時間がかかり申し訳ありません…。
今回は特異点と特異点の間のお話をオムニバス形式でお送りします。
幕間の話は書き方を色々試すために形式が変わるかもしれないので、読みにくければどしどしご意見をください。
フランスでの戦いは終わった。
初の本格的な特異点の修復。
設備も人員も足りずイレギュラーの連続。それでも、二人のマスターはサーヴァントと共にカルデアへ帰還し、聖杯の回収を成し遂げた。
沈み込んでいたカルデアのスタッフの間に、僅かに希望が灯った。
このまま行けば特異点修復、人理も取り戻せるのではないかと。
コフィンから出てきた一捷とオルガマリー。ロマニを始めスタッフが大急ぎで二人の元へ駆けつけ、その帰還を祝った。
フランスでの戦闘報告を始め、回収した物資の確認、情報整理などなどやることは山積み。それでもまずは一捷・オルガマリーの休息が必要だと一日時間を置くことになった。
「「………………」」
一通りの検身体査と治療を行い、終了するなり一捷は自室へ戻っていった。
彼の自室の前へやって来たアルトリアにマシュ。入室を試みようとするも、中々踏ん切りがつかずにいる。
実はロマニ達から一捷の様子を見てきて欲しい、と頼まれていた。
フランスで命がけの戦いをし理不尽や犠牲を味わった一捷。戦う以上仕方ない部分はあるが、今後のことを考え、心と精神の状態を把握しておかなければならない。
本来ならロマニ本人かダ・ヴィンチ、オルガマリーといった上司が行くべきなのだが、各々の仕事や検査でどうしても手が離せない。そこでファーストサーヴァントのマシュ、最初の方に召喚されたアルトリアへ白羽の矢が立った、ということだ。
「……セイバー、マシュ殿。こんなところで何をしている」
「……アサシン」
音もなく現れたのは百貌のハサン。
ここに来た理由を話す二人に百貌も同じ理由で来たと返す。
「マスターからの命だ。せめて平沢殿の様子だけでも報告してほしい、とな」
「……普通ではないことがあり過ぎましたからね」
「他の者達はどうしたのだ」
「色々理由を付けられて断られました」
以下サーヴァント達の返答。
エミヤ、きつい言葉を吐いたので顔を合わせづらい。
クー・フーリン(槍)、落ち込んでいる所を更に落ち込ま
るかもしれないので無理。
メドゥーサ、そこまで会話が得意ではないので無理。
小次郎、新参者なので無理。
「……何を言っているのだあいつらは」
「……そこまで気にするのなら、尚更直接行けばいいと思うのですが」
アルトリアが振り返った通路。その端に赤い外套がちょこっとだけ見えて、ため息をつくアルトリア。察した百貌はひとまず「そうだな……」と静かに頷くしかなかった。
とにかく、今は一捷の方だと切り替え、部屋の呼び鈴を押す。
……返答はない。
備え付けられたマイクに呼びかける。…………同じく返答はなし。
疲れで寝ているのだろうか? そう考えたアルトリア達は
様子だけでも確認しようとマシュには外で待ってもらい、アルトリアと百貌が霊体化して入室。
「………………」
普通に一捷はいた。ベッドに上半身を乗っけて布団に突っ伏していた。
「……うぅぅ、う」
アルトリア達が声をかけようとしたら、一捷が少し声を上げて、拳を布団に叩きつける。
その行動、言葉から悲しさと悔しさが伝わってくる。
そして、押さえていたものが外れるように……一捷の感情が溢れ出していった。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ、ぁぁぁぁぁぁ……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「「(…………………)」」
「ちくしょう……ちくしょうちくしょうちくしょう、ちくしょうっ……! うわぁぁぁぁぁぁ……」
「あぁぁぁぁぁぁ、あっ、あ、あああ、えぐっ……うぇぇぇぇ……」
「えっ、おっ……うぐ、うっうぅぅ、ぅぅぅ、うぅぅぅぅぅ」
「うぉぉぉぉぉおぉぉ……おっ、お……ごほっごほ……う、うぇぇぇ……オエッ、ゲホッゲホッゲホ……」
「「(な、泣き方が汚い…………)」」
感情的になっているのは分かるが、涙と鼻水と涎まみれで呻き吐きそうになっている一捷に思わずドン引きしてしまうアルトリアと百貌。
大粒の涙を流しきると、一捷はしばらくうずくまっていた。ある程度したらふらふらと洗面所に向かい、少ししてから戻ってくる。
ベッドに腰掛けボーッと天井を見上げる一捷。
ここでアルトリア達が声をかけようとしたが、少しだけ早く一捷が口を開いた。
「…………このーまま……あるきつづけーてる……」
「「(?)」」
「今夜も真っ直ぐ……一人の足跡……たどってー」
「「(なんか歌い出した!?)」」
いきなり謎の行動を取り出した一捷にややビビるアルトリアと百貌。
ほんの少しだけ、瞳を入り口側へ動かすと一捷は歌うのを続けていく。
「果てしない だけどきみだけは どこかで待ってる」
「笑顔絶やさずに There you will」
「Be The One, Be The One All right 明日の地球を投げ出せないから」
「Be the Light, Be the Light All right 強くなれるよ 愛は負けない」
