へっぽこマスターが物申す(改)   作:剣聖龍

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イレギュラーG/へっぽこマスターは風を纏う

 ガイアメモリ。

 

 2009年に放送された特撮ドラマ『仮面ライダーW』に登場するUSBメモリ型のキーアイテム。

 

 メモリ内部には地球の記憶がプログラムされており、刺した生物を怪人『ドーパント』へと変化させ、その記憶の力を使うことが出来る。

 

 レフが刺したのは『マグマの記憶』を宿す『マグマメモリ』。それによってマグマの力を操る怪人『マグマ・ドーパント』となったのだ。

 

 

(いやおかしいだろ!? なんで、なんでガイアメモリがこの世界にあるんだ!?)

 

 

 ガイアメモリはあくまで仮面ライダーWという架空の作品に登場するアイテム。現実世界には存在しないし、このFGO世界にも出てくるはずがないのだ。

 

 なのに、レフは確かにマグマメモリを使用し、テレビで観たままのマグマ・ドーパントへと変貌。全身から炎を撒き散らしている。

 

 それが一捷の髪や礼装に火をつける。慌てて叩いたり、はたいて火を消す一捷。

 

 

「あっっつ!!」

 

「おいおいおい、なんだありゃあ! 急に化け物みてぇになったぞ、あの男!」

 

「小型の物体を体に挿入しましたが……ドクター、あれはなんなのですか!?」

 

『分からない、少なくとも魔力の反応は一切無かった。魔術関係じゃないとしても、あんな変化はボクも見たことがないよ……!』

 

「う、嘘……レフ? あれがレフなの? あの、化け物が……」

 

 

 カルデア側がマグマ・ドーパントに戸惑う。その中でも特にオルガマリーは一番混乱していた。無理もない、彼女からすれば一番慕っていた人物に罵倒され、そして異形へと変化したのだから。

 

 半狂乱寸前のオルガマリー。その体が突然ふわりと浮く。

 

 

「な、何これ!?」

 

「所長!」

 

『こっちに来たまえ。オルガ』

 

 

 レフことマグマ・ドーパントの魔術だ。本人の魔力にガイアメモリのパワーがプラスされ、遠く離れた位置のオルガマリーにまで干渉。体を浮かせるとあっという間に側まで運び、オルガマリーの腹に一撃を入れ気絶させてしまう。

 

 

「うっ!?」

 

「あいつ! オルガマリー所長を人質に!?」

 

『その通りだよ平沢一捷。さて……君達にこの力、味わって貰うとしようか!!』

 

 

 オルガマリーはマグマ・ドーパントの背後に寝かせられる。

 

 これにより、カルデア側は無闇にマグマ・ドーパントへ攻撃を仕掛けることができなくなった。

 

 同時にアルトリア・オルタへの牽制にもなる。もし彼女が宝具でマグマ・ドーパントを倒そうとしても、位置の関係でオルガマリーが巻き込まれてしまうからだ。

 

 カルデアはそれを無視できない。アルトリア・オルタを止めるしかなく、そうなればマグマ・ドーパントは傷ついた両陣営を叩けてしまう。

 

 そしてそのマグマ・ドーパントが両陣営へ牙を剥いた。

 

 背中や肩から炎を纏った岩石をいくつも発射。一捷達に降り注ぐ。

 

 

「ちぃ! 攻撃が重ぇ!」

 

「なんて火力……先輩は後方へ! 炎に巻き込まれます!」

 

 

 クー・フーリンとマシュが盾とルーンで岩石を撃ち落とし防ぐ。その威力はサーヴァントですら重いと感じさせる程。

 

 直撃すれば、いくらサーヴァントであっても無事ではすまないのをマシュ達に分からせた。

 

 同時にマグマ・ドーパントは体から炎を放ってくる。その火力も脅威だが、更に厄介なことがあった。

 

 

『さぁお前達、行けぇっ!』

 

「「「「グルゥゥゥァッ!!」」」」

 

 

 炎から生み出される豹型魔獣だ。

 

 術者であるレフがドーパントとなったことで、そちらにもガイアメモリの力が作用し魔獣がパワーアップ。体は一回り大きくなり、体にはより高温の炎を纏う。口からは火炎弾ならぬマグマの塊を吐き出せるようになり、おまけに魔獣を生み出す炎も四つへ増加。

 

 数と力と炎の威力を高め、カルデア側とアルトリア・オルタに飛びかかっていく。

 

 

「ガゥッ!」

 

「こんの、離れろぉ!」

 

「ウルゥァァァ!!」

 

「耐久力も、増している……!? 先程より、硬い!」

 

「ええぃ厄介な!」

 

 

 強化された豹型魔獣とマグマ・ドーパントの攻撃。

 

 アルトリア・オルタを含めた、戦っているサーヴァント達にダメージが少しずつ蓄積して、火傷や傷を負っていく。

 

 その光景に一捷は歯噛みする、自分は役に立てていないと。

 

 

(どうすればいいんだよ!? 原作にないじゃないかこんな展開はさぁ!?)

