ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話 作:CVn-α:コル・カロリ
今回は交渉パートなので戦闘シーンも、お兄様に狂っている妹たちも登場しません。
多分納得感のある交渉シーンにはなったはずです。
納得してもらえたのなら……素敵だ……
Side 612
先日ウォルターと話した通り、解放戦線によるコーラルの星外輸出を諦めさせるために交渉の席を要求した。
「こちらのただ1つの要求を呑むのであれば、我々ハウンズは全面的に解放戦線寄りの組織として動く。ミドル・フラットウェルとサム・ドルマヤンとの交渉の席を用意してくれ。」
と随分上から目線なものになってしまったが……まあ良いだろう。実際、ハウンズはいざとなれば惑星封鎖機構を一時的に麻痺させて星外脱出も可能*1であり、さらには企業側に全面協力することすら可能だ。そう考えれば主導権はこちらにあると言えるだろう。
ちなみにだが、まだサム・ドルマヤンは捕まっていなかったらしく、ベリウス地方のどこかでリング・フレディと共に隠居生活をしていたそうだ。
さて、今回の交渉に関して、ハウンズ──いや、オーバーシアーとしての全権を任されている。つまり、私の決定がそのままオーバーシアーの決定となる。
ウォルター率いるハウンズと、カーラに率いられているRaDをどう動かすかが私にかかっている。
「急な連絡だったが応えてくれたことに感謝する。」
「……本当に急だったが、内容を見れば応じない訳にもいかないだろう。それより、依頼について何度か打ち合わせで音声通信をしたことはあるが、顔を合わせるのは初めてだな。」
「そうだな。お初にお目にかかる。ハウンズリーダーだ。……生憎、名乗るべき名前はこの他に持ち合わせていない。」
612の名前はウォルターか妹たちか……カーラとチャティくらいにしか言わせない。それ以外の奴が知ったら……お前を消さなければならない。
「コーラルに脳を焼かれた者か……お主は"声"を見てはおらんようだな。」
恐らくだが、Cパルス変異波形のことを言っているのだろう。
ここで、621が交信していることを察せられたりしたら交渉が吹き飛ぶ可能性がある。悟らせないようにせねば。
「……その言い方だと、ただの"声"では無さそうだな。」
「その通りだ。Cパルス変異波形……コーラルに発生した意識だ。私もかつてはその"声"を見ていた。」
「Cパルス変異波形か。残念だが、私はそれの"声"を聞く……交信と呼ぼうか。交信していない。」
ここまで私は嘘は何も言っていない。
"声"が何かを確認して、Cパルス変異波形と交信していない事実を述べただけだ。
卑怯?ちゃんと確認しない向こうが悪い(独立傭兵並感)。
それはさておき、ドルマヤンの警戒度が下がったようだ。これならドルマヤンはこちら側の味方にできる可能性が高そうだ。
切り札(警句の全文を知っていること)を切るのは……まだだな。こちら側の要求を呑むか呑まないか迷っている時に切るべきだろう。
「さて、時間も惜しいだろう。本題に入らせてもらう。」
「私……いや、我々からの要求は"星外へのコーラル輸出の恒久的な禁止"だ。」
ここからはフラットウェルとの腹の探り合いだ。
まあ怪訝な顔をするだろうな。"コーラルを優先的に回せ"でもなく、"輸出をするな"である以上、目的が見えてこないはずだ。
「要求自体が何を言わんとしているかはわかる。だが、それでハウンズが何をしたいのかが見えない。……目的は何だ。」
まずは軽めのジャブからだな。
「簡単な話だ。これ以上、我々のようなコーラルによる被害者を生み出さないためだ。」
腑に落ちていない顔だな。ハウンズにとっての直接的な利益でない以上、その反応も想定内だ。
手札の1つを切るのはここか。
「それと、1つ訂正がある。"我々"と言ったが、ハウンズではない。」
「ほう?」
そうだ。ここでもっと怪しめ。それだけ疑問が解消されたことによる落差で安心するんだ。
「技研の職員とその関係者が立ち上げた組織……オーバーシアーの全権代理人として私はここにいる。」
「オーバーシアーの目的は……コーラルの管理。最終的にはアイビスの火が起こる可能性が未来永劫に渡って0であり続けるような体制の構築だ。」
「ほう……コーラルが星外に輸出されると宇宙規模でコーラルの監視をする必要が出てくるが、今ならルビコンでの監視のみで事足りるから……と言う訳か。」
「その通りだ。」
良し。猜疑心は払拭されたようだな。だが……今度は苦悩と来たか。恐らく、星外企業からの協力を取り付けたが、対価をコーラルで支払う契約をしているな?