「何か助け救って抱きしめ 心に触れて届くよ伝われ」
「Be the One, Be the Light メッセージ送るよ 響くよ」
歌い終えると再び虚空を見つめる一捷。その視線がそのまま、アルトリア・百貌がいる位置を動き、
「……何か、ご用ですか。アルトリアさんと百貌さん」
「「(!!!!??)」」
その言葉に思わず霊体化を解いてしまう二人のサーヴァント。
「ま、マスター……まさか、気づいていらしたのですか? いつから?」
「入ってきたときから」「一番最初の所!?」
「百貌さんの方は前から分身使ってたので分かりやすかったです」
「……全部気づいていたのというのか!?」
「オルガマリー所長に紹介された日からずっと」
衝撃しかない二人に、大泣きで目が腫れている一捷は聞く。何か用があったのかと。
来た理由を聞くと、一捷はふぅと一息ついて、
「……じゃードアの向こうにいるキリエライトさんやエミヤさんも同じ理由ですか?」
「「えっ」」
「えっ」
「ぬぅっ!?」
「あと、その付近のクー・フーリンさんとメドゥーサさんと小次郎さんも」
「「「ぎくぅっ!!!???」」」
「「えぇ!?」」
「本当にぎくって言う人いるのね」
次々と名前を呼んでいくと、マシュが入室し、呼ばれたサーヴァント達が現れること現れること。
「……私達のことも気付いていたのか?」
「キリエライトさんとエミヤさんは、です。後半の三名は当てずっぽうでした」
アルトリアとエミヤがいるのでもしかしたらいるかな、と直感で言っただけ。
「なんで分かったよ。俺ら霊体化してたんだぞ」
クー・フーリンが聞くと耳をとんとんと叩く一捷。
「僕は耳が良いんです。ちょっと音がしたのと、ほんの少し空間がぼや〜ってしてたので、「あーこれ誰か居るわー」って想像しました」
「「「「「「「いやおかしい(ですから)からそれ」」」」」」」」
総ツッコミ。最もである、そんな人間が何処にいるんだと。
「それが本当であれば我らの意味は何なのだ……」
「同感だよ百貌殿……」
特にアサシン二人がショックを受けていたが、上手い冗談だということにしておいて、部屋に来た理由に戻る。
「あの、先輩……体調の方は、大丈夫ですか?」
「いやダメです」
「ダメなのかよ!?」
まさかのNOで即答である。
「フランスだけで色んなことがありましたからね……。そのことを全部考えちゃって、もう精神的にしんどいのなんの……」
「……傷の方は?」
「そちらはほぼ大丈夫です」
全身の切傷や打撲、火傷はカルデアでの治療で治っていた。それでも少し火傷と傷の跡が体に残ってしまったが。
今のところ骨や内臓、神経、脳、魔術回路には特に異常はなし。
問題は精神面だ。
ずっと考えてしまう、アンナにアシル、マオーのこと。人の命を奪ってしまったこと。戦いの恐怖や痛み……様々なことが頭の中でぐるぐると。後悔悲しみ自責その他諸々、ネガティブ感情もいっぱいで、体にもその影響が出てしまっていると一捷は告げた。
「さっきも洗面所で全部吐いちゃいましてね……汚い話で申し訳ないですが」
苦笑いする自分達のマスターになんと声をかければいいのか。
隠している事情もあってアルトリア達は何を言うべきか直ぐに分からなかった。
「とりあえず、養生しておけよ。お前に倒れられたら困るんだからな」
「そうさせていただきます……」
「……平沢殿。一つだけ聞いてよろしいか」
「なんでしょう、百貌さん」
「リヨンでの戦の後と……今、何故『歌って』らしたのですか?」
「……歌う?」
「えぇ。今と同じ歌を歌っていましたよね」
「アァ……やっぱり聞かれてましたか。砦の部屋に分身らしき人が居るなぁとは感じてましたが」
「(ザイードの奴気付かれていたのか……)」
「……君はそんなことしていたのか?」
エミヤの冷ややかな視線。他のサーヴァントとマシュも若干呆れた様子だ。
対し一捷は周りの反応を呑み込んで、正直に答えていく。
「そう、仮面ライダーの曲。あぁしないと精神を保たせられなかった」
「何をしているんだ貴様は……。私が言ったことをもう忘れたのか」
「……そうですね」
一捷はただ静かに頭を下げた。この場の全員へ向かって。
「……申し訳ありませんでした。呆れられても、それは仕方ないと思ってる」
「……頭を上げたまえ。何故そんなことをした?」
「僕は、精神的に弱い人間です。どうしても立ち上がれないとき、考えすぎて動けなくなるときが多い。だからせめて……そういうときは、僕の好きなものや、憧れて居るものの歌を歌ったりして、勇気を貰っています」
「……勇気、ですか?」
「そう、勇気。そうすれば自分にもできるんじゃあないかって、思えてくるんです」
「君の気持ちは分かった。……が、戦いの最中にやることではないだろう」
襲われる可能性もゼロではない。呑気過ぎると指摘するエミヤ。
他のことを考えていなかった情けない気持ち。歌に縋っている弱い自分への情けない気持ち。一捷は再びエミヤ達へ頭を下げ、謝罪した。
「えぇ……その通りです。僕の考えと、精神強度が足りなかった。……本当に、申し訳ありませんでした」
