新たなライダー、アクセルの姿となった一捷はエンジンブレードを右手で持ち、サンソンとアイスエイジ・ドーパントへ接近していく。
氷柱が放たれ、サンソンが斬りかかってくるのに対し、
「ぬぅんっ!!」
「ぐっ!?」
エンジンブレードの袈裟斬りで氷柱を粉砕し、返す斬撃で刃を跳ね返す。そのまま一捷は自ら前に出てサンソンの腕を掴むと、後方に無理矢理投げ飛ばす。
ゴロゴロと地面を転がるサンソンへエンジンブレードを振り下ろし、返す斬り上げで更に後ろへ吹き飛ばす一捷。
「ぐうぅぅっ……!? く、姿を赤くしたくらいで……!」
そう言うものの、先のWを上回るパワーを食らったサンソンは警戒を強める。もう一度宝具を放ち一気に勝負を決めようとしたが、飛来した音の衝撃波に阻まれる。
「おっと。僕もいるんだけど?」
「アマデウスッ……!?」
刃で斬りかかろうとするサンソンをアマデウスが牽制。その背後に立つアクセルこと一捷。
背中合わせの形。刃を振り抜き、ギロチンを放ってくるサンソンの相手するをアマデウスと、放たれる無数の氷柱をエンジンブレードで砕きながらアイスエイジ・ドーパントへ駆け抜けていく一捷。
『ちぃ、ならばコイツでぇ!』
「ム!」
氷柱では埒が明かないと見たアイスエイジ・ドーパントは攻撃方法を冷凍ガスに切り替え。絶対零度の冷気を浴びて、アクセルの手足やアーマーが凍りついていく。
『自らの砕ける音を聞くがいい!』
そこへ殴りかかるアイスエイジ・ドーパント。
それを見て、一捷は素早くアクセルドライバーのスロットルをひねる。一回、二回、三回と。ひねる度エンジンを吹かす音が鳴り響くと、凍った部分が溶け蒸発していく。
アクセルはスロットルを吹かすことでエネルギーの追加が可能。そのエネルギーを任意の部位にチャージすることで、攻撃の威力を上げ、低温や凍結に対抗することができるのだ。
自由を取り戻した一捷は熱を込めた拳でアイスエイジ・ドーパントへ対抗。その圧倒的パワーで弾き飛ばす。
『うぉぉぉぉっ!?』
「……そうか、これも使えるのか!」
続いて一捷が取り出したのは銀色のメモリ。イニシャルは緑色の『E』。エンジンのマフラーが形を作っている。
それはガイアメモリを模して作られたUSBメモリ型アイテム『ギジメモリ』。ガジェットや武器の機能拡張を行うアイテムであり、アクセルが使用するのはギジメモリの一つ『エンジンメモリ』。アクセルメモリの『加速の記憶』から三種類の力を引き出す多機能型アイテムとなっている。
エンジンブレードの持ち手近くにある撃鉄を押し込むと、中折れ式ショットガンのようにブレードが曲がる。ガイアメモリを装填する『メモリスロット』が現れ、そこにエンジンメモリを装填。ブレードを上げて元に戻す。
『エンジン!』
音声が鳴ると、アクセルより集められたエネルギーがエンジンブレードの刃『ガイアブレード』へ集まっていく。
高熱が溜め込まれ炎の剣と化したエンジンブレード。
一捷はそれを突っ込んできたアイスエイジ・ドーパントに叩きつける。続いてもう一度。更にもう一度。エンジンブレードを振り下ろし、ダメージを重ねる。最後に思い切り斬り上げ。アイスエイジ・ドーパントを上空へと吹き飛ばし、見上げながら一捷はエンジンブレードの引き金『イグニッショントリガー』を四回引く。
『エンジン! マキシマムドライブ!』
それがエンジンブレードによるマキシマムドライブ発動。
突くと同時に『A』の形をしたエネルギー弾を刀身から発射する必殺技。
「エー……スラッシャー!!」
「ぐわあぁぁーーっ!!?」
空中で受け身の取れないアイスエイジ・ドーパントへAのエネルギー弾が直撃し爆風に包まれる。
地面へ落下し体からスパークが散るとアイスエイジ・ドーパントは爆発。アイスエイジメモリが排出されて砕け、全身に傷を負ったレフが倒れていた。
「デクレッシェンド」
「くっ!?」
「クレッシェンド!」
「ぐぁ!」
「フォルテシモ!!」
「がはぁ……!」
アマデウスが楽器を持つ天使を魔力で生み出し、様々な音楽や振動を魔術にして放つ。音階を上げながら放たれる魔力の衝撃波はサンソンの刃を弾き、ダメージを入れ、最後に霊核を砕く。
これまでの戦いでボロボロになっていたこともあり、サンソンは膝をついて戦闘不能となった。
