ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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遅れました!!

恒例のパルブレ切腹は済んでまグエー!!
年度末や新年度でそれはもう色々とあったんです……ユルシテ…ユルシテ…
私の代わりにお兄様が何でもしますから!!



外伝〜6周目Afterその5〜

 

Side とある生徒

 

 

 その後、整備班の人たちから詳しい話を聞こうとしたら流石にリーダー格の人に止められた。けれども、僕も犬養先生の"事情"を知っていることを話したら納得してくれた。

 

 

「なるほど……君もあの人の"事情"を知っている側の人間だったとはな。」

 

「はい。……知った経緯は偶然の産物でしたが。」

 

「偶然か。どんな経緯か聞いても構わないかい?」

 

 

 そこからは、ミシガン総長も含めたレッドガンパイロットによる戦闘訓練週間と、その最後の日に起こった出来事を話した。正直、あれがミシガン総長のうっかりミスに起因するものなのか、裏で誰かが糸を引いていたものなのかわからないままだけれども。

 

 

「……なるほど。君の言うことが確かなら、ミシガン総長はルビコン政府との軋轢になりかねない発言をしたことになる。軍人だから政治的な感覚に疎く、それ故に起こったミスなのか……あるいは何らかの思惑が働いていたのか、私にはその判断はできない。」

「そうだ、お前たち。ついさっきまでの話は何も聞かなかったことにしておけ。仮に整備途中で"事故"が起こったとしても、私にはどうしようもできない可能性があるからな。」

 

 

 そう言われて整備班の人たちはカクカクと素早く頷きながら機体整備に戻って行った。これだけの会話なのに、何か重大な秘密が隠されていることを全員が感じ取ったのかもしれない。

 

 

「アイツらも随分と聞き分けが良いと思っただろう?……それにもちょっとした事情があってな。」

「ああ、それと……今からするのはただの独り言だ。」

 

 

 何も言わずにそっぽを向く。そう、僕は何も聞いていない。

 

 

「元々は、"穏やかな余生を過ごしたいとの希望があの人から出されていたから、ルビコン全土で話題になってしまうことが無いように"との理由で箝口令を出されていた。」

「ただ、私が上から受けていた指示はもう1つある。」

 

「……さっきの理由はあくまでも表向きの理由で、本当の理由は別にある。"ルビコンで最強のAC乗りはラスティさんかミシガン総長でなければならない"との政治的な要請を呑ませる交渉が、ルビコン政府とあの人の間で行われた。それをぼかして、さも"裏の事情"を知っているかのように話せと。」

 

 

 ……話が見えてきた。表向きの理由だけだと、色々と勘繰る人間は出てくるかもしれない。ただ、予めそれっぽい"裏の事情"を準備しておけば、それを知った段階で探りを入れようとする人間の大半が満足するだろう。

 それに、その"裏の事情"のストーリーはルビコン政府の側が主導権を握っていると思えるようなものになっている。そのお陰でルビコニアンの自尊心も満たすことができる。そうすれば"真実"を探ろうとする人間なんて……好奇心の強さと疑り深さを持ち合わせた極々一部だけになるだろう。その極々一部に僕がなってしまったのだけれども。

 

 予め準備された表と裏のストーリー。真相は表でも裏でもなく闇の中に隠されているから、いくら表を、そして裏の方だろうと穴が空くほど見つめても真実に辿り着くことはできない。

 情報を電子の海から調べようとすればあの人に察知され、人伝てに探ろうとすれば得られる情報は同じものばかり。……寧ろ、個々人の"こんなストーリーだったら面白いのに"なんて考えに引っ張られて歪曲されたものが集まるだけ。

 

 普通の人ならもうこれはお手上げだろう。ルビコン政府が惑星規模で情報統制をしているから。

 だけれども……僕は違う。一番の中心人物である犬養先生との繋がりがある。それも教師と生徒の関係性だから、講義やその他に関する質問の形で犬養先生から情報を引き出そうとしてもおかしくない。

 

 