 

「ドクター指示を! この状況どうすれば!?」

 

『ひ―――だ――に――!』

 

「って嘘ぉ!? ここで通信通じない!? タイミング悪いだろぉ!!」

 

 

 これもマグマ・ドーパントが現れた影響なのだろうか。

 

 だがそんなことをいくら考えても嘆いても状況は良くならない。

 

 自分達で切り抜けるしかない、だがどうすれば?

 

 宝具解放でマグマ・ドーパントを倒す? NOだ。オルガマリーが近くにいては巻き込んでしまうし、そもそもドーパントに宝具が効くかが不明。

 

 撤退する? それもNO。オルガマリーを一人にするわけにはいかないし、アルトリア・オルタとマグマ・ドーパント、マグマの豹型魔獣から逃げ切れるとは思えない。

 

 大技と撤退の作戦はダメ。ならばこのまま戦うしかないのだが、守っていても勝ち筋が見つからない。

 

 そうなると、残りは……

 

 

(また、僕がやるしかないか……!)

 

 

 流石にこの状況でエミヤ戦のようなおちゃらけは通じない。

 

 己の力だけでどうにかするしかないのだ。

 

 そう決めて、前進する一捷。

 

 それを待っていたとばかりにマグマ・ドーパントは、変貌しているので分からないがニヤリと笑う。

 

 

『ハッハッハァ! 食らえぇっ!』

 

「どぉわぁぁぁっ!?」

 

 

 炎の岩石が雨のように降り注ぐ。同時に放たれる火炎放射もどうにか一捷には当たらなかった。が、激しい攻撃の前にどんどん追い込まれていく。

 

 

『素晴らしいじゃないか、このガイアメモとやらの力。まさに魔法の小箱。精神が高揚するとは、このことだぁぁぁぁっ!!』

 

 

 マグマ・ドーパントが力を実感し吠えるのに合わせ、岩石と火炎攻撃が激化。爆風に一捷は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。

 

 

「ぐ、あっ……!」

 

「先輩!」

 

『力が漲るぅ! 我が精神が燃えるぅぅ!! マグマの力が迸るぅぅぅっ!!!』

 

 

 倒れた一捷を狙って大量のマグマ岩石と火炎がマグマ・ドーパントから撒き散らされる。

 

 それは雨どころではなく、最早壁とも言うべき量。

 

 その全てが一捷へと!!

 

 

『終わりだぁ平沢一捷! ぶぅぅぅるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

「逃げろ坊主ーっ!!」

 

「あ……?」

 

 

 全身を苛む痛みの中、一捷の視界いっぱいに映る火・炎・岩石。

 

 だが動けない。叩きつけられた痛みのせいで。回避も防御も不可能。マグマの高熱の前では意味を成さない。

 

 死。

 

 今度こそ、やられてしまう。

 

 そう覚悟した一捷の側、落とした青緑の短剣。

 

 それが再び、輝く。

 

 同じ色の光。ライダーの宝具を防いだ防壁を生み出したときと同じ。

 

 青緑の輝きの中に、一捷は飲み込まれていった。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

「………………なんだ? ここは」

 

 

 気づけば、周りは真っ白な空間。

 

 

「よう。やっと会えたな」

 

 

 目の前には、黒い……人の形。

 

 例えるなら、天元突破グレンラガンのアンチスパイラルというか、鋼の錬金術師の真理を真っ黒にしたようなやつがいる。

 

 ……誰?

 

 

「やあやあどうも。やっと会えたね、嬉しいよ」

 

「……誰だお前」

 

「え″っ。ご存知じゃないのかね私を」

 

 

 知らんがな。こんな真っ黒真理モドキみたいな奴に知り合いはおらん。

 

 ……どうでもいいけどコイツめっちゃイケボ。DIOみたいな声してる。

 

 というかここ何処よ。……念のため後方確認。何もなし。

 

 

「真理の扉ないからね」

 

「今確認したわ! じゃあここ何処なんだよ。僕は……あのまま死んだのか?」

 

 

 思い出せる部分はマグマ・ドーパントの攻撃を浴びそうになった瞬間だ。

 

 ……というかレフ、途中から8年早い台詞があったぞ。まだこの世界でやってないだろビルドは……。

 