この場の戦いは一捷とサンソンの勝ちで終了。
「おのれ……運の良い奴め!」
捨て台詞を残し、レフの方は転移魔術で姿を消す。
残ったサンソンは霊核を壊されたことで体が消え始めていた。それでもサンソンは顔を上げ一捷とアマデウスを見る。
「ハ……そうか。君にさえ敗れるのか、僕は」
その表情と言葉は憑き物が落ちたように静かなものだ。
「なら……邪悪は紛れもなく僕だった。正義は君たちにあったんだね」
「……僕はそんな大層なものじゃありませんよ。あなたの言う通りマリー王妃を救えなかった。ましてや正義だなんて」
「それでもだ。あの時と同じく王妃は微笑みながら魔女の炎を受け入れていた。おそらくそれは諦観ではなく、希望を抱いて。君に、希望がありますようにと。……少なくとも、君に対してもそれだけ思っていたはずだ」
「それで、あなたは僕を許せると?」
「それは流石にない」
視線が一捷を射抜く。心の中まで刺さるような真っ直ぐな目が。
「マリーが君のことを信頼していたのは分かる。それでも、僕個人として受け入れられない部分も存在しているよ」
「……ごめんなさい。僕が、何も分かっていなかった」
「謝らないでくれ。マリーの思いまで、無駄にする気か?」
「……はい」
「せめて、彼女の思いを無下にはしないでくれ。僕から言えるのは、それだけだ……」
サンソンが消えていく。
残った一捷の心に消えない言葉を残して。
「バカめ、正義がなんだって? そんなものに拘っていたのかあいつは」
「……正義と邪悪、か」
「おいおい平沢。あいつの言葉を真に受けるなよ、僕が言うのもなんだけどさ」
思うことがあっても今は時間がない。
何よりここは戦場の真ん中、立ち止まっているのも危険だ。
「……えぇ、考えるのは後に。今は所長達と合流しないと」
そう言いカルデアに通信を繋げる一捷。アマデウスには周囲の警戒をしてもらう。
『平沢君! 大丈夫なのか、さっき完全に宝具を食らっていたぞ!?』
「なんとか無事です。今のところ問題ありません」
いや、その方が問題だろうと全員が思っていたがそれは内緒。
一捷はサンソンを倒したことを報告し他の状況を確認する。
ファヴニールの炎で分かれた後、オルガマリー達の元にも残る敵サーヴァント四騎が襲撃。ダメージを負いつつも、アタランテとデオンをジャンヌとジークフリート。カーミラとヴラド三世をエリザベート、アルトリアがそれぞれ撃破。
オルガマリー達が吹き飛ばされた場所はどちらかと言えば相手の城側、すなわち最初から進んでいた方だったのでそのまま進み、既にファヴニールとジャンヌ・オルタ、更にキャスターのサーヴァントと戦闘中。
ワイバーンの群れにはジャンヌのことを信じたジル元帥率いるフランス軍が当たっており、砲撃の音、兵士の雄叫びが遠くから聞こえてくる。
未だレプラカーンことジェリルの姿は確認できないが、まずは一刻も早くオルガマリー達と合流する必要があった。
「……それなら、アクセルにうってつけの方法があります。それで一気に合流しましょう」
『本当かい! でもどうやって?』
「それは……こうするんですよ」
バックルからアクセルドライバーを外しながら一捷は言うと、
ウィーン ガシャ ガシャ コン ガチン
「さあ! 行きますよ!」
「『………………』」
後に、合流にぴったりなその『手段』を見たアマデウスとロマニはこう語る。
「『仮面ライダーって、そういう意味なの……?』
FGO世界に変な誤解が一つ生まれた瞬間である。
◆◆◆
「でやぁぁぁぁっ!!」
「はあぁぁぁぁっ!!」
純白と竜、それぞれの旗をぶつけ合う二人のジャンヌ。
離れた場所ではエミヤの援護を受けるジークフリート、ゲオルギウスがファヴニールと対決。竜殺し二人とサーヴァント一人を相手にしようが、ファヴニールは全く怯まず正面から迎え撃っている。
オルガマリー達は敵サーヴァントを撃破した後、ジャンヌ・オルタとファヴニールの元へ辿り着いた。直ぐ様攻撃をしかけ両者の撃破を狙ったのだが、その間に割り込む存在があった。
「お久しぶりですね、ジャンヌゥ」
「貴方は……ジル!?」
目を大きく剥いた男性、キャスターのサーヴァント『ジル・ド・レェ』。一捷達が森で出会った騎士達を率いるジルの後の姿。