「……さて、整備の手を随分と止めてしまったな。私はそろそろ仕事に戻るとするよ。」

 

 

 ……一応、この人なら大丈夫だと思うけれども忠告はしておかないとだ。

 

 

「仕事中失礼しました。……最後に少しだけ。実は最近、端末の中の"秘蔵フォルダ"がどういう訳か消えてしまいまして。」

 

「……それは男として死活問題だな。」

 

「ええ。ただ、自分で消した記憶も、《誰かに端末を触らせた記憶も無い》んですよね。」

 

「……!なるほど。まあ、バグか何かだと思うが……私も気をつけることにするよ。」

 

 

 表情の変わり方からして、僕が伝えたいことは伝わったと思う。正直、犬養先生よりもあの人の方が怖い。正体の手がかりすら全く掴めていないから。

 それこそ、人ですらなくて、ネットワーク全体を監視する管理用AIなんじゃないかとすら思っている。そうでもないとハッキング能力に説明を付けられないから。

 

 

 

 


 

 

 犬養先生の素性についてはある程度掴めた。だから、ここからは隠された足跡を少しづつ見つけることにしよう。

 閲覧できる戦闘ログは改竄されている可能性が高い。それを念頭に置いて、犬養先生が語る足跡と戦闘ログの食い違いを見つけて真実に近づく算段だ。

 

 

「犬養先生、少しお時間よろしいでしょうか。……独立傭兵について聞きたいことがあります。」

 

「独立傭兵について……か。随分と唐突だな。」

 

「はい。先日の坑道奪還任務では学生隊として指揮系統が別でしたが、見方を変えれば正規軍に独立傭兵が付けられているのとそこまで変わらないのでは……と思いまして。」

 

 

 犬養先生が独立傭兵上がりなのは周知の事実。それに加えて、ほんの少し前にあった坑道奪還作戦も絡める。だから動機としては不自然じゃないはずだ。

 

 

「……独立傭兵上がりの私が言うのもアレだが、ならない方が良いとだけ言っておこう。」

「まず、あらゆることが自己責任だ。機体の整備、依頼の精査……撃破された後の立て直しもだ。」

「下手をすれば、最初の機体分の金すら稼げずに死ぬだろうな。……いや、戦いの最中に死ねばまだマシだ。下手に生き残りでもすれば……どこかの実験室が死に場所になるだろうな。」

 

 

 意外なことに独立傭兵に対しては否定的だ。自分から望んでなったとすれば、独立傭兵であることのメリットとデメリットを比較してメリットの方が上回ったはず。

 ……もしかして、自ら望んで独立傭兵になった訳ではない?だとすると何故独立傭兵に?誰かに強要された?

 

 

「犬養先生の機体は企業所属のAC乗りと遜色ないくらい高級なものだったと思いますが、依頼の報酬を上手いことためてやり繰りを?」

 

「高級……か。別にそこまでではないぞ?エルカノ製のコアパーツが高い程度で、それ以外のパーツはそこまで高くはなかった。その代わり、整備には妥協しなかったがな。」

「報酬については……まあ、私の実力を知っていれば何となく察しは付くだろう?」

 

「はい。多分ですけど、一生豪遊しても使い切れないくらいには溜まってそうだな〜と思っています。」

 

 

 ここで、犬養先生が確実に取らないであろう"豪遊"を出す。そうすればそれを訂正しようとして報酬の使い道が聞けるかもしれないから。

 

 

「また独立傭兵に戻る可能性もゼロではないから、ACを新調する分の費用は蓄えている。インフレや、戦争が起きてからの需要増に伴う価格上昇なんかに備えてAC2機分相当ではあるがな。」

 

 

 ……犬養先生の稼いだお金の流れが読めない。ACを武装まで含めて2機買える金額を蓄えていると言われれば、ルビコンで独立傭兵として活動していた(ことにされている)4年未満の稼ぎとしては納得できる範疇だ。