 いやそうじゃなくて。

 

 目の前まで来たマグマと岩。あんなのに飲まれたら、ぶつかったらひとたまりもない。

 

 

「いやお前さんは死んでない。魂だけがここに来ているんだ」

 

「魂……だけ?」

 

「そう、私が呼んだのさ。ここは私が作った空間。ここにいる間、外での時間は限りなくゼロに近くなる」

 

 

 なんだそのドラえもんみてぇなチート能力は……。

 

 

「じゃあ……なんで僕はここにいるんだよ」

 

「その前に一ついいかね。君、本当に私を覚えてないかい?」

 

「だから知らないって。お前みたいな真っ黒真理に知り合いなんざいないよ」

 

「いやいや、しっかり思い出してくれたまえ。私を頼って、使ってくれただろう?」

 

 

 何度も頼った? 使った?

 

 何度も……?

 

 …………………………。

 

 ん? んん?

 

 

「ちょい待てちょい待てちょい待て。まさか、お前は……」

 

「気づいたようだね」

 

 

 何回も頼った。使った。

 

 それって……一つしかないだろ!?

 

 

 

 

 

「私の名は『マオー』。君が持つ、青緑の短剣に宿るものだよ。私は」

 

 

 

 

 

「マオー……お前が、あの青緑の短剣なのか?」

 

「そ。短剣の人格、マスター、管理者と思ってくれたらいい」

 

 

 目の前の真っ黒が、あの短剣の意思……。

 

 ……何故にこんな、棒人間を太くしたような作画コスト低い姿なんだろうか。

 

 

「仕方ないだろう!? まだ作者が私の詳細な姿決めてないんだから!!」

 

「うわ言っちゃったよ」

 

「……んん。まぁ私の姿についてはさておき。君を呼んだのは、私の頼みを聞いてほしいからだ」

 

 

 頼み?

 

 ……何故かその時僕は、嫌な予感を感じた。

 

 

 

 

 

「君の力を貸して欲しい。この世界を、君に歩んで欲しいのだ」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 僕に、この世界を歩め……だって?

 

 いきなり何を言ってんだこの真っ黒は。

 

 

「それはえーと……つまり? 僕にこのFGO世界をクリアしろってこと?」

 

「その通りだ」

 

「……ふざけんな!! 出来るわけないだろそんなもん!」

 

 

 ここに来て僕は思わず感情的になり叫んでしまった。

 

 色々と、心の中で感じていたこと。溜まっていたネガティブが感情。そう言った負の思いが溢れ出し、止められなくなった。

 

 ……正直なところ、限界が近かった。

 

 あと一つとクー・フーリンさん……クー・フーリンには言われた。

 

 だけど、だけど。

 

 怖かった。痛かった。熱かった。逃げたかった。

 

 たとえ泣き叫んで感情を吐き出しても、恐怖の気持ちは、なくならなかった。

 

 ……いっそのこと、あのままやられてしまえば、元の世界に戻れるのでは、とすら思った。

 

 マスターなんて辞めて、帰りたかった。

 

 そうなると、もう止められなかった。

 

 ドバドバと、次々と、負の感情をぶちまけていく。

 

 

「一般人にとって型月世界がどんだけ危険に溢れてると思ってんだ! ホントにマジで! サーヴァントとか! 魔術とか! 抑止力とか! その他云々! しかもよりによってFGOとか特異点回るんだぞ七つも! キャメロットとかバビロニアとかソロモンとか死ぬわ!! それでゲーティアも倒してフォウ君覚醒せずにおいて! 1.5部と2部とオーディール・コールとか無理ゲーだわ!!」

 

「おぉう、FGOプレイヤーとは言えない暴言の数々」

 

「んなこと言ってる場合じゃねえよ! 最初の最初だけど、実際に体験したから尚更なんだよ!! しかもなんだあれ!? ガイアメモリだって!? ここFGOよ仮面ライダーじゃないのよなんであんなん出てんのクロスオーバー!? そんで死にかけるし怒られるし痛いし怖いし!! 冬木でひいこらしてんのにこの先特異点回れとか絶望しかないわ!! 原作と違うなら尚更! 現実的に考えたらクリア出来るかドアホ!!」 

 

「…………それで?」

 

「それで!? だからもう僕は」

 

「戦いたくない、ってか? 見捨てるの? 戦ってる彼女達を。所長さんはあのままで良いの? カルデアの皆は?」

 

「だって、いきなり、そんな」

 

「隣で戦う彼女達……マシュ・キリエライトらに死んでほしくなかったから、ここまで来たんだろう? そう言ったのは君自身じゃないか」

 

 

 

 

『一人じゃ無理でも、一緒に、戦ってくれよ。マシュ・キリエライト。僕と、平沢一捷と一緒にさ』

 

『そしてその時、生き残り帰る為に行動する。真面目に戦い。カッコ悪くても。おちゃらけてでも。それが僕。平沢一捷なんだよ』

 

 

 

 

「……っ!」

 

 

 自分の言葉達が思い出される。

 

 確かにそう言った。言ったよ……!