「話は筋が通っているな。だが……それは不可能な話だ。オーバーシアー……その中のハウンズの全面協力があれば企業と惑星封鎖機構の撤退は叶う可能性はあるだろうな。」
「だが、その後のルビコンはどうなる?荒廃した土地を復興させ、人民を養うためにも星外からの輸入は必須だ。そのための原資が無い。」
「まさかではあるが、いくらハウンズ、延いてはオーバーシアーとは言えども惑星規模での支援ができるとでも言うのか?」
そう来たか。武力一辺倒のハウンズに経済は支えられないと。だが、ハウンズ以外の協力組織が生産系であると見越して*2そこからの譲歩を引き出そうとしているのだろう。
だがRaDだけでは限界がある以上それは突っぱねねばならない。態度を硬化させるだけかもしれないが、こちらから手を払うべきだろう。
「それはこちらの目的とは関係が無い。……第2のアイビスの火が起こらない体制を目的としている以上、ルビコンの発展については無関心だ。」
「貧しさから抜け出すために売れるもの……つまり資源、コーラルを輸出しようと考えるのは当然のことだろう。ルビコンを豊かな
コーラルを輸出されたくなければ金や物資を出せと言っているようなものだな。当然のことだが、ハウンズが稼いだ金は即ち妹たちと稼いだ金だ。余所者にくれてやるのは正当な対価以外ではビタ一文だろうと無い。
「それなら単純な話だ。猟犬の牙が向けられる先に、現在進行形での企業に加えて、将来的には解放戦線も加わるだけだ。」
「脅しのつもりか?」
「我々の目的を考えれば当然のことだろう?寧ろ、事前に通告しているだけ有難いと思って欲しいものだ。」
「それに、そちらの言い分は"コーラルを輸出されたくなければ金とモノを出せ"と言っているように聞こえるぞ?脅しと何が違う?」
「さらに、だ。人間の欲望にはキリが無い。ルビコンが豊かになれば貧富の差が生まれる。貧しい者が成り上がるためにコーラルを輸出しようと企むのは当然のことだ。結局、コーラルを星外に輸出しようとする動きは出てくるだろうな。規模が違うだけで。」
「…………」
あまりやり込め過ぎると反発心を産みかねない。鞭はこの辺で止めて飴に切り替えるとしよう。
「だが、こちらの要求は"コーラル輸出の禁止"から増えることは無い。……無論、効果的な実行のために改善を要求することはあるだろうが。」
「それだけで"外"からの脅威は我々に押し付けられる。"内"から持ち出そうとする動きさえ止められれば、残りは"外"から奪い取ろうとする動きだけに絞れるからな。」
「再び企業がやって来ようとも、惑星封鎖機構がやって来ようとも全力を尽くすことを約束しよう。」
「我々の実力はそちらも良く分かっているはずだ。解放戦線の協力によって各地に補給拠点を設けることができれば、我々の牙が届かない土地は無くなる。」
苦悩から変わって、損得の算盤を弾いている様子になったな。
……企業との密約を話に出してきたのであれば、企業から得られるメリット以上のものを我々から引き出せれば鞍替えしても良いと考えているだろうな。
「……既にシュナイダーとファーロンの2社とは密約を結んでいる。無論、ルビコンを解放するために、だ。そしてその対価が……コーラルだ。」
「密約に基づいてエルカノとBAWSには技術が流れている。ここで約束を反故にすればこの2社も敵に回るぞ。」
やはりな。……ここまで交渉が思い通りに進むと、寧ろ私が誘導されているのではないかとすら感じてくる。
恐らく誘導されているとすれば、ここで企業2社に相当する支援を引き出すことが目的だろう。
だが、何もメリットだけが手札ではない。デメリットを打ち消すに足るナニカも手札となる。
「シュナイダーについては私の方から交渉をしておこう。……どんな伝手を使って確認しても構わないが、どうやらシュナイダーの中で私の評価は極めて高いようだ。そちらが交渉するよりも良い結果を引き出せる自信がある。」
「ファーロンは元々ミシガンがいた組織だ。私とミシガンの間には少なからず因縁が──今回は悪い意味で、だが。──ある。解放戦線を経由してファーロンとハウンズが手を結ぶとなれば、ファーロンを経由してミシガンと私の和解に繋がる可能性がある。そのため、ミシガンを経由してファーロンへと圧力を掛けられる可能性がある。ミシガンとの交渉も私が出向こう。」