 ただ、それはそれで別の疑問が浮かんでくる。どうして独立傭兵になったのかだ。大金が必要な目的があるのなら、報酬をそれに使っているはず。そうでもなく衣食住に困らない生活をするだけならもっと別の選択肢があったはず。

 

 

「わかっただろう?独立傭兵として稼ごうと思えば、自身の才覚に加えて、依頼に困らない程の大規模な戦いが起こっている必要がある。」

 

「となると、仮にルビコン政府が独立傭兵を雇うような事態に再び陥った場合……どの星系で活動していたのかを把握した上で実力を予測しないとですか。」

 

「恐らくそうなるだろうな。自身の実力よりも過大に申告してくる奴もいるだろうし、そもそも戦場に立つのが初めての奴すらいるだろう。玉石混交の中からまともに使える奴を見つけるのは至難の技だ。」

 

 

 話の流れをここで少し変えた。

 犬養先生から見れば、仮に再びルビコンが戦火に見舞われたときに独立傭兵を雇用して切り抜ける算段を付けようとしている……と誤解させられるかもしれない。

 

 

「確かに、独立傭兵であれば普段の維持コストは政府が払わなくても良いだろう。だが、お前もわかっているだろうが致命的な欠点が複数ある。わかるな?」

 

「はい。まず1つ目に、指揮系統が曖昧になる点……特に複数人を同時に投入した場合は、その独立傭兵間の統制が困難になります。」

「2つ目に、任務遂行能力を正確に知ることが極めて難しい点です。撃破されたとしても、そこで対峙していた敵の強さを推測することも難しくなります。」

 

 

 情報収集はこれぐらいにしておこう。ここからは、誤解を確たるものにしていくために話を続けるとしよう。

 

 

「そうだ。……他に思い付くものは無いか?」

 

「他に……ですか?……思い付かないです。」

 

「補給だ。」

 

「補給……なるほど。過去の戦史を引用するのであれば……かつて地球で起こった第二次世界大戦での島嶼部防衛戦でしょうか。」

 

 

 犬養先生は、戦術論の講義で過去の戦争も題材として取り上げている。それこそ、人類が宇宙に行ったかどうかの過去から。

 その中でも地球で勃発した第〇次世界大戦系統はそこそこの時間を割いていた。国家権力の下に全てを戦争に注ぎ込む"総力戦"だったから。

 

 

「それとは少し違うな。……いや、最悪の場合はそうなりかねないが、まだそれよりはマシだ。」

「わざわざ独立傭兵の使う装備のために予備パーツや予備弾薬まで準備していれば、補給部門の人間が過労死しかねない。使うパーツや弾薬は一種類でも少ない方が良い。」

「事実として、BAWSもエルカノもRaDも、特にセンサー系のパーツについては共通規格を設定して同じパーツを使う設計にしている。こう言った小さな努力の積み重ねで補給線は維持されている。」

 

「そんなことまでご存知なんですね。機体の整備を自分の手でしていたから得られた知見ですか?」

 

「…………まぁそうだな。……自分でセンサー類のパーツをアップグレードできないか試したりした副産物だ。良い勉強代になった。」

 

 

 犬養先生が遠い目をしている。もしかしたら頭部パーツを"新調"するハメになったのかもしれない。

 

 

「実際に設計したのはオールマインドとは言え、私が共通化には1枚どころか思いっきり噛んでいたからな。……流石に一介の独立傭兵がそこまでやるのは明らかに辻褄が合わないから誤魔化せて助かった。」

「それはさておき、今までに上げた欠点を何とかするためにはどんな対策が考えられる?」

 

「……まさか、《補給も何も無しに雑に放り込む》ですか?それも全滅の可能性が高い激戦区に。」

 

「その通りだ。あるいは、単独でも完結するような小規模な任務を一任するかだ。とにかく、独立傭兵なんて存在は、基本的に使い捨てにされる存在だ。」

 

 

 やっぱり独立傭兵に対しては良いイメージを持っていないように思える。

 