何のためらいもなく頭を二回下げるマスターを、エミヤ達は黙ってしばらく見ていた。
沈黙。
約30秒程経ってから、顔を上げるようエミヤが言う。
「……全く。私には君がよく分からんよ。良い人となりなのか、そうでないのか」
「……それはそうですよ、エミヤさん」
「何?」
呆れた表情のエミヤ。彼の言葉に一捷は静かに、それでもはっきりと言い返す。
「僕達まだ、出会って一月も経ってないんですよ。それで相手のことを全部分かろうだなんて、それは無理です。……例え、相手のことを知っていたとしても」
「む……それは確かに、そうだが……」
「最も、僕がそんな偉く言えたものじゃありませんが」
「……私も君のことを決めつけていたかもしれんな。すまない」
「こちらこそ、申し訳ないです……」
「ならば分かる為に行動するだけだ。君の力の使い方には、色々と言いたいことがある」
何にせよこの先に備え力を付ける必要がある。
未知の力という不安要素はあるが、あれほどのパワーを秘めたW、アクセル、オーラバトラー。それらを生み出す青緑の短剣のことを知るためでもある。
「力のスペックでどうにかできていた、だけですからね。皆さんがよろしければ、力の使い方など色々教えていただきたい」
「もちろんそれは構いません。こちらも、同じことを考えていました」
「ガイアメモリとか、オーラバトラー……だったか? 気になる所とか、面白いそうな部分もありそうだからな」
「ただし、やるからには手加減はしない。当然厳しいものになるが、それはそのつもりで」
「……よろしくお願いします」
「も、もちろん私もお力になります。困ったことがあれば、いつでも言ってください、先輩」
「ありがと、キリエライトさん」
とりあえず全員と一捷は意見を交わし、この場はまとまった。
それから戦闘訓練が本格的に始まり、サーヴァントによる過酷な訓練・修行によって生傷が耐えなくなるも、どうにか食らいついていく一捷であった。
〜カルデアでの初召喚〜
『じゃあ二人とも、準備は良いですね?』
「私は問題ないわ」
「僕もです」
サーヴァントの召喚を行う召喚室。
そこに集まっているのはマスターのオルガマリー、一捷。護衛にアルトリアと百貌のハサン。召喚に使うシールドの所有者のマシュ。ロマニとダ・ヴィンチは通信を繋げている。
フランスで集まった聖晶石を使い、カルデアで初めてのサーヴァント召喚が行われようとしている。
『ではまず所長から、お願いします』
「分かったわ、ロマニ」
寝かせた十字盾の真ん中に青い光が生まれ、その中に聖晶石を投入するオルガマリー。
青い光が盾から浮かんで回転し始め、サーヴァントのカードが複数飛び出してきた。
「セイバー、ジークフリート。召喚に応じ参上した命令を」
「私はシュヴァリエ・デオン。フランス王家とキミを守る――白百合の騎士!」
「セイバー。ジル・ド・レェ、参上致しましてございます」
「あなたもわたしが好きなのね? いいわ、それじゃあ――ヴィヴ・ラ・フランス!」
「ライダー、ゲオルギウス。召喚に応じ推算しました。さぁ、がんばりましょう」
「僕はアマデウス、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト! 戦闘はともかく、キミの人生を飾る事だけは約束しよう!」
「あら。これも運命というやつかしら。サーヴァント、アサシン。カーミラと呼びなさい」
「サーヴァント、アサシン。シャルル=アンリ・サンソン。召喚に応じ、参上しました」
「サーヴァント、ここに参った。余に血を捧げるマスターは貴様か?」
九騎のサーヴァントが召喚され、思わぬ結果に召喚した本人が一番驚きを隠せずにいた。
「……まさか、ここまで一気にサーヴァントを召喚できるとは思わなかったわ……」
『流石は所長……魔術師としてはやはり優秀ですね』
「褒め言葉として受け取っておくわロマニ」
オルガマリーの召喚が終わり、続いては一捷の番。
ここまでサーヴァントがオルガマリーに召喚されたのだ。やはり魔術師としての力に左右される部分はあるだろうし、自分なんかにあまり良い結果は出ないだろうなぁ、と思いつつ、聖晶石を投入。召喚を開始する。
結果から言って。
オルガマリーより少ないものの、きちんとサーヴァントは召喚された。
「私はマルタ。ただのマルタです。きっと、世界を救いましょうね――」
「お招きに与り推算つかまりました。不肖ジル=ド=レェ。これよりお側に侍らせていただきます」
「シュウウウウウゥゥゥ……」
「サーヴァント、清姫。こう見えてバーサーカーですのよ? どうかよろしくお願いしますね、マスター様」
「サーヴァント、ルーラー。ジャンヌ・ダルク。お会いできて、本当によかった!」
「オォ!! ど、ドクターやりました。僕にも、サーヴァントの皆さんが来てくれましたよ」
『うん、成功だ! 初めからいい滑り出しだね』
総勢十四騎。フランスで出会い戦ったサーヴァントがカルデアに加わった。
こうして実際にサーヴァントが召喚されるのを見ると、ゲームとは大違いだと改めて一捷は思った。
感動があった。画面の向こうにいた憧れの英雄達を目の当たりにしている。同時に自分に応えてくれたサーヴァントもいるから、彼ら彼女らと繋がりが生まれていることが、純粋に嬉しかった。