ジャンヌが処刑されたことに絶望し、無数の少年を殺害したことで処刑された。後にフランスの詩人シャルル・ペローの童話『青髭』のモチーフともなった人物だ。
ジルは自身の宝具である魔導書『
この戦いではまずジャンヌ・オルタ及びファヴニールの撃破が必須。カルデア側は二つの戦いを邪魔されないよう、残るオルガマリー達で迎え撃つが、いかんせん海魔の数が多く攻めきれないでいた。
拮抗状態となった戦い。
だがこの状況を動かす存在が、文字通り突っ込んできたのである。
『エンジン! マキシマムドライブ!』
「……なに? この変な音」
どこからともなく聞こえた音声。続くように何かを吹かすような音。音源にいち早く気づいたジャンヌ・オルタがその方向を見ると、そこに見えたのは、真っ赤な塊。
「――うおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」「ぎぇぇぇぇぇぇ……」
「え、ちょぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ジャ、ジャンヌウボァッ!?」
炎を纏い高速で突撃してきた赤い物体はまず海魔の群れを蹴散らし、続いてジャンヌ・オルタへ激突。吹き飛ばした彼女をジルへとぶつけ、この場の注目を全て引き受けることになった。
赤い物体はドリフトするようにその場で停止。少し浮き上がるようにしてその形を人型へと変えた。
「先輩! それにアマデウスさんも」
「遅れて申し訳ない。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト及び平沢一捷、ただいま合流です」
「……き、君ってやつは。僕はライダークラスじゃあないんだぞ……気持ち悪」
隣のアマデウスは真っ青な顔をしていたが今は聞くどころではないので、ひとまず全員気にせずにおいて。
『平沢君、そのまま二人で黒いジャンヌとの戦いに加わってくれ。防御要員にマシュを加える、まずは彼女の撃破を目指すんだ!』
「先輩、状況は聞いています。どうかご無理をなさらないで!」
「分かりました、では……行きましょうか!」
「その声……カルデアのマスター。勝手に盛り上がっちゃって。その思い上がり、後悔させてあげる!」
アクセルの一撃を受けるも、サーヴァントの耐久力で直ぐ様復帰するジャンヌ・オルタ。黒い旗を振るう度、地面を這う様に炎が放たれる。それらをマシュとジャンヌが防ぎ、残った炎を一捷のエンジンブレードが切り裂く。
「前とは違う姿をしているじゃない。あのセンスの悪い半分この姿よりはイケてるわね」
「それは嬉しい。ならイケてることに免じて、フランスから手を引いてはくれない?」
「はっ、面白くない冗談ねっ!」
そう一捷に叫び返したジャンヌ・オルタは、大きく旗を振り抜いてジャンヌとマシュを弾き飛ばし地面を蹴って飛翔。後方からアマデウスが援護を行うもあっさりと弾かれ、追加の海魔がやってきたことでアマデウスとジャンヌとマシュはその場に封じ込められてしまう。
他のメンバーもファヴニールとジルの相手で精一杯。
アクセルこと一捷は、黒い聖女ことジャンヌ・オルタと真っ正面から対決することとなった。
「(まあ……思わず乗ってしまったが冗談が通じる相手と状況じゃあないか)」
ジャンヌ・オルタの炎が一捷を狙う。
エンジンブレードで炎を裂き、顔や首を狙う攻撃をどうにかガード。熱に耐性のあるアクセルだが、怨みによって燃え上がるジャンヌ・オルタの炎は凄まじい火力。スーツとアーマーを突き抜けてくる熱さに一捷は顔をしかめつつ、相手の行動を見ながら反撃の糸口を探る。
「……どうして、そこまでして戦うというの」
「ン?」
振り下ろされた旗をエンジンブレードで受け止めたときだった。ジャンヌ・オルタが問いかけてくる。
「貴方、この世界の人間じゃないんでしょう。本当なら関係ない世界なのに、どうして?」
「どうしてと聞かれても。この状況で何もしなかったら、皆死んでしまうじゃないか。僕を含めて。そんなのは嫌だよ」
「だから助ける……として、良い結果になると本当に思っているのかしら」
旗を振り抜き距離をとるジャンヌ・オルタ。旗の黒い穂先を一捷に向け、再び口を開く。
「どれだけ善い行いをしたって、それに唾を吐く輩は必ず出てくる。何も知らず、聞かず、排除してくる。そんな目に遭っても、世界のため皆のためと言い切れるのかしら」
