ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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本日二話目の更新です。まだ1つ前の話『Road to V.Ict──』を読んでいない方は、そちらの方からお読み下さい。


ラインの乙女で使われている曲がぶっ刺さって調べてみたら……歌詞の一部が今話に刺さったりして、目から透明なコーラルがリリースされました。

アルトネリコ3 の EXEC_FLIP_ARPHAGE/. をお手元に準備してから読んでくだされば 感激だ…


前話では、「早ければ明日の日中」と言いましたが、アレは嘘だ。(ブルートゥ並の虚言)
更新は早い方が良いはずなのでこの虚言は許して下さい()



622……お前も──だ。

 

Side 612

 

 

V.Ⅸ ゲルニカ……いや、622との戦闘が始まった。

 

エアから聞かされた時には酷く動揺したが、今は至って冷静だ。

あの陰険クソメガネへの怒りも無い。……そんな感情は、"これからの時間"を穢すゴミでしかない。それに、617たちが"処理"してくれるだろうから気にする必要すら無い。

 

 

 

QBを多用して私の周りでサテライト機動を取る。……なるほど。ジェネレーターを2基詰んだのはこのためか。

 

ここまで接近された上でサテライト軌道を取られると、BASHO腕では照準が追いつかない。

622はレーザーハンドガン2丁、レーザーショットガン2丁で得意な距離に押し込んでくる。

 

……機体相性も、機体性能も劣っている。だが、負ける訳にはいかない。

 

逆関節の蹴りも交差で避けられる。SONGBIRDSもただ足が止まるだけ。ランセツは照準が追いつかない。ミサイルもQBで躱される。

……頼れるのはパルスブレードだけか。

 

 

マニュアルエイムSONGBIRDS、ミサイルと逆関節蹴りでQB回避を何回もさせる。EN補充が追い付かずに足が止まる僅かな瞬間を狙ってぶった斬る。

……最初の1撃だけを当てて、2撃目は振らずにQBで距離を取る。

 

ある程度攻撃パターンは確立できたが、ダメージレースでは1:3程度で完全に負けている。

 

このままだとジリ貧……にすらならずに押し負ける。

 

ここで私が負ければ……いや、殺されれば、617たちも同じ運命を辿ることになるだろう。

 

 

機体性能で負けているのなら、技量でカバーするしかない。だが、選べる手札が少なければそれにも限界はある。

 

 

……覚悟を決めろ。

 

元から脳を焼かれた強化人間なんだ。……ここで焼き切れたって構うものか。

 

 

「COM!機体操縦権限移譲要請!対象は……全部だ!

 

『脳への負荷が膨大なものになります。推奨でき──

 

やれ!

 

『了解しました。……神経応答速度規定値以下。機体操縦権限を完全移譲しました。』

 

 

膨大な情報量が脳に押し寄せる。

機体の損傷は自分の身体が傷付いたような感覚として。武器は自分の手で握っているような感覚として。

……そして、逆関節が故のどうしようもない気持ち悪さも。

 

 

「COM、SONGBIRDSの衝撃信管を発射後5秒間オフ。その後再起動させろ。」

 

『了解しました。信管へのプログラミング完了。次弾よりこの設定が適用されます。』

 

 

どうせ狙っても当たらないんだ。……それなら、少しひと工夫と行こうか。

 

 

SONGBIRDSを撃つが、当然躱される。2射目、3射目も躱される。

だが、それで良い。

 

 

「COM、次弾は衝撃信管を最初からONに。」

 

『了解しました。』

 

 

QBで回避される前提だ。地面に向かって撃ち……わざと不発にさせていた砲弾に誘爆させる。これは予測されていなかったのか、2発がキッチリ入り、1発がやや遠いが多少は当たった。

リペアキットを使われて追撃のぶった斬りで落としきれなかったが、これまで劣勢だったダメージレースを五分五分に盛り返せた。

だが、今のは一時的なものに過ぎない。この手段ももう使えないと見るべきだ。

 

まだ、スタートラインに立てただけに過ぎない。

 

 

ミサイルの軌道を脳内で描き入力する。地面と水平な6方位を囲んで、QB回避をしてもどれか1発は必ず当たるようにする。上に回避されても良いようにSONGBIRDSもタイミングを合わせてやや上方に撃つ。