「じゃあ皆さん、よろしくお願いします。早速カルデアの案内を……」
「まぁ、ジル。元帥の姿と、後の貴方もいらしたのですね」
「――お、お、おぉぉォォ我が主よ!! 貴方は神か!! いや、貴方こそ神か!! よくぞ……よくぞ私の前に彼女を招き寄せて下さいましたァァァ!!!!」
「……わぁーゲームでもそうだっけどうるせーなこれー……」
とにもかくにも。
カルデアでの最初のサーヴァント召喚、成功である。
〜力の説明、アクセル・ダンバイン編〜
フランスで縁を紡いだサーヴァント達が加わってから数日。顔合わせをし、模擬戦や訓練を行ったり、カルデアに馴染んで貰うため話をしたりと、今のところ問題なく日々が流れていた。
今回シミュレーターで行われるのは、一捷の特訓、新たなサーヴァントを加えての連携訓練。
プラス、新しい力であるアクセルとダンバインの性能を詳しく確認するためだ。
『アクセル!』
アクセルへと変化する一捷。シミュレーターで現れた敵へエンジンブレードで斬りかかる。
「せぇい! でやぁっ!」
相手は黎明の神腕。
切り下ろし、右から左への横斬り、反対の軌道での回転斬りで三体の腕を切り裂く。
第二陣の黎明の神腕、三体が出現。先頭の腕が炎を放ってくる。
炎をよく見て横へ回避した一捷は、エンジンメモリをエンジンブレードのメモリロットへ刺し、トリガーを引く。
『スチーム!』
音声が発せられると、エンジンブレードの刀身より高音の蒸気が噴き出し、二撃目の炎を相殺。
追撃がないのを見て一捷は駆け出すと同時にトリガーを二回引く。
『ジェット!』
違う音声が鳴ると、ブレードの切っ先からエネルギー弾が高速で発射。先頭の神腕を貫いた。
更に一捷はトリガーを操作。引く回数は三回。
『エレクトリック!』
エンジンブレードの刀身が青白い電撃を纏う。接近した神腕にエンジンブレードを叩きつける。電撃が散り、腕が消滅。残る神腕は刀身から電撃を放って倒す。
第二陣撃破。
最後となる第三陣、現れる黎明の神腕は他より大きく強力な個体だ。炎を連続発射し、ときに拡散、ときにチャージして撃ってくる。
対し一捷はアクセルのスピードで重い攻撃は回避。一撃が軽い炎は装甲と耐性を活かして防ぎ、弾きながら神腕へ駆け抜けていく。
技の射程距離に入ったところでエンジンブレードを地に突き刺し、アクセルドライバーを操作。
左のグリップ『マキシマムクラッチレバー』を握り、そのまま右のパワースロットルを捻る。それがアクセルのマキシマムドライブ発動だ。
『アクセル! マキシマムドライブ!』
「――はっ!!」
飛び上がり体を捻って放つのは右足での後ろ回し蹴り。
「アクセルゥゥゥグランツァー!!」
赤いタイヤ跡のエネルギーが空中に弧を描く。
真紅の必殺キックが黎明の神腕を一撃のもとに粉砕。
消滅後にドロップした種火を回収し、一捷はサーヴァント達の元へ戻る。
『データの収集完了。まずはお疲れ、平沢君』
「どうでしたか? これがアクセルです」
仮面ライダーのWの舞台となる風の街、風都。風都警察署の警視『照井竜』が変身する仮面ライダー。
彼と相性の良いアクセルメモリをドライバーが最大限引き出し、エンジン吹かしによるパワーチャージ、それによる高熱での攻撃や低温への耐性と、Wと比べより力強く戦うライダーとなっている。
「Wに比べりゃ、正面からの戦いに向いてそうだな」
「その剣は複数の能力を使えるのですね。……凄まじい重さでしたが」
『いや、さっき軽く持とうとしたけど止めときゃ良かったわ……。腕千切れるかと思ったよ』
「エンジンブレードは20kgありますからね」
「剣にあるまじき重量だな」
「私もデミ・サーヴァントにならなければ上手く持てませんでした……」
(その剣を生身で扱う人いるけど、今は黙っておこう)
「……まぁ、本当に驚くのはその剣じゃないけどね」
今ここにいるのは一捷の他にランサーのクー・フーリン、アルトリア、エミヤ、マシュ、アマデウス、マルタ。オペレーターとしてロマニとムニエルとエルロン。
アクセルの戦闘能力に各々の感想を言う中、アマデウスがボソッと呟く。
それを聞いてかそうでもないのか。
一捷はアクセルの更なる力を紹介するために、直線で障害物が少ない地形を希望し、道路型の地形を展開してもらう。
仮面ライダーはライダーの名の通り、バイクや車といった専用のマシンを持ちそれに乗る。
昭和46年に誕生した仮面ライダー1号に始まり、平成、令和と続いて今や200人を越える仮面ライダー。その中で仮面ライダーアクセルは唯一無二の特性を持っている。
「マルタさん、騎乗スキルはA++でしたよね。協力をお願いしたいのですが」
「私で良ければ力になるけど、何をするつもり?」
「はい。今から乗り物を用意するので、合図をしたら『僕に乗って』ください」
「分かったわ。………………えっ」
「「「ん?」」」
全員(一捷とアマデウス除く)が一捷を思わず見る。
あれ? 今お前言い間違えてないかと。
しかしそれが間違いではないことを、次の瞬間に知ることとなる。
「……ふっ!」