その言葉を聞いて、一捷の太腿の傷と心が少し痛む。
反射的に礼装へ仕舞っているアシルのナイフがある場所を抑える。蘇る、アシルや兵士達、アンナの顔。
その反応を見たジャンヌ・オルタは少しだけ口調を優しくして言う。
「けど、何もおかしなことじゃない。無下に扱われて怒りを抱くのは必然。憎しみを持つことは自然なのよ」
「止めなさい! 彼を惑わすのは……!」
「邪魔はさせませんよ、ジャンヌ?」
戦意を削ごうとするジャンヌ・オルタを止めようとジャンヌが駆け出すも海魔の群れが行く手を阻む。他の者達も同様。戦いながら視線だけを一捷へ向ける。
その一捷は炎を剣で振り払いながら、少し間を置いて言い返す。
「憎しみね。……別に僕は憎しみを否定するつもりはないですよ」
「へぇ?」「ほぉ」
「えっ!?」「先輩!?」「何を言って」
その内容にジャンヌ・オルタを始め、ジルやジャンヌ、マシュ、エミヤといったこの場の全員。通信しているカルデアの面々も驚きだ。
全員の注目を浴びながら、当の一捷は淡々と返答する。
「基本誰にだってそういう負の感情はあるはず。もちろん僕自身にもね。憎しみを抱くことに覚えがないわけじゃあない。貴女が裏切られたと感じ、フランスを憎むのも、間違ってないと僕は思う」
「意外な反応ね。分かってくれるのなら、邪魔をしないでもらえるかしら。私はどうしても、このフランスを滅ぼさないといけないの」
「あ、それは邪魔するので」
ジャンヌ・オルタの答えを否定し、それを表すように彼女の放つ炎を切っていく一捷。
「……何故? 憎悪を認めると言ったのは貴方でしょうに」
「憎しみそのものは、だ。こっちの事情もあるからフランス滅亡は見過ごせない。何より……」
問答を繰り返しながら戦う二人の周囲。ジルが増やし続ける海魔がジャンヌやアルトリア達に薙ぎ払われる。ゲオルギウスがファヴニールの攻撃を防ぎつつ、ジークフリートが剣を振るいダメージを与えていく。
「アンタ達を放っておけば、アンナちゃんやアシルさん達のような犠牲が出る。僕はそれを、見過ごしたくない」
「残念ね。返答次第では、貴方だけでも生かしてあげようと思ったのだけれど」
「ジャンヌ、そのような者に構う必要はありません」
やり取りを見ていた一人、キャスターのジル・ド・レェが海魔三体を一捷に差し向け間に入ってくる。
「所詮その者は余所者。裏切られた貴女の憎しみなど、分かる筈もないのです」
「酷い言われようだ」
正面の海魔が体の中央から溶解液を吐き出す。飛び退いてかわし、その海魔をエンジンブレードで叩き切る一捷。
が、それは囮だ。
刃を返し二体目の海魔を狙いをつけたとき、ジルの魔力弾がエンジンブレードへ命中。一捷の体勢が崩れ、その隙に海魔二体の触手に右腕、左足を絡め取られてしまう。
「クッソ……!」
「死になさい」
動けない一捷目がけ、炎を纏わせた穂先を突き出すジャンヌ・オルタ。
穂先が迫るのが、ゆっくりとした光景となって一捷に映る。アクセルでもサーヴァントに貫かれればひとたまりもないない。総毛立ち、死を想像する一捷。
胸の強化外骨格部位『エアロラング』に切っ先が届く――その寸前、黒い旗がかち上げられ、一捷の頭数cm横へ抜けていった。
「ジャンヌさん!」
「先輩! ご無事ですか!?」
「キリエライトさんも。助かった」
若干頭が焦げたものの、海魔を蹴散らしたジャンヌが旗を逸らしてくれたことで事なきを得、拘束していた海魔も盾に潰されて自由になる一捷。
三人でジャンヌ・オルタと相対する。
「ちっ、運の良いヤツ……!」
「ここまでです、竜の魔女。もう、貴女方に勝ち目はない」
「……っ、ファヴニール!?」
ジャンヌにそう言われ、慌てて邪竜の状態を見るジャンヌ・オルタ。彼女の視線の先で、ジークフリートの剣バルムンクが青白い光を放ち始めていた。
「令呪を持って命じます! セイバー、宝具にて邪竜を討ちなさい!」
「行くぞ、邪竜。再び土に還れ――!」
オルガマリーの令呪を受け宝具を解放。バルムンクの柄に埋め込まれた青い宝玉がせり出し、火柱のように青白い魔力が立ち昇る。
「邪悪なる竜は失墜し、世界は今、落陽に至る。撃ち落とす――‘
大上段から振り下ろされた剣より放たれる、半円状の剣気。