そのSONGBIRDSの信管も、衝撃信管から時限式に変更して当たる確率を少しでも上げる。無論、爆発タイミングの設定も自分でやる。

 

QBで回避されるが、目論見通りミサイル1発は当てられた。すかさず蹴りを入れようとするが、さらに横QBで躱される。それも見越していたので、蹴りのモーション中でも腕部を動かしてランセツの射撃を当てる。

QBの連続発動は確かに攻撃を当てにくいが、622もこちらを攻撃できない。

 

ENが切れる数瞬の隙を埋めるために、両手をレーザーショットガンに持ち変えて撃ってくる。

1発目、左脚だけを使って右に跳んでギリギリで躱す。

2発目、右脚だけを使って左に跳ぶ。FCSを欺けたので大きく外れる。

そのままぶった斬りに……と思ったが、背面からスパークが見えたので即座にAAを起動。パルスアーマーに対するカウンターとして決まってスタッガーを取れた。この好機を逃さずぶった斬りで追撃。残りAP2割程度まで削れたがリペアキットで回復される。

 

こちらがリペアキット2個残しでAP5割、向こうは……恐らく1個残しでAP8割。ダメージレースはこちらが有利を取れている。

 

脳への負荷がかなりキツイが、まだ何とかなる。

 

 

 

 

戦場に身を置いていると、流れが変わる気配……あるいは、"嫌な予感"を感じ取ることがある。

今がまさにそれだ。

 

何が変わった?

622の機体コア部分の前面に小さな穴が複数箇所空いている。明らかに弾痕ではないし、さっきまでは存在していなかった。

武装も、本来ならば空いていないはずの隙間が空いている。

 

防御性能を僅かにだが捨てるようなことだ。何らかのメリットがあってやっているはずだ。

……そうか!

 

 

「エア、622の機体のエネルギー出力を調べてくれ。」

 

『……エネルギー出力向上中です。並列搭載されているVE-20Aで、一基辺り25%近く向上しています。』

 

「……617たち、それと621の戦況は。」

 

『共に優勢です。』

 

「それなら、私のサポートに専念して欲しい。……ここからが正念場だ。」

 

 

寒冷なルビコンの気候であれば、無理やり外の冷気を取り込んで冷却性能を向上させられる。各種部品にかかる負荷も大きくなるだろうから温存していたのだろうが……追い込まれて解放したか。

 

 

「622の機体のEN容量を常に観測してくれ。切れたタイミング、切り替わって補充されたタイミングを特に教えて欲しい。」

 

『わかりました。』

 

 

さて、第2ラウンドだ。……ここで何とかできなければ私の脳が焼き切れてお終いになってしまうが。

 

 

EN武装の出力が上がっている。受けるダメージが10%程度増えた。

この差は大きい。さっきまでの微妙な有利を打ち消され、対応を間違えて一気に押し込まれると非常にまずい。

 

衝撃値が危険域に達し、次に攻撃を1発でも喰らえばスタッガーになる。

リペアキットは追加で1個を使っていて、残り1つとAP5割……実質的には11割程度と言ったところか。向こうはリペアキット無しでほぼフルのAP。ただ、中量二脚相当のAPと考えれば、実質的な差はほとんど無いはずだ。

 

……左腕レーザーショットガンのチャージか。スタッガーしたタイミングで叩き込まれると、5割のAPでは吹き飛ばされてもおかしくない。少し無駄になるがここで使う。

 

右腕をレーザーハンドガンからレーザーショットガンに持ち替えた。範囲攻撃で確実にスタッガーを取るつもりだな。

左右への回避は読まれているはずだ。QBを吹かし続けるのにも限界はある。ENが切れたらそこから大ダメージだ。

ならば、避ける先は……1つだ。

 

機体を少し前に傾け、そのまま逆関節の跳躍をする。前方宙返りの要領で上を飛び越え、その時にSONGBIRDSも撃ち込む。

当たる前提で動いていたのか、チャージ突きを空振っていて2発とも直撃した。流石に自機にも少しダメージが入り、互いにスタッガーになる。

 

何とか着地して後方QBで距離を取り、スタッガーから回復するための時間を稼ぐ。

操り人形のように無理やり体を動かされたような感覚がした後に、動きの中で感じていた微妙な違和感が解消された。スタッガーから回復できたな。

 