 ……ここまで来れば、何となくは予想が付いてきた。

犬養先生は望んで独立傭兵になった訳ではない。強化人間として"買われて"使われてきた。けれども、ルビコン解放戦争を生き残って影響力を確保して、そう簡単に手を出せるような存在ではなくなった。

 お金の使い道については……まあ、犬養先生を"買った"人に握られているから自分で決められないってところだと思う。反旗を翻していないのが新たな謎として浮かんでくるけれども。

 

 

「ですが、犬養先生はその中で頭角を表し……ある種の切り札のような扱いを受けるまでになったと。」

 

「ああ。だから、間違っても私を独立傭兵の基準にするなよ?まともに働く奴が例外で……独立傭兵でありながらここまでの影響力を持った私は例外中の例外だ。」

 

「分かりました。お忙しい中時間を割いていただきありがとうございました。」

 

「気にするな。それも私の仕事だからな。」

 

 

 仮説はある程度固められそうだ。ただ、それが合っているかどうかを確かめる方法が無い。一番は事情を全部知っている人に聞くことだけれども……そんな人はルビコン政府の上層部の中でも一握りだけかもしれない。まず無理だ。…………どうしよう。

 

 


 

 

「まさか独立傭兵について聞いてくるとはな。独立傭兵になろうとしている訳でも無さそうだが……独立傭兵を作戦に組み込もうとしているだけにしては迂遠だった。」

 

「私に何か探りを入れているのか?だが、エアの定期的な"調査"にも不自然なものは引っ掛かっていない。……一年以上の"調査"で引っかかっていないから流石にシロか?」

 

 


 

 

 あれから進展は芳しくない。正確には、仮説を裏付ける証拠が見つけられないから"仮説から派生した更なる仮説"……のような感じになってしまっている。それに、全てを脳内で完結させないといけないから、収集した情報を覚えきれずに忘れてしまったりもする。

 

 

「お前ら、来月の授業日程が一部変更になった。……端的に言えば防衛軍上層部による視察だ。」

 

 

 上層部による視察?…………これは"使える"かもしれない。

 ただ、それには犬養先生とルビコン政府が反目し合っている──最低でも牽制しあっている──必要がある。仮に両者が積極的に手を組んでいるのであれば、下手に動けば僕の動きは察知されて"口封じ"をされるかもしれない。

 

 

「ウチはまだ設立されて日が浅い……と言うよりは、中等部1年からのフルコースで卒業するのはお前たちが最初の世代だ。だから、上の人間としては修正が不可能になる前に最後の課題点を洗い出そうとしてる……のだろうな。」

「そして、お前たちにとっては朗報だろうな。視察のときには大規模な演習を行うが……その総評はラスティもおこな──

 

 

 教室が歓声と黄色い声(主に女子)に包まれる。

 それも無理は無い。表向きでは現在のルビコンに於いて最強の個人だ。ミシガン総長は老いて衰えているであろうことも踏まえれば、全てのルビコニアンがそう思っているはず。僕たちが例外なだけで。例え最強の個人ではないとしても、No.2なのは確実だし、ルビコニアンであることに変わりは無いから人気にならない理由が無い。

 

 

──お前ら1回静かにしろ。休み時間が減っても知らんぞ。」

「……大規模演習の詳細を含めた諸々は、詳細が決まり次第通達する。それまでに個々人の技量、それと連携や指揮なんかの見直しをしておけ。"上"からの覚えをめでたくしたかったら無様を晒すなよ。」

 

 

 実施時期が来月なら、どんな会話なら探っていることを悟られないか考えたりする時間はたっぷりある。それに対する反応からルビコン政府と犬養先生の関係を読み取るための想定もできる。

 降って湧いた好機……これを逃す手は無い。ここを逃せば、防衛軍に入って自分が"上"の側になるまで真相は掴めなくてもおかしくない。そしてその頃には、目論見は完遂されていて時既に遅しになっているかもしれない。





果たして、惑星政府レベルの陰謀(?)に一人で立ち向かうこの学生の運命や如何に?!?!

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

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