一捷は腰からアクセルドライバーを外すと裏向きにし跳躍。空中で手足を伸ばしうつ伏せになると、アクセルの背中にある黒いパーツ『モーターフレーム』が起き上がってアクセルの前面に来ると、ランドホイールが前輪の位置になり、フレームの裏にアクセルドライバーを合体。
両脚の半分割されていたホイールシールドが組み合わさって後輪となり、脚はそのままマフラーとなる。
マシンを必要とせず『自分がバイクとなる』。
それが仮面ライダーアクセルの力の一つ、『バイクフォーム』への変形である。
『「「――じ、自分でバイクになった!!!???」」』
「なんか皆さん劇画タッチになってません?」
「見た目は置いとくとしてもこういう反応になるだろ」
アマデウスだけはフランスでアクセルに乗っており、その強烈さから召喚されても記憶に残っていてツッコミに回っていたが。
「……えっと、とりあえず。この黒い部分に跨ればいいのかしら」
「はい。ハンドルはその正面にあります」
『平沢君、その位置に顔あると危ないんじゃ……?』
「エネルギーシールドがスクリーンのように展開されるのでそこは大丈夫です」
『謎のハイテクだなぁ……』
データを取っているロマニ達もやや引きながら、マルタが恐る恐るアクセルに乗り背中のハンドルを握る。
一捷がアクセルドライバーを吹かすと足裏から炎を吹き出し出力上昇。二つのタイヤを回転させ、バイクフォームとなったアクセルがシミュレーターの道路を疾走する。
最高速度は920km。流石にそこまでは出せないが、バイクフォームへの変形、サーヴァントを乗せての稼働にはデータが取れ目的は果たした。
今後は主に、騎乗スキルを持つサーヴァントが乗ることになるだろう。
「ご協力ありがとうございます、マルタさん」
「どういたしまして……」
『……あの、予想なんだけど。仮面ライダーって、名前の通り何かに乗ったりするんじゃないの?』
「そうですよ、アクセルが特別なだけです」
『あ、そうなの……』
「では何か。他にバイクが変形したり、合体でもする奴でもいたりするのでは」
「アホか弓兵。そんなの居るわけ……」
「あ、どちらも既にいます」
「「いるのかよ!!?」」
ひとまずアクセルの確認はここまで。一捷はアクセルドライバーを外すと青緑の短剣のトリガーを押し、次の機体を展開する。
ダークグリーンをベースとした空対地迷彩のオーラバトラー、トカマクダンバイン。
機体を纏うのではなく、機体だけを全員前へ呼び出す。
「オーラバトラー、と言いましたか。改めて見ても虫のような外見ですね」
「実際、完全な機械ではないですからね」
オーラバトラーの素材として、異世界バイストン・ウェルに生息する巨大生物『恐獣』の甲殻などが使用されている。
例えば二本脚が特徴的な肉食の恐獣『ガッター』の甲羅は量産型オーラバトラー『ドラムロ』の装甲に。
山岳地帯に生息する羽根を生やした二本脚の恐獣『キマイ・ラグ』の外殻は磨くとマジックミラーのようになりダンバインのコクピットに使用。他の部分もオーラバトラーの筋繊維『オーラ・マルス』の素材に。
制御系には恐獣の脳や三半規管が使用されたりと、他にも多くの素材がオーラバトラーに使われている。
「ですが、公式設定だとオーラバトラー製作のためにガッターやキマイ・ラグが乱獲されて数が大きく減ってしまって。素材不足や機体の特性から、ダンバインはこの機体を含めて三機しか製造されてないんです。一応プロトタイプもありますけど」
「架空の世界でも現実と似たようなことはあるんだね」
『ちなみにその機体特性って?』
「オーラバトラーの性能は、乗り手のオーラ力によって左右される。なので、ダンバインはあえて高いオーラ力を必要とする試験機として開発されたんです」
すなわち、オーラ力の強さがよりダイレクトに反映される。オーラ力が強ければ強いほど、ダンバインは無限に強さを発揮する。が、逆に言えばオーラ力が低ければ動かすことすら難しくなってしまう。
まさに乗り手次第で強くも弱くもなってしまう。そういった不安定さが、ダンバインの量産に繋がらなかった要因の一つでもある。
『じゃあ次はダンバインのテストだ。空中型のエネミーを出すよ』
ロマニの指示で空中に仮想のワイバーンが複数展開。
一捷はトカマクダンバインに重なるようにして機体を纏う。
(……でもどうしてダンバインがパワードスーツみたいなサイズになってるんだろう)
疑問はあったが、今はテストに集中するために考えを隅にやる一捷。
精神を集中させる。体の中から力を出すようなイメージで、オーラ力を高める。背部のオーラコンバーター稼働。オーラマルスが羽根を動かし、一気にダンバインは飛び上がる。
空中のワイバーンへ一直線に突撃。勢いそのままに貫く……ように見えてそのすぐ横を通り抜けて。
ゴッ、と。
「ぐっぼぁ?!」
「「『えっ』」」
盛大に、そのままシミュレーターの壁にぶつかって、ひらひらとダンバインは墜落していった。
「……おーい大丈夫か、坊主」
「な、なんとか……」
「何がどうしたんですが、先輩? 機体にトラブルでも?」
「……いや、フランスのときみたいに空だと勘違いして、全力飛行しちゃった」
『いや力の入れ過ぎかよ!?』
ムニエルの最もなツッコミに全員冷や汗を浮かべるしかない。