さて、この攻防でAPは有利を取れた。

この戦闘に"勝利"することだけを考えれば、このまま進めれば良いだろう。

 

だが、私は"兄"だ。

 

……少し無茶をするが、これも兄としての責務だ。できそうなのであればやるしかない。例え、今の有利を投げ捨てることになろうとも。

 

 

ここからは脚部パーツ、背面ブースターを集中的に狙う。

 

ランセツの射撃も、当てやすいコアではなくて脚部に。ミサイルもそうだ。

もちろん、当てにくくなったからダメージレースは負けている。それに、視界も少しずつ暗くなってきた。口の中から鉄の味もする。……脳に無理をさせ過ぎたか。

 

だが、あと少し……あと少しなんだ。

 

622を、救える限り救ってみせる。

617たちがいるから、ここで死ぬことはできない。だが、死なない限りは何だってしてやる。どんな代償でも支払ってやる。

 

 

『EN切れです!』

 

エアの報告を聞いて、即座にABからの即キック。狙う箇所は、脚部だ。

 

この蹴りがトドメになったのか、脚部に蓄積していたダメージが効果を発揮した。人間で言う膝に相当する部分が破損し、動きが一気に鈍くなる。

この隙を逃さずにパルスブレードでもう片方の脚にもダメージを与える。

伝達系に損傷を与えたのか、また動きが鈍くなる。

 

SONGBIRDSを脚部に命中させ、爆風で内部にダメージをさらに与える。

ここまでの損害で脚部が機能を停止したのか、とうとう立ち上がることもできなくなった。

武装を4つともパルスブレードで破壊する。

 

 

本当なら、どんな手段を使ってでも「人間」に戻してやりたい。

だが、脳だけにされ……それどころか、残った脳でさえも弄り尽くされ、もはやそれも叶わない。

 

私なら「強化人間C4-622」を殺せない、そう思ってこんな所業をしたのだろう。

だが、私の"兄としての覚悟"を低く見積もったな。

 

哀れな実験体の1人として死なせてなるものか。

 

その命を救えないのなら……せめて、人としての尊厳だけは守り抜こう。

 

そして、622の人としての尊厳を守るためなら……全ての罪を、兄である私が背負う覚悟ができている。

 

 

 

 

パルスブレードの出力を一時的に引き上げ……コアのコックピットに相当するであろう箇所を貫く。

 

まだ機体のEN出力は0になっていないが、急速に低下しているのが見て取れる。

 

 

……私の方も随分と無理をした。これ以上は動けそうにないな。

だが、最後まで……

 

622の"最期"まで、兄としての責務を果たそう。

 

まずは、617たちに知らせなければな。

 

「各員に伝達、私の方は…終わった。後は……頼んだ。」

 

 

そして無線を完全にオフにする。……ここからは、622と2人だけの時間だ。

 

機体を横たえ、左腕のパルスブレードを手放す。

そのまま左手を……622の機体の頭に添える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「622……お前も"家族"だ。」

 

 

 

「私も……何十年先になるかわからないが……そっちに行くんだ。」

 

 

 

「だから……今はゆっくり休め。」

 

 

 

「私も……少し疲れた。……一緒に休むか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





強化人間にも尊厳はある。

お兄様がお兄様でお兄様なのでお兄様でした……
お兄様は一貫して、「敵機」や「相手」、ましてや「ゲルニカ」なんかではなく、「622の機体」や「622」と呼び続けました。

特に最後の方は、書いてる私自身が目から透明なコーラルを止められなかったです。


最初は本話のタイトルは EXEC_FLIP_ARPHAGE/. の歌詞を参考にしようかと思いましたが、借り物の翼ではなく、他ならぬお兄様の言葉にしようとなりました。
なので、今話は何らかのネタや隠し要素的なものは一切無い"イレギュラー"なタイトルとなっております。


正直に言いましょう。


私だってお兄様に脳を焼かれたんですよ!!!!



それと、曇らせ展開はキッチリ晴らすに限ります。




なんでガチタンで本家ラインの乙女を倒せた方がいるんですか……本当に同じ人間なんですか……??
ニコ動で見た時は、乾いた笑いと同時に零れてきた「なんだよ……バケモンかよ……」で、もはや畏怖でしたね。

やはり、人類の可能性は闘争の中に秘められているのか……

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

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