竜には追加ダメージを負わせるその宝具は、竜種であるファヴニールには絶大な威力となって襲いかかる。
剣気の直撃を受け、ボロボロになったファヴニールは僅かにうめき声を上げながらゆっくりと倒れていき、消滅していった。
「そんな……! ありえない、ファヴニールが倒れるなど――!」
「いけません、ジャンヌ。ここは退きましょう」
「ジル! ですが聖杯はこちらに」
「邪竜を失ったことでワイバーンの統率が乱れています。ここは監獄城まで退き、ひとまずは赤のジャンヌ・ダルクと合流すべきです」
「…………やむを得ませんか」
「っ、待ちなさい!」
ファヴニールという強敵を倒したことで、竜の魔女とジル・ド・レェに大きく近づくことができたカルデア。だがジルが残る海魔を放ったのと、混乱し暴れ回るワイバーンの群れに邪魔されてしまい、ジャンヌ・オルタ達を逃してしまう。
「平沢、この場は私達が残るわ。貴方は竜の魔女の方を追いなさい」
「オルガマリー所長。……お願いできますか?」
「誰に言ってるの。まだジェリル・クチビも残っている、そちらも叩かければならないでしょう」
「……はい!」
「気をつけていけよ、平沢」
「どうかご武運を」
「あの赤い兵器、オーラバトラーは強い。決して油断をするなよ」
アマデウス、ゲオルギウス、ジークフリートに頷く一捷。この場をオルガマリー達に任せジャンヌ・オルタとジルを追う。
この場に残ったのはオルガマリー、クー・フーリン、百貌のハサン、アマデウス、ゲオルギウス、ジークフリートの計六名。
混乱しているワイバーンを魔術の閃光・炎で撃ち抜き、首を斬り落とし、衝撃波を叩きつけ、剣で真っ二つにして数を減らしていく。
「どう思う? 平沢のことを」
ワイバーンを両断しながら、ジークフリートはアマデウスとゲオルギウスに問いかけた。
「……そうですね。まだ僅かしか付き合っていないので確定は出来ませんが。悪い方ではないのでしょう。むしろ善い方の筈」
「けど悩みすぎるのが気になるな。アイツ、色々考えこむタイプだろうし」
牙と爪と火の玉を巧みに捌き反撃するゲオルギウス。
天使の楽器から放つ音楽を翼や頭に浴びせ隙を作るアマデウス。
「そっちはどうなんだ。平沢のことをどうお考えかな、竜殺し殿は」
「大方は二人の言った通りだ。善い人間ではあると思うし、思い悩む部分もある。……同時に気になる部分もな」
「それは?」
促されたジークフリートは静かに答える。
「……彼の力は、空想のものだと聞く。だからこそ憧れの気持ちもあるのだろう。だが正直な所、力に対しての抵抗が無さすぎるようにも感じる」
「……力を楽しんでるんじゃないかとは前に聞いたけど。そうじゃなかったら……『力に縋っている』ってこと?」
「そうかもしれん……。この先戦いが続く中で、力を手に入れることが悪い形で現れないか。それが心配に感じるよ」
その内容は、誰もが一捷を見ていて薄々感じていたことだった。
しかしそれを聞いて、何を言っていいのか分からない。まだ一捷と深く付き合っていない、今ある情報からのであるし、当の本人もいないからだ。
全員がジークフリートの意見を聞いて、しかし答えを返せないまま、戦い続けていく。
「……まぁ、今言えるのはそのくらいでしょ。後は平沢のヤツが居るときにでも話をすれば――」
〈xbig〉〈b〉「ぐあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!?」〈/b〉〈/xbig〉
もちろん本人はそのつもりで言った訳ではないのだが。
アマデウスが一捷のことを口にしたとき、絶叫と共に一捷が彼らの側に『降ってきた』。
叩きつけられ土煙が上がる。
何があったのか、反射的に上を見たアマデウス達。
その視線の先にいたのは、
「赤のジャンヌ・ダルク……!?」
オーラバトラー、レプラカーン。
左手でボロボロになったジャンヌ・オルタの首を掴んでいるジェリル・クチビの姿だった。
絵を描くとして、早く上手に描けるのはどちらだと思いますか?
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オルガマリー
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マシュ