フランスでは無我夢中だったこともあり、オーラバトラー戦までやってのけた一捷だったが、戦いのド素人であることには変わりない。
冷静になっている今は、オーラ力を調節しながら空を飛ぶので精一杯。まずはふらつくことなく、安定した飛行を目指すことになった。
「後は……オーラ力とやらが精神によって左右されるのならば、精神修養も必要だな。魔力の運用にも関係する。そちらにも力を入れるから、そのつもりで。マスター」
「よろしくお願いします……」
その後は空中からの指示と連携確認。ダンバインを纏った状態での令呪発動。仮面ライダーの状態でダンバインも使えるのか、逆も可能なのか。サーヴァントがライダーやオーラバトラーの武器を使えるのか。エンジンブレード、オーラソードはエミヤの魔術でコピーできるか、など。
確認と訓練を続けていく一捷達であった。
〜青緑の短剣の秘密〜
ダ・ヴィンチに呼ばれ工房を訪れた一捷。理由は青緑の短剣やフランスで出現したアイテムについてだ。
工房にはダ・ヴィンチとロマニ。プラスもう一人が既にいる。
「あ、オルガマリー所長」
「来たわね平沢。私も所長として、今回から貴方との話に加わらせて貰うから」
ロマニ、ダ・ヴィンチ、オルガマリー。現在のカルデアのトップ三人と向き合い、会話を始める。
「今回は……かりんとうがありますよ」
「お、黒糖の方だねこれ」
「というかそのお菓子何処から用意してるの? 毎回平沢の服から出てくるけど」
「……何故でしょうか。気づいたらあるんですよね」
「それ本当に安全な物なの?」
お菓子のことは空いている時間に調べるとして。
ダ・ヴィンチが机に青緑の短剣を置く。ひび割れの部分は塞がっていた。
「預かった剣だけどら外部の損傷はこの通り。自己修復能力もあるみたいでね、この剣。こちら側が殆ど手を出さなくても自動で直っていったよ。やったのは簡単な修復で解析。……ただ内部機構に関してはお手上げだ」
「……そうでしたか」
マオーがいたと思われる部分は完全に壊れていて修復不可。技術が違うため再現も不可能とのこと。
「左手で握手してきた変な奴でしたからね……マオーは」
「いや完全に怪しい奴よそれ」
「こちらがマオーという存在を確認したのがほんの少しだったからなね……話を聞ければ何か分かったのかもしれないが」
いずれにせよマオーについて詳しいことは分からずじまい。それ以上は何も言えない。
しかし、青緑の短剣にはある発見もあったとダ・ヴィンチは小型のチップを短剣の隣に置いた。
「これは?」
「剣の修復作業中に見つかったデータチップだ。解析してみた所……色んなデータが出てきたよ。それがコレ」
データを空間モニターに映し出すダ・ヴィンチ。
現れたのは小型の恐竜型メカ、ガイアメモリの端子が二つある鳥型メカの図面だった。
「これは……ファングメモリとエクストリームメモリの図面。Wの強化アイテムです」
「動物みたいな形してるけど、これもガイアメモリなの?」
一捷は頷きWを強化する二つのメモリを説明していく。
小型恐竜の方はファングメモリ。『牙』の記憶を内包し、相手を噛みちぎり切り裂くほどの力、獣の理性・凶暴性を宿している。ファングメモリを使った変身『ファングジョーカー』は凄まじい攻撃力を持つが、そのパワーと記憶故に暴れ回る狂戦士となってしまう。
コントロールするための力・精神が必要なフォームだ。
鳥型メカの方はエクストリームメモリ。固有の記憶を内包していない特殊なメモリで、メモリを強化する能力・地球の
記憶と力を与える力を持ち、Wを最終フォーム『サイクロンジョーカーエクストリーム』へと変身させる。この姿となったWは地球の全ての記憶が記録されたデータベース『地球の本棚』にリアルタイムでアクセスし、相手の行動や弱点を解析しながら戦うことが可能。
あらゆる記憶と知識を解析・駆使して戦う、まさに切り札の一つ。
劇中ではサイクロン、ジョーカー、エクストリームメモリで変身したが、ジョーカーではなくアクセルメモリでの変身パターンもある。
後者は様々な事情で劇中未使用になったが。
「待ちなさい。今とんでもない情報出たわよ」
「え、何? 地球全ての記憶が記録されたデータベース?」
「そうです。この地球の本棚が、Wの肝となる能力。なので、僕はどうやってもWにはなれないんですよ」
地球の本棚という究極の頭脳を強靭な肉体に宿した超人となるのがWのシステム。
たとえもう一人変身者がいたとしても、それはただのW、Wもどき。仮面ライダー風に言えば偽Wだ。
そして地球の本棚が無い以上、今のままエクストリームになった場合とうなるのか分からない。データを詳しく調査し、一旦二機とも製作するが、使用するかどうかその時に判断することとなった。
続いて内容はダンバインに移る。
「異世界の機械、オーラマシン。それについては私も聞いているよ。……それを踏まえて意見がある」
青緑の短剣、一捷の順に視線を送るダ・ヴィンチ。その表情にいつもの笑顔はなく、視線は鋭い。
険しさを含めた目と表情だ。
「最初に発現したガイアメモリ。次にオーラバトラー。それらをまとめる短剣。どれも技術体系が全く異なっている。にも関わらずだ、この短剣はそれら全てを管理し、自由に使えるようにして居る。……この異常さがわかる?」
