
冷気と氷柱で対抗するアイスエイジ・ドーパントだが、冷気は相対され氷柱は溶かされる。一気に距離を詰めたマシュが、助走の勢いをつけ盾でのアッパーをアイスエイジ・ドーパントに叩き込んだ。
『くうっ!』
「そこだっ!!」
『うぉぉぉぉッ!!?』
腕をクロスし防御態勢をとったが上空に吹き飛ばされるアイスエイジ・ドーパント。そこにヒートトリガーの集中射撃を食らい、体から火花を散らして石畳に落下する。
『ぬぅ……やるではないか平沢一捷。曲がりなりにも、ここまで生き残っただけはある、か』
「だからここにいるんだろうよ、僕が」
『……そうまでして、貴様は生き残りたいか? 見ず知らずの相手の為に、命をかけてまで』
「……何?」
起き上がったアイスエイジ・ドーパントが左手で一捷を指差すした。残る右手で氷の針をアルトリアに飛ばしながら。
『貴様のことを『私』が知らないとでも? 貴様が……平沢一捷がこの世界の人間ではないことなど、疾うに認識済みだ』
「……なんですって?」
「……知っていたのか。僕が何者なのかを」
『その上で問おう。何故貴様は戦う。本来この世界と貴様は交わることのない存在。この世界がどうなろうと、貴様自身には関係のないこと。……何故戦う? そのような、正体も分からぬ力に縋ってまで』
(正体の分からない力……青緑の短剣か? レフ教授が知らない、ゲーティアも分からない力なのか? 知っていても隠している?)
「……そんなのは決まっている、人理修復だ。生まれ故郷とは違う世界だからって見て見ぬふりはできない。この世界の人の、カルデアの皆さんのために戦いたいからだ!」
『……つまらない答えだな。実にありふれた内容。カルデアからそう言われたから、戦っているだけではないのか?』
首を振りアイスエイジ・ドーパントは言う。呆れたような仕草に一捷は拳を握りしめ言い返した。
「それもある。だけど……僕がカルデアのために戦いたいと思ったのは、僕自身がそう思ったから。僕を助けてくれる皆の、力になりたいからだ!」
言うのと同時に火炎弾を単発で発射。二発目、三発目と続く。一発の威力を高めた射撃。
『…………果たしてそうかな』
右に左にと跳び弾丸を回避するアイスエイジ・ドーパント。三発目の火炎弾を避けると一捷達との間に氷の壁を作りあげる。その隙に石畳を凍らせ滑走。行き先はアルトリアと戦うランスロットの付近。
何度も切り合ったことでランスロットの手にする氷柱が砕かれる。ランスロットを切り裂こうとする更に踏み込むアルトリアを、アイスエイジ・ドーパントは足元の凍結+冷気で妨害。
たまらず距離をとるアルトリア。ランスロットも氷が来る直前にジャンプ、アイスエイジ・ドーパントの目の前に降りてくる。
武器を失ったランスロットの両手に冷気が吹きかけるアイスエイジ・ドーパント。
氷が細長く固まり鋭い槍に。あるいは氷の手刀とも言うべきそれは、ランスロットの魔力により、恐るべき切れ味を秘めた魔の刃と化してアルトリアを襲う。
新しい武器を与えたアイスエイジ・ドーパントは冷気で辺りを凍らせながら氷柱で弾幕を形成。弾丸や炎を打ち消し、腕に氷の塊を纏うと滑走の勢いをつけマシュを殴り飛ばす。
そのままの勢いで一捷へ急接近。氷塊を剣の形に変え、斬りかかった。
「なんのぉっ……!」
氷剣をトリガーマグナムで受け止める一捷。銃と剣での鍔迫り合い。
一捷とアイスエイジ・ドーパントの目が合い、互いが互いを睨みつける。
『先程貴様は助ける為だと言ったが……貴様がそう言う程、
「っ!?」『『!』』
「…………………」
「何を言う……!? 現にこうして戦ってくれている人達の、何処か立派じゃない!」
『貴様がその様に思うのであれば、それでも良かろう。……それにより、後で苦しむのは貴様なのだから』
「勝手なことを言ってぇ!」
否定の叫びと共に火炎弾を撃ちまくる一捷。だが目の前のアイスエイジ・ドーパントは屈んで回避。一捷の腹を蹴るとその反動で距離を空けた。
『……『私』ばかりに気を取られているようだが、気づいていない様だな』
「何が!?」
『待って平沢君! 新たな敵性反応が近づいている、しかもこの膨大な力は……!』
カルデアからの警告。直後、新たな存在が異様な音と共にティエールへ『飛んできた』。
キュイイイイイ、という独特の音。
まるで力が上がるかのようなその音に、一捷はまさかと空を見上げる。
――そこにいたのは、剣を持った赤い人型。
「れ、レプラカーン……!」
「今度はなんですか……! 虫の鎧!?」
「いたねぇ、あの時逃がした奴らが! 今度は逃がさないよ!」
女性の声――ジェリル・クチビがレプラカーンより発せられと、全身の火器が火を噴いた。
オーラバルカン、キャノン、フレイボムが町を破壊。同時に一捷達にも降り注いで防御を余儀なくされる。
「先輩、清姫さん! 私の後ろに!」
『あの女め、相変わらずのやりたい放題か』
遠距離攻撃をマシュの盾に隠れなんとかやり過ごす一捷達と、氷の壁を生み出しその中に籠って防ぐアイスエイジ・ドーパント。