 

 

「けどあんなのは、誤魔化すためで、不安だったから……」

 

「それでも君が言ったことだ。責任は持たないと」

 

 

 正論で返され何も言えない……。

 

 ……けど、けど!

 

 

「けど!! 怖いんだよ……僕は……」

 

「戦いが?」

 

「当たり前だ!! 傷つくも、怖い目に遭うのも、死ぬのも! 怖いし、イヤに決まってるじゃあないかっ!! 人間なんだぞ僕は!?」

 

「そうだろう。人間だからね。君一人じゃ限度がある。……ならば、一人じゃないとしたら?」

 

「……え?」

 

 

 どう聞いても、その言葉は怪しいものだ。

 

 未知の存在の誘惑そのもの。

 

 甘い、言葉。何かを秘めた。

 

 それでも僕は、その言葉達を、聞いてしまっていた。

 

 

「私が力を貸してあげよう。そうすれば大きな力となる。あのマグマ・ドーパントを倒せるだろうし、この先の人理修復も夢じゃない」

 

「なんだって……?」

 

「その上で、私の頼みである世界を歩むことを完遂してくれればいい。そうすれば……君を元の世界へ『戻す』ことが、可能となる」

 

「っ!? 帰れるの!? 元の世界に?」

 

「君の返答次第だがね。君が私にノーと言えば、それまで。死んで終わり。しかしイエスと言ってくれれば、私は君に力を与える。協力を約束しよう」

 

 

 ……そら来たよ。お決まりのパターン。

 

 完全に状況で選ばせに来てるやつだ、こういうのは。アニメや特撮で何度も観た。

 

 元の世界に帰れる。それは確かに嬉しいけど、FGO世界を歩むこと。クリアすること。それはとてつもなく険しい道だ。いや旅だ。

 

 文字通り世界を救う戦い。世界の命運を背負い進み続ける。世界を救うそのときまで失敗も敗北も許されない。コンティニューなんてない、決死の道のり。

 

 真っ黒野郎が出す選択肢。

 

 ……こいつを、信じていいのだろうか。

 

 正直胡散臭い、怪しいことだらけだ。なんで僕がこの世界にいるのか、どうして物語を進めることで帰れることになるのか。他にも聞きたいことがありまくってる。

 

 ……だけど。

 

 マグマ・ドーパントに僕が勝てるわけない、返り討ちにされるのは火を見るよりも明らか。

 

 ならば、死ぬのを回避するには。生き残るには。

 

 もし。もしだ。コイツの力でどうにかできる可能性が、あるとしたら。

 

 ………………信じてみても、いいのではないか?

 

 

「……お前ならレフに。マグマ・ドーパントに勝てるのか」

 

「お? それは信じてくれると捉えていいのかな?」

 

「そうじゃあないよ。僕がドーパントやサーヴァントに勝てると思う? 無理だわそんなん」

 

「だろうね」

 

 

 だけどこいつは言った、力を与えてくれると。その力で、この先どうにかできるとしたら……。

 

 

「それは私を信じてくれるなら、だけどね」

 

「…………分かった」

 

 

 普通ならそんな相手に勝てる確率なんてゼロだ。即逃げるか隠れるしかない。でもコイツの言う通り、不本意だけど、今は戦う以外にはやるべきことなんて……ない。

 

 確率が1%でも、0.1でも、いやゼロのままでも方法があるなら 

 

 ドーパントを倒せるなら……キリエライトさん達を助けられるなら。元の世界に帰るためだったらやってやる、やってやるさ……! 

 

 

「……ひとまず、アンタを信じることにするよ」

 

「サンキュー。話がわかるじゃないの」

 

「勘違いするな。そうするしかないだろ今は。お前が言うように」

 

 

 コイツのことは信じるが、信じきった訳じゃあない。

 

 どう見ても、考えても、状況的に怪しい存在。それでもキリエライトさん達を助けたいのは確かなんだ。

 

 だから、『使ってやる』。

 

 決して、『使われる』のではない。

 

 それだけは、心の奥底で固く固く、もうひとつ固く決意。

 

 力に、『変えられない』ように。

 

 

「よし、そろそろ時止めも限界だ。やることは向こうで力を渡すと同時に伝える。まずは君を送り返すよ」

 

 

 そう言って、マオーは左手を出す。いや左手かい。

 

 これを握れ、ということか?