「……はい。ダンバインを使ったときに、僕も思いました」
本来ダンバインは人が乗り込む6.9メートルの巨大兵器。だが一捷が使うダンバインはスーツのように纏う形となっている。
まるでこの世界の戦いに合わせているかのようにだ。
まだ軽く調べただけだが、ダ・ヴィンチによると短剣の修復システムはガイアメモリやオーラバトラーにも適応される。たとえ二つが壊れたとしても時間経過で直ってしまうのだ。おまけにカルデアの用意した素材、QP等も修理に使用可能。
完全に規格が違うにも関わらず、それらを短剣はまとめ一つのシステムとして使えるようにしている。
その機能自体はとてもありがたい。しかしそうなると一つの疑問が湧く。
青緑の短剣は一体なんなのか? と。
「平沢君、キミ冬木とフランスで剣を使った言葉を覚えてる?」
「……グレイス・リリース、です」
「そう。より詳しく言うと……」
グレイスは英語で優雅さ、気品、猶予、神の恵みなど。リリースは解放、釈放、手放す、発表などの意味。直訳するなら恵みや猶予を手放す、解放する。生命もしくは魂を消費するかのように聞こえる。
更に続く単語が冬木ではテン即ち10。フランスでナインこと9。それぞれの発動でガイアメモリとオーラバトラーの力が手に入った。
もしもこの先、このルールに従っていくとすれば?
「カウントが一つ減る度に……平沢が新しい力を手に入れるる?」
「そう。数字通りなら、最大10個の力が現れることとなる」
「僕が、そんなに力を……」
「あくまで現時点での予想の一つだけどね」
複数の力を与えるかもしれない青緑の短剣。
その正体とは? 手がかりとしては、マオーが残したあの言葉――『魔真王』。
「ましんおう……何かの王様でしょうか?」
「あるいはマシン、で機械の意味があるかもね」
「平沢、あなたその言葉に心当たりは?」
「……いえ、ないです。僕が知る限りですが、向こうの作品でも聞いたことありません」
「私達やスタッフ達にも聞いたけど、皆知らなかったよ」
ただし、サーヴァント達は短剣より何かを感じたという。
『あの短剣からは、私の聖剣と似たような気配を感じました』とアルトリア。
『私の魔術でも短剣の解析は不可能だった。少なくとも、ただの剣ではないことは確かだな』とエミヤ。
他のサーヴァントも短剣から並々ならぬ力を感じていたという。
かつてキャスターのクー・フーリンが父である太陽神ルーの力を感じ、アルトリア・オルタは剣や槍、あるいは別のものかもしれないと発言している。
「アーサー王で剣と槍といえば、かの聖剣であるエクスカリバーと、ロンの槍ことロンゴミニアドが思い浮かびますけど」
「クー・フーリンの発言を含めるなら、太陽神ルーが持っていた槍達かな」
「剣も含むなら、ケルト神話に登場するエリンの四秘宝も可能性はあるわね」
「……まあいずれにせよ、その力は貴重だ引き続き解析を進めるから、平沢君も変化に気づいたら直ぐ報告してくれ」
ダ・ヴィンチに一捷は頷き、その場はもう少し会議を続けると一捷は退室。
残った三人の中で、ダ・ヴィンチが最初に口を開く。
「……彼にあぁ言ったけど。正直聖剣のレベルじゃあないんだよね」
「ダ・ヴィンチ、それは」
「今の彼の精神状態で更に不安を与えることはしたくない」
「……異常さは私にも分かるけど、本当はどれ程なの。その短剣の力」
オルガマリーの問いに、ダ・ヴィンチは重い口調で返した。
「……神霊クラスの装備並み。もしくはそれすら上回っているかもしれない。下手すれば、星そのものに傷跡を刻み込む力を持っている」
絶句するロマニとオルガマリー。
ルネサンス期に活躍した万能の天才は、青緑の短剣という未知のものに、それを扱う一捷に大きな警戒をすべきだと強く言った。
「……正直に言うとね。私は最初に見た時から……彼を、平沢一捷を警戒している。
――もしかしたら彼はこの先、誰よりも危険な存在になるかもしれない。
そう、感じてしまったんだよ……」
だから思わず一捷に対する態度がきつくなってしまった。申し訳ないと思いながらも、自分の思いを告白するダ・ヴィンチ。
短剣にメモリ、オーラバトラーを扱う一捷の姿に、ロマニとオルガマリーも警戒しなかったわけではない。
だが万能の天才と言われたダ・ヴィンチの告白に、一捷へどう接するべきか迷いが生まれる。
そしてこの日より、カルデアで不思議な現象が起こるようになった。
夜、ロマニを始めとするスタッフ達、マシュをはじめサーヴァントが眠ったとき、不定期に様々な光景を見るようになっていく。
それは、カルデアや特異点らしき場所だった。
一捷ではない黒髪の少年もしくは橙の髪の少女がマスターとして、スタッフと過ごしていたり、サーヴァントと共に戦う光景。
理由は分からなかったが、それを見たスタッフとサーヴァント達は、その光景を『良い』と感じた。
あんな風に過ごせたら良いなと思った。
……そうして繰り返される内、現実でのマスター、一捷とと夢の光景を比較するようになっていった。
全く意味がないのに。理由も不明なのに。
しかし、誰かが心の中で感じた。
……どうして、夢のマスターはいないんだ?