『まぁいい。ここは彼女の好きにやらせるとしよう』
そう言って、どさくさに紛れて魔術を使い、アイスエイジ・ドーパントは姿を消した。
「ぐぅぅぅっ……!」
「不味いですね……! このままでは、防ぎきれなくなります」
「ひとまず隠れないと……!」
一旦態勢を立て直すため、一捷達は近くの建物に身を隠す。隠れ切るのは無理だろうが、あまりにも激しい砲撃にマシュの防御が持ちそうになかった。
どうにか一息つく三人。
が、外では破壊音が続いている。今隠れている建物もいつまで保つか分からない。
「……なんなのですか、あれは。また違う怪物ですか?」
「今度はオーラバトラー、空を飛ぶ人型の機械……カラクリです。中に人が乗って使う兵器ですよ」
「先程の『がいあめもり』なる板といい、空を飛ぶからくりといい。魔術の類ではないでしょうに、一体どうなっているのいますの?」
「……本当に、どうなっているのやら」
全く異なる存在が、別の世界に現れ暴れている。
清姫の言う通り、一体この世界で何が起こっているのか。何故ガイアメモリやオーラバトラーなどが存在するのか。一捷は訳が分からなくなりそうだった。
しかし抵抗を止めるわけにはいかない。
この状況を打開してオルガマリー達の助けに、マリーを救わねばという考えが一捷の中で巡る。
言ってしまえば焦っていた。
だから、次にかけられた言葉に従ってしまった。
『なら、今こそ私の出番じゃあないか?』
(っ、マオーか!)
『私の発動条件は満たされている。今回の対象は……あのオーラバトラーでね』
礼装の中にある青緑の短剣が仄かに光っており、力を感じた。
冬木でWが現れた力。相手に対抗する力を生み出す能力。
それならばレプラカーンにも立ち向かえる筈。
救援に向かうためにも、ここは新たな力で状況を打開すると決断する一捷。青緑の短剣を取り出しマシュ達に言った。
「キリエライトさん達、ここは僕が。冬木と同じように、剣の力を使います」
『あの時の力か! 今使えるんだね?』
『本当に大丈夫? ドーパントとは違うタイプの敵だ、当然キミの力も違う性質のものになるだろう。……やれるのかい?』
「今もやるしかないでしょう。生き残るために」
「先輩、どうかお気をつけて。あのレプラカーンという敵の火力はとてつもありません」
「……空を飛ばれては不利でしかありませんからね。本来マスターが出るなんて正気の沙汰ではないのですが、とりあえずお気をつけて」
「……ありがとうございます」
頭を下げると一捷は行動を開始。マシュ、清姫に防御と警戒を任せつつ、建物の陰に隠れながら移動。
砲撃の合間を見て通りへ出る。青緑の短剣をレプラカーンに向け、柄のトリガーを押す。
「――魔剣・起動。対象確認」
短剣と令呪が青緑に光る。
それにより、ジェリルを始め戦闘中の全員の視線が一捷へ集中。
「なんだいありゃあ!」
「あの光は、冬木の時の!」「Uu!?」
「再び使ったのか、あの剣を!」「この光……た目に反して禍々しいものだね」
当の一捷は柄頭を力いっぱい叩き、その姿がぶれる。
今度は冬木よりも少しだけ大きく。
存在証明の値が変化し、直ぐに安定。ただし直前と違う数値で。
青緑の短剣から二つ目の力が一捷に流れ込み、彼は叫んだ。
「――対応術式・展開。運命消失――『
次の瞬間。
全員に凄まじい力が覆い、一捷は上空のレプラカーン目がけて、『飛んだ』。力のままに。
あらかじめ一捷がそう考えていた訳ではないが、その行動自体が体当たりとなり、レプラカーンを後退させる。
「なあっ!?」
「ふぅぅぅぅっ、ぐうっ!」
体を曲げ、手足を前に振ることで減速、停止。
そのまま振り返ると、レプラカーンが同じ高さにいた。すなわちここは空中。相手と同じ力――今回はオーラバトラーの力を手に入れたのだ。
レプラカーンから舌打ちが聞こえてくる。
「なんだいそりゃあ! あたし以外のオーラバトラーが出てくるなんて、聞いてないよ!」
(やっぱり。Wと同じだ。レプラカーンが相手だとすれば、ビルバインか。もしくはダンバインか)
一捷の視線は真正面に向いていたので、自分の体が視界にギリギリ入っていなかった。
聖戦士ダンバインの主人公機か、その後継機だと予想する一捷に、レプラカーンがオーラソードを向けてくる。
「だいたい、あたしを舐めてるのか。そんな機体で……落とされたっていう『緑のダンバイン』で向かってくるなんてさぁ!!」
「…………えっ」
緑?
ダンバインは水色の筈、そう言われ自分の体を見てみると……暗い緑色の装甲が目に入る。
頭を触ればカブトムシのような角。背中には青緑のオーラコンバーターと水色の羽根が二対。コンバーター右側には鞘に収められたオーラソード。
これらの情報と、緑色を合わせると。
一捷に与えられたオーラバトラーとは――
(…………トカマクさんのダンバインだコレーーーーーーーーーー!!??)
絵を描くとして、早く上手に描けるのはどちらだと思いますか?
-
オルガマリー
-
マシュ