 

 

「相手に合わせて、あえてこう言わせて貰うよ。――未知なる力と相乗りする勇気、あるかな?」 

 

「……違うね。相乗りじゃあない。僕が『選んで、使う』んだからな」

 

 

 そう言いきって、マオーの左手を握り、青緑色に奴の手が光る。

 

 それに飲み込まれるようにして、僕の意識は消えていった。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

(間に合わない! この距離では……!)

 

 

 マスター平沢一捷へ迫るマグマと岩石。

 

 クー・フーリンとマシュは助けに行こうとしたが、豹型魔獣が周りを跳ね回り邪魔されていた。

 

 もはや攻撃は目前、飲み込まれてしまう!

 

 そう思ったとき……二人の肌を、一陣の風が撫でた。

 

 

(風? こんな場所で?)

 

 

 勘違いかと、マシュは最初思った。

 

 が、風は少しずつ強くなる。徐々に大きく。激しく。

 

 それは、マグマと岩石を跡形もなく消し飛ばす程に、だ!

 

 

『むうっ!? 私のマグマが!』

 

「なんだ!? 一体何が起きてやがる!」

 

「あれは……」

 

「あのマスター、魔術を使えたのか……?」

 

 

 驚き、注目、予想。それらの視線の先――風の発生源。

 

 そこに立つのは一捷だ。マグマも岩石も浴びていない無傷の体で。

 

 右手には青緑の短剣。その柄にあるトリガーを引く。

 

 

「――魔剣・起動。対象確認」

 

 

 短剣と左手の令呪が青緑の光を放ち始める。

 

 続いて、左手で短剣の底部分を思いきり叩く。

 

 ――その瞬間。

 

 ガクン、と一捷の体が傾き、一瞬だけ『ぶれる。』周囲からはそう見えた。

 

 同時に、ここでない場所では値が変化し大騒ぎとなっていたが閑話休題。

 

 直ぐに戻る。……ただし、何かを欠いた状態で。とても大事なものを。

 

 その一捷には、一連の行動によって青緑の短剣から力が与えられる。

 

 大きな力だ、それは。凄まじい力が体内へ。力は一捷の中で叫ぶ。唸る。渦巻き、嵐となる。

 

 

 

 

 

「対応術式展開。運命消失――『放たれた矢は戻らない(グレイス・リリース・10)』!」

 

サイクロン!』『ジョーカー!』

 

 

 

 

 

 その瞬間、マグマメモリと似た音声が二つ流れ、一捷の体を中心に突風が吹き荒れる。

 

 その中心で風を纏うように一捷の体が変化していく。

 

 右半身の礼装が緑色に。

 

 左半身の礼装は黒に変化。

 

 首には赤と白のマフラーが展開。

 

 両目は赤へと。

 

 最後に左手の令呪が形を変化。一画残った令呪からアルファベットのWの形に。やや傾き、右半分は縁取りだけ。左半分は塗りつぶされたWへと。

 

 

「坊主が……緑に?」

 

「いえ……黒く?」

 

「あの姿は……?」

 

『な、なんだそれは! 何をした、平沢一捷!?』

 

 

 マグマ・ドーパントとなったレフは、その姿を見るなり声を荒げた。直前まで気が大きくなっていたのが嘘のようにだ。

 

 マフラーをなびかせる緑と黒の姿。それを見た瞬間、全身に悪寒が走ったのだ。こいつは危険だと体が、マグマ・ドーパントの力が警告し叫んでいた。

 

 何故ならば。

 

 一捷の変化した姿とはマグマ・ドーパントと戦った相手。

 

 ドーパントと戦う存在、二人で一人の探偵ライダー。

 

 

 

 

 

 ――『仮面ライダーW』に似た姿だったのだから……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、という訳で主人公の力で変化したところまでです。

タグにもありますが、このようにクロスオーバーが出てきます。苦手な方は申し訳ありません。

後の話で説明しますが、言ってしまうと主人公と短剣の力とは、相手に対抗する力を使えるようになる、です。

今回ならマグマ・ドーパントなので、仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーの力を得た姿へと変化しました。

ただし、クロスオーバーの戦いは同じ特異点で何度も発生さる訳ではないです。

基本的に一回、特異点の敵を全て倒し終えた後に、例えるなら戦隊ロボ戦のように発生します。

それでは次回、またお会いしましょう。

絵を描くとして、早く上手に描けるのはどちらだと思いますか?

  • オルガマリー
  • マシュ
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