……どうして、あのマスターと一捷は違うんだ?
――どうして、あのマスターのように、一捷は振る舞えていないのか?
一捷に対する比較、現状での不安・不満。様々な『心の闇』が、カルデアのメンバーの中で少しずつ、少しずつ蓄積していく。
加えて、もう一つ別の光景を見ることがあった。
今度は悪夢のような光景だった。
燃え盛り、破壊されたカルデア。周りにはスタッフ達、召喚されたサーヴァントやまだ見たことのないサーヴァントが血まみれで倒れている。
彼ら彼女らを見下ろす存在がいた。惨状を引き起こしたと思われる人間。
そいつは、右端が緑色で左端が赤。真ん中が銀にも見える虹色。顔面は仮面に覆われ目は青色。右手にエンジンブレード、左手に細長い剣が刺さった円形の盾を持ち、腰のベルトには黒い鳥型メカが合体している。
周りに赤、青、緑、黄、白、黒の結晶体が浮かび、背後には両刃剣と盾を装備した巨大な竜が控えている。
その存在が誰なのか、言わずとも全員は察していた。
……あれは恐らく一捷である、と。
これらの光景を見て心の闇が溜まっていくことに。
その際、スタッフとサーヴァントの体の一部分が緑色に光っているのに、今は誰も気づかないでいた……。
〜それは、一つの約束〜
「今日もお疲れ様、平沢君。どうだい、調子は?」
「皆さんが良くしてくれるお陰で、普段より少しは良いですね」
ある日。一日の訓練後、医務室でロマニのカウンセリングを一捷は受けていた。
ジャンヌをはじめ新しいサーヴァントとの仲は比較的良い。カルデアスタッフとは毎回挨拶を交わし真面目に訓練をやっている内にぽつりぽつりとたが世間話をするくらいにはなっていた。
それでも、まだ一捷を警戒したり距離を取っている人間、サーヴァントもいる。
それは仕方ないと一捷は感じていた。元より全ての人間に認めて貰うことはできない。
やれることを真面目にやるしかない、後はそれを見た相手次第と一捷は考えていた。
気になることや悩みをロマニに言っていく。
するとカウンセリングの最後に、ロマニがこう言ってきたのだ。
「一つ聞いてもいいかな、平沢君。キミの、向こうの世界のことで」
「……はい。なんでしょうか?」
「向こうでのボクらはゲームだったんだよね。それをやっていたのだから、ボクらに対して好意的だったと思う。けど……この世界は現実だ。いくら好きなものでも、本当の」戦いに対して恐怖は無かったのかい? ……どうして、ボクらの為に戦おうと思ったんだい?」
それは、いつか聞かれるかもしれないと思っていた質問。
そんな内容を不意に問われ、一捷は直ぐに答えられなかった。
けど、言わなければいけないと思った。
訳あって、全てではないけど。
自分がどうして戦うのか。
ほんの少しだけでも伝えるために。
「……そりゃあ怖いです。今だって。でもやらなければいけないって思ったんです」
「それは、どうして?」
「………………ごめんなさい、ドクター」
「え、何? なんで謝るの」
「その質問に、今すぐ僕は答えることはできません」
「……何故?」
「今の僕には、その資格がないと思っているからです。それを言えるとすれば、人理を取り戻したとき。今これを言えばカルデアの皆さんを傷つけしまう。侮辱になってしまうかもしれない。答えはあるんですけど、まだ言えないんです。……ごめんなさい」
「平沢君……」
「だから、一つ約束をしてほしいんです」
静かに立ち上がる一捷。
「約束?」
「えぇ、約束です。この戦いが終わったとき、改めて僕に同じことを聞いてください。必ず、僕の答えを伝えます。そのときのために、僕は全力で戦います。……今答えられない時点で、説得力がないんですが」
「どうしても、今は言えないのかい?」
「……はい、どうしても、です」
「…………そうか」
ロマニも立ち、一捷と視線を合わせる。
「……分かった。そこまで言うのなら、キミがそう思うだけの事情があるんだ。今は聞かない。キミが発した言葉を、今は信じるとするよ」
「……ありがとうございます」
「その時が来るまで、互いに生き残らないとな」
「もちろん。オルガマリー所長も、ダ・ヴィンチちゃんも、キリエライトさんにサーヴァントの人達。カルデアの皆さんも含めて、全員で」
約束の証て握手を交わす二人。
この約束が、未来にとって少しでも良いものとなるよう信じてだ。
この約束が果たされるか否か。
それが分かるのは、もっと先の話である……。
絵を描くとして、早く上手に描けるのはどちらだと思いますか?
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オルガマリー
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マシュ