あくまでも確約するのは交渉するところまでだ。だが、今のルビコンにおいて"ハウンズが敵に回らないこと"には大きな価値がある。それを理解している以上、この交渉には勝算がある……と見積もってくれる可能性は高いだろう。
切り札を切るのはここだな。
ドルマヤンを味方とし、ドルマヤンとの仲違い──最悪の場合は解放戦線の二分──を脳裏に過ぎらせて、今回の交渉を確実なものにする。だが、それを露骨に狙っていると思わせるのは心象的にマイナスな以上、切り方に気を付けねば。
「コーラルよ、ルビコンと共にあれ。」
「コーラルよ、ルビコンの内にあれ。」
「その賽は、投げるべからず。」
「…!!お主、それをどこで……!!」
「解放戦線の部隊の護衛をしているときに、世間話として聞いたのだが……本当のようだったな。」
「本来であれば、オーバーシアーは惑星封鎖機構に対して協力を打診する予定だった。コーラルの危険性を伝え、封鎖だけに留めず積極的に介入させる方針にするために。」
「だが、この警句を知ってからはルビコン解放戦線が第一候補になった。」
「……私の思いを無駄にしないで欲しい。死人が少ない手段を選びたい思いを。……コーラルが絡む犠牲者を減らしたい意志を。」
「……良かろう。賽を手放し、セリアと道を違えた儂だが……セリアもコーラルが争いの火種となり、人が死ぬのは望んでおらんだろう。」
「ルビコン解放戦線の指導者として、ここにオーバーシアーとの協力関係を認める。そなたらが警句を守る限り、我らも必要な援助をしよう。」
「帥父!……わかった。中央氷原を預かる者としてもオーバーシアーとの協力関係に賛成する。」
良し。後は気が変わらない内に手を組んだことのメリットを実感させねば。
実績を作り、フラットウェルを消極的な賛成から積極的な賛成に引きずり込む。
「感謝する。では手土産代わりにだが……我々ハウンズは惑星封鎖機構へ襲撃をかける。」
「対象は……厳重な警備でそちらも調査ができていないであろう場所だ。」
──ウォッチポイント・アルファだ。
「既に計画は策定済みだ。補給のためにシュナイダーとも取引をしている。向こうとしてもこれを白紙には戻したくないだろう。」
「足りていないのは……補給拠点のみだ。それも、1つ潰されても大丈夫なように複数経路を確保できるものを。だが、解放戦線の協力があればそれも払拭された。」
「惑星封鎖機構の土手っ腹に大きな風穴を空ける。企業もこぞって中央氷原に来るだろう。だが、奴らは惑星封鎖機構が接収した技研の遺産……アイスワームに対応できず、無駄に戦力をすり減らすだけだろう。」
「惑星封鎖機構と企業が全面的に争う。企業は我々オーバーシアー──表向きはハウンズだが──に先を越されないようにするために引くこともできない。惑星封鎖機構は防衛側だから言わずもがなだ。」
「喜ばしいことだろう?企業と惑星封鎖機構が全力を挙げて潰し合う状況の完成だ。」
「それがたった一手……この協力関係によって成し遂げられた。非常に意味のあるものだと思うだろう?」
下手をすると惑星の戦況1つを動かしかねない程にハウンズが育っている?!
まぁ周回621と、それにはやや劣る程度のお兄様、お兄様の教育を受けた妹たちがいるので、実質イレギュラー3人以上の戦力ではありますし……そんなものですよね!!
原作だと、ここからは技研都市(と集積コーラル)を見つけて、アーキバスに捕まって、脱走して、ザイレムを起動して、ルートを選んで……
アーキバスが到達できていないからごす生存はよっっっっっぽどのイレギュラーが起きない限り確定ですね。やったね!
ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)
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C4-620
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C4-621